上図は、角換わりからの進展で△6五桂と跳ねた局面。ソフトの評価値+63で互角。
後手が△6五桂と急戦を仕掛けてきましたが、比較的珍しい形です。
急戦はどちらかといえば先手が1手得なので、先手がすることが多いイメージです。
仕掛ける形も先手なら▲3五歩、後手なら△7五歩と3筋とか7筋の突き捨てを入れてから桂馬を跳ねるとか、1筋や9筋の歩の位置の組み合わせや、6九の金や4一の金の位置によって微妙に違ってきます。
本局は▲4八金と上がって5七の地点は補強されていますが、反面△3九銀のような割り打ちの銀が生じるので一長一短です。
△6五桂は銀取りなので銀を逃げる一手になりますが▲6六銀は、ソフトの評価値-202で互角。
この▲6六銀は桂先の銀の受けで自然な一手で手堅いのですが、後手の桂馬が歩で取られない形なので後手は安心します。
安心するというのは後手の指し手に選択肢が増えるので、この場合は先手が面白くないようです。
実戦は△6五桂以下▲8八銀△8六歩▲同歩△同飛▲6六歩△8八飛成▲同金△3九銀で、ソフトの評価値+155で互角。
この手順は▲8八銀から▲6六歩として後手の桂馬を取りにいった手です。
それに対して後手は△8八飛成と大技をかけてきて△3九銀と割り打ちの銀を打ってきました。
対局中はこの手順は全く考えてなく先手がやりそこなったかと思っていましたが、実戦はいい勝負のようです。
実戦は△3九銀以下▲1八飛△4八銀成▲同飛△5七桂成▲同玉△3九角で、ソフトの評価値+1006で先手優勢と進みましたが、△5七桂成で先に△3九角と打てば、ソフトの評価値-338で後手有利。
こうやって見ると後手の仕掛けは有力だったようです。
後手の8筋の歩の交換までは一本道ですが、▲6六歩では▲5八金がありました。ソフトの評価値+132で互角。
この手順の▲5八金は△3九銀の割り打ちの銀を事前に避けた手です。
先手は▲4八金と上がった金を▲5八金としているので1手損になっていますが、後手の仕掛けを封じる意味です。
▲5八金以下△7六飛▲8七金△7五飛▲6六歩△3九角▲1八飛△5七桂成▲同金△7八飛成▲同玉△5七角成▲5九桂で。ソフトの評価値+428で先手有利。
この手順の▲8七金は決していい形ではありませんが、後手の飛車を狙いいく手で、金は接近戦に強いので有力です。
この瞬間に△3九角とうるさい攻めをした手に▲1八飛と耐えてどうかという展開です。
以下△5七桂成▲同金に△7八飛成から△5七角成がうっかりしやすい手順ですが、先手も▲5九桂と耐えて4七の銀を守りつつ△6七金の詰めろを消していい勝負のようです。
後手の攻めも単調なようでも意外と手が広く、先手も対応するのがそれなりに大変です。
角換わりの桂馬を跳ぶ急戦形は少し無理っぽく見えても、実戦的にはいい勝負のようです。
角換わりの△6五桂の急戦の対応が参考になった1局でした。