張り付いた手で手を繋げる

上図は、先手居飛車穴熊後手三間飛車からの進展で、△3八角成に▲4三角の局面。ソフトの評価値+16で互角。

▲4三角は変化手順で▲2三歩成は、ソフトの評価値-277で互角。

このような局面では▲2三歩成が直感で浮かびますが、▲4三角が浮かびにくい棋風です。

▲4三角に△5一飛とされると次の手が全く見えませんでした。

▲4三角△5一飛▲6一角成△同飛▲5二金で、ソフトの評価値+42で互角。

先手穴熊とはいえ、単純に角と金の交換で▲5二金とする手があるとは思ってもいませんでした。

先手の飛車はあまり働いていない状態で、持ち駒の角を金と交換して金を張り付くというのがすごいです。

先手はゆっくりしていると、後手が△4八馬から△5七歩や飛車を活用する手があるので、このような手順になっていると思います。

▲5二金以下、△8一飛▲5四歩△5五歩▲2三歩成で、ソフトの評価値-68で互角。

▲5二金に△8一飛と逃げて▲5四歩が味がいいです。

▲5三歩成を受ける△5五歩は自然ですが、そこで▲2三歩成と力をためます。

▲2三歩成では▲5三歩成△同銀▲同金△同金▲5五飛もありますが、△5四歩▲2五飛△3三桂で、ソフトの評価値-415で後手有利。

よって、先手は▲2三歩成で少し攻め駒不足ですが、▲2四とから▲3四とから▲4四とのと金の活用を狙います。

その間に後手も△8五桂や△5四金などありますが、先手は穴熊なのでいい勝負です。

▲6一角成から▲5二金と張り付いた手で手を繋げるが参考になった1局でした。

寄せの手筋の▲8四飛

上図は、横歩取り青野流からの進展で先手が▲4五桂と跳ねた手に△4四銀と打って受けた局面。ソフトの評価値-82で互角。

実戦では△4四銀と持ち駒の銀を受けた形になったので、先手だいぶ良くなったと思っていたのですが、評価値は互角とはいえ後手が少し良さそうなのが意外でした。

このあたりは形勢を楽観視していた感じです。

本譜は以下、▲7五角打△6四歩▲同角△6二金▲2二歩△3八龍▲6九玉△2七龍で、ソフトの評価値-284で互角。

▲7五角打は▲5三桂成からの詰めろですが、後手が△6四歩から△6二金とすると後手玉が意外と広く、以下△3八龍から金を取られると互角とはいえ、少し後手が指しやすそうです。

先手の角の働きがいまひとつなのが大きいです。

▲7五角打では2通りの手があったようです。

一つは▲8四飛で、▲8四飛△8二歩▲4四飛△同歩▲5三桂成△5一玉▲1五角で、ソフトの評価値+99963で先手勝勢。

この局面は▲1五角に合い駒が悪いので、先手勝ちです。

これはうまく行きすぎですが、▲8四飛には△4五銀▲8一飛成△3八龍▲6九玉△2七龍で、ソフトの評価値-104で互角。

もう一つは▲8二歩△同銀▲8四飛△8三歩▲4四飛△同歩▲5三桂成△5一玉▲6二角以下詰み。

▲8二歩は△同銀で壁銀にする意味です。

▲6二角以下、△同金▲同成桂△同玉▲5三銀△7二玉▲6二金まで。

これもうまく行きすぎですが、▲8二歩には△4五銀▲8一歩成△6二銀▲8二飛△3八龍▲6九玉△2七龍▲6八玉で、ソフトの評価値-213で互角。

どちらも▲8四飛から▲5三桂成とする筋で、△4五銀が粘り強い手でまだ大変ですが、どちらかを選んだ方が良かったようです。

寄せの手筋の▲8四飛が参考になった1局でした。

棒銀には早めに角道を開ける

上図は、相掛かりからの進展で後手が△8三銀と出た局面。ソフトの評価値+127で互角。

△8三銀という指し方はたまにあるのですが、△6二玉との組み合わせは初めて見ました。

ここからの先手の指し方は少し手が遅れたようです。

本譜は以下、▲3七銀△7四銀▲7六歩△8五銀で、ソフトの評価値+9で互角。

対局中は▲3七銀としてから戦うつもりで指したのですが、後手の陣形をあまり見ていなかったせいか、8筋を受ける形が遅れている感じです。

後手からの△7六銀や△8六歩の対応が結構うるさいです。

▲3七銀では▲7六歩がありました。

▲7六歩△7四銀▲2四歩で、ソフトの評価値+178で互角。

▲7六歩と角道を開けるけるのが自然でした。

後手は△8三銀と出た以上は△7四銀としますが、そこで▲2四歩が少し気が付きにくいです。

△7四銀と後手の飛車の横効きが止まった状態で、▲2四歩とするのが面白いです。

▲2四歩△同歩▲同飛に△2三歩なら▲3四飛で、ソフトの評価値+306で先手有利。

この手順は横歩を取って先手指しやすいです。

▲2四歩△同歩▲同飛△8五銀なら、▲2二角成△同銀▲6六角△2三歩▲1四飛△1三歩▲8四角△1四歩▲7七桂△7六銀▲7四歩△8三歩▲8二飛△7二角▲8一飛成△同角▲7三角成で、ソフトの評価値+669で先手有利。

