上図は、相掛かりからの進展で△4七銀打とした局面。ソフトの評価値+743で先手有利。
△4七銀打は王手なので、▲4七同金とするか玉が逃げるかのどちらかになります。
先手玉に即詰みはありませんが、後手玉は▲3二銀成以下の詰めろになっています。
そのような意味で、お互いの玉の危険度を確認しながら指し手を決めることになるので難易度が高くなります。
実戦は△4七銀打以下▲同金△同銀成▲同玉△4六角成▲3八玉△6八飛成▲2七玉で、ソフトの評価値-745で後手有利。
この手順は4七の地点で清算してから△4六角成とする手で、以下後手は龍を作って▲2七玉と逃げる展開です。
後手は金駒を1枚余計に渡しましたが、これで駒の損得はなくなり後手は馬と龍を作ることに成功しました。
ただし▲2七玉の局面は先手玉に即詰みはありません。
先手は銀を2枚もらいましたが、2九の飛車の利きに2七の玉がいる形になったので後手玉の詰めろは消えたようです。
こういうところは時間の短い将棋では読みを入れるのが難しいです。
後手玉に詰めろがかかっていなければ、▲2七玉に△8七桂成と金を補充してこれが△3六馬▲同玉△3五金▲2七玉△2六金打の詰めろでいいような感じです。
ただし、△8七桂成には▲1七玉があるようで、これが先手玉の詰めろを消しながら後手玉に▲3二銀成△同玉▲4一角以下の詰めろをかけることができます。
▲1七玉には△2八金のような手で詰めろを消しながら先手玉に迫ってどうかという展開ですが、とても冴えた読みがないとこれらの手順も浮かびません。
なお最初の局面図で▲4七同金では▲2七玉がありました。
▲2七玉△4八銀不成▲1七玉で、ソフトの評価値+99967で先手勝勢。
この手順は驚いたのですが、▲2七玉と逃げ△4八銀不成に▲1七玉と逃げると先手玉の詰めろが消えて後手玉が▲3二銀成以下の詰めろになっています。
この手順のポイントは2九の飛車が後手陣に直通していることです。
これで評価値が99967になりましたが、これは自分の認識では珍しいパターンです。
999・・という表示が出るのは相手玉に即詰みがある状態がほとんどなのですが、詰めろの段階で出るのは珍しいです。
詰めろの段階で出るということは後手玉に受けがない状態のようです。
▲1七玉に△1二金なら▲5三角△2二玉▲3二銀成△同玉▲4二と△2二玉▲3二金△1三玉▲2五桂△2四玉▲3三桂成△2五銀▲同飛△同玉▲2六角成△2四玉▲2五銀△1三玉▲1四銀△同玉▲1五馬△1三玉▲1四銀まで詰みです。
この手順は△1二金として2三の地点を受けて詰めろを消したつもりですが、今度は▲5三角の王手がありました。
これで詰み筋に入っているようで、3七の桂馬が▲2五桂と跳ねると先手の駒がすべて躍動する形になります。
最後の詰み筋は頭の中で解けるくらいになればいいのですが、まだ自分の棋力としては詰んでもおかしくないという感覚なので、このあたりの読みを少しでも深くしたいです。
意外な受け方で有利から勝勢になるのが参考になった1局でした。