終盤の攻防

上図は、先後逆で横歩取り青野流の展開から、先手が▲5二金と歩を取った局面。ソフトの評価値-778で後手有利。

後手の桂2枚の駒得もあり後手有利となっていますが、次は▲6一金からの詰めろなので、受け間違えると後手まずそうです。

また▲3二龍と銀を取る狙いもあります。

▲5二金に対して本譜は△同金▲同龍△6二飛と打ちましたが、▲6一金でまずかったようです。

▲6一金に△同飛なら▲7二龍まで。

▲6一金に△同銀も▲同角成△同飛▲8二銀まで。

△3二銀を取られない受け方の意味で△6二飛と打ったのですが、受けになっていませんでした。

▲5二金に対しては、△同金▲同龍に△6二金と打った方が良かったようです。ソフトの評価値-1055で後手優勢。

△6二金に対して▲7二角成が気になりますが、以下△同玉▲6一銀△8三玉▲6二龍△5五桂で、ソフトの評価値-2196で後手勝勢。

▲6一銀から▲6二龍と金を取られましたが、後手玉は詰めろでないので、△5五桂の詰めろが間に合ってきました。

△5五桂では△4七香成▲同玉△5五桂もありそうですが、先手玉が即詰みなら問題ないのですが、詰まないのなら駒を渡して後手玉が危なくなるので、局面が複雑になる可能性があります。

