遊んでいる大駒を活用する

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△7三歩と打った局面。ソフトの評価値+860で先手優勢。

駒割りは桂馬と香車の交換で、先手は飛車が成っており7四の銀と5五の桂馬が後手玉に迫っているので先手が少し指せているようです。

うまくいけば後手玉が寄りそうな形ですが、ぎりぎりのところで後手玉が耐えているという感じです。

△7三歩は銀取りなので、先手の7四の銀がいる間にうまく攻めを継続したいです。

実戦は△7三歩以下▲6三歩△7一玉▲8三桂△8二玉▲8六角△7五香で、ソフトの評価値+642で先手有利。

この手順は▲6三歩の王手からさらに▲8三桂と王手をして攻める手ですが、対局中は感触がよくなくあまりいい手ではないと思っていました。

王手は追う手という言葉があるように、攻めてはいるのですがかえって後手玉がしっかりしているようにも見られます。

▲8六角に△7五香がうっかりしやすい受けで、7五の香車は歩で取れる形ですが取ると△いつでも△7六桂の筋が生じます。

また7四の銀と8三の桂馬が取られそうな形なので先手も忙しいです。

△7五香にはソフトは▲6六金が推奨手ですが、このタイミングで5七の金を活用するというのは少し見えづらいです。

一気に寄せにいく場面ではないので手をためるのが大事みたいですが、自分の場合はこれがなかなか簡単にできないところが課題です。

最初の局面で▲6三歩はソフトの候補手の1つだったのでそんなに悪い手ではなかったですが、推奨手は▲8六角でした。

△7三歩以下▲8六角で、ソフトの評価値+907で先手優勢。

この手順は遊んでいる角を活用する手で、大駒を活用するのは攻めの幅を広げることができて大きな手です。

▲8六角に△7四歩なら▲6四角△5四馬▲6三歩△同金▲同桂成△同玉▲6一龍△同銀▲9一角成△6四桂▲6六金で、ソフトの評価値+1596で先手優勢。

この手順は▲8六角に△7四歩として▲6四角とお互いの銀を取り合う形ですが、後手の△5四馬の催促にも先手の攻め駒が多く▲6三歩から攻めれば先手が指せているようです。

後手玉が寄り筋までにはいかないですが、着実に先手が形勢をリードしている展開なので、あせって攻めるのでなく確実に優位を拡大する感覚のようです。

先手は龍を渡す形ですが、後手の守りの金との交換なので釣り合いは取れているようです。

▲8六角に△5五銀なら▲6三歩△7一玉▲5五歩△7四歩▲6四桂で、ソフトの評価値+1085で先手優勢。

この手順は△5五銀として桂馬を取る手ですが、この瞬間に▲6三歩の王手があり△7一玉にそこで▲5五歩と手を戻します。

次に▲6二銀が厳しいので△7四歩と銀を取りますが、そこで▲6四桂と両取りに打って先手が指せているようです。

やはりこれらの手順を見ると、遊んでいる大駒を活用すると攻める手が広がるようです。

遊んでいる大駒を活用するのが参考になった1局でした。

端をつめてプレッシャーをかける

上図は、先後逆で居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で▲5七銀と上がった局面。ソフトの評価値+1001で先手優勢。

