横歩取りらしい受け方をする

上図は、先後逆で横歩取り△8四飛型からの進展で、▲3一銀と打った局面。ソフトの評価値-2870で後手勝勢。

駒割りは金と香車の交換で後手が駒得しており、先手玉が薄く後手の駒が働いているのでここまでは後手が指せています。

先手の▲3一銀は4二の金に狙いをつけた手で、後手としてはどのように受けるかという局面です。

実戦は▲3一銀以下△3二金▲1二龍△4一金打で、ソフトの評価値-1257で後手優勢。

この受け方は後手は金を1枚投入する受け方ですが先手玉が少し安全になるので、以下▲2三成桂△3一金寄▲3二成桂以下後手がしのげるかという展開になります。

ただこの指し方はどこか後手がこの戦型を指しなれていないような受け方で、守りが薄くなるのが嫌なので1枚金駒を埋めるという普通の感覚です。

元々後手は横歩取りを選択しているので、玉の守り方もただ安全に守るというだけでなく、攻め味を残した守り方を選択した方がこの戦法らしい指し方だったようです。

指し方としては2通りありました。

1つは▲3一銀以下△4一金引▲3三角△5四飛で、ソフトの評価値-3218で後手勝勢。

この手順は△4一金引と受けて金を取られないようにする手で、受けるならこれが形でした。

△4一金引に▲2二龍は△3二金打がありますし、△4一金に▲1二龍は△6一玉と逃げて3一の銀が空振りします。

△4一金引に▲3三角は攻防の角で、どこかで▲5一角成の筋を見せているのでそれなりに後手玉も少し危険ですが、詰めろではないので△5四飛が間に合ってきます。

△5四飛は△5七飛成以下の詰めろなので▲5五香と受けますが、以下△3六銀▲5九玉△5七桂成▲5八歩△4七角成▲6八金△4八金以下詰みです。

先手玉は守り駒が少ないので、後手は攻め駒を増やしていけば寄せきれそうです。

もう1つの指し方は、▲3一銀以下△3二金▲1二龍△2四飛で、ソフトの評価値-2073で後手勝勢。

この指し方は少し難しそうですが、本譜と同じ進行の▲1二龍に△4一金打とせずに△2四飛と飛車を活用する手です。

普通は守りの金を龍で取られて王手されるというのはないのですが、この場合は成立しているようです。

△2四飛以下▲3二龍△6一玉▲8二金△2八飛成▲3八香△3七桂成▲5九玉△3九龍▲6八玉△4八龍▲5八角△同龍▲同玉△4七角成▲6八玉△5九角▲同玉△5八金まで。

この手順は▲8二金として▲7二角の詰めろですが、△2四飛と回った手は△2八飛成以下の詰めろになっています。

手数がかかるので読み切れないと指せないですが、即詰みがあるなら詰ましにいきたいです。

なお▲8二金のところで取った金を▲3九金とか▲3八金とか詰めろを受けても、▲3九金には△2七飛成、▲3八金には△2九飛成がそれぞれ詰めろで、手数はのびますが受けになっておらず後手勝勢です。

横歩取りらしい受け方をするのが参考になった1局でした。

突かれた歩は取る手も考えてみる

上図は、先後逆で居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で▲7四歩と突いた局面。ソフトの評価値-43で互角。

▲7四歩は振り飛車の捌きでどこかででてくる手で、後手としても嫌な手です。

▲7四歩に△同飛なら飛車交換して先手が飛車を先着できるので、後手が指しづらいです。

また△7四同歩は後手の飛車の横利きが消えて、この瞬間の飛車の位置が悪いので全く考えませんでした。

実戦は▲7四歩以下△8六歩▲同飛△同飛△同歩で、ソフトの評価値+150で互角。

この手順の△8六歩は手筋で、▲同歩とばかり思っていたのですがうっかり▲同飛を見落としていて、飛車交換は後手が悪いとすぐに分かったのですが、また△8五歩と打つわけにはいかないので飛車交換になりました。