△5五桂は次に△4七香成からの詰めろなので、先手は▲3八銀と受けますが、今度は△4七香成で▲4七同銀△同桂成▲同玉△5五桂以下詰み。

▲3八銀と受けた形から清算すると、後手の持ち駒に銀が1枚入るので、飛車と角と金と銀と歩があれば、△5五桂から詰ましやすい形になります。

終盤の短い時間で正確に指すのは大変ですが、読みと感覚の両方が大事だと思いますので、丁寧に指せるようになりたいです。

終盤の攻防が参考になった1局でした。

桂馬を控えて打つ

上図は、相矢倉の将棋で後手が△2五銀と歩を取った局面。ソフトの評価値-4で互角。

一時期流行った戦型ですが、最近では、このようにがっちり組んだ矢倉は少ないです。

ここからどのように手を繋げていくかが難しいですが、本譜は以下、▲5五歩△3六銀▲5四歩△同銀で、ソフトの評価値-403で後手有利。

地味なたった4手のやり取りですが、先手の形勢が不利になりました。

理由としては、先手は1歩を持ち駒にしましたが、 後手の△3六銀と△5四銀が働いてきて、手厚くなったというのが大きいと思います。

先手の▲1八飛や▲4六銀が、活用しにくいというのもありそうです。

本譜の進行はまずかったようです。

▲5五歩では、▲3五歩がありました。以下、△3五同歩▲5五歩△同歩▲6六桂で、ソフトの評価値±0で互角。

指摘されればなるほどという手順です。

まず▲3五歩と突き捨てて、△同歩と取らせることでいつでも▲3五銀と歩を補充する形にします。

▲5五歩は、歩を突き捨てることにより後手の角道を止める手です。

△5五同歩と取らせて、▲6六桂と打ちます。

この▲6六桂が味が良さそうな手で、直接的な狙いは▲7四桂と跳ねる手で、間接的な手は歩が入れば▲5四歩と打つ狙いがあります。

▲5四歩と打てる形になるのは、▲5五歩を突き捨てた効果です。

▲3五銀と、歩を取れる形になっているのが大きいです。

▲6六桂に△3六歩なら、▲2八飛△3四銀▲7四桂△8四飛▲3五歩で、ソフトの評価値+178で互角。

これはまだ結構難しい戦いですが、本譜より先手の駒が活用できています。

歩を突き捨てて▲6六桂と桂馬を控えて打つ感覚が分かった1局でした。

横歩取りの薄い玉の受け方

上図は、先後逆で横歩取りに対して青野流から先手が▲4五桂と跳ねた局面。ソフトの評価値-464で後手有利。

飛車と金桂香の3枚替えになっているので後手駒得ですが、▲4五桂と跳ねて少し後手もいやな形です。

本譜は以下、△4四香▲5三桂成△同玉▲4一飛で、ソフトの評価値-620で後手有利。

評価値を見ると後手の方がさらに良くなっているので、悪くない進行だったのですが、▲5三桂成から▲4一飛はうっかりしていたので、少し失敗したかと思っていました。

▲3一飛成からの、2枚替えになる手を防ぐことはできないようです。

評価値以上に、後手玉があぶなくなっている感じがしました。

後手は有利とはいえ、玉が薄いので神経を使いそうです。

△4四香では△4四馬の方が良かったようです。ソフトの評価値-464で後手有利。

△4四馬に▲2四飛なら、△2三歩▲4四飛△同歩▲5三桂成△同玉▲8三角△7二桂▲6五角成△4二玉で、ソフトの評価値-373で後手有利。

評価値は少し下がってますが、先手も馬ができたのが大きいと思います。

後手の△7二桂の受け方が、あまり見ない手ですが、先手も大駒を持っておりいつでも打ち込みがあるので、駒を埋めたという意味だと思います。

手順の▲5三桂成で▲8二歩は、△同銀▲8三歩△7一銀▲4一角△同玉▲5三桂不成△4二玉▲4一飛△3三玉▲6一桂成△4二金打▲5一飛成△5六歩で、ソフトの評価値-620で後手有利。

後手有利となっていますが、まだまだ勝負としては大変です。

横歩取りの乱戦の受け方の感覚が少し分かった1局でした。

陽動振り飛車への戦い

上図は、先手居飛車に対して後手が陽動振り飛車で、△7一玉とした局面。ソフトの評価値+270で互角。

後手の△8五歩が、居飛車模様からの陽動振り飛車のため、少し形が変わっています。

後手は、玉の整備などで指したい手がたくさんあるのに対して、先手はあまり玉が固くならない囲いで指し手が難しいです。

本譜は以下、▲5九角△7三桂▲8六歩で、ソフトの評価値+96で互角。

陽動振り飛車には、▲8六歩など後手の陣形が整備されていないときに突いて、早く戦いを起こす指し方があります。

持久戦は後手が模様がよさそうなので、早い戦いにしました。

▲5九角を引いて▲8六歩は△同歩なら▲同角で、▲7七角の時に突いてもよかったので手損ですが、後手の△7三桂で桂馬の頭を狙うため突きました。

評価値は少し下がっていましたが、そこまで悪い手ではなさそうです。

本譜は以下、△6四歩▲8五歩△6五歩で、ソフトの評価値+220で互角。

▲8六歩に対して△8六同歩は、▲同角△5二金左▲7五歩△同歩▲7四歩△8五桂▲7五角で、ソフトの評価値+301で先手有利。

これは▲7四の拠点ができるので、後手指しづらいです。

よって後手は6筋から手を作ってきました。

この局面をどう見るかですが、先手は1歩得ですが玉はあまり固くありません。後手もあまり固くならない展開になりましたが、△7一玉と深く6筋に戦いを起こしています。

実戦ではここで▲3七角で少し模様が悪くなりましたが、▲7七桂なら互角だったようです。

8筋から動いた展開は、思ったほど悪くなかったと分かった1局でした。

持ち駒の歩を残す

上図は、角換り腰掛銀からの将棋で、後手が△5四同銀と香車を取った局面。ソフトの評価値+189で互角。

先手の金銀と飛車桂馬の交換ですが、先手の▲1四角は後手の△3二金を睨んで、結構働いています。ただし、後手に飛車があるので、いつでも王手の筋がありいやなところです。

ここで先手の手番なので何か手を繋げたいです。

本譜は以下、▲3三歩△同桂▲2三銀△4二金▲6五銀△同銀▲4三歩で、ソフトの評価値-267で互角。

▲3三歩は手筋で、桂馬で取らせることで少し後手陣を弱体化する意味だったのですが、この場合はあまり良くなかったようです。

▲5六銀を捨てて▲4三歩と打った局面は、後手が△4三同金と取ってくれたら▲3二金以下詰みですが、後手から△1九飛と王手されると合駒に歩がないので、▲8八玉と逃げるのですが、△1三歩で先手が駒が少なく苦しそうです。