△7八とに6八の銀が▲5七銀と上がった形です。

駒割りは金と桂馬の交換で先手が駒得で、玉の固さも先手玉の方が固いので先手優勢です。

ここで貴重な手番が後手なので、少しでもくらいついて勝負形に持ち込みたいところです。

対局中は少しでも駒と取りにいきたいと思って△6五桂と打ちました。

実戦は△6五桂以下▲5二と△5七桂不成▲同金△5三角▲同とで、ソフトの評価値+876で先手優勢。

この手順は△6五桂に▲5二とと進んだのですが、後手は△5七桂不成から銀と桂馬の交換で少し後手が駒得になっても、後手が苦しいのは相変わらずです。

△6五桂以下をソフトで調べると、▲5二とでは▲4二金△同金▲6二飛△5七桂不成▲同金△6九飛▲5二とで、ソフトの評価値+1380で先手優勢。

△6五桂と打ったのはソフトの候補手にない手で、あまりよくなかったようです。

自分の感覚としてはこれしか手がないと思っていたのですが、ソフトは5七の銀を攻めても大したことがないという判断のようです。

後手は△6九飛と打って勝負形のように見えても、6三のと金で金駒を取られる形は後手が悪いです。

最後の▲5二とに△4八金と打って▲同金なら△3九銀と打って逆転しますが、▲6九飛成とされてあまされそうです。

横から攻める展開は、あまり後手に勝ち目はなさそうです。

△6五桂では△1五歩がありました。

△1五歩▲4二金△同金▲6二飛△1六歩▲1八歩△6五桂で、ソフトの評価値+953で先手優勢。

この手順は△1五歩と端歩から手をつけます。

先手玉の金駒から攻めても守りが固く一番弱いところは端なので、端にあやをつける感覚です。

△1五歩に▲同歩とする手もありそうですが、△1七歩とされると後手の持ち駒の桂馬が活きそうな形です。

先手は形勢を優勢と思っていれば1筋での戦いは勇気がいります。

よって△1五歩に▲4二金△同金▲6二飛と進みますが、そこで△1六歩と取り込む手が大きいです。

先手は▲1八歩とおだやかに受けますが、そこで△6五桂としてどうかという展開です。

形勢は元の局面が先手優勢だったのでまだ先手がいいですが、1筋を抑えたというのは後手にとってのポイントになります。

1筋が広いと後手玉が広くなるのと、後手の持ち駒がたくさんあるといきなり1七から打ち込む筋があるので、これだけでも先手にプレッシャーがかかりそうです。

先手に2手くらい甘い手を指してもらわないと形勢はつまりませんが、ちょっとでもポイントを上げて逆転の要素を作るのが大事なようです。

端をつめてプレッシャーをかけるのが参考になった1局でした。

後手の早繰銀へのカウンター狙い

上図は、角換わりからの進展で△3一玉とした局面。ソフトの評価値+5で互角。

先手が▲3七桂型から早仕掛けを狙ったのに対して、後手が△7三銀からの早繰銀にした展開です。

自分の感覚だと、▲3七桂型からの早仕掛けを狙うのに△7三銀から早繰銀は結構優秀で、先手からは少し動きにくい感じです。

動く手もあるとは思いますが、後手の△7三銀は意外としっかりしている感じで、あまり調べていないせいもあり、仕掛けを断念することが多いです。

そのようになると▲3七桂から▲4七銀型になりやすいのですが、後手の早繰銀に対して先手の玉の位置は居玉か▲5八玉型になりそうです。

玉を▲6八玉型にすると後手の銀に近くなるので指しづらいです。

