意外な受け方で有利から勝勢になる

上図は、相掛かりからの進展で△4七銀打とした局面。ソフトの評価値+743で先手有利。

△4七銀打は王手なので、▲4七同金とするか玉が逃げるかのどちらかになります。

先手玉に即詰みはありませんが、後手玉は▲3二銀成以下の詰めろになっています。

そのような意味で、お互いの玉の危険度を確認しながら指し手を決めることになるので難易度が高くなります。

実戦は△4七銀打以下▲同金△同銀成▲同玉△4六角成▲3八玉△6八飛成▲2七玉で、ソフトの評価値-745で後手有利。

この手順は4七の地点で清算してから△4六角成とする手で、以下後手は龍を作って▲2七玉と逃げる展開です。

後手は金駒を1枚余計に渡しましたが、これで駒の損得はなくなり後手は馬と龍を作ることに成功しました。

ただし▲2七玉の局面は先手玉に即詰みはありません。

先手は銀を2枚もらいましたが、2九の飛車の利きに2七の玉がいる形になったので後手玉の詰めろは消えたようです。

こういうところは時間の短い将棋では読みを入れるのが難しいです。

後手玉に詰めろがかかっていなければ、▲2七玉に△8七桂成と金を補充してこれが△3六馬▲同玉△3五金▲2七玉△2六金打の詰めろでいいような感じです。

ただし、△8七桂成には▲1七玉があるようで、これが先手玉の詰めろを消しながら後手玉に▲3二銀成△同玉▲4一角以下の詰めろをかけることができます。

▲1七玉には△2八金のような手で詰めろを消しながら先手玉に迫ってどうかという展開ですが、とても冴えた読みがないとこれらの手順も浮かびません。

なお最初の局面図で▲4七同金では▲2七玉がありました。

▲2七玉△4八銀不成▲1七玉で、ソフトの評価値+99967で先手勝勢。

この手順は驚いたのですが、▲2七玉と逃げ△4八銀不成に▲1七玉と逃げると先手玉の詰めろが消えて後手玉が▲3二銀成以下の詰めろになっています。

この手順のポイントは2九の飛車が後手陣に直通していることです。

これで評価値が99967になりましたが、これは自分の認識では珍しいパターンです。

999・・という表示が出るのは相手玉に即詰みがある状態がほとんどなのですが、詰めろの段階で出るのは珍しいです。

詰めろの段階で出るということは後手玉に受けがない状態のようです。

▲1七玉に△1二金なら▲5三角△2二玉▲3二銀成△同玉▲4二と△2二玉▲3二金△1三玉▲2五桂△2四玉▲3三桂成△2五銀▲同飛△同玉▲2六角成△2四玉▲2五銀△1三玉▲1四銀△同玉▲1五馬△1三玉▲1四銀まで詰みです。

この手順は△1二金として2三の地点を受けて詰めろを消したつもりですが、今度は▲5三角の王手がありました。

これで詰み筋に入っているようで、3七の桂馬が▲2五桂と跳ねると先手の駒がすべて躍動する形になります。

最後の詰み筋は頭の中で解けるくらいになればいいのですが、まだ自分の棋力としては詰んでもおかしくないという感覚なので、このあたりの読みを少しでも深くしたいです。

意外な受け方で有利から勝勢になるのが参考になった1局でした。

意外な角打ちから攻めに転ずる

上図は、先後逆で相居飛車からの進展で▲4五歩と突いた局面。ソフトの評価値-201で互角。

先手が5筋の歩を突き捨ててから▲4五歩と突いてきた展開です。

この先手のジャブは後手にとっては結構嫌な筋で、対局中も△同歩がいいか悩みました。

普通は△同歩ですが、先手からは狙い筋があります。

△同歩以下▲5五銀△5四歩▲4四歩△3二銀▲5四銀△同銀▲7二角△6三角▲8一角成△同角で、ソフトの評価値-333で後手有利。

この手順は後手の8一の飛車の形のときに出る筋で、先手は▲5四銀を捨ててから▲7二角と両取りに打つ展開です。

後手は△6三角と打って受けるしかありませんが、▲8一角成に△同角と取った局面をどう判断するかです。

駒割りは飛車と角銀の交換の2枚替えで後手が駒得していますが、先手は持ち駒に飛車があるので後手陣に打ち込んでくる可能性があります。

先手が飛車を打って7三の桂馬と9一の香車を拾うような形になると、駒損を回復されて後手がまずくなります。

そのような意味で後手は駒損をしないようにしなければいけません。

△8一角の局面は後手が少し指しにくいと思ってこの展開は断念したのですが、ソフトはこの展開は後手有利の判断のようです。

このあたりの形勢判断をどのようにするかで指し手が全く違ってくるのですが、1つ言えるのは早指しでは短い時間で形勢判断をしないけないのでかなり直感の要素が大きくなります。

