最終盤で厳しく寄せる

上図は、横歩取り△3三角型からの進展で▲6一馬と金を取った手に△4一玉と逃げた局面。ソフトの評価値+3801で先手勝勢。

先手が駒得しており攻めており、ここで先手の手番なのでうまく寄せ切りたい形です。

ただし後手玉に即詰みはなく、次に後手から△4九馬があるので先手は方針をたてないといけないです。

ここまで先手が攻めて形勢が良かったので、このタイミングで受けに回る手は浮かびませんでした。

実戦は▲2二歩△3二玉▲2一歩成△同玉で、ソフトの評価値+1402で先手優勢。

この手順の▲2二歩は△同銀なら2筋が壁になって寄せやすくなるのですが、後手は△3二玉から粘る形でまた戦いが振り出しに戻った感じです。

▲2二歩はぬるい手だと対局中は分かっていましたが、他の手が見えませんでした。

終盤でぬるい手を指すと将棋が長引いて逆転する可能性が高くなります。

▲2二歩では2通りの手がありました。

1つは▲2二歩では▲5一飛がありました。

▲5一飛△3二玉▲5二成桂で、ソフトの評価値+2464で先手勝勢。

この手順の▲5一飛は対局中は浮かんだのですが、△3二玉に▲5二成桂が詰めろになっているか分からなかったので指せませんでした。

この▲5二成桂は詰めろだったようで、▲5二成桂に△4九馬なら▲4二成桂△同銀▲4四桂△同歩▲4三金△同銀▲同馬△同玉▲3二銀△4二玉▲4一金△3二玉▲5二飛成まで詰みです。