後手に飛車があるときは、底歩で▲4九歩を打つ手を残していた方が良かったようです。

▲3三歩では▲2三銀の方が良かったようです。ソフトの評価値+173で互角。

▲2三銀は意外と厳しい狙いのようで、例えば、後手が△8六桂と打つと▲3二銀成△同飛▲2二金が狙いです。△2二同玉でも△2二同飛でも詰みです。

▲2三銀に△3三金は▲3四歩です。

▲2三銀に△同金は、▲同角成△4二玉▲1二香成です。ソフトの評価値+322で先手有利。

▲2三銀に△4二金は▲1二銀不成で、これが▲2二金△同玉▲2三角成△3一玉▲2一銀成以下の詰めろで勝負するような感じでした。

どこかで後手が△1九飛と王手をすれば、▲4九歩で金底の歩でかなり固いです。

△5九飛と近くから王手すれば、▲8八玉か、場合によっては、▲6八玉とか▲6九金とはじくこともできます。

持ち駒の歩を、底歩で残した方がいいと分かった1局でした。

後手の桂馬の活用

上図は、先後逆で角換り腰掛銀から、先手が▲4八飛と回った局面。ソフトの評価値-35で互角。

ちょっと古いタイプの将棋で、▲5八金と△5二金型で△2二玉と囲っています。

後手は、後手番の上、△2二玉と囲っているので、攻めの手が遅れています。

本譜は以下、△7四歩▲4五歩△6四角▲2六角△3五歩▲同歩△9五歩で、ソフトの評価値+249で互角。

△7四歩は桂馬の活用を見たのですが、さすがに手が遅れており、▲4五歩と仕掛けられました。

△6四角と打ってけん制するも、▲2六角と打たれ、△3五歩の手筋も堂々と▲3五同歩で、△9五歩と突いて歩が入ったら△3六歩を狙うも、後手の手が遅れています。

評価値は互角になっているものの、先手有利に近い互角だと思います。

以下、▲4四歩△9六歩▲4五銀と後手が苦しい戦いとなりました。

△7四歩では△9三桂の方が、良かったようです。ソフトの評価値-34で互角。

後手が7筋の歩を突いていないときに、桂馬の活用で△9三桂はよくあるのですが、このときは見えてなかったです。

これは△8四歩なので、△8五桂と跳ねることが出来ます。

△9三桂以下、▲4五歩なら△8五桂▲8六銀△4五歩▲同銀△4四歩▲同銀△同銀▲同飛△4三金右▲4七飛△5五角で、ソフトの評価値-451で後手有利。

手順の△4四歩と1歩損しても△4三金右として、△5五角が急所です。

先手は▲8六銀の形なので、△5五角から斜めのラインを狙います。

▲8六銀で▲6八銀はありますが、9筋が弱くなるので一長一短かと思います。

これなら後手も、だいぶ戦えていたように思います。

△8四歩と△9四歩を活かした△9三桂が、参考になった1局でした。

青野流の変化手順

上図は、先後逆で横歩取りに対して先手が青野流で対抗。後手が△5五角と打った手に対して▲8七金と上がった局面。ソフトの評価値-484で後手有利。

ここで△7七飛成か△7七角成か迷いましたが、本譜は以下、△7七飛成▲同金△同角成で、ソフトの評価値+67で互角。

この局面は、飛車と金桂の2枚替えで後手が少しいいのかと思っていたのですが、そうでもないようでした。

以下▲2四飛△2二銀▲8四飛△8二歩▲8三歩で、△7二金なら▲8二歩成△同銀▲8三歩△同銀▲同飛△同金▲7一飛で、ソフトの評価値+877で先手有利。

手順の△8二歩▲8三歩に対して、△同歩か△7二金打ですが、どちらも後手指しにくい感じです。

△7七飛成では△7四飛の方が良かったようです。

△7四飛に▲同飛△同歩に▲8五飛が気になりますが、ソフトの評価値-553で後手有利。

▲8五飛に△1九角成▲8一飛成△7二銀で、ソフトの評価値-521で後手有利。

△7二銀に▲8二角なら、△1八飛▲3八銀△8一銀で後手必勝。

△1八飛が後手の馬にひもをつけた手です。

△7二銀に▲8五龍なら、△1八飛▲4八銀△3七歩で、ソフトの評価値-556で後手有利。

△7二銀に▲8六龍なら、△8九飛▲6八銀△8一香で、ソフトの評価値-1414で後手優勢。

△1九角成からの展開は、馬が攻防に効いて香車も使いどころがあり、後手指せるようです。

2枚替えの展開でなく、じっと△7四飛と指す感覚が分かった1局でした。

▲4五銀で銀交換

上図は、角換り腰掛銀から先手が▲4八金型に対して、後手が△6五歩と位をとって、△4三金右と固めた局面。ソフトの評価値+116で互角。

後手は、△6五歩と位を取った形なので、△6四角から △7四歩から△7三桂が一つの理想形です。