この手順は少し踏み込みましたが、このような手の流れがあるという感じです。

最初に戻って△8三銀▲7六歩△9四銀なら、▲2二角成△同銀▲7七桂で、ソフトの評価値+227で互角。

棒銀には早めに角道を開けて受けるのがいいと分かった1局でした。

飛車には飛車の▲5八飛

上図は、先手居飛車穴熊後手三間飛車の美濃囲いからの進展で後手が△6四銀と上がった局面。ソフトの評価値+251で先手有利。

先手玉の守りは完成しているので、ここから先手が動いていく局面です。

本譜は以下、▲2四歩△同歩▲同角△2二飛▲2五歩△5五歩▲同歩△5二飛▲5八飛で、ソフトの評価値+13で互角。

先手が▲2四歩から動いてきたときに、後手が△5五歩から捌いてきました。

△5五歩には▲3三角成の方が良かったようでしたが、本譜は▲5五同歩としました。

△5五歩に▲同歩だと△5二飛が手筋で、飛車には飛車の▲5八飛になります。

本譜は以下、△2四角▲同歩△4九角▲2八飛△5六歩で、ソフトの評価値+16でお互角。

5筋に空間があくと後手から△5六歩と垂らしの歩があります。

後手はこれが狙い筋で次は△5七歩成があるので、それを受けないといけないので結構うるさい形です。

5筋に歩を使わせないようにするなら、▲2八飛では▲5九飛がありました。ソフトの評価値±0で互角。

感覚的に▲5九飛だと△3八角成から馬を作られて飛車がいじめられそうで、さらに5筋にと金ができると飛車にあたるような展開がいやだったのでやめたのですが、▲5九飛は意外でした。

▲5九飛△3八角成▲4三角で、ソフトの評価値+70で互角。

▲4三角が意外と厳しいようでいい勝負みたいです。

仕掛けからこのあたりの数手は、結構難易度が高いです。

飛車には飛車の▲5八飛が参考になった1局でした。

一旦受けに回って攻め合い

上図は、先後逆で横歩取り青野流からの進展で先手が▲6五桂と跳ねた局面。ソフトの評価値-616で後手有利。

対局時は飛桂と角での交換での桂得で少し後手が指しやすいかと思っていたのですが、後手歩切れで先手から▲1一角成や▲4三角成の筋があり、結構受けづらい形です。

また先手玉はまだ固くて寄せの形は見えないです。

本譜は以下、△6五同香▲同金△1七龍▲4三角成△同玉▲1一角成で、ソフトの評価値-145で互角。

後手は受ける形が見えなかったので、△6五香から△1七龍と催促したのですが、▲1一角成まで進むと次の▲2一馬が受けづらく後手玉が薄いので後手大変です。

△6五香では△3三桂打があったようです。ソフトの評価値-671で後手有利。

△3三桂打は▲1一角成を受けた手ですが、全く見えていませんでした。

△3三桂打に▲4三角成なら、△4三同玉▲4四金△3二玉▲5三桂成△4六歩▲同歩△1七龍▲4三成桂△4一玉▲4八銀△5六歩▲3三金△5七歩成▲同銀△5六歩で、ソフトの評価値-2704で後手勝勢。

