入玉ルートを塞ぐ寄せ方

上図は、先手居飛車穴熊に対して、後手美濃囲いからの終盤戦で、先手の▲5一龍に対して、後手が△5三金引とした局面。ソフトの評価値+2381で先手勝勢。

こういうところが、ソフトの評価値と実戦感覚の違いで、先手勝勢とは全く思っておらず、切れ負け将棋でもあるので、際どい勝負だと思っていました。

特に気を付けたいのが、後手が入玉する展開で、穴熊なので駒が左側に偏っています。

また、後手から9筋に手がついているので、△9六歩から△9七香などが怖いところです。

本譜は以下、▲6二銀△6三玉▲5三銀成△同金▲4九桂△5六龍▲4八桂で、ソフトの評価値+1504で先手優勢。

金と銀の交換で後手玉を薄くしましたが、この手順は、どうも評価値を見るとあまり良くなかったようです。

▲6二銀では、▲5四歩が良かったようです。ソフトの評価値+2296で先手勝勢。

金取りですが、金で取らせることにより、5四から逃げるルートを塞いでいます。

以下、△5四同金直▲7一龍で、ソフトの評価値+2282で先手勝勢。

この▲7一龍というのが、全く見えにくい手です。

次の狙いは、▲6二銀でなく、▲6一銀の詰めろですが、これに対して後手は、受ける駒がありません。

▲7一龍以下、△5三角▲9一龍△9六歩▲9三龍で、ソフトの評価値+2160で先手勝勢。

手順に9筋の香車を取って自陣を少し安全にしてから、▲9三龍と王手した局面は数手前に比べると、だいぶ安心できる感じがします。

後手玉の入玉ルートを塞いで、9筋の端攻めを緩和することが出来たのが、大きいと思います。

直接的な手でなく、一見緩そうな手でも、狙いを持って指すのが大事と分かった1局でした。

終盤の詰み筋の攻防

上図は、横歩取りから終盤戦で、先手が▲6一角成と金を取った局面。ソフトの評価値+1158で先手優勢。

この局面が、後手玉が詰めろになっているかが、読み切れておらず、△3八とだった、どう指すか迷っていました。

△3八とは詰めろですが、▲6八玉と早逃げしても、 △7六桂▲7七玉△8六銀▲同玉△8五飛の筋で以下詰みです。

以下▲7六玉なら、△7五歩に▲6六玉は△5五角▲5六玉△4五金まで。

△7五歩に▲7七玉も、△5九角▲6八金△7六金▲7八玉△8七飛成▲6九玉△6八角成以下詰みです。

本譜は▲6一角成以下、△4九銀▲同玉△3八とと進んだのですが、△4九銀で△3八との場合。

△3八と▲5五金。

王手をかける筋なら、▲5五金か▲5六飛だと思うのですが、▲5六飛は、△5五合駒なら▲同飛以下詰みですが、△6四玉だと以下際どい筋はありそうですが、詰まないようです。