経験的に駒得しており後手が何とかなると思ったらこの展開を選びますが、飛車を打たれて自信がないと思ったらこの展開は避けます。

本来は読みが入ってから指し手を選ぶのですが、早指しではそれは限界があります。

そのような意味で△8一角の後の展開を調べて覚えた方が、今後似たような展開になったときに役に立つかもしれません。

△8一同角以下▲6一飛△9二角打で、ソフトの評価値-723で後手有利。

この手順は先手は飛車を取って▲6一飛と打つ手で、狭いところに飛車を打つのですが簡単には取られないようです。

後手の受け方が難しいのですが、△9二角打が意表の一手です。

自分は最初△6三角打を予想していたのですが、先手は▲5九飛とか▲5三歩とか▲7一飛成などの手があり、どれも正確に対応する自信がありません。

△9二角打も難しい手で8一の角にひもをつけたのですが、実は先手玉を攻めを狙う角でもあるようです。

先手玉が3八にいるときに△9二角と打つのは、角のラインで先手玉を狙う遠みの角です。

△9二角打に▲9五歩なら△7五歩▲5六歩△4六歩▲同銀△5六角▲4七金△9二角上で、ソフトの評価値-2916で後手勝勢。

この手順はうまくいきすぎですが、▲9五歩は悪い手で△同歩なら▲9三歩がありますが、△7五歩で後手の角の利きが通ります。

▲5六歩と受けましたが△4六歩が継続手で、▲同銀に△5六角に▲4七歩が2歩で打てません。

よって▲4七金と上がったのですが、△9二角上が決め手で2枚の角で先手玉が攻略される形です。

以下▲5六金△同角▲4七角△同角成▲同玉△8三角で王手飛車取りです。

別の手で△9二角打には▲5三歩と攻めてみます。

△9二角打以下▲5三歩△同金▲6二飛成△4四金▲7三龍△7五歩▲5六歩△5五銀▲同歩△4六歩で、ソフトの評価値-830で後手優勢。

この手順は▲5三歩~▲6二飛成~▲7三龍として先手は駒損を回復しますが、後手も△4四金と中央が手厚くなります。

後手は△7五歩と角道を通した手に▲5六歩と受けますが、△5五銀が強い手で▲同歩に△4六歩で後手が指せているようです。

△9二角打は予想以上に厳しい角だったようです。

意外な角打ちから攻めに転ずるのが参考になった1局でした。

△7二銀と1手で固めて戦う

上図は、先後逆で後手横歩取り△8四飛型からの進展で▲5八玉とした局面。ソフトの評価値+58で互角。

先手は中住まいにしたのですが、先に▲4八銀と上がってからの展開で少し珍しいです。

普通は中住まいにしてから▲4八銀とか▲3八銀が多い感じです。

対局中は▲4八銀と上がっているため1筋と2筋が少し手薄と思い△1五歩としたのですが、少しタイミングが早かったようです。

実戦は△1五歩▲3八金△5一金▲3六歩で、ソフトの評価値+93で互角。

この手順は後手は序盤の段階で1筋に2手かけたのですが、これにより中央の駒組みが少し遅れました。

△5一金は形ですが、後で△6二銀も入れたいです。

そうすれば後手は守りは理想形になるのですが、本来は▲3六歩には△8六歩▲同歩△同飛と暴れていきたいです。

先手の飛車の横利きが消えたときに後手が△8六歩と合わせて暴れるのは、この戦型によくある手筋です。

しかし後手の7一の銀が浮いているので、これが後手にとっていいのか悪いのかがぱっと見で分かりにくいですが、普通に考えたら駒が浮いているのであまり良くないと考えるのが自然です。