この手順は▲4四桂と捨てる手がうまい手で、△同歩とさせることで後で4三の地点に駒を打つことができます。

また▲3二銀の捨て駒や▲4一金と下から金を打つ手もそれなりに難しく、早指しではとても読み切れないです。

もう1つは▲2二歩では▲7一とがありました。

▲7一と△4九馬▲5二成桂△同金▲同馬△同玉▲6二金で、ソフトの評価値+99986で先手勝勢。

この手順の▲7一とは銀を取る手ですが、この手が以下詰めろになっていることが分っていないと指しづらいです。

▲7一とに△4九馬としますが、そこで▲5二成桂からばらばらにして▲6二金が鋭いです。

玉を6筋に近づけると7一のと金が攻めに役立つということですが、金を捨てるのは勇気がいります。

▲6二金以下△同玉▲6一飛△5三玉▲4五桂△5四玉▲6五銀△5五玉▲5六金△4四玉▲6四飛成まで詰みです。

この手順は▲6一飛から▲4五桂とすると後手玉の詰み筋が見えてくるので、この形になれば考えやすいです。

なお▲6二金では▲6一銀から追っても詰みですが、後手玉が上部に上がるのと後手の4九の馬が受けに利いてくる可能性もあるので、少し考えづらいです。

終盤の2つの手を調べましたが、どちらも難しい手を含んでいるので寄せにいかず▲2二歩では▲3八銀と受けに回る手もありそうです。

ただしこの手は戦いが長引くので、実戦では攻める手から考えたいです。

どの手を選択しても最後に寄せ切るまではそれなりに難しい手を含んでいるので、やはり将棋は難しいです。

最終盤で厳しく寄せるのが参考になった1局でした。

桂馬を取って▲4四桂と急所に打つ

上図は、角換わり腰掛銀からの進展で△6二飛と歩を取った局面。ソフトの評価値+366で先手有利。

△6二飛と歩を取る手では△6二金と金の方で歩を取る手の方が有力で、△6二飛はやや甘い手だったようです。

ただし相手が甘い手を指してもその後こちらも甘い手を指せば、前の甘い手が活きてくるということがあります。

本局もそんな感じでここから先手の指し方がよくなかったです。

実戦は△6二飛以下▲3五歩△7五歩▲2四歩△同歩▲3四歩△7六歩で、ソフトの評価値-377で後手有利。

この手順の▲3五歩は攻めるならこの筋で、△同歩としてくれたら将来▲3四香のような手が生じます。

▲3五歩~▲3四歩と取り込むのはそれなりに大きいのですが、後手は△7五歩~△7六歩として銀当たりになりました。

この局面がすでに後手がいいようで、後手は歩の数が多いのと持ち駒に角と桂馬があり、7三の桂馬もそれなりに働いて先手の馬の利きを止めているのが大きいようです。

△7六歩には▲同銀としても▲6六銀と逃げても味が悪い形です。

この攻め合いの選択は後手の方に分があったようです。

▲3五歩では▲6四香がありました。

▲6四香△同金▲7三馬△6三金▲6二馬△同金▲4四桂で、ソフトの評価値+353で先手有利。

この手順の▲6四香は部分的にはある手で、△同金に▲7三馬を馬を活用することができます。

持ち駒の香車と盤上にある桂馬の交換は微妙ですが、角香と飛桂の交換で先手が少し駒得です。

持ち駒の桂馬を▲4四桂と打つのが急所です。

4四の地点に空間があいているとこのような手が生じます。

▲4四桂は金取りですが、相手玉の守り駒がなく先手の持ち駒に金があれば▲3二金で詰みで、3二の金を2三にさそうような攻めのイメージです。

4四の桂馬を起点にして攻めるということです。

ただし現状は、持ち駒に飛車があるとはいえ後手陣もそれなりにしっかりしており▲4四桂はやや攻めが細いようにも見えますが、この後の展開が気になります。

▲4四桂に△2二金なら▲8二飛△6一歩▲5二桂成で、ソフトの評価値+954で先手優勢。

この手順は△2二金と逃げると▲8二飛と平凡に金取りに打つのがうまい手で、△6一歩に継続手がなさそうにみえますが、▲5二桂成で先手優勢です。

なおこの手順の△6一歩で△7三角とはじく手は、▲6二飛成△同角▲5二桂成で、ソフトの評価値+703で先手有利。

この手順は△7三角には飛車を切って▲5二桂成とすれば▲6二成桂と▲4一金の狙いで先手有利です。

4四の桂馬は3二の地点だけでなく5二の地点にも利いているのが盲点です。

▲4四桂に△3三金なら▲2四歩△同歩▲4五銀△5五角▲2二歩△同玉▲4一飛△3一角▲5四銀△同歩▲5一銀で、ソフトの評価値+615でで先手有利。

この手順は△3三金として桂馬を取る狙いですが、2筋を突き捨ててから▲4五銀と歩を取って攻めの圧力を加えるのがいいようです。

△5五角は攻防の1手ですが、▲2二歩△同玉を利かしてから▲4一飛が厳しいようです。

このような手順をみていると、強い将棋というのは攻めるときの手の流れがきれいというか筋に入っているという感じです。

桂馬を取って▲4四桂と急所に打つのが参考になった1局でした。

7筋の歩の交換で様子を見る

上図は、先後逆で角交換振り飛車からの進展で▲8六歩と打った局面。ソフトの評価値-240で互角。

先手は力戦形の構えで、次に▲7七金~▲8八飛~▲8六歩として歩を伸ばして8筋から逆襲してくる筋があります。

後手はあまりゆっくりしているとこの手順があるので、どのような構えで対抗するかの方針を立てる必要があります。

実戦は▲8六歩以下△5四銀▲7七金△4四角▲8五歩△6五歩で、ソフトの評価値-91で互角。

この手順は△5四銀~△4四角~△6五歩と6筋から動いていく手で、部分的に似たような指し方をみたことがあったので試してみました。

△6五歩に▲同歩なら△7七角成▲同桂△8六金のような狙いです。

そのため△6五歩には▲8八飛としたのですが、そこで△8三歩がやや弱気だったようでここは△6六歩▲8四歩△6五銀とする手はあったようです。

△6五銀に▲同銀なら△6七歩成▲同金△8八角成のような狙いですが、現実的には8筋の突破も見えているので後手としても嫌な展開です。

最初の局面で△5四銀はソフトの候補手になく、推奨手は△7四歩でした。

△7四歩▲同歩△同銀で、ソフトの評価値-189で互角、

この手順は7筋の歩を交換する手で、自分の感覚としては全く浮かばない指し方でした。

7筋の歩を交換しても飛車のコビンがあくとかえってうるさいとか、△7四同銀に▲7五歩△6三銀▲6五歩のような対応を考えると、7筋の歩の交換が得になっているかがよく分かってないからです。