後手の5四の銀が浮いているので▲5一飛が味がいい手で、後手が少し損をしたようです。

△8六歩では△7四同歩がありました。ソフトの評価値-43で互角。

自分の場合、△7四同歩は全く考えていないというのは、昔棋譜並べをしたとき似たような局面の観戦記に、このような歩を歩で取る手は飛車の働きが悪くなってだめのニュアンスの内容をおぼろけに記憶しているからだと思っています。

将棋はちょっと形が違えば全く展開が違うことがあるので、あくまでも参考程度の感覚での理解よかったのですが、棋力が追いついていかないとすべて鵜呑みにすることがあります。

鵜呑みにして自分で考えていないということです。

△7四歩とすれば先手から気になる手が2つあります。

1つは△7四同歩以下▲5五歩で、ソフトの評価値-95で互角。

この▲5五歩は△同銀とすれば▲同銀△同角▲6五歩と暴れてくる狙いです。

角交換をすれば後手の飛車が8四にいるので▲6六角のような王手飛車の狙いがあるので、後手は嫌な形です。

この手順でも後手が指せると思えば△5五同銀と進みますが、これが危険と判断すると△6三銀と引くことになります。

▲6五歩以下△7七角成▲同桂△3三角で、ソフトの評価値+18で互角。

この手順の最後の△3三角は▲6六角の王手飛車を受けただけでつまらない手にも見えそうですが、以下▲6四歩とすれば△5七歩と打って▲同金なら△7五銀▲5六飛△5五歩で飛車を取りに行く狙いです。

△5七歩に▲4八金寄とすれば△6七銀から△5八歩成として、玉を薄くする狙いです。

もう1つは△7四同歩以下▲2五歩で、ソフトの評価値-59で互角。

この▲2五歩もうるさい手で後手としても嫌な手です。

▲2五歩以下△8六歩で、▲同飛なら△同飛▲同歩△8七飛▲5一飛△8九飛成▲5四飛成△2六桂で、ソフトの評価値+10で互角。

▲2五歩以下△8六歩で、▲同歩なら△5五歩▲4五銀△同銀▲同桂△4四角▲5四歩△1五歩で、ソフトの評価値-73で互角。

先手が▲2五歩と突いてきたら2筋に空間があくので、後手はその手を咎めにいく感覚のようで、このあたりの後手の指し手は懐が深いです。

突かれた歩は取る手も考えてみるのが参考になった1局でした。

角換わり腰掛銀で▲4五同銀で仕掛ける

上図は、角換わり腰掛銀からの進展で△4四歩と突いた局面。ソフトの評価値+196で互角。

久しぶりの角換わり腰掛銀というのもあって、少し間隔があくと指し手の感覚も少し急所を外れているということがあります。

実戦は△4四歩以下▲6九飛△3一玉▲8八玉△2二玉▲7九玉で、ソフトの評価値±0で互角。

この手順の▲6九飛は後手からの△6五歩の仕掛けを防いだ手ですが、先手なのに▲6九飛と自ら受け身の手を指すのはあまり見たことがありません。

後手番なら△4一飛というのはありますが、先手番なので仕掛けられてもいないのに▲6九飛は少しもったいないです。

対局中はあまりいい手ではないと思っていましたが、早指しの場合は考えがまとまらずに指し手を選んでも後悔しそうなので、無難な手を選んでしまいました。

▲6九飛では▲4五歩がありました。

▲4五歩△同歩▲同銀で、ソフトの評価値+168互角。

この手順は▲4五歩と仕掛ける手で後手は△同歩としますが、そこで▲4五同銀と銀で歩を取るのがこの場合の形です。

4五の歩を取るときに▲4五同桂とするか▲4五同銀とするか色々なケースがあるみたいですが、後手玉が△4二玉型の場合は▲4五同銀が多いイメージです。

先手は銀を持ち駒にしたら▲6三銀△同金▲7二角の狙いがあり、以下飛車が逃げれば▲6三角成としたときに後手玉に近いので、銀を持ち駒にした方が効果的という意味だと思います。