どちらかと言えば、カウンター狙いとも言えそうです。

本譜は以下、▲4五歩△同歩▲同桂△4二銀▲2四歩△同歩▲1五歩△同歩▲1三歩△同香▲2四飛で、ソフトの評価値-132で互角。

先手は▲4五桂と跳ねた形は、▲5六銀があまり攻めに活用できていない展開なので、評価値が少し低いのかもしれません。

△2三歩や△4六角から△4四歩で、先手の桂を狙う形です。

後手も守りがしっかりしているので、攻めを継続するのは、大変そうです。

先手の▲4五歩では、▲8八玉があったようです。以下、△6四角なら▲4五歩で、ソフトの評価値+73で互角。

先手の玉が▲8八玉と入城して、△6四角と打ったときに▲4五歩と仕掛ける形です。

後手の△8一桂が攻めに使えていない形なので、先手は▲8八玉としてまずまずかと思います。

▲4五歩以下、△4五同歩▲同銀△同銀▲同桂△4四銀▲2四歩△同歩▲7五銀△5五角▲5六歩で、ソフトの評価値+368で先手有利。

後手の△4五同歩に▲同銀と銀で進みます。

銀交換してから▲7五銀と打てば、以下、後手の角が取られる形になります。

これは少しうまく行った例ですが、狙いを持って指すのは、方針が決めやすいです。

▲4五銀から銀交換をする指し方が、参考になった1局でした。

△5二玉△8四飛戦法で辛抱

上図は、先後逆で後手が横歩取りの△5二玉△8四飛戦法で、先手が▲3七桂と跳ねた局面。ソフトの評価値+206で互角。

△2六歩で先手の飛車の活用を抑えていますが、▲5五歩と突いているので、いつでも▲5四歩から▲5三歩がありいやな形です。

このようなはっきりしない局面では、どのような方針で指すのか迷います。

本譜は以下、△8六歩▲6六角△8五飛▲7七桂△8二飛▲8六歩△同飛▲8七歩△7六飛で、ソフトの評価値+385で先手有利。

歩を使って飛車を△7六飛としましたが、次の狙いがはっきりせず、次に△6六飛から攻めるのは、先手に飛車を持たれると▲8二飛や▲2三歩が厳しいので、切るのは早いです。

先手はいつでも▲5四歩からの決戦があるので、その分有利ということだと思います。

△8六歩では、△7四歩があったようです。

△7四歩▲4六歩△8五飛で、ソフトの評価値+235で互角。

△7四歩は地味な手ですが、△7三桂やいつでも△7五歩▲同歩△8六歩から飛車を横に使う手で、価値が高そうな1手です。

▲4六歩は次に▲4五歩の狙いで、それに対して後手は△8五飛と受けます。

▲4五歩なら△5五角で▲同角△同飛▲4六角なら△7三角で、ソフトの評価値-22で互角。

以下▲4四歩△同歩▲5五角△同角▲8五飛△9九角成▲8一飛成△8九馬で、ソフトの評価値-434で後手有利。

先手が動いた場合の一例ですが、このような展開なら後手はこの戦法らしい戦い方かと思います。

後手は、▲4四歩から玉のコビンが開く形になりますが、場合によっては△4一玉と受けることになります。

辛抱するところは辛抱して、動くときは動くという感覚が、少し分かった1局でした。

△4五桂の受け方

上図は、横歩取り△4五角戦法からの急戦で、後手が△4五桂と跳ねた局面。ソフトの評価値+638で先手有利。

△4五桂では△5四香の方が多いのですが、このタイミングでの△4五桂の対応に少し悩みました。

とりあえず▲5七の地点を守らないといけないですが、本譜は以下、▲6六角△5四香▲5六歩△5七銀で、ソフトの評価値+12で互角。

▲1一馬を間接的に遠くから受けに効かせて、▲6六角と厚く受けたつもりですが、△5七銀が入ると結構大変なようです。

まだ互角なので、正確に指せればいいのですが、後手の△5四香と△4五桂と△5七銀が先手玉に迫って、さらに持ち駒に飛車があれば、受ける方は神経を使います。

1手受け損なえば、すぐに終了形になりそうな感じです。

やはり1段玉に上から迫られると、大変みたいです。

先手の▲6六角では、▲6八玉があったようです。

▲6八玉△5四香▲5六歩△5七飛▲4六飛で、ソフトの評価値+749で先手有利。

手順の▲5六歩に△同香なら▲5八歩です。

▲4六飛が実戦で打てるかどうかは微妙ですが、受けるならこれしかありません。

▲4六飛で▲6六馬は△4七飛成があります。

▲4六飛以下、△5六飛成▲同飛△同香▲5八歩です。

まだ大変とはいえ、2段玉になれば1段玉より受けやすい感じがします。

横歩取りは激しい変化が多く、あまり知らない形の手を指されると、とっさの対応が難しいですが、受け方が勉強になった1局でした。