7筋の歩の交換は後手の持ち駒に歩が入るということと、8一の桂馬が将来△7三桂と活用できる展開も可能になります。

また△7四同銀に▲7五歩△6三銀▲6五歩は△同歩▲同銀△6七歩があり、▲同飛なら△7八角があるので、8七の金の形では先手は6筋からは動きにくいようです。

よって先手は局面を8七の金を立て直して動くことを考えます。

△7四同銀以下▲7五歩△6三銀▲7七金で、ソフトの評価値-266で互角、

この手順は▲7五歩から▲7七金として局面を落ち着かせて、▲6五歩や▲8五歩~▲8八飛と8筋から逆襲する2つの狙いです。

後手はそれまでに玉の整備をした方がいいか、8一の桂馬の活用を考えた方がいいか、それとも別の構想があるのかが気になります。

▲7七金以下△2二玉▲6五歩△同歩▲同銀△6七歩▲同飛△8八角▲5五角△9二飛▲7四歩△7二銀で、ソフトの評価値-559で後手有利、

この手順はやや意外だったのですが、△2二玉と4一の金が離れた瞬間に▲6五歩から動く筋で、△同歩▲同銀に△6七歩が細かく▲同飛に△8八角で勝負します。

香車と桂馬が取りきれれば大満足ですが、先手も▲5五角から▲7四歩と伸ばして攻めに圧力をかけてきます。

最後の△7二銀が銀を引いて受けるので指しづらいのですが、先手から攻め手がなければ△9九角成から駒得して後手有利のようです。

▲7七金以下△7三桂▲5六角△8四飛▲8八飛で、ソフトの評価値-27で互角。

この手順は先手は桂頭を狙う形で、△8四飛と守りますが▲8八飛から▲8五歩がうるさいです。

▲7七金以下△1五歩▲同歩△1七歩▲同香△1八歩▲2八角△2四銀▲1四歩△4二金直▲3六歩△3五歩で、ソフトの評価値-94で互角。

この手順は△1五歩と弱い1筋から動く手で、△1八歩に▲2八玉なら△1九歩成▲同玉△4五角があります。

よって▲2八角と見慣れない受け方ですが、△2四銀から△3五歩と動いていい勝負のようです。

7筋の歩の交換で様子を見るのが参考になった1局でした。

桂馬を単純に角取りと打って攻める

上図は、先後逆で相掛かりからの進展で▲1五歩と突いた局面。ソフトの評価値-746で後手有利。

駒割りは飛車と金桂の交換で2枚替えで後手が駒得ですが、気分的には相手に飛車を渡して持ち駒にあるので、飛車の打ち込みのプレッシャーはあります。

そうならないような展開を後手が目指したいのですが、どのように手を作っていくかという局面です。

最近は序盤のちょっとした手の組み合わせの内容より、少し形勢がいい局面からどのように手を繋いでいくかというのに興味があって、そのような題材が多いです。

強い人やソフトの内容の将棋を見ていると手の流れが1本道というか狙いがはっきりして、将棋というのはこのように指すのかと思うことが多いです。

自分がその域に達するのはまず無理ですが、少しでもいいところを吸収して棋力を向上させたいです。

実戦は△3五角▲8六飛△4五桂▲4六歩△5七桂成で、ソフトの評価値-521で後手有利。

この手順は先手の浮き飛車を角で狙うのと同時に、5七の地点を桂馬で攻めて手を繋げる展開です。

△5七桂成に▲同玉なら△6五桂で王手角取りなのでまずまずかと思っていたのですが、角と桂馬2枚の交換なのでまだまだ将棋は難しいです。

△3五角では△6五桂がありました。

△6五桂▲6六角△4五桂▲5八金△3九角で、ソフトの評価値-757で後手有利。

この手順の△6五桂は持ち駒の桂馬を角取りに打つやや単調な手ですが、この局面では厳しかったようです。

自分の感覚だと6五に桂馬を打つなら遊んでいる8一の桂馬を活用して6五に桂馬を跳ねることを考えるのですが、さすがに手数がかかるのでその間に先手から動いてそのような展開にはならないです。

