歩を使って相手陣の形を崩す

上図は、角換わり腰掛銀からの進展で△2四銀とした局面。ソフトの評価値+402で先手有利。

先手が▲2五桂と跳ねた手に3三の銀が△2四銀と逃げた形です。

対局中は少し指しやすいと思っていましたが、ここからどのように指すかが分かりませんでした。

実戦は▲1四歩△同歩▲2二歩△同金▲7四歩△8五桂で、ソフトの評価値+335で先手有利。

この手順は2五に桂馬が跳ねたのでとりあえず▲1四歩と突くところだろうとあまり考えずに指したのですが、これはあまりよくなかったようです。

桂馬が跳ねたら1筋にも歩が使えるようにと思って歩を突き捨てましたが、このような何気ないところでも結構指し手は大事だったようです。

▲1四歩はそこまで悪い手ではなかったようですが、ソフトの候補手に上がっていませんでした。

▲1四歩では▲2二歩がありました。

▲2二歩△同金▲7四歩△8五桂▲7三歩成で、ソフトの評価値+452で先手有利。

この手順は単に▲2二歩と打つ手で、△同玉なら▲6六角と玉のコビンに角を打つのが厳しいです。

▲6六角に適当な合駒がないので△1二玉としますが、▲1三桂成△同玉▲1一角成で、ソフトの評価値+999で先手優勢。

この展開は後手だけ終盤戦みたいな形で先手優勢です。

よって▲2二歩には△同金としますが、そこで▲7四歩と歩を補充して△8五桂と逃げたときに▲7三歩成がうまい手だったようです。

普通は攻めの桂馬と守りの銀を交換するのは守っている方が損なのですが、それ以上に後手の形を崩しているのが大きいようです。

後手は2段目の金が3段目にいくと、後手玉は飛車に近い形なので技がかかりやすくなります。

▲7三歩成以下△7七桂成▲同桂△7三金▲4二歩△同玉▲6六桂で、ソフトの評価値+503で先手有利。

この手順は▲7三歩成に△7七桂成としますが、▲7七同桂と取るのが形のようです。

▲7七同桂では▲7七同金も考えられるところです。

ただし、どちらで取っても将来△7六歩と叩く筋があり、先手はすべての形を受けるということは難しいようです。

ただし、▲7七同金の形で△7六歩に手抜きは難しいので、▲7七同桂としておいた方がしっかりしているようです。

基本的に金は2段目より3段目になる方が守りが弱くなるので、▲7七同桂が手堅いようです。

以下△7三金と手を戻したときの次の手が難しいです。

△7三金に▲4二歩と打つのが何気ない歩ですが、後手も意外と対応が難しいです。

▲4二歩に△同飛は▲5一角があり、▲4二角成や▲7三角成や飛車が逃げれば▲2四角成のような狙いがあります。

また、▲4二歩に△6一飛とすれば後手の飛車が先手陣を直通しますが、▲5二角△7一飛▲4一角成で飛車が取れる形で先手優勢です。

また、▲4二歩に△7一飛とすれば▲6二角が厳しく、後手の飛車の逃げ場所によって、▲7三角成や▲5三角成など楽しみな手が多いです。

よって後手は△4二同玉としますが、そこで▲6六桂と打つのが妙手です。

後手玉を4二の地点におびき寄せたので▲6六桂と打った手が次に▲5四桂とすれば王手になり、5三の地点があけば▲6五桂と跳ねると味がいいです。。

これは8九の桂馬が▲7七桂~▲6五桂と跳ねるようなイメージで、これは後手が銀と桂馬を交換したことで8九の桂馬が攻め駒になります。

▲6六桂に△4三銀と逃げると▲5五角が金の両取りになり、これは後手の玉を4二に移動させた効果です。

▲6六桂以下△7六歩▲5四桂△同歩▲6五桂△7七銀で、ソフトの評価値+449で先手有利。

この手順の△7六歩は手順に▲6五桂と跳ねてお手伝いのように見えますが、後手も△7七銀と打つと迫力があり、このような展開を見ればやはり将棋は簡単ではないです。

7六に攻めの拠点があるのはやはり厳しく、先手をもっても後手をもっても玉が危険な状態で戦うのはある意味やむを得ないようです。

自玉だけ安全で攻めるというケースは、よほどのことがない限りないと思った方がいいようです。

歩を使って相手陣の形を崩すのが参考になった1局でした。

角を切って桂馬で両取りにする

上図は、先後逆で角換わりからの進展で▲7四桂と打った局面。ソフトの評価値-794で後手有利。

駒割りは銀と桂馬の交換で後手が少し駒得ですが、▲7四桂は飛車と銀の両取りなので後手としても少しは嫌な手です。

桂馬で銀を取られると駒損が回復されることになり、相手に粘りを与えることになりやすいです。

後手からは△3九銀や△9九とが楽しみな手ですが、現状は飛車取りなのでどうするかという形です。

実戦は△8一飛だったのですが、以下変化手順で▲6二桂成△同金▲4七金で、ソフトの評価値-331で後手有利。