その原因は後手は1筋に2手かけたので中央の駒組みが遅れました。

実戦の展開になるのなら、△1五歩を△6二銀に置き換えれば後手は玉の囲いは完成です。

このあたりの後手は、形だけで何も考えて指していないという感じで、持ち時間をかけて将棋を指していないと思わぬ形で損をしているという典型です。

ちょっとしたところですが勉強になりました。

△1五歩では△7二銀がありました。

△7二銀▲3六歩△2四飛で、ソフトの評価値+112で互角。

この手順の△7二銀では△6二銀~△5一金を目指すのもあるのですが、△7二銀の1手で後手陣の守りが完成するので価値が高いです。

横歩取り△8四飛型は当初は△6二銀~△5一金が主流でしたが、その後は△7二銀で戦うことが多くなりました。

△6二銀型も△7二銀型のどちらも8二の地点が弱いので、そのあたりをどのようにカバーして指すかが難しいです。

先手の8筋の歩が切れれば▲8二歩のような手がありますし、持ち駒に角があれば▲8二角のような手もあります。

後手は△7四歩と突いていれば▲8二歩には△7三桂とか▲8二角には△7三角とか受ける手がありますが、△7四歩と突く展開にならない可能性もあります。

変化手順で△7二銀に▲3八金としたのですが、そこで△2四飛でどうかという展開です。

△7二銀型の特徴として飛車の打ち込みに強いというのがあります。

飛車交換して▲8二飛には△8三歩とふたをして、次に△7一金とすれば飛車が取れます。

本来△2四飛という激しい手は先のことをかなり調べていないと指せないのですが、なかなかそこまで追いついていません。

結局変化手順で出たときにそのあたりを少し調べてみるという感じです。

△2四飛に▲同飛なら△同角▲2三歩△3三銀▲3八金△1五角▲1六歩△4八角成▲同玉△1五歩で、ソフトの評価値+115で互角。

この手順は▲2四同飛の飛車交換から▲2三歩と叩く手で、△同金なら▲3二飛がうるさいです。

よって△3三銀としましたが、▲3八金に△1五角が少し浮かびづらいです。

▲1六歩の催促には△4八角成~△1五歩はなかなか気がつかない筋ですが、こういうのもソフトで検討しないと浮かばない指し方です。

自分としては新しい手筋などを見たら少しでも吸収して、実戦で指せるようになれたらいいと思っています。

△7二銀と1手で固めて戦うのが参考になった1局でした。

相手の陣地の隙をみて馬を作る

上図は、相居飛車で後手雁木からの進展で△5四歩と突いた局面。ソフトの評価値+301で先手有利。

先手は数手前に4筋の歩を得したことで1歩得になっています。

ここで先手の手番ですが、1歩得しているのでゆっくり指そうかと思っていました。

ソフトの評価値は先手有利になっていますが、ほとんど互角に近い感じです。

▲7七銀と上がれば後手からの8筋の歩の交換を受けることができますが、どこかのタイミングで△6五桂と跳ねられると銀取りになります。

6二の銀がいないときに▲7七銀に△6五桂と跳ねるのは▲7三角の王手飛車があるので成立しませんが、△6五桂は狙い筋になります。

△6五桂に▲6六銀だと桂馬を歩で取る形にはならずに8筋が少し弱くなります。

また△6五桂に▲8八銀と引けば8筋は強く次に▲6六歩で桂馬を取りにいくこともできますが、△3九角と打つような筋もあり少し受け方が難しいです。

よって▲7七銀と上がらずに8八の銀の形のまま指し手を進めました。

実戦は▲4六歩△5三銀で、ソフトの評価値+326で先手有利。

この手順の▲4六歩△5三銀は普通に指せばこのような感じになるのですが、この局面も少し先手が指せているようでした。

人間の感覚で少し指しやすそうというのは、ソフトの評価値ではそれ以上に数値になっていることが多い感じです。

対局中はそのときの評価値がいくらとかは全く考えませんが、形勢に差が付き始めていると思った時にはソフトはすでに差がついているという印象です。

それくらいに指しこなせればいいのですが、棋力も感覚も全く追いついていません。

ソフトは△5三銀には▲3五歩△同歩▲1六角△3四角▲同角△同銀▲7五歩△8四飛で、ソフトの評価値+245で互角。

この手順は3筋の歩を突き捨ててから▲1六角は次に▲3四歩として桂馬を取る狙いです。

後手は△3四角と敵の打ちたいところに打てを実行した手で、以下▲同角△同銀で後手の形が少し崩れます。

以下▲7五歩と突いて△同歩なら▲7四歩△6五桂▲7三角が厳しいです。

よって△8四飛と浮いて辛抱しますが、そこから先手が手が続くかという展開です。

先手もぎりぎりの攻めなので手が続くかが大変ですが、手の作り方は参考になります。

なお最初の局面図では▲4六歩では▲2二歩がありました。

▲2二歩△同金▲3一角△3二金▲6四角成△6三金▲3七馬で、ソフトの評価値+299で互角。

この手順は▲2二歩と垂らす手で、意外にもこの手がありました。

次に▲2一歩成がありますので△同金としますが、▲3一角が後続手です。

△3二金に▲6四角成で馬を作って先手大成功です。

以下△6三金に▲3七馬と自陣に馬を引く形で、1歩得で馬ができれば先手満足です。

ただし、この局面の評価値は先手有利に近い互角のようです。

▲3七馬以下△4二玉▲6八金直△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△7六飛▲7七銀△7五飛▲8六歩で、ソフトの評価値+324で先手有利。

この手順は後手は8筋の歩の交換から△7六飛と横歩と取ってきたのですが、後手の飛車の動ける範囲が狭いので先手が少し指しやすいようです。

▲3七馬以下△4二玉▲6八金直△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8四飛▲6六歩△7五歩▲同歩△9五歩▲同歩△9六歩▲6七銀△9五香▲9八歩で、ソフトの評価値+268で互角。