ただし、▲6三銀には△同金とはほとんど進まないので、このあたりが将棋の難しいところです。

▲4五同銀以下△同銀▲同桂△4四銀▲6三銀△6一金▲7四銀成で、ソフトの評価値+370で先手有利。

この手順は銀交換をして▲4五同桂に△4四銀と進みますが、そこで狙いの▲6三銀です。

▲6三同銀は△同金なら▲7二角があって気持ちのいい手ですが、後手は△6一金と辛抱します。

後手は△6一金と軽く引く手が結構しっかりしており▲7四銀成として次の狙いは▲7三成銀ですが、この瞬間が少しぬるいのが気になります。

▲7四銀成以下△4七歩▲3八金△4五銀▲6三角△7二角▲7三成銀△6三角▲同成銀で、ソフトの評価値+563で先手有利。

この手順の△4七歩は▲同金なら△3八角が狙いのため取れませんが、▲3八金と玉の反対側に金を移動するのが少し指しにくいです。

▲3八金では▲5八金もあるようで、この場合は△3八角▲3九飛△4八歩成▲3八飛△同と▲7三成銀で、ソフトの評価値+525で先手有利。

この手順の△3八角から△4八歩成は。▲4八同金なら△7四角成と成銀が抜かれますのでうっかりしやすいです。

よって飛車と角の交換から▲7三成銀とする展開です。

難しいですが、どちらの手順も先手は▲7三成銀とすれば先手がまずまずのようです。

角換わり腰掛銀で▲4五同銀で仕掛けるのが参考になった1局でした。

大局観が全く違っていた

上図は、角換わりの相早繰銀からの進展で▲2四歩と歩を取った局面。ソフトの評価値+127で互角。

相早繰銀は先手の方が1手早く攻める形になりそうですが、先手は端歩に2手かけたのに対して後手が1手しかかけていないので後手から先行した形です。

▲2四歩と取り込んだ局面はよくあるのが、先手と後手が入れ替わっている形です。

本局は先手が後手みたいな形になっているので、ここから△2七歩▲同飛△2六歩▲同飛△4四角の筋が気になっていました。

なお実戦は▲2四歩に△2二歩と受けたのでソフトの評価値+122で互角。

自分はこの△2二歩という手をあまり知らなかったので対局中は驚いたのですが、△2二歩は候補手の上位の手でした。

よくある手順として気になっていたのは、▲2四歩以下△2七歩▲同飛△2六歩▲同飛△4四角▲3五歩△9九角成▲2三歩成△同金▲同飛成△2二香で、ソフトの評価値-38で互角。