玉の位置を居玉か▲5八玉型にすると先手から▲4五歩と攻めた時に玉への反動がきついので、このあたりのバランスが難しいです。

このあたりの感覚は、あまり棋譜並べで理解できていない感じです。

実戦は▲4五歩△同歩▲3五歩△4四銀▲3四歩△4三金右で、ソフトの評価値+22で互角。

この手順は▲4五歩から動いたのですが、△同歩に▲3五歩は手筋とはいえ玉の近くでの戦いになるので、対局中は少し無理筋だと思っていました。

しかし、他の手も浮かばなかったので仕方なく指した感じです。

▲4五歩では▲5六銀がありました。

▲5六銀△7五歩▲同歩△同銀▲4五歩△同歩▲同桂で、ソフトの評価値+135で互角。

この手順は▲5六銀と腰掛銀にしますが、先手の3七の桂頭が薄くなるので少し指しづらいのかと思っていました。

ただし、先手も仕掛けないとすると▲5六銀以外にどのように手を進めるかが難しいです。

▲5六銀は最悪手待ちの意味では将来▲4七銀と引くことができます。

▲5六銀に対して後手は△7五歩から仕掛けるのは狙い筋ですが、先手はどのように対応するかがポイントになります。

早繰銀で後手の銀が5段目にくれば、先手は2筋から継ぎ歩というのが1つの狙い筋ですが、後手の玉が3一にいるのでこの場合はあまり効果がないです。

よって△7五同銀には▲4五歩から仕掛けますが、▲4五歩と仕掛けることができるのは数手前に▲3七桂と跳ねた効果です。

後手が△4五同歩とすれば▲4五同桂と進みますが、ここからの先手の手の作り方が気になります。

▲4五同桂以下△4四銀▲2四歩△同歩▲2三歩で、ソフトの評価値+264で互角。

この手順は▲4五同桂に△4四銀は自然ですが、そこで▲2四歩から▲2三歩の垂れ歩が浮かびにくいです。

先手の攻め駒は飛車と角と桂馬と歩ですが、ぱっと見でこれで手になっているのは気がつきませんでした。

ちょっと攻めが細いと思っていたのですが、後手の7五の銀が浮いているのがこの瞬間に遊び駒になっています。

先手の次の狙いは▲2四飛なので後手は△2三同金とします。

△2三同金以下▲2五歩△同歩▲5三桂成△同金▲2五飛で、ソフトの評価値+356で先手有利。

この手順は△2三同金に▲2五歩が浮かづらい継ぎ歩で△2五同歩なら▲5三桂成から▲2五飛として両取りで先手が少し指せそうです。

両取りは気持ちがいいのですが、圧倒的に先手優勢かというとそこまではなく、先に桂損しているのと▲2五飛に△5五歩と銀取りに打つ手があって、まだ後手も頑張りがきく局面のようです。

後手の早繰銀へのカウンター狙いが参考になった1局でした。

王手を続けて相手玉を寄せる

上図は、後手横歩取り△3三角型からの進展で△5七歩成とした局面。ソフトの評価値+2406で先手勝勢。

後手の5七のと金は先手玉に迫っており、次に△6八飛と打たれる手が厳しいです。

△6八飛▲8七玉△8六金▲同玉△8八飛成▲8七香△8五銀▲同玉△8七龍▲8六桂△8四歩▲9五玉△9四歩▲8四玉△8六龍▲8五金△同龍▲同玉△8四香▲同玉△7四金で詰みです。

なお△8六金に▲9八玉とすれば即詰みはありませんが、△8七歩で受けなしです。

よって先手は厳しい手で後手玉に迫る必要があります。

実戦は▲6一角△4一玉▲5三桂打△同銀▲同桂不成△同馬▲5二銀△同馬▲同角成△同玉▲5五香△4二玉▲5三角△4一玉▲6一飛△5一歩で、ソフトの評価値-3322で後手勝勢。