後手は先手の攻めを一旦受けに回るも、△4六歩が先手玉のコビンを狙った急所みたいで、以下△6三香と△1七龍の形を活かした△5六歩が筋です。

△3三桂打に▲3五歩なら、△4六歩▲同歩△1七龍で、ソフトの評価値-1478で後手優勢。

後手は完全に受けに回るのでなく、必要な受けだけすれば△4六歩から△1七龍の活用が急所みたいです。

一旦受けに回って攻め合いが参考になった1局でした。

343戦法への△5二金上

上図は、先後逆で先手が343戦法からの進展で、後手が△5二金上と上がった変化手順。ソフトの評価値-85で互角。

実戦では△5二金上では△3五歩だったのですが、後の展開が思わしくなかったのです。

△5二金上はソフトの指摘する手ですが、どのような変化になるかが気になりました。

私の感覚だと△5二金上は、このタイミングでは少し早くて上がりづらいです。

先手に気になる手が2通りあります。

1つは▲6六銀で、▲6六銀△5四角▲7七飛△4四歩で、ソフトの評価値-94で互角。

△5四角から先手の飛車を狙う筋はよくあるのですが、△4四歩は▲5五銀に△4三角を用意した手です。

後手の筋違い角は少し使いづらいですが、先手の▲7七飛も使いづらいでのいい勝負みたいです。

この後の後手は、△8六歩から交換して1歩持っての戦いになります。

もう1つは▲6八銀で、▲6八銀△8五歩▲7七桂△5四角▲6六飛△7四歩で、ソフトの評価値-147で互角。

▲6八銀から▲7七桂というのは、よく出る形でこれにも△5四角がありそうです。

▲6六飛に△7四歩が少し指しづらいのですが、先手の桂馬の頭を狙った手です。

△7四歩以下、▲同歩△同銀▲6四飛△6三金▲6六飛△7五銀▲6三飛成△同銀▲5五角△9二飛で、ソフトの評価値±0で互角。

この変化は先手が飛車と金の交換で駒損も、先手が低い陣形で飛車の打ち込みに強いのでいい勝負のようです。

早めに△5二金上だと大駒の打ち込みに弱いという感じですが、両方の変化であれば△5二金上は有効みたいです。

343戦法への△5二金上が参考になった1局でした。

△7五飛と打って辛抱

上図は、先後逆で横歩取り青野流からの進展で、先手が▲8三飛と打った局面。ソフトの評価値+247で互角。

対局時は▲8三飛と打たれて後手が少し苦しいかと思っていました。

とりあえず▲8一飛成を受ける1手みたいです。

本譜は以下、△8二歩▲8五飛成△2九飛▲7四龍△1九飛成▲6四龍△6三香で、ソフトの評価値+459で先手有利。

▲8一飛成を受けるのに△7二銀はあるのですが、▲8二飛成△2九飛▲8四歩で、ソフトの評価値+1405で先手優勢。

よって、△8二歩と受けて2筋に飛車を打ってから香車を取ったのですが、その間に先手は▲8五飛成から▲6四龍と歩を補充して後手玉に迫ってきた手に△6三香としました。

本譜は以下、▲4四龍△同歩▲1六角△4三金で、ソフトの評価値-459で後手有利となりましたが、▲4四龍では▲7四龍で、ソフトの評価値+314で先手有利だったようです。

▲7四龍は次に▲6五桂から▲4四角▲5三桂成の筋です。

最初に戻って△8二歩はいいとして、△2九飛では△7五飛の方が良かったようです。ソフトの評価値+268で互角。

△7五飛はソフトの推奨手ですが、なかなか打ちにくい手です。

△7五飛に▲8六龍なら△4五飛で、ソフトの評価値-222で互角。

桂馬を取っても後手は飛車の活用に時間がかかるので、まだこれからの将棋です。

△7五飛に▲7五同龍なら、△7五同歩▲2四飛△3三桂▲同桂成△同角▲2一飛成△7六桂▲2四桂△8八桂成▲同金△4一角で、ソフトの評価値+375で先手有利。

ソフトは△2九飛と打つ筋は考えていないのが興味深く、そのあたりは人間とは全く違う感じです。

人間だと相手の陣地に飛車を打って成って玉に迫れば、勝ち負けは別に納得いく部分はあるのですが、△7五飛打って辛抱するというのがかなり難しく、局面を複雑にするという意味では大事ということかもしれません。

△7五飛と打って辛抱するのが参考になった1局でした。

両王手の筋

上図は、相掛かりからの終盤戦で先手の▲2四銀が▲3三銀成とした手に対して後手が△2八歩と打った局面。ソフトの評価値+518で先手有利。

それまでが先手が苦しい戦いだったのでチャンスがきたかと思っていたのですが、後手も歩が4枚あるので▲2八同飛とすれば△2七歩以下連打の歩で受けることが出来る形です。

本譜は以下、▲2八同飛△2七歩▲同飛△2六歩▲同飛△2五歩▲3四成銀△2六歩▲3五角△4四歩で、ソフトの評価値-873で後手優勢。

▲2八同飛以下この手順になるのは知っていて、この局面が先手有利と思っていたのですが、後手優勢で結構な差が開いていました。

△4四歩に▲4四同角なら、△同角▲同成銀△3九飛▲6九金打△7二玉▲5三桂成△6二歩で、ソフトの評価値-653で後手有利。

先手は▲8八銀が壁になって、△3九飛の王手には▲6九金だと△3五角があるので▲6九金打しかなく、攻め駒不足で先手苦しいです。

▲2八同飛では▲2八同角がありました。ソフトの評価値+413で先手有利。

▲2八同角は全く見えていませんでしたが、これは後手が△6二玉なので成立するみたいです。

▲2八同角に△3三桂なら、▲1七角△2六歩▲同飛△2五桂▲同飛△4四角▲2二飛成△5二銀打▲4四角△同金▲5三角で、ソフトの評価値+834で先手優勢。

手順の△2六歩は先手の飛車と角の効きの片方を止める中合いの手筋ですが、▲2六同飛がきつく、△1三角と逃げても▲2二飛成が飛車と角の両王手で以下後手玉が詰んでしまいます。