この手順は飛車取りなので△8一飛と逃げたのですが、ここから変化手順で▲6二桂成△同金に▲4七金とする手がありました。

後手から△3九銀とされるのが嫌なので受ける形ですが、先手の飛車の横の利きも通って受けるには味がいい手です。

後手からは△9九と~△9八角成とする手順が間に合えばいいのですが、先手からも▲2二歩や▲2三歩のように後手玉の近くで手を作ることが可能なので後手も嫌な形です。

この展開はまだ後手有利のようですが、だいぶもつれてきたという感じです。

部分的には全く普通の手を指した感じですが気がついたら形勢が接近しており、ソフトで検討しないと自分でどこが悪かったか判断できないです。

△8一飛では△7四同角がありました。

△7四同角▲同歩△6五桂▲4七玉△7七桂成で、ソフトの評価値-720で後手有利。

この手順は△7四同角と桂馬を取ってから△6五桂と両取りに打つ手で、先手の5七の玉と7七の金の配置に気がつけば指せてもおかしくない手です。

△7四同角はいい手というより、反射神経がいいという感じです。

この手順の△6五桂に▲6八玉なら、△3九銀▲3八飛△4八銀成▲同玉△5七金▲5九玉△7七桂成で、ソフトの評価値-2608で後手勝勢。

この手順は▲6八玉は△7七桂成に▲同玉を用意した手ですが、△3九銀の割打ちの銀があり清算して△5七金~△7七桂成で後手勝勢です。

よって△6五桂には▲4七玉と逃げて△7七桂成と進みますが、この局面の形勢をどう見るかです。

△7七桂成の瞬間の駒割りは、角と金銀の交換の2枚替えで後手が駒得しています。

また△3九銀や△9九とで香車を補充する手や、△8六飛と飛車を活用して敵陣に成りこむ手や△6七成桂と相手玉に迫るような手が狙いです。

ただし、ここで先手の手番なのと持ち駒には角が2枚あり、また場合によっては▲8五桂と跳ねて後手の飛車を活用を抑えるような手もあります。

この瞬間に先手から厳しい手があるかが気になります。

△7七桂成に▲2九飛なら△8六飛で、ソフトの評価値-1347で後手優勢。

この手順の▲2九飛は△3九銀を防いだ手ですが、△8六飛と活用できれば後手優勢です。

△7七桂成に▲8五桂なら△3九銀▲2九飛△4八銀成▲同玉△3五歩で、ソフトの評価値-1522で後手優勢。

この手順は▲8五桂として△8六飛を受けつつ▲7三歩成を含みにした手ですが、△3九銀の割打ちの銀が厳しいようです。

△3九銀で△7二歩と受けるのは▲5八金で、△3九銀や△6七成桂の狙いが消えるのが後手大変です。

△3九銀▲2九飛に△4八銀成とするのがいいようで、これを飛車が取れるからと△2八金と打つのは▲3九飛△同金▲7三歩成でこれももつれてくるようです。

このような何気ないところでも落とし穴があり、ちょっとした指し手で形勢を損ねることもあるので精度のいい手を続けるのは大変です。

本局の変化手順の△7七桂成以後は結果的に相手から厳しい手がなさそうですが、それを見切ったうえで△6五桂~△7七桂成と指せるようになりたいです。

角を切って桂馬で両取りにするのが参考になった1局でした。

いい局面から確実に手を繋ぐ

上図は、先手雁木からの進展で△6五同歩と歩を取った局面。ソフトの評価値+1525で先手優勢。

先手が▲6五歩と角道を開いた手に△同歩とした展開です。

この局面は先手の角が後手の玉を睨んでおり絶好の展開なのですが、このようなところでの指し方が悪いと形勢がいい局面もものにできません。

いつもの悪い癖が出たようで、駒を前進させればいいのですが1手ためることで相手に立ち直らせる機会を与えます。

せっかく序盤でうまく指しても、その後の指し手が悪いと何もなりません。

実戦は▲4六歩だったのですが、△5五歩ならソフトの評価値+585で先手有利。

▲4六歩と力をためて次に▲4五歩の狙いですが、△5五歩と角道を止める手で局面が少しもつれるようです。

▲4六歩では▲4四銀がありました。

▲4四銀に△同歩なら▲3三銀△同桂▲同歩成△同金▲4五桂で、ソフトの評価値+1887で先手優勢。

この手順は▲4四銀と銀交換をしてから▲3三銀と打ち込む展開です。

これが頭の中で最初に見えたのですが、清算して次の▲4五桂が見えていませんでした。

ここで▲4五桂が見えないのはこれが実力ですが、強い人から見ると毎日なんのために将棋を調べているのと言われても仕方ないレベルかと思います。

▲4五歩に△同歩なら▲3三飛成以下詰みです。

▲4五歩に△4二角なら▲3三桂成△同角▲3四歩△2四角▲4四角△1三玉▲1一角成で、ソフトの評価値+5761で先手勝勢。

これらの展開は先手の角の利きが厳しくて、後手は受けが困難です。

▲4四銀に△同角なら▲同角△同歩▲3三銀△同桂▲同歩成△同金▲3四歩で、ソフトの評価値+1688で先手優勢。