この手順は後手玉に詰んでもおかしくないと思って▲6一角から迫ったのですが、▲5五香に△4二玉で即詰みはなく際どい筋もありましたが不詰みのようです。

やや駒をたくさん渡す寄せだったので、最後の最後で駒が足らなかったという感じです。

自分にとっては難易度の高い局面だったのですが、ここからの指し方が気になります。

▲6一角では▲6二金△同玉▲8四角がありました。

▲6二金△同玉▲8四角△7三金▲5三銀で、ソフトの評価値+2253で先手勝勢。

この手順の▲6二金ですが、自分の感覚では攻めの拠点の金を清算してすっきりするので全く考えていませんでした。

最終盤の寄せはあまり先入観は関係ないようで、詰将棋などでも全く無筋のような手で寄せることもあり、自分が浮かばない手でもいい手があることは多いです。

▲6二金~▲8四角として▲5三銀が継続手のようです。

王手は追う手という格言がありますが、先手玉は受けに回っても後手にターンが回ってくるので、先手としては攻めを継続させることで活路をみい出すようです。

▲5三銀には△同馬か△7一玉が浮かびますが、まずは△同馬が気になります。

▲5三銀以下△同馬▲同桂成△同玉▲6五桂で、ソフトの評価値+99982で先手勝勢。

この手順は5三の地点で清算して▲6五桂と打つ手ですが、意外にもこの手で後手玉は詰んでいるようです。

意外にもと書いたのは、自分のぱっと見の感覚ではほんとに詰んでるのという感じです。

こういうところが寄せの実力がもろに出ます。

▲6五桂に△4二玉なら▲5三角△4一玉▲5一飛△同玉▲7三角成△4一玉▲5一金まで詰めです。

▲6五桂に△4四玉なら▲5三角△4五玉▲4六飛△5四玉▲5五歩があり、△5五同玉なら▲7三角成と王手で金を取ってから以下即詰みです。

また▲5五歩に△6五玉なら▲6六飛△7四玉▲7五角成△8三玉▲7三角成△同玉▲7四香△8二玉▲8三歩以下即詰みです。

これらのどちらの寄せも、7三の金を取ることができれば後手玉が寄り筋のようです。

▲6五桂に△5二玉なら▲5四香以下即詰みです。

▲6五桂に△5四玉なら▲5五飛があり、△4四玉なら▲5三角△5五玉▲7三角成△6四銀▲4六金△6五玉▲7七桂△5四玉▲6四角成△同歩▲5五香△4四玉▲4五銀まで詰みです。

この手順の▲5五飛に△同玉なら▲7三角成△6四金▲4六金△6五玉▲7七桂△5四玉▲5五香△同金▲同金△5三玉▲5四歩△5二玉▲5一金△4二玉▲5三角で詰みです。

これらの手順は6四の地点に合駒があるのでそれぞれ細かく調べないといけないのですが、▲4六金から▲7七桂と活用すると詰み筋に入っているようです。

このような少し長い手順は、詰将棋をやっていると少しでも頭の中に手順が浮かんできます。

▲5三銀に△7一玉はまた別の機会に書きます。

王手を続けて相手玉を寄せるのが参考になった1局でした。

9筋を攻めさせてから手を作る

上図は、先後逆で居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で▲9八飛と5八の飛車が回った局面。ソフトの評価値-178で互角。