後手は2枚の桂馬を5七の地点に集めて中央から攻めるのに対して、先手も5七の地点を受ける形になります。

▲5八金に△3九角と下から角を打つのが気がつきにくい手で、自分の場合は△3五角のような手が浮かびますが、それは▲5六飛ではっきりしません。

△3九角以下▲5六飛△4八金▲同金△同角成▲5八飛△5七桂左成▲同角△5八馬▲同玉△5七桂成▲同飛△3九角で、ソフトの評価値-1447で後手優勢。

この手順は△3九角に▲5六飛と受けて、5七の地点は攻めが3で守りが4で守りの方が1枚多く利いています。

先手から攻めると5七の地点は攻めが2で守りが4なので、意外と簡単ではなさそうに見えます。

後手は△4八金と金を張り付くのがうまい手で、清算して▲5八飛は△3八馬を防いだ手ですが、そこで△5七桂左成以下攻めるのがうまいです。

後手は持ち駒に飛車と角と金があって、先手の持ち駒に飛車がないのは気分的にだいぶ楽になります。

後手は玉頭の守りを意識しながら△3九角と飛車を攻めて、まずまずのようです。

△3九角▲4八桂△7九飛▲8九金△5九金▲6八玉△8九飛成▲同銀△4八角成で、ソフトの評価値-2327で後手勝勢。

この手順は後手は△7九飛から強く攻めて飛車を渡しますが、金と桂馬を取って先手玉に迫っているので後手がうまく指しているようです。

桂馬を単純に角取りと打って攻めるのが参考になった1局でした。

と金作りを目指す

上図は、令和元年以前の対局から、居飛車対振り飛車の相穴熊からの進展で、2四の地点で飛車交換になって△2四同銀とした局面。ソフトの評価値+1070で先手優勢。

対局中は、△2四同銀で後手の銀が浮いているので、先手が少し指しやすいとは思っていましたが、ここまで評価値が離れているとは思っていませんでした。

5七の銀と2四の銀の働きの違いが大きいと思います。

本譜は数手前に▲4三角と打っていたので、実戦ではほとんど考えずに▲2一角成としたのですが、この手は少し甘かったようです。

▲2一角成△2八飛▲1七桂で、ソフトの評価値+795で先手有利。

▲2一角成と桂馬を取ったのですが、少し馬が玉と反対側の方に行きました。

以下△2八飛に▲1七桂は味がいい桂馬の逃げですが、実戦的にはまだ大変です。

▲2一角成では▲5四歩がありました。ソフトの評価値+1081で先手優勢。

▲2一角成としてから▲5四歩は考えていたのですが、このタイミングでの▲5四歩は気が付かなかったです。

▲5四歩に△同歩なら▲5三歩でと金を作る狙いです。

▲5三歩で▲5四同角成もありますが少しぬるいようで、△3三角とされ△5九飛~△7九飛成の筋を見せられると、先手もプレッシャーがかかります。

▲5四歩△同歩▲5三歩に△2八飛なら、▲5二歩成△2五角▲同角成△同銀▲4一飛△3四角▲1七桂△5二角▲2一飛成で、ソフトの評価値+1286で先手優勢。

この展開は、と金ができて後手の金気の駒と交換できそうな感じですが、後手も△2五角から▲6一とを受ける展開に粘ります。

このような粘りは、先手からしても結構いやな感じです。

以下と金は取られましたが、▲2一飛成と桂馬を取った局面は、後手の5二の角と2五の銀が重たいので先手優勢です。

戻って▲5四歩に△6五角は▲2一角成で、ソフトの評価値+1102で先手優勢。

この場合は、後手は角を使ってくれたので、▲2一角成が有効のようです。

と金作りを目指す▲5四歩が参考になった1局でした。

最短の寄せには難しい手がある

上図は、横歩取り△3三角型からの進展で△5二歩と打った局面。ソフトの評価値+2664で先手勝勢。

先手は成り駒を2つ作って後手の玉頭に迫っているので先手勝勢ですが、どうやって後手玉を寄せるかという場面です。

色々な筋が見えると読み筋がまとまらず、結局安全な手を選ぶことになりがちです。

日頃からしっかり読みを入れて指すという習慣があればいいのですが、基本的に早指しがほとんどなので比較検討して指すということができません。

ただし強い人は早指しでも強いので、やはり直感で見える手というのは大事です。

実戦は▲6三成桂で、ソフトの評価値+1146で先手優勢。

この手は桂取りだったので逃げる手で自然に見えますが、さすがに甘かったようです。

ただしこの▲6三成は詰めろになっており、△6七角成なら▲6一馬△同玉▲6二飛△同銀▲7二金△5一玉▲6二金△4二玉▲5二金で詰みでした。

この筋も対局中には見えておらず、後から調べて分かるというレベルでこのあたりの寄せの手の見え方はさっぱりでした。

なお実戦は▲6三成桂以下△6七角成▲8一歩成△4二金で、ソフトの評価値+2532で先手勝勢ですが、後手玉が3筋に逃げるルートができたのと次に△4九馬のような手もあるので将棋としてはもつれてくるパターンです。