この手順は後手は8筋の歩の交換から△8四飛と引いて、▲6六歩に後手から7筋と9筋の歩を突き捨てて△9六歩と垂らします。

△9六歩に▲同香もありそうですが、△6四金とされると9六の香車がやや不安定なので先手はまとめにくくなりそうです。

よって▲6七銀と受けに回り9筋は▲9八歩と受けて辛抱する形です。

先手のこのような指し方は攻めより受けに回って相手の手にのって指すという感じで、自分としてはちょっと方針を決めるのが大変という感じです。

相手の陣地の隙をみて馬を作るのが参考になった1局でした。

対ひねり飛車の駒組み

上図は、先後逆で先手がひねり飛車からの進展で△▲7九角と8八の角が引いた局面。ソフトの評価値-66で互角。

後手が△2四角とした手に▲7九角と受けた形です。

最近の将棋はひねり飛車は少ないのですが、昭和50年代では先手の必勝戦法を1つあげるとひねり飛車であると一時期話題になりました。

その後は後手の対ひねり飛車の受け方が進歩して、先手は勝ちにくい戦法となったようです。

それはプロレベルの話であって、アマレベルでは勝敗にはあまり関係ない戦型だと思います。

アマレベルだと先手の仕掛けに後手が受け損なうと、一気に中盤を超えて終盤になって手も足も出ないまま終わってしまうという展開になりやすいです。

先手は玉を片美濃や坊主美濃にしてから、飛車と角と銀と桂馬の4枚の攻めを繰り出す展開になると後手も受けるのが結構大変です。

対ひねり飛車の後手は玉の囲いがあまり固くならない戦型なので、受け間違いは致命的です。

そのような意味で序盤の後手は慎重に駒組みを進めることになります。

本局は▲7九角に△5四銀とでたのですが、そこで▲7四歩と動かれるのを少し気にしていました。

△5四銀以下変化手順で、▲7四歩△同歩▲同飛△7三金▲7六飛△2二玉▲7四歩△6三金で、ソフトの評価値-267で互角。

これは変化手順ですが、▲7四歩からの歩の交換には△7三金と上がって受けるのが形のようです。

△7三金に▲同飛成なら△同桂▲7四歩△8五桂▲7三歩成△8四飛▲8三金△7七桂成▲8四金△7九飛で、ソフトの評価値-1566で後手優勢。

この手順は▲7三同飛成と飛車と金の交換から▲7四歩とする手ですが、さすがにちょっと無理筋で▲8三金~▲8四金で飛車は取り返すことはできますが、△7七桂成~△7九飛の反撃が厳しいです。