この手順は銀交換から角交換になる形で、先手の持ち駒に角が入るのは後手にとっても嫌なのですが、先手の角の利きを受けるのが大変なので清算することで頑張ります。

角交換から▲3三銀と平凡に打つのが継続手のようで、銀と桂馬の交換で次の手が少し難しいですが、▲3四歩と打つのがいいようです。

自分は▲3三銀と打つのも躊躇している可能性があります。

▲3四歩は▲3一角や▲2五桂なども目につきますが、安い駒で金を叩いてその駒が攻めの拠点になるのでこれが有力のようです。

飛車が直通しているのにその筋に歩を使うのは躊躇するケースもあるのですが、この場合は▲3四歩からも攻めが継続できるようです。

▲3四歩に△4三金なら▲3三角△2一玉▲1一角成△同玉▲3三歩成△4九銀▲1四香△1二銀▲2三とで、ソフトの評価値+50000で先手勝勢。

この手順は△4三金には▲3三角が平凡ながら厳しいようで、△2一玉には▲1一角成~▲3三歩成がうっかりしやすいです。

自分は△2一玉には最初▲3五桂かと思っておりこれも候補手に上がっていましたが、▲1一角成が明快なようです。

▲3四歩△4三金▲3三角に△3二玉なら▲1一角成△2四銀▲2五歩△4九銀▲3九飛△5八銀成▲同銀△4八角▲3八飛△5九金▲6八玉△5八金▲同玉△5七銀▲6九玉△4二玉▲2四歩で、ソフトの評価値+2365で先手勝勢。

この手順は▲3三角に△3二玉と粘る手で▲1一角成に△2四銀と数の受けをします。

これには▲2五歩が遅いようでも確実なようで、この瞬間に後手は△4九銀から動いてきますが、先手が丁寧に対応すればそれ以上手がないようで、▲2四歩と銀と取れば手数はかかりますが先手勝勢です。

このような将棋を見ると優勢に進めても甘い手を指すと一気に形勢が戻るので、このあたりの手が明るくなれば明快に指し手を進められるという感じです。

いい局面から確実に手を繋ぐのが参考になった1局でした。

横歩取りの玉の薄い将棋の踏み込み

上図は、先後逆で横歩取り青野流からの進展で▲6六歩と突いた局面。ソフトの評価値-459で後手有利。

自分が後手番で指す横歩取り青野流では、序盤の早い段階で△2六歩と垂らす展開でこの局面に似たような形によくなります。

▲6六歩は将来▲2三歩△同金とする形が、▲6七角で飛車と金の両取りになるような含みで、うまくいけば技がかかりやすくなります。

▲6六歩とこのタイミングでついてこられたのは初めてで、最初は△1九角成と先に香車を取って駒得になるのでありがたいと思っていました。

ただし、△1九角成に▲2四飛とされたときの対応が分からず、2筋の歩を切っていれば△2三歩と打てると思って△2七歩成としました。

実戦は△2七歩成▲同銀△1九角成▲2三歩△同金▲8四飛△8三歩だったのですが、以下変化手順で▲8九飛△4五桂ならソフトの評価値-567で後手有利。

この手順は2筋の歩を成り捨てて△1九角成とする手で、先手は▲2三歩と垂らしてきました。

△2三同金に▲8四飛が、▲8一飛成と▲6七角と▲2四歩の狙いがあります。

後手は飛車取りに△8三歩と打ちましたが、確信をもって打ったのでなくとりあえず先手を取って受けたいと思いました。

△8三歩に▲同飛成なら△8二香があるので何とかなると思っていましたが、▲8九飛と引いたときは△4五桂と跳ねて▲6七角の両取りを消すような手があったようです。

多分△4五桂は実戦でも指せなかった気がします。

△4五桂以下▲6七角なら△7五飛▲7六歩△5五飛▲6八銀△2九馬▲3八金△同馬▲同銀△5四桂で、ソフトの評価値-923で後手優勢。

この手順は後手は△4五桂の後に△2九馬と桂馬を補充して、取った桂馬を△5四桂と打って攻め駒の増やして攻めるという手厚い指し方です。

横歩取りは華々しいのですが、形勢がよくなったら今度は手厚く指すこともありそのあたりの緩急ある指し方が参考になります。

△2七歩成はソフトの候補手の1つだったのですが、ソフトは△1九角成を推奨していました。

△2七歩成では△1九角成がありました。

△1九角成▲2四飛△2三香で、ソフトの評価値-390で後手有利。

この手順の△2三香ですが、取ったばかりの香車を打つのは全く見えていませんでした。

最近自分は頭の中で考えることと盤面が合っていないことが多く、ちょっとした駒の配置が違ったりして読み抜けというか全く成立しないようなことを考えていることが多いです。

特に詰将棋など十数手などの中手数を頭で考える場合はひどいです。

本局の変化手順の△2三香は受けるならこれが自然ですが、持ち駒に香車が入ったということが頭から抜けているので、このあたりは気をつけないといけないなと思いながらも対策が難しいなと思っています。