この手順はこの戦型ではよくあり、最後の△2二香と打った形は龍が取られるので後手が優勢だと思っていました。

後手は飛車と馬が働いており、龍が取れる形になれば飛車の打ち込みもあります。

先手は角と金と銀とそれなりの持ち駒はありますが、後手の馬がよく利いているのであまり攻め筋がありません。

しかし評価値を見るとほとんど互角で、自分の感覚とソフトの評価値はだいぶずれていました。

この局面が互角というのは驚いたのですが、ここからどのように指すのかが全く浮かびませんでした。

△2二香以下▲8三銀△5二飛▲3三龍△同馬で、ソフトの評価値-124で互角。

この手順は▲8三銀に△同飛なら▲3二龍がありますので△5二飛と逃げて以下▲3三龍△同馬と進みます。

この局面の駒割りは金銀と飛香の交換でいい勝負ですが、後手の持ち駒に飛車があるのは大きく感覚的には先手が相当苦しいように見えます。

将棋の難しいところは感覚だけでなく読みが入ってないといけないのですが、つい見た目だけで判断してしまいがちです。

このあたりも自分の大局観がいまひとつで、ここからの先手の手の作り方が気になります。

1例として△3三同馬以下▲3四歩△同馬▲7四銀成△7六飛▲7七歩△7四飛▲8五角△6四飛▲7五金△4四飛▲6三角成で、ソフトの評価値+10で互角。

この手順は▲3四歩から▲7四銀成と遊んでいる銀の活用ですが、△7六飛と打たれると金と銀の両取りになります。

先手はこれをどうやって防ぐのかと思ったら▲7七歩と打って△7四飛とさせるので銀の丸損です。

しかし△7四飛に▲8五角と打つのがうるさく△6四飛は▲6三角の防ぎですが、▲7五金と重たく打って△4四飛に▲6三角成としていい勝負のようです。

このあたりの手の作り方も全く浮かばなかったのですが、飛車を打たせても龍ができる形ではありませんので、駒損にはなりますが逆に狙われやすい駒になります。

何か手をひねり出して勝負形にするというのも大事なようです。

大局観が全く違っていたのが参考になった1局でした。

雁木の序盤の指し方

上図は、先後逆で▲7九角とした局面。ソフトの評価値+46で互角。

相居飛車から後手は雁木に組んでバランスよく指そうという駒組みです。

それに対して先手は矢倉を目指す指し方です。

ここから先手は固めてくるのかと思っていましたが、仕掛けられるのを軽視していました。

やはり自分はこの戦型はまだ指しなれていない感じです。

実戦は、△4一玉▲2六銀△4五歩▲3五歩で、ソフトの評価値+84で互角。

この手順は先手は▲2六銀から▲3五歩という仕掛けから後手の角頭を狙った手で、4三の銀が守っているとはいえ後手としては嫌な筋です。

先手は次に▲3四歩△同銀▲3五銀△同銀▲同角から▲5三角成のような手を狙っています。

実戦は▲5三角成を防ぐ意味で△5二金としましたが、以下▲3四歩△同銀▲3五銀△同銀▲同角で銀交換になりました。ソフトの評価値+111で互角。

将棋の難しいのはこのあたりで、攻めの銀と守りの銀が交換になれば攻めている方が成功しているというのが人間の感覚ですが、ソフトは必ずしもそのようには判断しないようです。

銀を交換しても攻めが軽く、思ったほど効果が上がっていないということかもしれません。

なお▲3五歩に△5二金の受けだと銀交換になりやすいですが、銀交換を避けるなら▲3五歩に△4四角と受けがありました。

△4四角は簡単に▲3五銀と進出させない意味です。

ただしどの展開も、数手前に△7三桂と跳ねた手と△4一玉と寄った手の組み合わせがちぐはぐで、後手が少しまとめづらい感じです。

△4一玉では△5二金がありました。ソフトの評価値+17で互角。

この△5二金は、5三の地点を補強すると同時に、4三の銀がいなくなれば△4三金右として3四の地点を補強する手です。

また後手玉の移動を後回しにしたのは、必ずしも△4一玉と寄った形がいい形とはいえず、場合によっては居玉のまま戦うこともありそうです。

居玉のまま戦う場合は、7三の桂馬がいなければ将来▲7三角の王手飛車のような手があるので、△8一飛と1回引く形になりそうです。

後手玉を右玉にする指し方もありそうで、△6二玉から△8一飛として3筋で駒がぶつかる筋より遠さけている感覚です。

△5二金の方がいいというのは、このように手が広く構えることができるので相手の指し手によって手を決める形にしやすいということです。

△5二金以下▲6七金右△4二玉▲6八角△5四銀右▲7九玉△4五歩で、ソフトの評価値-42で互角。

この手順は先手は矢倉囲いを目指して玉を囲う展開ですが、後手は△4二玉から△5四銀右と上部を手厚くしてから△4五歩と突いて、将来△6五歩と角道を活かして手を作る展開です。