本来このような無理筋を後手は考える必要がないのかもしれませんが、先手の攻めが繋がると結構うるさい戦型なので慎重になります。

よって△7三金に▲7六飛と引きますがそこで△2二玉が堂々とした手です。

7筋を明け渡すような手ですが、▲7四歩と打ってくれば△6三金と受けます。

この形は6三の金がいなくなれば▲7三歩成がありますのでちょっと怖い形ではあります。

△6三金に▲6五歩なら△同歩▲6四歩△同金▲7三歩成△7五歩▲8二と△7六歩で、ソフトの評価値-419で後手有利。

この手順は後手の6三の金を攻めて▲7三歩成と狙う展開ですが、後手も強気に対抗して後手が少し指せているようです。

これらはやや先手の無理筋ですが、後手の受け方は参考になります。

なお最初の局面図の△5四銀では△4四歩という手もあったようです。

△4四歩▲2八玉△4三銀▲5八銀△6二金で、ソフトの評価値-76で互角。

この手順は△4四歩と突く手ですが、自分の感覚では少し指しにくい手です。

△4四歩~△4三銀は自然な形ですが、5三の地点に何も駒が利いていないので、将来▲5三角成や▲5三角のような展開になると少し損になりやすいです。

ただし、この形には後手は7二の金を△6二金として5三の地点を補強して以下△5二金とする駒組みです。

6三の銀と5二の金が連結するので駒の配置はよくなります。

こういう駒組みも以前見た記憶がありますが、実戦の短い時間でも指せないと覚えたことにならないので今回取り上げました。

対ひねり飛車の駒組みが参考になった1局でした。

ぎりぎりの受けで際どく残す

上図は、相掛かりからの進展で△6八角と打った局面。ソフトの評価値-186で互角。

実戦は▲4七玉だったのですが、△6六飛以下変化手順では後手が勝勢に近いです。

https://shogiamateur.com/?p=53866&preview=true

よって▲4七玉では▲6八同玉がありましたが、それについて調べます。

▲6八同玉△6六飛▲5九玉△5七銀で、ソフトの評価値-44で互角。

この手順は▲6八同玉としますが、△6六飛で手順に銀を取られて王手になります。

以下▲5九玉と逃げるのですが、そこで△5七銀がうるさい攻めです。

△5七銀で△5八歩のような手も見えますが、▲4九玉△6九飛成▲3八玉△2九龍▲同玉△2七銀▲2八歩△8九飛▲3九銀で、ソフトの評価値+1604で先手優勢。

この手順は△5八歩と何気に歩を打ちたくなりますが、▲4九玉~▲3八玉とすると意外と先手玉はつかまりません。

△5七銀は△6八飛成以下の詰めろで、後手玉に即詰みはありませんので先手は受けるしかありません。

△5七銀に▲6九歩は△同飛成▲同玉△6八銀打▲7八玉△8七桂成▲同玉△7七歩成▲9八玉△8七金▲8九玉△8八金まで詰みです。

よって▲5七同金とするしかありません。

△5七銀以下▲同金△6八銀▲4八玉△5七銀成▲3八玉△6八飛成▲2七玉で、ソフトの評価値-267で互角。

この手順は△6八銀~△5七銀成とする手ですが、そこで▲3八玉と▲5七同玉の2つの手が有力です。

この手順の▲3八玉で▲5七同玉なら△6七飛成▲4八玉△4七金▲3九玉△6九龍▲4九角△3七金で、ソフトの評価値-1310で後手優勢。

この手順は▲5七同玉で際どく受ける手ですが、△6七飛成~△4七金と上部を抑えます。

その後の△6九龍が何気にうまい手で、合駒請求で▲4九角と使わせてから△3七金とした手が△4七桂の詰めろを狙います。

なお△6九龍と合駒請求をするのでなく△3七金とするのは、▲5三角があり△2二玉なら▲3一角打以下手数はかかりますが、後手玉は即詰みのようです。

▲5三角に△4二桂と打てば後手玉に即詰みはありませんが、△4七桂以下の先手玉の即詰みもなくなりますので▲4一角と詰めろをかけるくらいで先手勝勢のようです。

よって△5七銀成には▲3八玉と逃げますが、△6八飛成に▲2七玉と逃げてどうかという展開です。

▲2七玉以下△4七成銀▲5三角△2二玉▲2五桂で、ソフトの評価値-267で互角。

この手順の△4七成銀は△3八龍▲1七玉△3七龍以下の詰めろですが、▲5三角と利かせてから▲2五桂が鋭いです。

▲2五桂は桂馬を取られないようにして活用する手ですが、今度は△3八龍▲1七玉のときに△3七龍としても▲2七歩で先手玉は詰みません。

また▲2五桂は▲3一角打からの詰めろになっており、▲2五桂に△2九龍なら▲3一角打△同金▲同角成△同玉▲4二銀△2二玉▲3三銀成△同桂▲3一銀△同玉▲4二と△2一玉▲3二金△1二玉▲1三銀まで詰みです。

これらの手順を見るとやはり終盤力は大事だと痛感されます。

これくらいの切れ味がないと強い人相手ではなかなか勝負にならないようです。

少しでも手が見えるようになって勝負できるようになりたいです。

ぎりぎりの受けで際どく残すのが参考になった1局でした。

飛車が逃げた後の手の作り方

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△3三金と3二の金が上がった局面。ソフトの評価値+99で互角。

後手が△3二金型の向かい飛車に対して先手が急戦を仕掛けた展開です。

△3三金は飛車取りですが、先手は▲3三同飛成とか▲4四飛とするのはまだ早すぎるので飛車を逃げることになります。

先手は3筋のどこに飛車を逃げるべきかという局面です。

△3三金に▲3九飛と逃げるのは、△2八角▲4九飛△1九角成▲4五歩△3五銀▲3一角△5二飛▲2二歩で、ソフトの評価値-291で互角。

この手順はだいぶ意外だったのですが、▲3九飛と逃げて△2八角と打たれるのは香車を先に取られて先手がだいぶ悪いと思っていたのですが、▲4五歩~▲3一角が意外とうるさく以下▲2二歩までで思ったよりいい勝負のようです。