短時間では難しいですが、盤上だけでなく駒台も敵陣と自陣の両方をしっかり見ないといけないようです。

△2三香に▲8四飛なら△2七歩成▲同銀△同香成▲8一飛成△2九馬で、ソフトの評価値-526で後手有利。

この手順は△2三香と打った手が△2七歩成から銀と取る形になるのが大きく、先手も▲8一飛成で桂馬を取れますが後手が桂香得で少し指せているようです。

なお△2三香では△7四飛がソフトの推奨手でした。

△7四飛▲同飛△同歩▲2三歩△2七歩成▲2二歩成△同金▲同と△3八と▲3二と△4九と▲4二と△同玉で、ソフトの評価値-1354で後手優勢。

この手順は飛車交換から▲2三歩と垂らして以下駒の取り合いで、このようなリスクのある展開でも後手が指せているようです。

△7四飛▲2二と△2四飛▲3二と△2七歩成▲4一角△6二玉▲4二と△3八と▲8三銀△5一香で、ソフトの評価値-2001で後手勝勢。

この手順は先手は飛車を見捨ててと金を活用する手で、▲8三銀で次に▲5二金からの詰めろになりましたが、△5一香と下段に香車を打って受ける手があり後手勝勢です。

これらの手順も簡単そうで結構難しく、実戦の短い将棋で指すのは大変です。

横歩取りの玉の薄い将棋の踏み込みが参考になった1局でした。

一旦受けに回ってから駒を取る

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△6六歩と突いた局面。ソフトの評価値+1079で先手優勢。

駒割りは角と桂の交換で先手が少し駒得で、穴熊で後手からの攻めに遠い位置にいるので先手が指せているようです。

先手からは▲4四角とする手が楽しみですが、後手からも△6七歩成とする手がありどちらが攻めの速度が速いかという形です。

実戦は▲4四角でソフトの評価値+537で先手有利。

この手順は▲4四角として次に▲7一角打に期待したのですが、後手からも△6七歩成が次の△7八とが相当先手にとっては痛いです。

確実に攻め合って先手が1手勝ちであればこの手順でもいいのですが、そうでなければ先手はこの手順はまずいようです。

後手から歩で金をぼろっと取られてと金ができる形は後でダメージがくることが多く、△6七歩成~△7八とで先手は金駒が2枚取られる形は避けた方がよかったようです。

▲4四角では▲6六同金がありました。

▲6六同金△同飛▲4四角で、ソフトの評価値+802で先手優勢。

この手順は先手は守りの金を渡しますが、▲4四角で銀を取り返す形です。

自分は昔からこのような受けが見えづらく、つい一直線に攻め合いの選択をすることが多いのですが、速度計算を甘く見ていて相手の攻めが速かったというのがあります。

▲6六金で少し相手の手を緩めてから▲4四角とバランスを取りますのがうまいようです。

後手の飛車は直通する形になりましたが、先手は1八に飛車がいて横の利きの受けがあるのでまだ大丈夫のようです。

先手としては受けで正確に対応すると少しほっとします。

先手は次に▲7一角打が楽しみでまだ後手玉に即詰みはありませんが、この手が入ると後手玉の寄せが見えてきます。

▲4四角以下△7二金▲6一銀△6二金寄▲5四歩で、ソフトの評価値+732で先手有利。

この手順の△7二金は▲7一角打を防いで金を盤上に埋めるので自然な受けです。

ここからの手順が興味深いのですが、△7二金に▲6一銀と引っかけます。

後手が△7二金型に▲6一銀という手は割打ちの銀で、両取りなら浮かびやすいです。

ただし両取りでなく▲6一銀というのもたまにあり、気になるのは△6二金寄とされた後の手の作り方です。

次に△6一金とされると銀がただなので、▲6一銀と打つのは勇気がいります。

△6二金寄とされたときに▲5四歩が見えづらい手です。

▲5四歩は相手の歩の裏側に歩を垂らすという手で、歩の裏側に歩を垂らすと相手は歩を打って受けることができません。

ただし、この歩もどの程度の効果があるかがぱっと見で分かりづらいです。

▲5四歩に△同金なら▲6二角成△同飛▲7二金△同飛▲同銀成△同玉▲5一飛△6四金左▲6三歩で、ソフトの評価値+1887で先手優勢。

この手順は△5四同金には▲6二角成~▲7二金として飛車を取るのが分かりやすいようです。

飛車と金銀の2枚替えになりますが、相手玉が薄いのと先手玉が安全なので攻めに専念できます。

後手の守りが薄く飛車を打つこむ形は寄せが決まりやすいです。

▲5四歩に△6一金なら▲5三歩成△7六歩▲6三と△同飛▲6二歩△同金▲4一角△5二銀▲6二角成△同飛▲5二角成△同飛▲6三銀で、ソフトの評価値+1133で先手優勢。

この手順は△6一金と銀を取る手ですが、▲5三歩成があり△6四金上と逃げても▲6二とで受けが難しくなります。

よって▲5三歩成に△7六歩とあやを求めたのですが、▲6三と~▲6二歩が鋭いです。

▲6二歩は先手の角のラインに相手の金駒を近づける手で、いつでも角で相手の金駒を切る筋があり技がかかりやすいみたいです。

▲5四歩に△7九成桂なら▲同金△7六歩▲5三歩成△6一金▲6三と△同飛▲6二歩で、ソフトの評価値+1541で先手優勢。

この手順は△7九成桂の攻め合いには▲同金で△7六歩に▲5三歩成がうっかりしやすい手です。

▲5三歩成に△同金寄は▲同角成△同金▲7一角△同玉▲7二金まで詰みという狙いです。

これらの手順を見ると実戦より選択肢が多くよかったようです。

一旦受けに回ってから駒を取るのが参考になった1局でした。

7三の桂馬を攻めて自玉を安全にする

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△6四金と歩を取った局面。ソフトの評価値+1123で先手優勢。