まだ互角ですが、実戦より手厚い指し回しでこちらの方がよさそうです。

雁木の序盤の指し方が参考になった1局でした。

少し指しにくい手で攻めを繋げる

上図は、先後逆で横歩取り△8四飛型からの進展で▲4八銀と上がった局面。ソフトの評価値-542で後手有利。

後手が3七にいた桂頭を狙った手に、桂馬の跳ね違いから▲4八銀と受けた展開です。

手の流れから後手が攻めていますが、持ち駒がなくやや細い攻めでここで手が続くかどうかが大事な局面で後手も忙しいです。

先手がら次に▲7七銀とされると攻めが止まってしまいそうなので後手は動くしかありません。

実戦はここで△2四銀としたのですが、▲3四歩ならソフトの評価値+86で互角。

この手順は△2四銀として歩を取りにいったのですが、軽く▲3四歩とされると▲3三歩成から先手の飛車と桂馬が捌けそうで後手のとってはあまりプラスになっていませんでした。

△2四銀では△8六歩がありました。

△8六歩▲同歩△同飛▲5五角△7六飛▲7七銀で、ソフトの評価値-599で後手有利。

この手順は後手の飛車が働いていないので8筋の歩を交換する手です。

△8六同飛に▲5五角が攻防の手で次に▲1一角成を狙っていますが、△2二歩と受けても▲3三桂成があるので受けになっていません。

△7六飛は先手の歩の裏側に飛車が回る手で、歩で飛車を追い返されることはありませんが、この場合は▲7七銀があります。

▲7七銀は飛車取りですが、ここで後手も攻めが続くかが気になります。

▲7七銀に普通は△7五飛で、以下▲1一角成△3七歩成▲同銀△同桂成▲同金△3六歩で、ソフトの評価値-463で後手有利。

この手順は飛車を逃げて▲1一角成に△3七歩成から攻める展開で、駒割りは銀と桂香で2枚替えですが、△3六歩がうるさく▲3六同金なら△1五銀、△3六歩に▲3八金なら△3七銀のような指し方もありました。