ぱっと見でだめなような手でも、意外と難しいという典型的な例です。

実戦は△3三金以下▲3八飛△2七角▲3七飛△5四角成で、ソフトの評価値-240で互角。

この手順は▲3八飛と2段目に引いたのですが、△2六歩と突くか△2七角のどちらかが気になります。

▲3八飛に△2六歩なら▲3四歩△3二金▲6六角△4三歩▲4五歩△2七歩成▲3六飛で、ソフトの評価値-100で互角。

この手順は△2六歩にはこの瞬間に▲3四歩と打つのが意外とうるさく、△4三金と逃げれば▲2三歩△同飛▲3二角のような狙いです。

よって▲3四歩には△3二金引きますが▲6六角がうるさく、△4三歩に▲4五歩と合わせてどうかという展開です。

▲6六角~▲4五歩という手筋は参考になります。

実戦は▲3八飛に△2七角と打ったので、▲3七飛に△5四角成と後手は馬を作る展開です。

実戦的には馬を作った後手の方が気分的にはいいと思いますが、先手は持ち駒に角があるので飛車と角で手が作れるかという形で、ソフトは少し後手持ちのようです。

やはり馬を作らせて自陣に引き返す形はだいぶ後手陣が手厚くなります。

▲3八飛では▲3七飛がありました。ソフトの評価値-82で互角。

この手順は▲3七飛と3段目に飛車を引く手で、ここに引けば2九の桂馬がいるのでひもがついている形です。

▲3七飛に△2六歩なら▲3八飛と引いた場合の変化手順と同様に、▲3四歩~▲6六角~▲4五歩と狙います。

また▲3七飛に△2八角も気になりますが、▲3四歩~▲6六角~▲4五歩と狙います。

これらの手順は、後手が比較的ゆっくりした指し方だと先手はこの狙いがあります。

何気なく▲3七飛と引いているようですが、先手にはこれらの狙いがあるので後手も少し厳しい手が必要です。

▲3七飛以下△3六歩▲同飛△2七角▲3九飛△5四角成▲4六銀△4五歩▲5五銀△同銀▲同歩△同馬▲8八角△同馬▲同玉△5五角▲6六角で、ソフトの評価値+327で先手有利。

この手順は△3六歩として歩を渡してから△2七角とする手で、実戦と似たような形になります。

ただし、後手が1歩を渡したことでそれがどう影響するかが気になります。

△2七角には▲3九飛と深く引くのがいいようで、△5四角成には▲4六銀~▲5五銀と銀をぶつけて手を広げます。

銀交換から△5五同馬には▲8八角と合わせて△同馬に▲同玉がなかなかの手です。

△5五角と打った手には▲6六角と合わせて先手が少し指せているようです。

先手としては後手の馬を消して手を作りたい流れです。

飛車が逃げた後の手の作り方が参考になった1局でした。

負け筋でも歩を使って攻める形にする

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△6八ととした局面。ソフトの評価値-996で後手優勢。

駒割りは先手の桂得ですが、6五の銀と7五の金が攻めにも守りにも利いておらず、後手から飛車とと金で攻められており後手優勢です。

△6八とは詰めろではありませんが次に△7八とが詰めろになり、それ以上に速い攻めが先手にありませんので受けることになります。

なお将棋ソフトの評価値が800で予想勝率79%で、1500で92%というのがネットにありましたので、996は83%になりそうです。

自分の場合は比較的古いソフトを使っての検証なので同じ条件にはあてはまらないと思いますが、参考にはなりそうです。

予想勝率が83%では将棋としては大差に近い形で、先手としては後手のミス待ちみたいなところがあります。

実戦は▲7九歩△7八と▲同歩△5七角で、ソフトの評価値-1511で後手優勢。

この手順は▲7九歩と底歩で受けたのですが、△7八と▲同歩に△5七角が何気に厳しかったです。

△5七角は△7五角成のような含みもありますが、本当の狙いは△7九金とする手です。

△5七角に▲3一飛なら△7九金▲同銀△同角成▲8八金に△8七銀が詰めろになっています。

△8七銀に▲同金は△8九馬で詰みなので▲6一飛成と下駄を預けます。

▲6一飛成以下△8八馬▲同馬△同銀成▲同玉△7九角▲7七玉△6八飛成▲7六玉△8七銀▲同玉△6七龍▲7七歩△8八金まで詰みです。

この手順は8八の地点で清算する攻めで、△7九角と下から角を打って以下並べ詰みになります。

△5七角は7九の地点に飛車と角の利きをいかす攻めで、こういう手は地味ながら参考になります。

最初の局面で▲7九歩と打ってしまったので、先手としては▲7四歩と打って攻める形にならないのも大きなマイナスです。

ここは先手は悪いなりに別の粘り方があったようです。

▲7九歩では▲7四歩がありました。

▲7四歩△6二銀▲7七馬で、ソフトの評価値-986で後手優勢。

この手順は▲7四歩と攻めの拠点を作って、△6二銀とさせてから▲7七馬と馬を自陣に引きます。

△6二銀で△7八ととすれば先手玉は詰めろになりますが、▲7三歩成△同玉▲7九歩で、ソフトの評価値-527で後手有利。

この手順はさすが△に▲7三歩成と銀を取られるのは後手としてはもつれる原因になりますので、▲7四歩には△6二銀と引くのが自然です。

△6二銀に▲7七馬としてどうかという展開です。

ここで後手は△6七銀か△7八との2通りの手があります。

△6七銀▲同金△7八角▲同馬△同と▲6四角△7三歩▲同歩成△同桂▲7四桂△7二玉▲8二飛△7一玉▲7二歩△同金▲同飛成△同玉▲8一銀△6三玉▲6二桂成△同玉▲7三角成△5三玉▲5四銀△4二玉で、ソフトの評価値-2887で後手勝勢。

