上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△1二飛と6二の飛車が逃げた局面ソフトの評価値+827で先手優勢。
駒割りは金と銀の交換で先手が少し駒得で5三に角が成っていますが、後手から次に△5八歩成とすると飛車を取れる形なので、先手が忙しいと思っていました。
この局面で飛車を逃げるのでは先手が悪いと思っていたので、別の手を考えていましたがあまりいい手が浮かびませんでした。
この局面が先手優勢だったのは全く意外でした。
実戦は△1二飛以下▲6四歩△6二銀▲5四馬△5八歩成▲6三金△7一銀打で、ソフトの評価値+504で先手有利。
この手順は▲6四歩と後手の歩の裏に歩を垂らす手で、これは自然に浮かびますが後手も△6二銀と打って6三の地点を補強します。
それ以後は先手は数の攻めで6三の地点に駒を足しますが、後手も△7一銀打と進んで千日手模様になりそうです。
ソフトの評価値はこの局面も先手がよさそうですが、最初の局面での▲6四歩は2番目の候補手で推奨手は▲2四歩でした。
▲2四歩でソフトの評価値+802で先手優勢。
この局面の▲2四歩は見た時はさっぱり意味が分かりませんでした。
後手玉が8一にいるのに2筋を攻めて効果があるのかと思いましたが、これが意外と厳しいようです。
将棋には浮かびづらい手というのがありますが、この▲2四歩もそのような手だと思います。
▲2四歩に△同歩なら▲2三金△6二飛▲同馬△同金▲4一飛で、ソフトの評価値+1656で先手優勢。
この手順はうまくいきすぎですが、△2四同歩には▲2三金と重たく打つ手があり、△6二飛には飛車を取って▲4一飛が王手馬取りです。
この手順の▲2三金に△5八歩成なら、▲1二金△6八と▲同金引△7一銀打▲6二歩で、ソフトの評価値+1078で先手優勢。
この手順は▲2三金の△5八歩成からお互いに飛車を取り合う展開ですが、▲6八同金引とした形が味がよく、次に▲4一飛の王手馬取りがあります。
△7一銀打はそれを受けた手ですがそれでも▲6二歩の垂らしがあり、次に▲6一歩成が厳しいのですが△6二同銀としても▲同馬△同金▲4一飛で王手馬取りがあります。
▲2四歩に△6二銀なら▲2三歩成△5三銀▲1二と△7一銀打▲2八飛で、ソフトの評価値+704で先手有利。
この手順は△6二銀と馬をはじく手ですが、▲2三歩成があり以下角と飛車の交換になりますが、やはり▲4一飛の狙いがあり△7一銀打と先受けしても▲2八飛と今度は飛車を逃げて先手指せるようです。
意外なところから手を作るのが参考になった1局でした。