これでも後手はまずまずのようですが、ソフトの推奨手は▲7七銀に△3七歩成でした。

▲7七銀以下△3七歩成▲7六銀△3八と▲5九銀△4四金で、ソフトの評価値-613で後手有利。

この手順は後手は飛車を逃げずに△3七歩成とする手ですが、かなり指しにくい手です。

▲7六銀とされると飛車が取られますが、△3八とで飛車と金の交換になります。

次に△4八とがあるので▲5九銀としますが、そこで△4四金もかなり打ちにくい手です。

△4四金は受けの手ですが、後手から飛車を捨てて攻めていったのにここで持ち駒の金を投入して受けに回るという発想が全く浮かびません。

このような手の流れは人間だったら失敗したという感覚に陥りそうですが、ソフトはそのような感覚はないようです。

△4四金に▲8八角なら△3六歩▲4六歩△3五金で、ソフトの評価値-1352で後手優勢。

この手順はうまくいきすぎですが、▲8八角と逃げた手に△3六歩と歩で攻め駒を増やすのが興味深いです。

ここで▲4六歩と突いて△3七桂成とすれば△3六歩と打った手が重たくなりますが、この場合は△3五金と飛車取りにでて後手が指せるようです。

このような展開だと、4四の金は攻め駒にもなるのがうまいです。

少し指しにくい手で攻めを繋げるのが参考になった1局でした。

と金を捨てて寄せにいく

上図は、先後逆で横歩取り青野流からの進展で▲8一飛と打った局面。ソフトの評価値-2053で後手勝勢。

対局中は後手が少し指しやすいかと思っていましたが、先手から次に▲6二とがくると後手玉もかなり危なくなります。

よってこの間に先手玉を寄せきることができるかという局面です。

6五に桂馬がいて、7七からの先手玉の脱出を防いでいるのが大きいです。

ソフトは後手勝勢になっていますが、対局中はそんなに差が開いているとは思っていませんでした。

実戦は▲8一飛以下△4六桂▲6八玉△4七と▲8七金で、ソフトの評価値-2031で後手勝勢。

この手順は△4六桂は▲同歩なら△4七角から飛車を打って詰みなので▲6八玉と逃げますが、△4七とで左から追っていく展開です。

△4七とは次に△5八飛▲同金△同との詰めろなので▲8七金としました。

対局中はここで寄せが見えず、△5七と▲7八玉△5八桂成としましたが、ソフトの評価値-713で後手有利。

この手の流れはだいぶ甘かったようでした。

▲8七金には△5七と▲7八玉△6七と▲同玉△5七飛として、▲7六玉なら△6七角のような筋で寄っていました。

ただし、最初の局面の△4六桂は候補手の1つでしたが、推奨手は△4七とでした。

△4七と▲同玉△6九角で、ソフトの評価値-2368で後手勝勢。

この手順は△4七とと捨てる手で少し思い切った手です。

本来、と金はできたら相手の金駒と交換して駒得をしたいです。

しかも、と金を捨てるのは攻め駒が不足してもったいないという感覚です。

ただしこの場合は、▲4七同玉と少し不安定な形にしてからの次の△6九角が厳しいようです。

△6九角に先手の対応が難しく、持ち駒の合駒が効かない形です。

△6九角以下▲5八金△4九飛▲4八銀△5五桂▲5六玉△5八角成▲6二と△同金▲4一銀△4二玉▲8二飛成△5七馬▲同銀△4七飛成▲6五玉△7五金▲5五玉△5四歩▲同玉△4四龍まで。

この手順は▲5八金の移動合には△4九飛から△5五桂が厳しく、先手は▲6二とから▲4一銀として迫りますが、△5七馬が盲点で少し難しい詰まし方ですが以下即詰みです。

△6九角以下▲3八玉△3六角成▲6二と△同金▲4一銀△4二玉▲7一飛成△3七飛▲4八玉△4七飛成▲5九玉△4九龍▲同玉△5七桂不成▲3八玉△2六桂▲2九玉△2八歩▲同玉△2七金▲2九玉△2八歩▲同銀△3八金まで。

この手順は▲3八玉と逃げた手に△3六角成が何気に詰めろになっており、先手は▲6二とから迫っても後手玉は詰みません。

よって△4七とで寄せきれそうですがぎりぎりの寄せなので、感覚的に寄せ切れるという自信がないと少し難しそうです。

と金を捨てて寄せにいくのが参考になった1局でした。

評価値が不思議な1局

上図は、角換わりからの終盤戦で△9七歩成とした局面。ソフトの評価値+494で互角。

この△9七歩成は次に△8八金からの詰めろに対して後手玉は不詰みなので、先手は受ける必要があります。

自分が使っているソフトは、このような詰む詰まないの手前のような局面の形勢判断の精度が、たまに少しあらく感じることがあります。

詰みか不詰みかの判断はほぼ正確だと思いますが、その少し手前の段階は手が広く1手で形勢が大きく変わることもあるので、そのあたりを数値化するのが難しいのかもしれません。