▲2八同角に△3三角なら、▲同桂成△同金▲1七角△4四歩▲2二飛成△5二銀打▲3四歩△4三金▲3二角で、ソフトの評価値+532で先手有利。

▲2八同角だったら変化はあったものの、先手有利だったようです。

▲2八同角以下の両王手の筋が参考になった1局でした。

相掛かりでの横歩取り

上図は、先後逆で相掛かりからの進展で先手が▲3七桂と跳ねた局面。ソフトの評価値+2で互角。

先手は▲2五飛の中段飛車で▲3七桂と積極的な駒組みに対して、後手がどのように指すかの局面ですが、本譜の進行はあまり良くなかったようです。

本譜は以下、△7三桂▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲7四飛△6二金▲2四歩で、ソフトの評価値+49で互角。

先手は▲2四歩から▲7四飛と後手の△7四歩をとってから、▲2四歩と合わせてきたのですが、△同歩▲同飛△2三歩▲2五飛で、ソフトの評価値+129で互角。

先手は1歩得になって持ち駒が2歩になったので、以後1筋から手を作る展開になりました。

このあたりは、後手の指し方がおとなしすぎたかもしれません。

▲7四飛としてから▲2四歩と合わせた手に対しては、△8三銀▲7六飛△2四歩で、ソフトの評価値-1で互角ですが、後手の陣形は崩れた形であまり好んで指す指し方ではなさそうです。

△7三桂では△8六歩があったようです。ソフトの評価値-32で互角。

先手が▲3七桂と跳ねた形なので▲3六歩が浮いていることから、△8六歩と合わせる手から△3六飛と歩を取るのが狙いです。

△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩なら、△3六飛で、ソフトの評価値-114で互角。

この変化は互角とはいえ、後手の方が評価値が高いですが、1歩得は少し得と見ているみたいです。

△8六歩▲同歩△同飛▲7六歩なら、△3四歩▲7七桂△7六飛▲8五飛△8四歩▲同飛△8三歩▲8七飛△7三桂で、ソフトの評価値+68で互角。

変化手順の▲7六歩に△同飛なら▲8五飛△8三歩▲8七飛△7三桂で、ソフトの評価値+167で互角。

どの変化も難しいですが、△3六飛とか▲7四飛とか歩を取る狙いの将棋になりそうです。

相掛かりでの横歩取りが参考になった1局でした。

苦しいときは大駒を持ち駒にする

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で、▲4五銀が▲4四銀と進んだのに対して、後手が△3四銀が△3五銀とした局面。ソフトの評価値-580で後手有利。

△3五銀は見えておらず、いい手を指されたと思っていました。

△3五銀に対しては、▲3五同銀か▲3三銀成か不成か迷いましたが、本譜はあまり良くなかったです。

本譜は以下、▲3五同銀△同飛▲4四角△3四飛▲1一角成△4七と▲同金△3八飛成で、ソフトの評価値-568で後手有利。

本譜は飛車を取り合わずに、▲4四角から▲1一角成で香得になったのですが、後手に飛車を成られては苦しいです。

以下、▲5八銀△4九銀から全くだめで、先手の飛車が遊んでいるのが大きいです。

▲3五同銀では▲3三銀不成がありました。

▲3三銀不成△2六銀▲4四銀不成で、ソフトの評価値-703で後手有利。

▲3三銀と飛車を取る手は見えていたのですが、▲3三銀不成から▲4四銀不成は見えていませんでした。

評価値的にはこれも後手有利ですが、先手は飛車を持ち駒にしているので後手が甘い手を指せば互角に持ち込めそうです。

また後手玉が△6二玉と中央に近いので、いつでも▲5三銀成と王手をする筋もあります。

▲4四銀不成に△2八飛なら、▲3七桂△同銀成▲4六角△7三角▲5五歩△3六歩▲2二飛で、ソフトの評価値-203で互角。

▲4六角に△7三角と合わせたら、▲5五歩で角交換を避けて▲3七角を狙うのが面白い筋です。

▲4四銀不成に△3八飛なら、▲3七桂△同銀成▲3二飛△7一玉▲1六角△3九飛成▲2四歩△4二歩▲3一飛成で、ソフトの評価値-587で後手有利。

この後手有利はまだ実戦的には大変です。

苦しいときは大駒を持ち駒にするのが参考になった1局でした。