よって▲5五金に、△同玉▲5六歩△6四玉▲5五金△7五玉▲7六歩。

先手の持ち駒に飛車があるのと、▲6一馬が好位置で詰みの形で見えてきました。

以下、△8五玉▲8六歩△7六玉▲7七金△7五玉▲7六歩△8四玉▲8三飛△9五玉▲9六歩△9四玉▲9五歩まで。

さすがにこれら攻防の手を、秒読みで読み切るのは無理ですが、感覚的にこの筋は大丈夫とか危険とかは、見抜けるようになりたいです。

終盤の攻防が、参考になった1局でした。

対右玉の厚みへの対抗

上図は、角換りから後手が右玉に構えてから、6筋の歩を交換して△6五桂▲6六銀左△6四銀左と出た局面。ソフトの評価値+312で先手有利。

ここでの次の一手がさっぱり浮かばず、▲4八角と打ちました。狙いは、▲6五銀△同銀▲6六歩ですが、あまり良くなかったです。

本譜は、▲4八角△5五歩▲同歩△5七歩で、ソフトの評価値-19で互角。

あっさりと5筋突き捨てて△5七歩を叩かれると、先手の角が使いづらいです。

以下、▲6八金右△4五歩から、いいところなかったです。先手の角が、全く働かない展開になりました。

▲4八角では、▲6九飛の方が良かったです。ソフトの評価値+312で先手有利。

これは次に、▲6五銀△同銀▲6六歩で駒得する狙いです。

ここから後手が動く手で、△3五歩が気になります。

△3五歩▲同歩△3六歩▲6五銀△同銀▲7七桂で、ソフトの評価値+305で先手有利。後手が歩切れになった瞬間に、▲6五銀から▲7七桂が機敏です。

▲6九飛に別の手で、△5五歩も少し気になります。

△5五歩▲同歩△5六歩▲同銀△6六角▲同飛△5七銀で、ソフトの評価値+600で先手有利。

この変化は、先手玉の近くで戦いが起きているので、油断できませんが、強く勝負に出ます。

△5七銀以下、▲6五飛△5八銀成▲6四飛△同銀▲5四角△6三金打▲3二角成で、ソフトの評価値+630で先手有利。

玉の守りが先手は金と銀の計2枚に対して、後手は金1枚と銀2枚の計3枚で後手が固いですが、先手の桂得で後手歩切れです。

先手は、攻めは▲6五歩から▲6四桂の筋で、受けは▲6七金打のような感じです。

実戦的には、先手有利という感じまではしませんが、こういう流れの将棋もあると分かった1局でした。

角換り腰掛銀の▲4五歩

上図は、角換り腰掛銀で先手は▲4八金型に対して、後手は△6三金型で先手が▲4五歩と仕掛けた局面。ソフトの評価値+153で互角。

▲4五歩で▲8八玉は、後手から△6五歩と先に攻められそうなので、▲4五歩しか浮かびませんでした。

実戦は、△4二飛だったのですが、△同歩と取られた後の展開が、よく分かりませんでした。

△4五同歩▲同桂△4四銀▲4六歩で、ソフトの評価値+177で互角。

次は▲2四歩の狙いですが、後手から△4二角が少し気になります。自陣角で受けの手ですが、狙いは、△4三銀から△5四歩から△5五歩のような感じです。

先手は、その後の方針が分かりづらく、少しいやなのですが、後手からすると受け一方の手なので、指しにくいかもしれません。

別の変化で、△4五同歩▲同桂△4二銀▲4四角で、ソフトの評価値+444で先手有利。

次は▲1一角成なので、それを防ぐ△2二角には、▲同角成△同玉▲4四角△3三桂▲3五歩のような感じです。

▲2二角成に△同金もありますが、▲4四歩△4三歩▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲3四飛で、後手歩切れなので少し受けづらそうです。