お互いに穴熊に組んでの持久戦ですが、1筋から4筋までは同形なのが特徴的です。

先手は次に▲9五歩から動いてくる狙いですがやや珍しい形で、後手がどのように対応するかという局面です。

対局中は▲9五歩の受け方が分からなかったので、あまり成算はないのですが動いていきました。

実戦は、△8六歩▲同歩△5五歩▲同歩△同銀▲同銀△同角▲5八飛△5四歩で、ソフトの評価値+76で互角。

この手順は先手の▲9五歩の前に後手から動いた展開で、5筋で銀交換をして▲5八飛に△5四歩と落ち着く展開です。

後手は8筋の歩を突き捨てたので1歩損ですが、8筋の歩はそんなに影響ないと思っていました。

後手の次の狙いは△4九銀なのでそれを先手は受ける形ですが、これはこれでいい勝負のようです。

ただし、△8六歩はソフトの4つの候補手には上がっていませんでした。

ソフトは最初の局面ではじっくりと指すような方針だったようです。

△8六歩では△3三銀がありました。

△3三銀▲9五歩△同歩▲同香△9七歩で、ソフトの評価値-214で互角。

この手順の△3三銀は4枚穴熊にする手で価値の高い手ですが、先手の4六の銀と似合いみたいな形なので、動かすことは全く考えてなかったです。

△3三銀と指すなら、先手が▲9五歩としても対抗できるという読みが入ってないと指しづらいです。

△3三銀に▲9五歩から動いてくれば△同歩▲同香に△9七歩が鋭いです。

ここでうっかりしそうなのが、9五の地点には先手の角が利いているので、飛車の利きを止めても△9五香には▲同角の筋があります。

△9七歩以下▲同桂△9五香▲同角△8六歩で、ソフトの評価値-294で互角。

この手順は△9七歩▲同桂から9筋で香車を取り合う展開ですが、最後の△8六歩がいい手のようです。

最初は自分は▲9五同角には△9一香と打って、以下▲5一角成△9七香成で後手有利かと思っていたのですが、▲9九飛と逃げるとソフトの評価値+86で互角。

この手順もうっかりしそうな感じで、△9七香成と桂得になって先手の飛車を抑えて感じのようですが、▲9九飛は軽い形で先手も対抗できるようです。

後手の成香ができても重たい形なので、思ったほどはよくなっていないようです。

▲9五同角には△8六歩と後手の飛車が働くような手が価値が高いようで、▲同歩なら△9一香▲5一角成△8六飛のような感じです。

やはり大駒が働くような形に持っていた方が形勢をリードしやすいようです。

このあたりの8筋と9筋の攻防は、意外と手が広くまだ知らない手筋などがたくさんありそうです。

9筋を攻めさせてから手を作るのが参考になった1局でした。

銀交換の1歩損もいい勝負

上図は、先後逆で相雁木からの進展で▲7七角と上がった局面。ソフトの評価値-11で互角。

先手は▲4六銀型の歩越し銀の形で、どこかのタイミングで▲3五歩の仕掛けが狙い筋です。

▲3五歩の仕掛けは、飛車と銀を使って後手の角を狙う攻め筋です。

後手はいつもこの筋に警戒して駒組みをすることになりますが、受ける側としてみれば早い段階で仕掛けられることも意識していないと対応しにくいです。

先手からの▲3五歩の仕掛けにどのような形で受けるかが、後手として方針の分かれ目です。

後手の角の位置は3三のままで受けるか、△4二角と引く形にするかなどがあります。

また△5四歩型にするか△5四銀右型の腰掛銀にするかなどもありそうです。

また玉の位置は左にもっていくか、居玉のままか、右玉にするかなど考えたらきりがありません。

対局中は6三の銀を5筋と4筋で活用することで、先手の4六の銀にプレッシャーをかけることにしました。

実戦は△5四銀右▲5五歩で、ソフトの評価値+84で互角。

この手順は△5四銀右としますが、先手は▲5五歩と突いてきます。

▲5五歩に△6三銀と引くのは手損になるので、なかなか指せません。

▲5五歩に△4五銀と出るのは▲3七銀で次の▲4六歩の銀取りが受かりません。

よって▲5五歩には△4五歩しかありません。

実戦は▲5五歩以下△4五歩▲5四歩△4六歩▲5三歩成△同金▲4六歩で、ソフトの評価値-19で互角。

この手順は▲5五歩に△4五歩と突く形で、歩越し銀には歩を突いて相手の銀にプレッシャーをかけることが多いです。

本局はお互いに銀を取り合う展開で、最後の▲4六歩の局面の分かれがどうかという形です。

後手の立場からすると、角頭を攻められる展開にはならなかったのでその点は予定通りですが、1歩損しており5三の金がやや浮いています。

先手の立場からすると1歩得ですが、銀を安定的に攻め駒として使う展開にならなかったのでやや予定外という形です。

また4七の地点に空間があいているので、今後の駒組みをどのように進めるかなどがあります。

対局中は後手の指し方がやや無理っぽいのかと思っていたので、この局面の評価値はほとんど互角なのはやや意外でした、

後手は1歩損ですが、金と銀が先手より多く動いて働いているのが影響しているのかもしれません。

ここからは2次的な駒組みになりますが、この局面が互角であれば先手の攻めをいなしたことに満足です。

この局面になることは棋譜並べではほとんどありませんが、ここからの後手の狙い筋の指し方を調べていれば、今後の対局に活きそうです。

銀交換の1歩損もいい勝負だったのが参考になった1局でした。

歩を交換して戦線拡大する

上図は、先後逆で居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で▲6八角と7七の角が引いた局面。ソフトの評価値-118で互角。