やはり寄せるところは寄せないと複雑な局面になっていきます。

序盤の評価値はそんなに変動しませんが、終盤の評価値は手の内容によって大きく変動します。

▲6三成桂では▲8一歩成がありました。

▲8一歩成△5三歩▲6一馬△同玉▲7一と△同玉▲5二飛で、ソフトの評価値+3477で先手勝勢。

この手順は▲8一歩成から桂馬を取って、△5三歩には▲6一馬から後手の金駒を取ってから▲5二飛と打つ展開です。

後手の守り駒を取ると後手玉が薄くなりますので寄せやすくなります。

大駒が1枚あると寄せる際には心強いです。

▲5二飛と打って詰めろをかけるのが手堅いです。

ここで後手の手番になるので少し怖い形ですが、先手玉に即詰みはなく王手飛車の筋もありません。

▲7二飛に△6二桂なら▲5一飛成△6一飛▲同龍△同玉▲8一飛で、ソフトの評価値+50000で先手勝勢。

この手順は△6二桂と受ければ▲5一飛成とするのが平凡ですが確実なようです。

▲8一飛に△7一角なら▲7二銀△同玉▲8四桂△6一玉▲7一飛成△同玉▲7二金で詰みです。

また▲8一飛に△7一飛なら▲7二銀△同玉▲8二金△6一玉▲7一飛成△5二玉▲5一飛△4二玉▲4一飛成で詰みです。

後手は手数を伸ばすような手はあっても1手1手です。

このような筋の寄せも後から調べればなるほどですが、▲7二銀と駒を捨てるような手は実戦で見えるかどうかはそのときにならないと分かりません。

ただし棋力的には、確実に▲7二銀の詰み筋が短い時間でも見えるようにしておきたいです。

なお▲5一飛成で▲8三銀と詰めろを掛ける手もありそうですが、この場合は△6五角の王手で銀が取られるので要注意です。

このように調べると最短で寄せるということは、その中に厳しい手が含まれていることが多いのでその手を発見できるかどうかで大きく違ってきそうです。

最短の寄せには難しい手があるのが参考になった1局でした。

少し危険なようでも踏み込んで指す

上図は、先後逆で相掛かりからの進展で▲1七桂と2九の桂馬が跳ねた局面。ソフトの評価値-213で互角。

▲1七桂と跳ねた手は次に▲2五桂△2四玉▲3二飛成という手ですが、対局中ははこの狙いにどのように対応するかが難しいと思っていました。

まず気になるのは▲2五桂△2四玉▲3二飛成が後手玉に詰めろがかかっているかどうかです。

対局中は詰んでもおかしくないと思っていましたが、仮に詰まなくてもそれより後手からの速い攻めはないと思っていました。

このあたりは直感になるのですが、このような終盤戦で間違うと形勢を大きく損ねます。

実戦は△1三桂▲6三銀成で、ソフトの評価値-169で互角。

この手順の△1三桂は▲2五桂に△同桂の受けを用意したのですが、そこで▲6三銀成が盲点でした。

一瞬ありがたいと思ったのですが、この手は次に▲3二飛成△同玉▲2一銀△4二玉▲3二金△5一玉▲6二成銀左の詰めろになっていました。

途中でこの筋は気がついたのですが、対局では時すでにおそかったです。

△1三桂と打った手が1筋からの逃げ道をふさいだ形で、悪いときはこのような組み合わせになってしまいます。

▲6三銀成には△3一金打として辛抱すべきでした。ソフトの評価値-127で互角。

後手玉は詰めろだったのでまずは受けて辛抱すべきだったです。