駒割りは飛角桂と金銀の交換で先手が少し駒得しています。

ただし、終盤は駒得より速度という格言があるので、やはり相手玉に迫るスピードが重要視されます。

△6四金は5三の金が△6四金と歩を取った形で▲7四桂打を防いだのですが、ここで貴重な手番が回ってきました。

ここは形とばかり▲6二歩と打ったのですが、これは相当甘かったようです。

実戦は▲6二歩に変化手順で△6八香成▲同金△6七銀で、ソフトの評価値+255で互角。

この手順の▲6二歩は手筋の歩で、次に▲6一歩成が詰めろになり、△7一金と逃げるのは後手の玉が狭くなります。

また△6二金と歩を取るのは▲4一飛と打った手が詰めろになり、△5一金と逃げるのは▲2一飛と打った手が▲9四桂△同香▲7一角△同玉▲5一飛成のような寄せを見ています。

ただし本局においては▲6二歩に後手が手抜く手があったようで、▲6二歩には△6八香成▲同銀△6七銀がありました。

この△6七銀は次に△6八銀成でなく、△7九銀と打つ狙いです。

この形は先手は8六に桂馬がいるのと後手は7三に桂馬がいるので、意外と先手玉は狭いです。

△6七銀▲6一歩成△7九銀▲9八玉△8八金▲9七玉△8五桂で詰みです。

対抗形では後手の7三の桂馬が最後の寄せに役立つというケースがあり、自陣ばかりでなく相手の守り駒も見ておかないと思わぬ寄せをされることがあります。

また8六の桂馬は自玉の脱出を自分の駒が邪魔しています。

自分も似たようなケースで何度か痛い目にあっています。

よって△6七銀は詰めろだったので先手は受けることになるのですが、▲6九香と受ければ△7八歩と打ってどうかという展開です。

先手に手番が回ってきて▲6一歩成が実現できればいいのですが、手番が回ることなく寄せきられる危険もありそうです。

これは▲6二歩がぬるかったからこのような展開になったのですが、この場合の相手の大事な駒は7三の桂馬だったようです。

▲6二歩では▲7四歩がありました。ソフトの評価値+1083で先手優勢。

この手順の▲7四歩ですが、対局中はこの瞬間が少しぬるいのかと思っていました。

先手は次に▲7三歩成と桂馬を取っても△同銀で、後手は金駒が密集しているのでまだ寄せが見える段階ではありません。

▲7四歩は7三の桂馬を取って先手玉を少し安全にするという意味と、取った桂馬を攻めに使って詰めろ級の手を作るという意味のようです。

▲7四歩に△6八香成なら▲7三歩成△同銀▲6八金△6七銀▲7九香△7八歩▲同金△同銀成▲同香△7七歩▲同香△7六歩▲8五桂で、ソフトの評価値+1232で先手優勢。

この手順は△6八香成には▲7三歩成~▲6八金で手を戻します。

△6七銀は狙い筋ですが、7三に桂馬がいないため今度は詰めろになっていません。

△6七銀には▲7九香が▲7三香成△同玉▲8五桂の詰めろで先手が指せているようです。

▲7四歩に△6九銀なら▲7三歩成△同銀▲6七銀△同歩成▲同金△6六歩▲6八金△7八金▲同金△同銀成▲同玉△7六銀▲6六馬で、ソフトの評価値+2054で先手勝勢。

この手順は△6九銀と下から攻める手で、先手も▲7三歩成~▲6七銀でぎりぎりの受けになりそうです。

ただし、後手も攻め駒がやや不足しており▲6六馬と自陣に戻る形になれば先手が残しているようです。

後手が詰めろ級の手がこなかったら▲8五桂のような手で間に合ってきます。

▲7四歩に△8五桂なら▲7三角△同銀▲同歩成△同玉▲4三飛△5三歩▲7四歩△同銀▲同桂で、ソフトの評価値+2382で先手勝勢。

この手順は△8五桂には▲7三角から清算して▲4三飛で合駒請求します。

△5三歩は▲同飛成なら△6三金打とはじくつもりですが、▲7四歩と叩けば先手勝勢です。

▲7四歩に△7四同銀なら▲7七銀△6九銀▲6六馬で、ソフトの評価値+1272で先手優勢。

この手順は△7四同銀には▲7七銀と自陣に手を戻すのが少し見えにくく、以下△6九銀は▲6六馬で先手が指せているようです。

7三の桂馬を攻めて自玉を安全にするのが参考になった1局でした。

細い攻めから大駒を活用する

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△6五銀と歩を取った局面。ソフトの評価値+971で先手優勢。