お互いに美濃囲いにした展開で、▲6八角は将来▲4六角のような狙いがあります。

対局中は▲4六角の受け方が△8三飛しか見えておらず、受け方だけで言えば△6二金や△5一角はありました。

ただし、あまり見慣れない形なのでこのあたりは手が見えていないという感じです。

今までの感覚であれば、8筋の歩を突き捨てていると▲4六角には△8六飛として▲同飛なら△同角、△8六飛に▲8七歩なら△8三飛で受けるという理解でした。

よって実戦は▲6八角に△8六歩としました。

△8六歩▲同歩△6四歩▲同歩△同角▲6五歩△4二角で、ソフトの評価値+175で互角。

この手順は8筋の歩を突き捨ててから△6四歩として、6筋の歩の交換をする手順です。

後手は1歩損ですが、8筋の歩の突き捨てては大きな影響はないと思っていました。

ただし、後手の7三の桂馬が狙われやすく△4二角には▲4六角△6三金のような展開になりそうです。

△6三金では△8六飛としたいのですが、▲同飛△同角▲8二飛△8七飛という展開は8六の角が負担になって後手が少し指しづらいようです。

そのような意味で、△6三金は守りの金が玉と反対側にいきますが仕方ないようです。

△8六飛からの飛車交換が狙いづらいのであれば、8筋の歩を突いた△8六歩はあまりよくなかったようです。

△8六歩では△4四歩がありました。

△4四歩▲同歩△同銀▲4六角△5一角で、ソフトの評価値-149で互角。

この手順は△4四歩と4筋の歩を交換して△4四同銀とします。

何気ない歩の交換ですが、後手は持ち駒に1歩を確保して△4四銀の形は、将来△4三金とすれば厚みを増します。

△4四同銀に▲4六角とした手に△6二金とするのでは4四の銀とのバランスが悪いので、この場合は△5一角と引いて受けるのが形のようです。

先手の4六の角がこのままでいる限りは、後手の5一の角も7三の地点を守っていないといけないですが、後手は4四の銀がいるので先手の角を追うことができそうです。

接近戦であれば角より銀の方が強いイメージです。

△5一角以下▲4七金△3五銀▲5七角△4六歩▲同金△同銀▲同角△4五金▲7九角△3三角で、ソフトの評価値-179で互角。

この手順は▲4七金と4筋を補強しましたが、△3五銀から△4六歩が玉頭戦にする手で以下金と銀の交換から△4五金と角取りに打ちます。

以下▲7九角に△3三角とのぞいて、後手が1歩損ですが玉の周辺の厚みはあるのでいい勝負のようです。

最初の局面で△4四歩と突くことにより、玉の周辺で戦いが起こる可能性を作るのが大きいです。

戦線拡大することにより手を広げて、7三の地点から別の地点で戦う感覚をつかめば戦術が広がりそうです。

歩を交換して戦線拡大するのが参考になった1局でした。

意外と難しい即詰みの手順

上図は、先後逆で横歩取りからの進展で、7八の成香が△8九成香と桂馬を取った手に4八の玉が▲3九玉と逃げた局面。ソフトの評価値-99973で後手勝勢。

▲3九玉は王手だったので逃げた手ですが、ここでは先手玉に即詰みがありました。

対局中は先手玉の即詰みが見えなかったのと、自玉の後手玉が詰めろになっているのが気づいておらず、実戦は△5七香成としましたが、▲5二銀以下即詰みでした。

▲5二銀以下△5四玉で▲6五金で、以下△同玉▲6六金△7四玉▲7五金打まで詰みです。

この手順は最後の▲7五金打は、6一の馬が8三の地点に利いているのでぴったり詰みです。

