上図は、角換わり腰掛銀からの進展で△2四銀とした局面。ソフトの評価値+402で先手有利。
先手が▲2五桂と跳ねた手に3三の銀が△2四銀と逃げた形です。
対局中は少し指しやすいと思っていましたが、ここからどのように指すかが分かりませんでした。
実戦は▲1四歩△同歩▲2二歩△同金▲7四歩△8五桂で、ソフトの評価値+335で先手有利。
この手順は2五に桂馬が跳ねたのでとりあえず▲1四歩と突くところだろうとあまり考えずに指したのですが、これはあまりよくなかったようです。
桂馬が跳ねたら1筋にも歩が使えるようにと思って歩を突き捨てましたが、このような何気ないところでも結構指し手は大事だったようです。
▲1四歩はそこまで悪い手ではなかったようですが、ソフトの候補手に上がっていませんでした。
▲1四歩では▲2二歩がありました。
▲2二歩△同金▲7四歩△8五桂▲7三歩成で、ソフトの評価値+452で先手有利。
この手順は単に▲2二歩と打つ手で、△同玉なら▲6六角と玉のコビンに角を打つのが厳しいです。
▲6六角に適当な合駒がないので△1二玉としますが、▲1三桂成△同玉▲1一角成で、ソフトの評価値+999で先手優勢。
この展開は後手だけ終盤戦みたいな形で先手優勢です。
よって▲2二歩には△同金としますが、そこで▲7四歩と歩を補充して△8五桂と逃げたときに▲7三歩成がうまい手だったようです。
普通は攻めの桂馬と守りの銀を交換するのは守っている方が損なのですが、それ以上に後手の形を崩しているのが大きいようです。
後手は2段目の金が3段目にいくと、後手玉は飛車に近い形なので技がかかりやすくなります。
▲7三歩成以下△7七桂成▲同桂△7三金▲4二歩△同玉▲6六桂で、ソフトの評価値+503で先手有利。
この手順は▲7三歩成に△7七桂成としますが、▲7七同桂と取るのが形のようです。
▲7七同桂では▲7七同金も考えられるところです。
ただし、どちらで取っても将来△7六歩と叩く筋があり、先手はすべての形を受けるということは難しいようです。
ただし、▲7七同金の形で△7六歩に手抜きは難しいので、▲7七同桂としておいた方がしっかりしているようです。
基本的に金は2段目より3段目になる方が守りが弱くなるので、▲7七同桂が手堅いようです。
以下△7三金と手を戻したときの次の手が難しいです。
△7三金に▲4二歩と打つのが何気ない歩ですが、後手も意外と対応が難しいです。
▲4二歩に△同飛は▲5一角があり、▲4二角成や▲7三角成や飛車が逃げれば▲2四角成のような狙いがあります。
また、▲4二歩に△6一飛とすれば後手の飛車が先手陣を直通しますが、▲5二角△7一飛▲4一角成で飛車が取れる形で先手優勢です。
また、▲4二歩に△7一飛とすれば▲6二角が厳しく、後手の飛車の逃げ場所によって、▲7三角成や▲5三角成など楽しみな手が多いです。
よって後手は△4二同玉としますが、そこで▲6六桂と打つのが妙手です。
後手玉を4二の地点におびき寄せたので▲6六桂と打った手が次に▲5四桂とすれば王手になり、5三の地点があけば▲6五桂と跳ねると味がいいです。。
これは8九の桂馬が▲7七桂~▲6五桂と跳ねるようなイメージで、これは後手が銀と桂馬を交換したことで8九の桂馬が攻め駒になります。
▲6六桂に△4三銀と逃げると▲5五角が金の両取りになり、これは後手の玉を4二に移動させた効果です。
▲6六桂以下△7六歩▲5四桂△同歩▲6五桂△7七銀で、ソフトの評価値+449で先手有利。
この手順の△7六歩は手順に▲6五桂と跳ねてお手伝いのように見えますが、後手も△7七銀と打つと迫力があり、このような展開を見ればやはり将棋は簡単ではないです。
7六に攻めの拠点があるのはやはり厳しく、先手をもっても後手をもっても玉が危険な状態で戦うのはある意味やむを得ないようです。
自玉だけ安全で攻めるというケースは、よほどのことがない限りないと思った方がいいようです。
歩を使って相手陣の形を崩すのが参考になった1局でした。