駒割りは桂馬と香車の交換でほぼ互角ですが、先手は玉の堅さが活きる展開で先手優勢のようです。

自分の将棋は終局後にソフトで検討しているのですが、中盤でかなり優勢になってもそこから疑問手を重ねて気がつけば互角になっていたということが多いです。

優勢の局面はうまくいけば勝勢になるのですが、戦いが振り出しに戻るのはもったいないです。

中盤で精度の悪い手は大きく評価値が下がりやすいので、このあたりの手の見え方は大事です。

実戦は▲7四桂△同銀▲同歩△同金▲6三歩△同金▲5二桂成で、ソフトの評価値+454で先手有利。

この手順は▲7四桂と両取りに打つ手で以下▲5二桂成ともたれる指し方です。

もともと先手は大駒があまり働いていないのでどうしても細い攻めになるのですが、銀と桂馬の交換で先手歩切れでどうかという形です。

後手も上部は手厚いので先手も手を作るのが大変です。

▲7四桂では▲6六歩がありました。

▲6六歩△5四銀▲7四桂で、ソフトの評価値+959で先手優勢。

この手順は▲6六歩と打って△5四銀に▲7四桂と両取りに打つ形です。

実戦と似たような形ではあるのですが、大きく違うのは部分的には金と桂馬の交換になるということです。

一般的に銀より金の方が価値が高いことが多く、手の可能性が広がるようです。

ただし6四の桂馬が後で取られそうな形なので、最終的には金と桂桂の交換になりそうです。

しかも先手は歩切れなので、▲7四桂以下がどうなのかが気になります。

▲7四桂以下△7一玉▲6二桂成△同玉▲2六歩△6四金▲2五歩△5一角▲5六歩で、ソフトの評価値+976で先手優勢。

この手順は先手にとってかなり力のいる指し方になります。

具体的には駒が相手の陣地に入っているわけでなく、大駒もまだそんなに働いていないので手を作るのが結構難しいです。

ソフトの先手優勢になっていますが、後手は中央が手厚いので先手はどのようにして手を繋げていくかになります。

金と桂馬を交換してから▲2六歩が地味な手ですが、△同歩なら▲同角で角が働いてきます。

よって後手は△6四金と桂馬を取りましたが、▲2五歩に後手の角のいく場所が難しいです。

先手の持ち駒に金があるので△3三角や△4二角は▲3二金があります。

また▲2五歩に△1三角は▲1二金△7九角成▲2一金△6九馬▲2六角で、ソフトの評価値+1036で先手優勢。

よって▲2五歩に後手は△5一角と引きます。

次の▲5六歩が筋といえば筋の手で、△同歩は▲6四角がありますので後手は受けに回ります。

▲5六歩以下△5二玉▲5五歩△4三銀▲4六歩△5三歩▲5八飛△6三歩▲4五歩△同銀▲5四歩△同歩▲4四歩△同銀▲6四角△同歩▲4六歩△同銀▲5四飛△5三銀▲4四金で、ソフトの評価値+2353で先手勝勢。

この手順の興味深いのは▲5五歩に△4三銀と引く形で、▲5五歩に何で取っても▲5六歩で後手はもちません。

よって△4三銀と引くのですが、次に▲4六歩と歩をぶつけます。

先手は歩の数が少ないので歩をぶつけて持ち駒を増やしたいのと、角がいまひとつ働いていないので角の活用を目指します。

後手は△5三歩~△6三歩と受けましたが、先手は穴熊で攻め合いにはならないので受けに回るのは仕方なさそうです。

先手は飛車が1筋にいても仕方ないいので、戦いの争点になりそうな5筋に回ります。

数手前までは大駒があまり働いてなかったのですが、これで働く形になりました。

以下先手は歩を使って相手の金駒の配置を変えて、角と金の交換から▲5四飛と飛車を活用する展開でこれで先手勝勢のようです。

大駒と歩の小技で攻めを繋ぐのがうまいです。

一気につぶそうとする攻めでは途切れてしまいますので、少しずつ駒を活用するというのが大事なようです。

細い攻めから大駒を活用するのが参考になった1局でした。

金駒を玉頭戦に据える

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△6二金と引いた局面。ソフトの評価値+1273で先手優勢。