この手順は△6七銀~△7八角として先手玉に詰めろをかける手ですが、先手に角を渡すと▲6四角から攻め込まれる形です。

これでも際どく後手が残っているようですが、受け間違えたら逆転するような手の流れになります。

△7八と▲同馬△2九飛成▲6四金△7二歩▲7三歩成△同銀▲同金△同歩▲7四歩△同歩▲6六桂△6二桂▲3一飛△7一金打▲7四桂△同桂▲同銀△6六桂で、ソフトの評価値-2016で後手勝勢。

この手順は△7八と~△2九飛成で、この瞬間に先手から後手玉にどこまで迫れるかという展開です。

やはり後手玉のコビンを攻める形になりますが、やや駒不足でこれも後手の勝ち筋のようです。

ただし、両方の手順も相手が甘い手を指せば攻めが繋がる可能性があるのでこちらの方が実戦的だったようです。

負け筋でも歩を使って攻める形にするのが参考になった1局でした。

相早繰銀の狙い筋

上図は、角換わりからの進展で▲3五同銀とした局面。ソフトの評価値+9で互角。

最近は先手番なら相掛かりを中心に指すつもりでいるのですが、後手番の人が居飛車党でも相掛かりにならないことがあります。

実戦は▲2六歩△3四歩▲7六歩△3二金▲7八金△8四歩▲2五歩△8八角成▲同銀△2二銀の展開です。

これは後手が1手損角換わりを選択したことで、幅広い意味で言うと角換わりの将棋になりました。

後手が1手損角換わりを選択すると先手は右の銀を▲4八銀~▲3七銀と活用することが多いのですが、それに対して後手も△6二銀~△7三銀と活用して相早繰銀の形になりました。

自分は相早繰銀はほとんど指さないのですが、相手の選択によってやむを得ず指すことあるというのを初めて知りました。

相早繰銀は棋譜で見たことはあるのですが、自分で考えて指さないと知識があいまいな部分がたくさんあります。

本局はそのような意味で少し理解が深まりました。

実戦は▲3五同銀と歩を取った手に△5四角と打ってきて、この手も部分的な手としてよく見るのですが、ここでは△3四歩が有力でした。

普通は3筋の歩を交換してすぐに△3四歩と打つことは少ないのですが、ちょっと形が違えばこのような手もあるようです。

変化手順として▲3五同銀以下△3四歩▲4六銀で、ソフトの評価値+3で互角。

この手順は△3四歩と打った手に▲4六銀と引く手で、最初に見たときは少し違和感があります。

1歩を交換して銀が元の位置に戻るからです。

先手が歩を持ち駒にした効果としては▲4六銀に△7五歩なら▲同歩△同銀に▲7六歩と打てるのが大きく、△8六歩なら▲7五歩△8七歩成▲8三歩△同飛▲6五角で、ソフトの評価値+404で先手有利。