なお▲1七桂に対する後手の推奨手は△6七歩成でした。

△1三桂では△6七歩成で、ソフトの評価値-346で後手有利。

この手の△6七歩成は金取りですが詰めろではないので、どのくらいの効果があるかが分かりにくいです。

△6七歩成に▲2五桂なら△2四玉▲3二飛成△3九角▲3三桂成△3五玉で、ソフトの評価値-580で後手有利。

この手順の▲2五桂~▲3二飛成は詰めろではなかったようで、△3九角と攻防に打つのが後手も粘り強い手だったようです。

簡単に△6八ととせずに入玉模様に△3九角して自玉を手厚くするのが入玉形ならではの感覚だったようで、5段玉になると先手は抑えの駒が少ないと寄せ切るのは大変です。

なお▲3三桂成に△2八角成と飛車を取るのは、▲3四成桂△2五玉▲2三龍で詰みなので要注意です。

このような手順があるので終盤は全く侮れません。

よって先手も直ぐに決めにいくのは危険なので、△6七歩成には一旦▲6七同金と手を戻します。

△6七歩成以下▲同金△6六歩で、ソフトの評価値-152で互角。

この手順の▲6七同金に△6六歩と叩くのが、また先手としても悩みそうな手です。

▲6六同金なら△4六角で、△2八角成と△5七角成の両方の狙いがあります。

△6六歩▲同金△4六角▲3二飛成△同玉▲2一銀△2二玉▲2五桂△5七角成▲6八歩△2一玉▲3三桂成△5九飛▲6九金△同飛成▲同玉△5八銀▲同飛△同馬▲同玉△5七金▲同玉△4七飛▲5八玉△4六桂以下即詰みです。

これは一例で後手がうまくいきすぎですが、先手が多少無理っぽく決めにいった展開で、さすがに△5七角成と王手をする形は駒がたくさんあれば先手玉に即詰みは発生するという典型的なパターンです。

実際の終盤はもう少し粘り強く指すのでまだ大変ですが、後手からの感覚としては6七の金を6六にさせることで先手玉が弱くなるという手筋のようです。

ここら辺の感覚を終盤の強さに役立てたいです。

少し危険なようでも踏み込んで指すのが参考になった1局でした。

角交換腰掛銀の千日手模様の受け

上図は、角換わり腰掛銀からの進展で△6三金と上がった局面。ソフトの評価値+156で互角。

先手が▲4八金型に対して後手が△6三金型にしてやや旧型の構えです。

△6三金は後手の桂頭を守っているのと、次は△6五歩と動く狙いです。

よってこの局面で▲8八玉とするのは△6五歩で後手が先行しそうな形になります。

よって実戦は先手が先に動くことにしました。

実践は▲4五歩△同歩▲同桂△2二銀▲7五歩で、ソフトの評価値+522で先手有利。

この手順は△4五同歩に▲4五同桂に△2二銀と引いたのがよくなかったようで、▲7五歩が生じました。

△2二銀と引いて△4四歩~△4五歩で桂馬が取り切れればいいのですが、手数がかかって先手の攻めに間に合わないようです。

▲7五歩に△同歩なら▲7四歩△同金▲5三桂成で、ソフトの評価値+1423で先手優勢。

この手順は先手の攻めの桂馬が5三の地点に成って攻めが大成功です。

▲7五歩に△8三角なら▲7一角△5二飛▲6五歩△同銀▲5五銀△4三金▲4四歩△4二金▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲6四銀△同金▲3四飛△3三歩▲4三歩成△同金▲6四飛で、ソフトの評価値+2519で先手勝勢。