先手が▲6四歩と打った手に6三の金が△6二金と引いた形です。

対局中は少し先手が指しやすいと思っていましたが、形勢はだいぶよかったようです。

駒割りは角香と飛車の交換で先手が少し駒得していますが、後手は6筋に厚みがあり3七の龍も先手陣を睨んでいるので油断できません。

先手は2枚の馬をどのように活用するかとか、後手陣のどこに手をつけるかなどで指し手の方針が分かれるようです。

実戦は▲5三馬△同金▲7五歩△4八角で、ソフトの評価値+491で先手有利。

この手順の▲5三馬は後手から△5六銀という手を気にしていたのですが、▲5三馬△同金▲5六金で大したことがなかったのです。

後手の遊んでいる飛車と働いている馬の交換は後手にとって大きなポイントで、▲7五歩で後手の桂馬が取られる形ですが、この瞬間に△4八角が厳しかったです。

盤上の角が相手の持ち駒になってその角で自陣を攻められるという展開で、これでだいぶ形勢が接近したようです。

7四の桂馬を取り切るまでに時間がかかるのと、後手の龍と角と銀の圧力が結構強いでです。

▲5三馬では▲6三香がありました。

▲6三香△7六銀▲5三馬△同金▲6一香成△同銀▲7五金で、ソフトの評価値+978で先手優勢。

この手順は▲6三香と打つ手ですが、対局中は少し考えていたのですが断念しました。

▲6三香には△同銀▲同歩成△同金で次の手が難しいと思ったからですが、▲7五桂と打って先手十分だったようです。

▲7五桂は次に▲6四歩△6二金引▲5三馬△同金▲6三歩成が狙いです。

▲7五桂の後に▲6四歩という手の組み合わせが浮かばなかったので、これは自分の実力であり仕方ないです。

▲6三香に△同銀は甘いようで△7六銀がソフトの推奨手でした。

△7六銀は先手の玉頭に迫る金駒なので、プレッシャーがかかります。

△7六銀に▲5三馬~▲6一香成で、部分的には飛金と角香の交換で先手が大きく駒得していますが、玉頭に銀がいるのと香車が相手の持ち駒になったので△8四香のような狙いが生じます。

後手の7六の銀が働きのいい駒なので、先手は▲7五金と打って攻め駒を責めるという手になります。

▲7五金以下△6七歩成▲同金△同銀成▲同銀△3三歩▲4一飛△6二金▲6三銀△5七角▲6二銀成△同銀▲6一飛成△7一銀打▲7二歩で、ソフトの評価値+2468で先手勝勢。

この手順は▲7五金は玉頭戦は上部を手厚くするのが基本なので、金駒を中央に打ちます。

後手は6七の地点で清算して△3三歩と先手の馬の利きを止めます。

次に△6六歩とか△5七角とかが回ると先手も忙しいのですが、この瞬間に▲4一飛と打って攻めます。

▲4一飛に△5二角と打てば飛車当たりの受けになりますが、▲4二飛成△4三金▲5一龍ともぐって先手がいいようです。

よって後手は△6二金と1枚金駒を使ったのですが、▲6三銀とその金駒を攻めます。

相手の守り駒である金を攻めるのがよくある手で、金がいるとそれなりに相手玉は堅いのですが、金がいないとだいぶすかすかになるという印象です。

このあたりは先手は相手の守り駒を1枚ずつ攻めて薄くしていく感じです。

このような展開になると7五の金が攻防に利いているので、盤上にあるだけで厚みが違ってきます。

これらの手順をみても先手はどこかで踏み込んで指さないといけないのですが、どのタイミングで踏み込むかが毎回難しいです。

金駒を玉頭戦に据えるのが参考になった1局でした。

自陣に飛車を打たれたときの指し方

上図は、後手横歩取り△2三歩型からの進展で△2九飛と打った局面。ソフトの評価値-109で互角。

後手の横歩取り△2三歩型に先手は飛車と金の交換する展開で、昭和の一時期流行った形です。

最近のプロの先生の将棋ではほとんど見ることはありませんが、横歩取り△2三歩型で△2五角と打った時には▲3二飛成でなく▲3六飛の方が多いイメージです。

飛車と金を交換する形は、先手が駒が前進するとどうしても相手に飛車を打たれる展開になりやすいです。

先手玉はそんなに守りが強くない状態で、後手は2九の飛車と1二の角と持ち駒の銀で先手玉を攻める形で、△1九飛成や△8九飛成など駒を補充する筋もあります。

これらを見ると後手の攻めは相当厳しく感じます。

それに対して先手の攻めは、角金銀と歩が数枚で直接的に後手玉を攻めるというのは難しそうです。

先手は次の指し手が難しいです。

実戦は▲3九金打△1九飛成▲2七角だったのですがそこで変化手順で△2八銀なら、ソフトの評価値-424で後手有利。

この手順は▲3九金打とはじいて、△1九飛成に▲2七角が▲6三角成と▲2八銀で龍を取る狙いで先手がうまく切り返したと思っていたのですが、△2八銀という手がありました。

△2八銀は▲2八銀を防ぐと同時に▲2八同金上なら△8九龍で、ソフトの評価値-499で後手有利。

△8九龍に▲7九金が気になりますが、△6七角成▲同玉△7九龍があります。

△2八銀は難しい手なので簡単には指せませんが、このような手があることを知ったのは今後似たような筋で役立ちそうです。

▲3九金打はソフトの候補手になかった手なので、あまりいい手ではなかったようです。

▲3九金打では▲6六角がありました。ソフトの評価値-293で互角。

この手順は▲6六角と打って次に▲3三角成が狙いですが、ぱっと見はそんなに厳しそうな手には見えません。

▲3三角に対して後手は色々な手がありそうです。

▲6六角に△4九飛成なら▲3三角成△4二銀▲4八金打で、ソフトの評価値+1006で先手優勢。

この手順は△4九飛成▲3三角成に△4二銀とはじいて、馬取りと△3八龍の狙いが後手がうまくやったようでも▲4八金打と受ける手があり、後手は持ち駒の銀を使ったので△5九銀と打てずに後手失敗です。