この手順もたまに見るのですが、先手の持ち駒に歩があると後手が銀を捌いてきても▲8三歩~▲6五角の切り返しがあります。

この筋は持ち駒に歩がないと▲8三歩と叩くことができません。

そのような意味で△3四歩には▲4六銀が推奨手のようです。

ただし、▲4六銀と引くところで▲2四歩といかないのだろうと最初は思うのが自然です。

早繰銀は銀を捌いて持ち駒にすれば一応成功と理解しているのですが、ちょっとした駒組みの違いで全く違う展開に進むことがあります。

▲4六銀で▲2四歩なら△同歩▲同銀△2七歩▲同飛△4五角で、ソフトの評価値-299で互角。

この手順は先手は2筋から銀の交換を目指して動いたのですが、△2七歩~△4五角の切り返しが鋭いです。

これは先手が▲6六歩と突いたことによる手で、▲6七歩型では△2七歩~△4五角の筋はありません。

部分的には飛車と金の両取りにかかっているようで、ぱっと見は先手が大失敗に見えるのですが先手にも対抗手があります。

△4五角に▲2八飛△2四銀▲同飛△7八角成▲2一飛成△3一金打▲1五角△6二玉▲1一龍△2二銀▲1二龍△8九馬で、ソフトの評価値-634で後手有利。

この手順は▲2八飛△2四銀▲同飛に△7八角成と金をぼろっと取られますが、▲2一飛成の桂馬を取っての王手があります。

部分的な進行は棋譜でも見たことがありますが、△3一金打~△2二銀とすると後手が少し指せているようです。

なおこの手順の△2四銀で△7八角成は、▲3三銀成△6九金▲4八玉△3三桂▲2一飛成△4一銀▲1八角で、ソフトの評価値+99で互角。

この手順の先に△7八角成とする手には▲3三銀成があり、△6九金として▲4八玉で後手の馬は飛車で取られませんが▲2一飛成とされますと互角になります。

よって△4五角に▲2八飛と引いた手には△2四銀とするのが正着のようで。これで後手が少し指せているようです。

相早繰銀の狙い筋が参考になった1局でした。

上部を手厚くして寄せに役立てる

上図は、後手ゴキゲン中飛車に先手▲3七銀型の超速からの進展で△5二同銀と成桂を取った局面。ソフトの評価値+1240で先手優勢。

駒割りは角金銀と飛桂の交換で先手が大きく駒得しています。

また先手玉は金3枚で囲っており、後手の龍も先手玉から大きく離れているので先手が指せているようです。

評価値が1000以上なので、よくある予想勝率は先手が80%は超えていると思われます。

将棋ソフトの評価値が800では予想勝率が79%で、1500では92%とネットにのっていました。

自分の使っているソフトは比較的古いので同じ条件にはならないと思いますが、参考になりそうです。

そのような意味では、先手はこれから優勢からどのようにして勝勢にするかという局面のようです。

ただし実戦的にはまだ後手玉に直接的な寄せが見えていない段階なので、対局中はまだ難しいと思っていました。

自分の場合はこれくらいから形勢逆転というのはよくあることです。

実戦は▲4五馬△8六香▲同銀△7四桂で、ソフトの評価値+464で先手有利。

この手順は▲4五馬として次に▲3五馬から6二の地点を攻めるつもりだったのですが、後手は△8六香~△7四桂としてきました。

後手の指し手は自然なのですが、これで形勢はだいぶ差が接近したようです。

評価値が300だと予想勝率が62%とネットにのっていたので、それにあてはめると評価値464では予想勝率67%くらいになります。

この数値を見ると、とても自分の棋力では67%もあるように思えません。

先手有利というよりほぼ互角といった感覚です。

8七の地点に空間があいて、△7五桂と打たれるような筋になると危険なのでそのような展開は避けなければいけません。

△7四桂には▲7六香と打って△8六桂には▲同歩で、ソフトの評価値+495で先手有利のようです。

先手の▲7六香は△7五桂を消したのですが、△8六桂とすることで8七の地点に空間があくのが少し気になります。

▲8六同歩以下△9七歩成のような筋も気になりますが、▲同香に△9八銀は▲7三香成で、ソフトの評価値+3129で先手勝勢。

この手順を見ると▲7六香はただ受けただけの手でなく、将来的に▲7三香成として後手玉を寄せるのに役立つ駒になっているようです。

▲7三香成に△同桂なら▲7四桂、△7三同玉なら▲6四銀△8二玉▲7四桂といった感じです。

ここまで考えていて▲7六香と打てるなら相当強いですが、早指しでの自分の棋力では難しいようです。

なお▲4五馬が相当甘い手だったようで、▲4五馬では▲7四銀打がありました。ソフトの評価値+1054で先手優勢。

この手順の▲7四銀打は5五に馬がいるため後手は銀を取れません。

次に▲8五銀があるので後手は△8六香としますが、▲同歩とした局面がなんと後手玉に詰めろがかかっています。

▲8三銀成△同玉▲8四香△7二玉▲8三銀△7一玉▲8二銀成までの詰めろです。

これも指摘されればなるほどですが、こういう局面では上部を手厚くするのはとても大事なようです。

得に香車という駒は遠くまで利きが通るので、金駒と香車が1枚あるだけで詰み形という典型的なパターンです。

△8六香とすれば角と香車の交換で先手が駒損ですが、それ以前は先手が大きく駒得していたので△8六香を恐れることはなかったようです。

7四の銀と7五の銀が上部に手厚いので、これを見ると先手は負けにくい形のようです。

▲7四銀打以下△8六香▲同歩△7二金▲7三銀成△同桂▲7四香△8一桂▲7三香成△同桂▲7四桂△7一玉▲6二香成△同金▲8二銀△6一玉▲7三銀成で、ソフトの評価値+5255で先手勝勢。

この手順も7四の銀が受けだけでなく攻めに役立っている例で、これくらいが読めて初めて評価値が最初の1240くらいということのようです。

手厚くするだけでなく寄せに役立てるというのが大事なようです。

上部を手厚くして寄せに役立てるのが参考になった1局でした。