以下△4一玉には、どこかで▲2四歩△同歩▲2三歩△同金▲3二角を狙う感じです。

別の変化で、▲4五歩△同歩▲同桂△同銀▲同銀△4七歩▲3八金△4六桂▲3七金△4八歩成▲4六金は、ソフトの評価値+955で先手優勢。

この展開は、後手銀損で後手の△6三金が離れており、△4八とはできても、先手玉は▲7九玉と遠いので、先手指せそうです。

消去法で考えると、先手の▲4五歩に対しては、△6五歩と攻め合いにするのが有力そうで、難しい戦いになりそうです。

▲4五歩と仕掛けて、まずまずと分かった1局でした。

右玉に対しての細い攻め

上図は、相掛かりから後手が右玉に構えた展開に対して、先手が9筋からも手を広げて▲9五香と走った局面。ソフトの評価値+44で互角。

先手が攻めている展開ですが、持ち歩が少ないのと、後手の駒も働いており、いい勝負です。

先手はゆっくりしていると、後手に立ち直されてしまいますので、攻めるしかありません。

実戦はここで、△9四歩だったのですが、△9五香を気にしていました。

後手からすると香車の交換は、先手に駒が多くなり複雑になるので、避けた展開だと思います。

先手としては、9筋の守りの香車がいなくなるので、反動が怖いところです。

△9五同香▲同角△9一香が、気になります。

以下、▲8四香△5一飛▲9二歩△9四銀で、ソフトの評価値+1130で先手優勢。

ぱっと見で、攻めが切れているようで、▲8三銀から清算しても攻めが続きません。

しかし、▲7七角が平凡ですがうっかりしやすい手で、△9二香に▲8一銀で、ソフトの評価値+1089で先手優勢。

香車を取れる展開になれば、先手指せるようです。

もう一つ気になる変化で、▲9五角と香車を取った手に対して、△9一飛があります。

△9一飛▲9二歩△同飛▲8四銀△8三香▲9三香で、ソフトの評価値+938で先手優勢。

▲9二歩は手筋で、後手に取らせることで、後手玉と飛車の位置を少し悪くする意味です。

▲8四銀は、先手の角に紐をつけた手ですが、次に▲6四香△同金▲7三銀成や、▲4四飛△同角▲8三銀などを狙っています。

△8三香は、敵に打ちたいところに打てを実行した手ですが、そこで▲9三香が継続手です。

以下、△8二飛▲8三銀成に△同玉なら、▲8四香。

△8三銀成に△同飛なら、▲9二香成で、次に▲8四香を狙います。

こういう細い攻めが、短い時間でも浮かぶようになりたいです。

ゴキゲン中飛車に急戦

上図は、先手居飛車に対して後手ゴキゲン中飛車から5筋の位を取って、▲3七桂に△5三銀が△5四銀と上がった局面。ソフトの評価値+192で互角。

先手は、▲3七桂と跳ねているので、急戦調の戦いとなります。

本譜は以下、▲4五桂△4二角▲5六歩で、ソフトの評価値+135で互角。

先手は、低い陣形から手数をかけず、後手玉がまだ囲いを完成する前に、戦いを起こしました。

狙いは単純ですが、△5六同歩なら▲1一角成です。

先手は、飛車と角と桂で攻めの手が続くかが、焦点になります。

本譜は以下、△4四歩▲5五歩△6五銀▲2四歩△同歩▲2二歩で、ソフトの評価値+251で互角。

△6五銀で△5五同銀なら、▲5三歩があります。

▲2二歩に対して△4五歩なら、▲2一歩成△7六銀に▲6八桂で、銀を追い払います。

▲6八桂を打たないと後手から△9五桂があり、△8七桂成が受かりません。

以下、△6五銀に▲1一とならまずまずです。 ソフトの評価値+326で先手有利。

▲2二歩に△3三桂なら、▲同桂成△同角に▲2一歩成です。ソフトの評価値+144で互角。

▲2一歩成に△1二香なら▲1一と△同角▲2四飛です。ソフトの評価値+603で先手有利。

よって▲2一歩成には別の手を指しますが、▲1一とで香を取れる展開にはなりそうです。

まだ後手玉は見えない展開ですが、右側で少しずつポイントを上げる急戦は、一応手にはなっているようです。

持久戦の将棋は、どうしても格上の相手が力を出しやすいですが、急戦調の将棋は、一発カウンターが入れば、一気に有利になりやすいのが魅力です。

仕掛けは、そこそこ成立していると分かった1局でした。

玉方の実戦詰将棋

上図は、▲6八金上と後手のと金を取った局面。ソフトの評価値-99973で後手勝ち。

ソフトの評価値で999○○と出ると、即詰みがあるということです。

ぱっと見で△8七桂成から清算して、△7五桂の筋で詰みかと思いがちですが、先手の▲5八角と▲8九香と▲7四銀が効いて、簡単ではありません。

後手玉がまだ安全なので、即詰みでなく安全な勝ち方はありそうですが、切れ負け将棋だと変に手数が伸びて、時間切れというのがあるので、詰ませるときは詰ましたいです。

以下の手順は、△7八角成▲同金△8七桂右成▲同金△7八金。

手順の△7八角成に▲同玉は、△8六桂▲同歩△8七銀以下並べ詰み。

△7八金が急所の一手で、ここで△8七桂成▲同玉に△7五桂は、▲7六玉で、△8五金には▲同香で詰みません。

△7八金に▲9八玉は、△8八金打▲同金△同金▲同香△8六桂▲同香△8七銀以下詰みです。