それ以外だとパソコンの性能も関係していると思います。

対局は、ここまでは先手がだいぶ指しやすい局面が長く続いていたのですが、ミスが続いて逆転ムードになっていたので、ここから淡泊になってしまいました。

実戦は△9七歩成以下▲5三桂成△同玉▲6四銀△同角▲同角△同玉で、ソフトの評価値-1885で後手優勢。

この手順は全くだめなので、▲5三桂成では別の手で粘る必要がありました。

▲5三桂成では▲7七金打で、ソフトの評価値+454で先手有利。

▲7七金打は詰めろ逃れの手で、後手の角の利きを止めると▲6八玉~▲5七玉のルートで先手玉をつかまえにくくなります。

先手は後手の角を取って▲5四角とか▲6四銀などが狙いですが、ここで後手の手番なのが大きいです。

▲7七金打に△8八銀なら▲6八玉△7七銀成▲同金で、ソフトの評価値+578で先手有利。

この手順は△8八銀は自然な手ですが、▲6八玉△7七銀成▲同金と進むと、先手玉が右側に広い形で簡単には寄りません。

▲7七金打に△同角成なら▲同桂△8八金▲6八玉△7八金▲5七玉で、ソフトの評価値+781で先手有利。

この手順は王手は追う手の典型で、先手玉が▲5七玉としてつかまえにくい形になったので先手が指しやすいです。

▲7七金打には手筋として△5七歩と打つ手があります。

▲7七金打に△5七歩で、ソフトの評価値+371で先手有利。

この△5七歩は▲同金とか▲同角だと▲5七玉とできない意味です。

先手玉が3段目にいかない形になればだいぶ狭い玉になります。

▲5七同金とさせた形は将来△4八金とかが生じますし、▲5七同角は将来△5六桂の王手の筋が生じます。

△5七歩▲8六金△5八歩成で、ソフトの評価値+314で先手有利。

この手順は△5七歩に▲8六金△5八歩成で、ソフトは先手有利になっていますが、実際はこれは後手勝勢のようです。

これが最初に書いた形勢判断の精度のことで、後手玉は不詰みなのに対して先手玉は次に△6九金▲同飛△同と▲同玉△4九飛から手数はかかりますが詰みで、先手は粘って手数をのばすことはできても一手一手なので、私の棋力ではどう見ても後手勝勢のようです。

ソフトの評価値が不思議だったのが参考になった1局でした。

角を先着して盤上を手厚く

上図は、相早繰銀からの進展で△8六同銀とした局面。ソフトの評価値+154で互角。

何気ない局面ですが、先手が端歩に2手費やしたのに対して後手が1手だけ費やしているので後手が1手早く仕掛けた展開です。

後手が△8六同銀として銀交換になりそうな形ですが、先手がどのように受けるかという局面です。

実戦は▲8六同銀△同飛▲8七歩△8二飛で、ソフトの評価値+88で互角。

この展開は攻めの銀と守りの銀の交換で、今までの感覚だと守りの銀を交換している先手の方が少し損というイメージですが、評価値による形勢判断は互角のようです。

将棋の格言と実際の形勢判断は必ずしも一致するとは限らないということを知っていれば、このような展開になっても悲観することはないようです。

ただし、昔の先入観というのがあり、それから新しい感覚を身につけるというのは昔の感覚が邪魔をしてそれなりに時間がかかります。

なお▲8六同銀では▲5五角もありました。

△8六同銀以下▲5五角△7三歩▲8六銀△同飛▲8七歩で、ソフトの評価値+170で互角。

この手順は銀交換をする前に▲5五角と打つ手です。

部分的には飛車取りですが▲5五角と先着することで、後手から△4四角とか△6四角のような筋を先に受けているという意味もあります。

特にこの戦型は、先手の飛車が2六にいると△4四角のような筋があります。

盤上に角を打つことで盤面を少し制圧します。

▲5五角△7三歩と進んでから銀交換をして▲8七歩と打ちます。

▲8七歩以下△7六飛▲7七桂△2五歩▲6五銀で、ソフトの評価値+533で先手有利。

この手順はやや後手の失敗ですが、▲8七歩に△7六飛と横歩を取れば▲7七桂と受けます。

先手は歩切れで▲7七桂としてもあまり意味がないようですが、△2五歩と取れば▲6五銀で飛車が取れる形です。

▲6五銀はややうっかりしやすい手ですが、以下△7五飛に▲6六角で飛車が取れます。

このような展開になると▲5五角や▲7七桂や▲6五銀はいい働きをしています。

やはり後手の飛車が狭いと狙われやすいです。

真ん中の局面図の▲8七歩以下△8二飛▲2四歩△2二歩▲7四歩△6四銀▲同角△同歩▲7三歩成△同桂▲7四歩△7二歩▲7三歩成△同歩で、ソフトの評価値+185で互角。