早指しで同じ持ち駒の枚数が多いと、相手の駒台にある持ち駒の数を数えたりするのも意外と一苦労なので、詰みか不詰みかは直前にならないと分かっていないことが多いです。

今回の場合は、相手の持ち駒に金が3枚あるのをしっかりと理解できていない感じでした。

相手玉と自玉の詰み筋が見えていないのでは、最終盤の競り合いではなかなか勝てないです。

▲3九玉には△2八角がありました。

△2八角▲同玉△2七歩▲同玉△2六歩で、ソフトの評価値-99978で後手勝勢。

この手順は△2八角が見えるかどうかで全く展開が違ってきます。

△2八角では△2七桂もあり、▲同銀なら△2八角で詰みですが▲2八玉で詰みません。

よって△2八角から詰ましにいくのですが、▲2八同玉に△2七歩と歩を打てるのが大きいです。

先手陣の片美濃で後手の9八の飛車が2段目にいる場合は、2八に駒を打つのが急所のことが多いです

先手は2筋の歩がないので△2七歩と叩けます。

△2七歩には▲同玉しかありませんが、そこで△2六歩が継続手です。

△2六歩では△1五桂や△3五桂の王手も見えますが、両方とも即詰みはありませんので要注意です。

△2六歩に▲2八玉と下段に逃げるのは、△2七銀▲3九玉△3八銀成▲同金△2七桂以下即詰みです。

よって△2六歩には上部に逃げる▲同玉と▲1六玉と▲3六玉があります。

どの手順もそれなりに難しいところはありますが、ここでは一番手数がかかって指しにくい手がある▲3六玉について調べます。

△2六歩以下▲3六玉△3五飛▲2六玉△2五歩で、ソフトの評価値-99982で後手勝勢。

この手順は△2六歩に▲3六玉と斜めに逃げる手で、ここで△3五飛と打つのが少し打ちにくいです。

△3五飛では△3五銀もありそうですが、▲2五玉△2四飛▲1六玉△1五歩▲同玉△2三桂▲1六玉で、△1五歩と打っても打ち歩詰めになりますので、先手玉は詰みません。

よって△3五飛と飛車から使うのが難しく、▲2六玉に△2五歩も指しづらいです。

△2五歩で△2五銀は▲2七玉△1五桂▲2八玉△2七歩▲3九玉で詰みません。

よって△2五歩には▲2七玉と▲1六玉の2通りありますが、手数の長いのは▲1六玉です。

△2五歩以下▲1六玉△2四桂▲2七玉△2六歩▲同玉△1五銀▲2七玉△2五飛▲2六歩△同銀▲2八玉△2七銀成▲3九玉△2八成銀まで詰みです。

この手順は▲2七玉に△2六歩から△1五銀が難しいですが以下即詰みです。

なお、真ん中の図面の△2六歩に▲同玉は△3五銀の筋で、△2六歩に▲1六玉は△1五飛の筋で以下詰みのようです。

△2八角以下の詰まし方は結構難しい手があるので、今後似たような局面が出たら今回の手順を思い出し詰ませるようにしたいです。

意外と難しい即詰みの手順が参考になった1局でした。

先手勝勢も簡単ではなかった

上図は、後手横歩取り△3三角型からの進展で△6五桂と打った局面。ソフトの評価値+2160で先手勝勢。

駒割りは飛金と角香の交換で先手が駒得ですが、後手は5七の地点に駒を集めて玉頭から攻める手です。

ソフトで検証すると、どちらがどの程度優勢なのかが数値で分かるのですが、本局はこの局面が先手勝勢だったのは全く分かっていませんでした。

最終盤で詰みとか不詰みとかは答えがはっきりしやすいのですが、このような局面の詰むとかの前の段階でお互いに危険な筋があるとそれに対応するのが大変です。

特に短い時間の将棋での最終盤を正確に対応するというのは、自分のレベルだとほとんど運のようなところもあり、ソフトの読み筋と自分の考えていたことが全く違っていたというのが圧倒的に多いです。