この手順は▲7五歩に△8三角と辛抱したのですが、先手としては攻めに集中できるので▲6五歩△同銀に▲5五銀と銀を中央に使うのがいいようです。

受け一方の角ではさすがに後手がつらいようです。

なお対局中に気にしていたのは▲4五同桂に△4四銀と上がる手でした。

変化手順で▲4五歩△同歩▲同桂△4四銀▲4六歩△4二角▲8八玉△4三銀▲5八金△5四歩▲6七銀△2二玉▲5六歩で、ソフトの評価値+147で互角。

この手順は▲4五同桂に△4四銀とする手で、歩で桂馬を取ることはできませんが5三の地点を銀で補強しています。

先手は▲4六歩と桂馬を守った手に△4二角が2筋の歩の交換を先に受ける手で、やや受け一方の手ですが先手としては気になります。

先手としては戦いの争点を作りたいところですが、歩を交換するような場所がなく手待ちのような駒の繰り替えをします。

後手はその間に△4三銀から5筋の歩を伸ばして△2二玉と入城します。

最後の▲5六歩と突いた局面が後手にとっての理想形ですが、手待ちなら△3一玉とか△8四飛とか△6二飛になります。

先手も千日手がいやで▲1八香から▲1九飛としても4二の角が1五の地点に利いているので、1筋の攻めがうまくいくかは不明です。

△4二角と指さなかったら先手は2筋の歩を交換してまずまずですが、△4二角と打ったら千日手の可能性が高くなるという感じです。

結局千日手になれば先手の指し方はうまくなかったということになるので、最初の局面からは▲4五歩△同歩▲3五歩のような指し方を選択すべきだったかもしれません。

今度同じような局面になったら▲4五歩△同歩▲3五歩を試したいと思います。

角交換腰掛銀の千日手模様の受けが参考になった1局でした。

と金を作って攻めを継続する

上図は、先後逆で相掛かりからの進展で▲7八角と打った局面。ソフトの評価値-1149で後手優勢。

駒割りは角と金桂の交換で後手が飛車が成ってますので後手優勢ですが、龍が取られる形なのでこの後どのように手を繋いでいくかという局面です。

実戦は△7八同龍▲同銀△3三桂で、ソフトの評価値-683で後手有利。

この手順は△7八龍と飛車と角を交換する手で▲同銀に△3三桂として▲1一角成を防ぐ手ですが、局面が落ち着いてすっきりした形になったので後手としては少し不満です。

せっかく龍を作った形なのに攻めを継続できなかったのは少し手の作り方が淡泊だったようで、こういうところの指し方がいまひとつのようです。

△7八同龍では△8八歩がありました。ソフトの評価値-1233で後手優勢。

この手の△8八歩は龍を助ける手ですが、▲同角とすると△7六桂があります。

△8八歩に▲1一角成は△9九龍で龍が逃げる形になり、後手の攻めの方が厳しそうです。

△8八歩に▲7六歩と打って将来の△7六桂を消す手もありそうですが、△3三桂▲2八飛△9九龍で龍が逃げられてしまいます。

よって△8八歩には▲8九角とするしかありません。

△8八歩以下▲8九角△同歩成▲7八銀△3三桂で、ソフトの評価値-1360で後手優勢。

この手順は▲8九角△同歩成で後手にと金ができたのが大きいです。

銀取りなので▲7八銀としますが、△3三桂として▲1一角成を防ぎながら飛車取りの先手になるのも大きいです。

実戦との大きな違いはと金ができるかどうかで、攻めの幅が全く違ってきます。

△3三桂に▲2八飛なら△6五桂▲6六角△7九角▲5八玉△4五桂で、ソフトの評価値-3474で後手勝勢。

この手順は▲2八飛は飛車の逃げ場所としては自然のようですが、この場合は△6五桂を入れてから△7九角が厳しく、▲5九玉に△4五桂と2枚の桂馬で5七の地点を攻める形で後手勝勢です。

なお△6五桂では△8八ととして▲同角なら△7六桂を狙うような手もありそうですが、△8八と▲6九銀△8七角▲7九歩△7六桂▲5九玉△7九と▲5八銀で、ソフトの評価値-1707で後手優勢。

この手順はやや角と桂馬とと金の働きが少し重たく、スピード感にかける感じです。

△3三桂に▲6五飛なら△8八と▲6九銀△8七角▲7五飛△6五金▲同飛△同角成で、ソフトの評価値-2173で後手勝勢。

この手順の▲6五飛は飛車を5段目にすることで△6五桂を防いだ手ですが、今度はご8八とが厳しく▲6九銀と逃げれば△8七角が継続手で、▲7五飛には△6五金から飛車を取って後手勝勢です。