△8八金打も気づきにくいてで、ここで△8七桂成も▲同玉△7五桂▲7六玉△8五金▲同香で詰みません。

△8八金打に▲同香は、△8九銀まで。

よって△7八金には、▲同玉に△5八龍▲同歩△6七銀▲8八玉△8七桂成▲同玉△7八角。

ようやく詰みの形が見えてきました。

以下、▲9八玉△8六桂▲8八玉△8七金▲7九玉△6九金まで。

実戦では、簡単に即詰みは発見できないですが、終盤は切れ味良くまとめたいです。

相掛かりで桂の頭を狙う

上図は、相掛かりの将棋で、後手が△7六飛と横歩をとった局面。ソフトの評価値+341で先手有利。

この局面が、すでに先手有利という評価が少し驚きました。

本譜は以下、▲2五飛△3四歩▲2四歩△8八角成▲同銀△3三桂▲8五飛△8三歩で、ソフトの評価値-225で互角。

相掛かりの将棋では、中段飛車から垂れ歩の筋は、あまり評価していないようです。

中段飛車が使いづらく、垂れ歩も受けられて大したことなく、持ち歩が少なくなっているからと思われます。

また、垂れ歩をすることで、逆に後手の飛車が2筋に回られると、飛車成が受けづらくなりそうです。

駒の使い方が、少し重たいみたいです。

▲2五飛では、▲8二歩が良かったようです。

▲8二歩は桂取りの狙いなので、△9三桂の一手です。

▲8二歩△9三桂▲8一歩成△同銀▲8四飛△8二歩▲9五歩で、ソフトの評価値+192で互角。

▲8一歩成から▲8四飛の手順と、最後の▲9五歩が浮かびませんでした。

▲9四飛と歩を取るのでなく、▲9五歩と後手の桂を狙うのが筋みたいです。

ソフトの評価値+192の互角になっており、当初の評価値+341先手有利から下がっていますが、当初の評価値ほ、ほぼ互角に近い評価だったと思われます。

この局面をどう見るかですが、先手は2歩損していますが、後手の桂を攻めて狙いは分かりやすいです。

後手が△9五同歩なら▲9四歩です。

ほっとけば、▲9四歩△9八歩▲同香△9七歩▲同角で、先手指せそうです。

後手からは、△2七歩や△2八歩など暴れてきますが、後手の△8一銀の形も崩れているので、いい勝負かと思います。

手の流れとしては、後手の桂を狙うというのが分かった1局でした。

玉が薄いときの受け方

上図は、横歩取り△4五角戦法からの進行で、後手が△3二銀と成香を取った局面。ソフトの評価値+991で先手優勢。

角と香の交換で先手駒得ですが、△9七龍と△6五桂が先手玉に迫っているので油断できません。

本譜は以下、▲7五桂でソフトの評価値+391で先手有利。

▲7五桂は良くなかったようで、△7七桂成でソフトの評価値+30で互角。

△7七桂成は△6八成桂からの詰めろで、▲6八同玉なら△6七金以下詰み。▲6八同歩なら△5七龍以下詰み。▲4九玉も△5八金以下詰み。

よって、△7七桂成には▲同馬と取りますが、駒の損得がなくなったので、互角になっていました。

▲7五桂は、攻めるタイミングが早すぎたようです。

▲7五桂では、▲6六角と逃げる手が良かったようです。

△9七龍の横効きが通って、ちょっと先手怖いところがありますが、△4四香や△5四香なら▲5八銀で駒を埋めていきます。

△6七香なら、▲5八金△6九香成▲4八玉です。この変化は先手玉が薄いのですが、以下△6八金なら▲3一飛です。

後手の持ち駒に金があるなら、△4一金とはじくところですが、ありません。

先手玉は薄いとはいえ、右側に広く逃げられるスペースがあるので、まだ耐久性がありそうです。ただ後手に桂が入ると、△2六桂のような筋で、退路が狭くなることもあります。

このように形勢は少しいいですが、玉の薄い将棋を勝ち切るのが、結構難しいです。

そのあたりの感覚を、身につけたいです。

△4五角戦法の対応

上図は、後手が横歩取りに△4五角戦法で△6六銀と打った局面。ソフトの評価値+648で先手有利。

△4五角戦法ならこの局面はよく出ますが、すでに評価値が先手有利なのには驚きました。

△4五角戦法は、横歩取りの中でも激しい戦いとなり、すぐ終盤戦となるので受け間違えると、取り返しのつかない局面になることが多いです。

ここでは、▲3三香成か▲5八金のどちらかと思っていましたが、▲5八金を選択しました。ソフトの評価値+249で互角。

ソフトでは、▲5八金より▲3三香成を推奨しており、ソフトの評価値+648で先手優勢でした。

▲3三香成で、ここまで先手有利というのも知らなかったです。

ただ実戦で▲5八金を選択したので、以下気になる変化は、△3八飛▲4八飛△同飛成▲同玉△6九飛▲3九飛△同飛成▲同銀△6九飛で、ソフトの評価値+369で先手有利。

▲8九桂を取られるとまずいので▲5九飛ですが、以下△6七飛成▲同金左△同銀成▲5六歩△5八成銀▲同飛△2二銀で、ソフトの評価値+288で互角。

このあたりの変化は、知らないと指せないというか、実戦の短い時間での対応は、結構厳しいかもしれないです。

戻って、△6六銀に対して、▲3三香成の変化を理解したほうが、いいかも知れません。

横歩を取ると、△4五角戦法はあるものと思って、もう少し踏み込んで理解しないといけないと分かった1局でした。