この手順は△8二飛と引いた場合には、2筋の歩を取り込んでから▲7四歩と後手の飛車のコビンを攻めます。

角のラインを使って飛車のコビンや玉のコビンを攻めることはよくあります。

▲7四歩に△6四銀と先手を取って受けてきたら▲同角から▲7三歩成が強い手です。

角と銀の交換から後手の桂頭を狙う筋です。

△7三桂の形に▲7四歩と打って後手の桂馬が逃げると▲7三歩成とと金ができるのですが、△7二歩と受けるのがたまに出る受け方です。

以下▲7三歩成△同歩で駒割りは角と銀桂の交換で2枚替えですが、先手は歩切れなのでいい勝負のようです。

2枚替えで少し駒得でも歩切れなので実戦はまだ難しいということはよくあり、本局の変化手順もそのような感じです。

角を先着して盤上を手厚くするのが参考になった1局でした。

悪いと思った局面が互角だった

上図は、先後逆で▲5六歩と突いた局面。ソフトの評価値-76で互角。

先手が石田流に組んだ手に、後手が銀冠から5筋に位を取ってそれに▲5六歩と動いてきた局面です。

先手が早い段階で▲7五歩と突いたため、後手は居飛車穴熊にしづらいので銀冠にした形です。

どうもこの後手の戦型は自分が指すと勝率がだいぶ悪いみたいで、だいたい仕掛け以降の局面が悪くなっているのがほとんどです。

局面のとらえ方がいまひとつなのと、あまり深く考えて指していないような感じで、ぱっと見の形だけで形勢判断をしているようです。

実戦は▲5六歩以下△4二金右▲5五歩△同角▲5六銀△3三角で、ソフトの評価値-16で互角。

この手順は▲5六歩に△同歩なら▲同銀△5五歩に▲4五銀とされると少しうるさい形になると思って、△5六同歩は指せませんでした。

位を取れば位の確保という感覚ですが、銀冠に組んでさらに5筋の位を確保するというのはやや欲張りすぎだったようです。

よって▲5六歩には△4二金右として、以下先手の銀が5六にでていい勝負のようです。

最初の局面では▲5六歩には△同歩もありました。

△同歩▲同銀△4二金右で、ソフトの評価値-17で互角。

この手順は、▲5六歩に△同歩と取れば▲同銀に△4二金右として、離れ駒の金にひもをつけるのは自然な手です。

この手順は実戦の進行と似ているので、最初の局面では△4二金右も△5六歩も自然な手だったようです。

この局面のソフトの評価値はほとんど互角ですが、ソフトで検証する前はこの局面は後手がだいぶ悪いという感覚でした。

先手からいつでも攻める場合は▲7四歩や▲6五歩や▲4五銀や▲2五歩などがあり、それに後手が対応するのは大変だという感覚です。

また後手玉と後手の飛車の位置の関係で、いつでも先手から▲6六角のような手があるので、後手が神経を使うというのもあります。

本来はこのような局面は、居飛車目線でなく振り飛車目線でみるとまた別の見方もあると思いますが、自分はほとんど振り飛車は指さないのでそのあたりの感覚は分かりません。

この局面が互角と分かったのは大きな収穫でした。

△4二金右以下▲4五銀△同銀▲同桂△4四角▲5四歩△5二歩で、ソフトの評価値-136で互角。

この手順の▲4五銀は4つあるソフトの候補手にない手で、おそらくあまりいい手ではないのだと思いますが、後手からすると嫌な手の1つです。

▲4五銀に銀交換をさけて△5五銀とすると▲3五歩と玉のコビンを攻められてうるさいので、△4五同銀とします。

以下▲同桂に△4四角に▲5四歩△5二歩の進行ですが、これでも互角のようです。

後手は△5二歩と2段目に歩を打たされてあまりいい形ではないのですが、先手も攻めを継続するとなるとそれなりに難しいようです。

また先手の玉の陣形は上部がやや薄いので、後手はそこを咎めるような展開にしたいです。

具体的には後手も持ち駒が増えてくると、どこかで△2五歩とか△3五歩とか突くだけでも、先手玉は少し嫌な形になります。

後手の陣形が先手の陣形より上回っているは、上部の厚みなのでそれを活かす形にするということです。

悪いと思った局面が互角だったのが参考になった1局でした。