▲6六角に△8九飛成なら▲7九金打△9九龍▲3三角成△4二銀▲1一馬で、ソフトの評価値+1399で先手優勢。

この手順は△8九飛成には▲7九金打とすれば意外と先手玉はしっかりしており、△9九龍には▲3三角成~▲1一馬で先手優勢です。

やはり後手は▲3三角成を受ける必要があるようです。

▲6六角に△3二飛なら▲3九金打△1九飛成▲3四歩△同角▲2一銀で、ソフトの評価値-70で互角。

この手順は△3二飛と持ち駒の銀は温存して受けに回る手で、これに対しては▲3九金打と受けて△1九飛成に▲3四歩~▲2一銀が鋭いです。

▲2一銀に△3一飛なら▲3二歩△2一飛▲3三角成が王手角取りという狙いです。

まだ形勢は互角ですが、後手の持ち駒に銀がある場合は受けるというのが興味深いです。

▲3三角に△4二玉なら▲3四銀△3二銀▲2三歩で、ソフトの評価値+1022で先手優勢。

この手順は△4二玉と玉で受けるのは先手の攻め駒に近い意味があり、▲3四銀~▲2三歩で先手優勢のようです。

ソフトは▲3三角に△4二銀を推奨していました。

▲3三角△4二銀▲3四歩△同角▲3五銀で、ソフトの評価値+99で互角。

この手順は△4二銀と打つ手で、後手は銀を使った攻めがなくなったので先手は少しほっとします。

△4二銀には▲3四歩の突き捨てから▲3五銀と打つのが筋のようです。

3筋の歩を切ると▲3四歩や▲3九歩のような使い方ができ幅が広がります。

この局面もまだ互角なのでこれからですが、▲3五銀以下△3六歩▲3四銀△3七歩成▲同金△7四桂で、ソフトの評価値-20で互角。

先手は自陣に飛車を打たれた形で、バランスをとって指すのは結構難しいです。

自陣に飛車を打たれたときの指し方が参考になった1局でした。

優勢な局面から踏み込んで指す

上図は、先後逆で横歩取り青野流からの進展で▲4五角と打った局面。ソフトの評価値-972で後手優勢。

駒の損得は銀と桂馬の交換で後手が少し駒得していますが、先手は飛車が成っており▲4五角も攻防の手なので、後手も指し手が結構難しいところです。

ここは後手も色々な指し手が浮かびますが、自玉が薄いので攻めたときはその反動も考えなければいけません。

評価値は後手優勢になっていますが、攻めに回るか受けに回るかで全く違う展開になりここは勝負所のようです。

実戦は▲4五角以下△2六飛▲2七金△2五飛▲3六角で、ソフトの評価値-6で互角。

この手順は△2六飛として後手は受けに回ったのですが、▲2七金とと金を取られ△2五飛に▲3六角としてきました。

後手は2三の金を取られることはなくなって、先手の攻めの脅威から少し緩和されたところはあるのですが、攻めという部分においては貴重なと金がなくなることで5五の角も少し働きが弱くなったのでだいぶ損をしたようです。

お互いに怖いところは少し緩和されたのですが、局面が落ち着くと互角に戻ったようです。

せっかく優勢を築いてきたのに数手で互角に戻るのはもったいないので、こういうところでできるでけ精度のいい手を指したいです。

△2六飛では△3五飛がありました。

△3五飛▲2三角成△3八とで、ソフトの評価値-1082で後手優勢。

この手順は△3五飛と角取りに引く手です。

△3五飛と引くと▲2三角成が厳しいと思って指せなかったのですが、このタイミングで△3八とで金を取ります。

ソフトは攻め合いに出るべきということで自分は方針を間違えたということですが、△3八とで先手の手番なので▲3四桂のような手が気になります。

△3八とに▲3四桂以下の後手失敗例では、△3九と▲4二桂成△同玉▲3四桂△5二玉▲4一馬△6二玉▲5一銀△同金▲7二金△同銀▲5一龍まで詰みです。

この手順は▲3四桂に△3九との攻め合いですが、さすがに▲4二桂成と守りの銀を取られるのは痛く、以下▲3四桂以下後手玉が寄ってしまいます。

△3八との局面は後手優勢だったのが、1手おかしな手を指すと一気に後手負けになるので玉が薄いというのはそれだけリスクのある指し方のようです。

△3八とに▲3四桂なら△4八と▲同玉△3七飛成▲5八玉△2八龍▲6九玉△5一銀で、ソフトの評価値-1758で後手優勢。

この手順は▲3四桂には△4八とがあり、▲同玉に△3七飛成と王手で龍を作れるのが大きいです。

▲5八玉には△2八龍としてこれが王手馬取りになるのですが、▲6九玉に△5一銀と引くのが興味深いです。

自分は手の流れより△2三龍と馬を取るとばかり思っていたのですが、そうではなかったです。

△5一銀と引いて馬取りなので先手の馬が逃げたら、△5八金から先手玉を寄せるということのようです。

なお△5一銀で△2三龍なら▲4二桂成△同玉▲6二銀で、ソフトの評価値-910で後手優勢ですがまだ大変です。

このような最後の△5一銀の手順というのが簡単そうで意外と実戦で見つけるのが難しく、いい局面からどのように形勢を維持しながら相手玉に迫っていくかという手の流れを身につけたいです。

自分の場合はこの部分がかなり劣るので、そこは意識したいと思っています。

よくある将棋の強い人は中終盤が強いということですが、やはりこの部分が強くないといい将棋もすぐに逆転されてしまいます。

優勢な局面から踏み込んで指すのが参考になった1局でした。