これらの手順をみると後手にと金があると攻めの幅が広くなるので、歩を使った攻めは意識して考えた方がいいようです。

と金を作って攻めを継続するのが参考になった1局でした。

攻められても思ったより大変だった

上図は、後手横歩取り△3三角型からの進展で△7七角と打った局面。ソフトの評価値-207で互角。

駒割りは飛車と銀香の交換ですが後手の攻め駒が働いています。

7四の飛車と6四の銀と7六の歩と7七の角に持ち駒に飛車があるので、攻めとしては戦力がそろっています。

対局中は攻めつぶされても仕方ないと思っていましたが、とりあえず7七の地点は駒を埋めて補充しないといけないと思い▲6八銀と打ちました。

ただし、後からソフトで検討してみるとこの局面が互角だったのは全く意外でした。

実戦は▲6八銀△6六角成▲同歩△6五銀▲同歩△6六桂で、ソフトの評価値-789で後手有利。

この手順は▲6八銀と埋めたのに対して△6六角成と先手の馬を消してきました。

▲6六同歩に△6五銀と桂馬を取ってから△6六桂と金取りに打ってくるのが大きいようです。

先手の失敗は馬が消えたことと、桂馬の安い駒で守りの金を攻められる形になったことです。

馬の守り駒は金銀3枚に匹敵するという格言もあるくらいのなので、馬を消すのはもったいなかったです。

また桂馬で金取りに攻められて、金が逃げると攻めの拠点の桂馬が盤上に残ることになります。

また金を逃げずに金駒を埋めても、桂馬で金を取られる形は相当先手玉が薄くなります。

そのような意味で▲6八銀と駒を埋める受け方はありそうでも、この局面ではあまりよくなかったようです。

▲6八銀では▲7七同銀がありました。

▲7七同銀△同歩成▲同馬で、ソフトの評価値-222で互角。

この受け方は全く考えてなかったのですが、▲7七同銀と清算してから▲7七同馬と馬で歩を取る展開です。

この手順が指しにくいのは2つあって、1つは6五の桂馬がただで取られることと、もう1つは▲7七同馬に△7六歩と叩く手がみえているからです。

自分の感覚だとこの手順の受け方は相当みえにくいのですが、普通の受け方ではだめということのようです。

▲7七同馬に△6五銀なら▲8三角で粘りにでます。ソフトの評価値-162で互角。

この手順は△6五銀とぼろっと桂馬を取られて先手は全然だめなような感覚ですが、そこで▲8三角がしぶといようです。

▲8三角の局面は飛桂と角香の交換なので、そんなに先手は駒損にはなっていません。

▲8三角は飛車取りではありますが、将来▲6一角成と金を取る筋も残っているので後手と決めるとなるとまだ大変なようです。

▲8三角に△7七飛成なら▲同金△7六桂▲6九玉で、ソフトの評価値-435で後手有利。

この手順は後手は△7七飛成~△7六桂と決めにきた手で、▲6九玉の早逃げで後手有利になりますが、実戦的にはまだ大変です。

▲7七同馬以下△7六歩▲8六馬△7七銀▲7五歩で、ソフトの評価値-739で後手有利。

この手順は△7六歩と再度攻めの拠点の歩を打った手に▲8六馬と逃げるのがまた盲点で、△7七銀と打たれると馬取りと△7八銀成が厳しくみえます。

そこで▲7五歩と歩を打って受ける展開ですが、この受け方もなかなか指せません。

評価値は後手に傾いてきましたが、それでも後手優勢まで進んでいないのが意外でした。

▲7五歩に△8六銀成なら▲7四歩△7七歩成▲8二飛△4一玉▲8六飛成△7八と▲同玉で、ソフトの評価値-183で互角。

この手順は後手が決めにいったのですが、飛車を渡すと▲8二飛が攻防になります。

▲7五歩に△同銀か△8四飛と進みそうですが、これで先手が粘り切るかという展開のようです。

攻められても思ったより大変だったのが参考になった1局でした。