上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△7四同角と桂馬を取った局面。ソフトの評価値+432で先手有利。
対局中はだいぶ先手が苦しいと思っていたのですが、形勢判断が全くできておらず、後から振り返ると全く局面が見えていないという感じです。
駒割りは飛銀桂と角金の交換で先手が少し駒得しています。
後手の攻め駒が先手の穴熊に少し迫っていますが、ここで先手の手番なので少し指せていたようでした。
形勢判断ができてなかったのは、1六にいる飛車の存在が全く見えておらず、先手が駒不足で悪いと思っていたのが原因です。
やはり盤面全体を見る習慣をつけないといけないですが。大駒の飛車の存在を意識してないのでは集中力が足りてないともいえそうです。
実戦は、△7四同角以下▲6六桂△6七と▲7四桂△7八とで、ソフトの評価値-3274で後手勝勢。
この手順もお粗末で▲6六桂は終盤の手ではなかったです。
▲6六桂は両取りですが、△6七とが厳しく▲7四桂としても△7八とが詰めろになっています。
△7八とに▲6二桂成なら△8八金▲同銀△同と▲同玉△8七角成▲同玉△7五桂▲7六玉△6五金▲7七玉△6七金▲8八玉△8七銀▲9九玉△8八銀打まで詰みです。
この手順はばらばらにして△7五桂と打つ形で、後手陣の上部が手厚くて金銀銀があれば寄り筋です。
△7八との局面は後手玉に即詰みはありませんので後手勝勢です。
△7八とに▲8八銀打と受けても△7七と▲同桂△7八銀▲同銀△同角成▲8九銀△8七桂▲同銀△8八銀▲同銀△8九金まで詰みです。
そのような意味で先手は受けても1手1手です。
▲6六桂では▲7五歩がありました
▲7五歩△同銀▲7六歩で、ソフトの評価値+406で互角。
この手順は▲7五歩と叩く手で、▲6六桂がだめなら浮かびそうな手ではあります。
後手玉は角の頭が狙われやすい形なので▲7五歩は浮かびやすいですが、△同銀に▲7六歩が興味深いです。
▲7六歩は少しスピードが遅いようでも、実戦と同じように進めば違いが分かってきます。
▲7五歩に△6七となら▲7五歩△7八と▲7四歩で、ソフトの評価値+3190で先手勝勢。
この手順は実戦と同じような一直線の展開ですが、最後の▲7四歩と角を取った手が王手になります。
この展開の先手勝勢というのは、後手玉に迫る手があり、場合によっては先手の詰めろを上部で手厚くしながら受けることが可能ということみたいです。
具体的には最後の▲7四歩と王手した場面の先手の持ち駒は角銀銀桂があるので、後手玉の逃げ方によっては即詰みの筋があり、また即詰みのない逃げ方をしても先手は後手が△8八金からばらばらにして△7五桂と打っても詰まない形にしておけばいいとのことのようです。
これは言葉でいうのは簡単ですが、それを実戦で再現するのはかなり難しいです。
感覚的に先手は上部を手厚くしておけば、何とかなるという感覚が大事ということのようで、これが実戦の▲6六桂と変化手順の▲7五歩から▲7六歩の違いです。
そのような意味で、変化手順の▲7六歩に対しては後手は1直線のような手順を選択せず別の手を指すことになり、それでまた1局の将棋のようです。
対抗形の寄せ合いでは上部を手厚くするのが参考になった1局でした。