当然ソフトの方が本筋をついており、参考になることがほとんどです。

△6五桂と打った手に先手は余して勝つのか、攻め合い勝ちで勝つのかが全く分かりません。

これが終盤力ということになりますが、このあたりはソフトの棋力とは雲泥の差です。

実戦は△6五桂以下▲6八金△5七桂成▲同金△同香成▲同玉△5六歩で、ソフトの評価値+1102で先手優勢。

この手順の▲6八金はソフトの候補手になかった手で、5七の地点で清算してから△5六歩と叩く展開です。

終盤なので駒の損得はほとんど関係ありませんが、飛桂と角の交換ででまだ先手の駒得です。

しかし勝勢から優勢に評価値が下がったのであまりいい展開ではなかったようです。

評価値が下がった理由は先手玉が薄くなって△5六歩が叩く筋が生じたことで、局面が複雑になったということだと思います。

後手の6四の馬が手厚く。攻防に利きそうな展開になったのもその要因かもしれません。

まだ先手優勢だったのでそこまで悪い手ではなかったのかもしれませんが、もう少し別の手があったようです。

▲6八金では▲6二金がありました。

▲6二金△同玉▲5三桂成△同玉▲7二飛で、ソフトの評価値+2017で先手勝勢。

この手順の▲6二金は銀を取る手ですが、先手の攻めの拠点をなくすので感覚的に少し指しづらいです。

△6二同玉に▲5三桂成が継続手で、王手で5三の香車をなくすことで先手玉が緩和されます。

△5三同馬なら▲6五飛と桂馬が取られますので△5三同玉としましたが、そこで▲7二飛が後手の攻めを見切った手です。

▲7二飛は詰めろではありませんが、▲3二飛成と金を取れば後手玉は詰めろになります。

この瞬間に△5七桂成から△6五桂の筋が気になります。

▲7二飛以下△5七桂成▲同玉△6五桂▲5八玉△5七歩▲6九玉△5八角▲5九玉△4九角成▲同銀△3七馬▲4八銀打で、ソフトの評価値+6220で先手勝勢。

この手順も決して先手にとっては簡単ではなく、△6五桂に▲5八玉に△5七歩と打たれても詰みはないと分かっていないと指せません。

逃げ場所によっては先手玉に詰みがあるので、正確に指さないとひっくり返されてしまいます。

先手玉に詰みがなければ後手玉は1手1手ということですが、やはり終盤は難しいです。

終盤の感覚としてはどのみち一手違いになるので、安全勝ちを目指そうとせず踏み込んで指さないといけないようです。

先手勝勢も簡単ではなかったのが参考になった1局でした。

駒得より大駒を先に働かせる

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で▲5五歩と突いた手に△5五同銀と歩を取った局面。ソフトの評価値+999で先手優勢。

この局面は先手の香損ですが、龍を作っているので先手としては満足な展開です。

▲6五銀とすれば駒損を回復できて6五の銀が攻めに使えるので味がいいですが、△6六歩と打たれたときの対応が気になっていました。

実戦は△5五同銀以下▲6五銀△6六歩で、ソフトの評価値+860で先手有利。

この手順は▲6五銀として後手の攻めの桂馬を取って駒損を回復する手ですが、ソフトの4つある候補手には上がっていませんでした。

評価値を見る限りではそんなに悪い手ではなさそうですが、△6六歩と攻めの拠点を作られるので先手としても嫌な形です。

実戦は△6六歩に▲5七金と逃げたのですが、この手も推奨手ではなくソフトは▲7七金寄を推奨していました。

対局中は、▲7七金寄と逃げると△8五桂と打たれる手がうるさいと思って指せなかったです。

▲7七金寄としたほうが先手の6八の角が将来▲3五角で出る筋があるので、そちらの方が角の働きがよかったようです。

そのような意味もあり、最初の局面の▲6五同銀では▲3五角がありました。

▲3五角で、ソフトの評価値+942で先手優勢。

この手は▲3五角と大駒を働かせる手です。

▲3五角の次の狙いは▲5四桂ですので、これを後手は受けないといけないです。

▲3五角以下△4四銀▲2四角△9六歩▲2八歩で、ソフトの評価値+975で先手優勢。

この手順の△4四銀は▲5四桂を防ぎながら角取りですが、▲2四角とするのが飛車取りになってうまいです。

後手は受けてもきりがないので△9六歩と攻め合いの形にしますが、そこで▲2八歩が味のいい手です。

▲2八歩に△同馬なら▲4二角成△同金▲2八龍があります。

▲2八歩では▲9八歩と手堅く受けたい気もしますが、ソフトの評価値+660で先手有利。

ちなみに▲2八歩はソフトの候補手には上がっていませんでした。

▲9八歩より▲2八歩の方が手の価値が高いみたいで、後手の馬の働きを弱めた方がいいみたいです。

また別の手順で、▲3五角以下△7三玉▲7五歩△同歩▲6五銀△6六歩▲7四歩△8二玉▲6八金引△7六桂▲同銀△同歩▲6一龍△同銀▲7三金△8一玉▲7五桂で、ソフトの評価値+2177で先手勝勢。

この手順は少し長いですが、△7三玉としたのは実戦的に強い手で、この場合は▲7五歩が急所のようです。

△7五同歩に▲6五銀がうまく△6六歩には▲7四歩と攻めの拠点を作ります。

以下△8二玉▲6八金引に狙いの△7六桂は両取りですが、▲同銀△同歩に▲6一龍から▲7三金が厳しいです。

このような攻めと受けの間合いを身につけると棋力は向上しそうですが、これを短い時間で少しでも精度を高くしたいです。

駒得より先に大駒を働かせるのが参考になった1局でした。