対抗形の居飛車の駒組み

上図は、先後逆で居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△7四歩と突いた局面。ソフトの評価値-316で後手有利。

先手の振り飛車ミレミアムに対して後手の居飛車が穴熊にした展開です。

△7四歩と突いた局面でソフトは後手有利になっていますが、実戦的には全く互角の感じです。

対局中は5三の銀を3一まで引けたら理想かななどと思っていましたが、居飛車はどのような形で仕掛けるかが毎回悩みます。

実戦は▲2五飛△8六歩▲同歩だったのですが、以下変化手順で△8八歩▲9七桂△8九歩成▲6五飛△8三飛で、ソフトの評価値-376で後手有利。

この手順の▲2五飛ですが、このような手があるのは知りませんでした。

棋譜並べなどで思い出そうとしても思い出せなかったです。

プロの先生の実戦であったのかは不明ですが潜在的にあるような手だったようで、▲2五飛は自分の使っているソフトも推奨手でした。

▲2五飛の狙いは2つあるようです。

1つは▲6八角~▲3五歩として3筋で戦いを起こす手で、玉頭で戦いを起こすことであまり見慣れない形になりそうです。

もう1つは、▲9七桂~▲8五飛とぶつける手で、飛車交換を目指す形です。

どちらの狙いも居飛車側の駒組み次第という感じです。

実戦は▲2五飛に△8六歩と突き▲同歩だったのですが、▲同角もあったようです。

▲8六同角の形はいつでも▲5三角成と殺到する筋もあるので、働きは悪くないようです。

▲8六同角に△6四歩とすると、先手は1歩得に満足して▲5五飛と5筋に飛車を戻す手もありそうです。

実戦の△8六歩▲同歩には変化手順で△8八歩と打つ手があったようで、以下後手はと金を作りますが先手は飛車成りや飛車交換の筋を見せながら後手陣の形を少し崩すような指し方です。

先手は後手のと金が働かないうちに飛車交換をして飛車を敵陣に打つような形ですが、7七の角が少し使いづらいのでこのような展開も後手は有力だったようです。

早い段階で△8六歩と突いたので、後手はこのような前向きな指し方をした方がよかったです。

なお△8六歩と突くところではソフトは△4二角を推奨していました。

▲8五飛△4二角▲3八金寄△6四銀▲6五歩△5三銀で、ソフトの評価値-405で後手有利。

この手順の△4二角はぱっと見狙いが分かりにくいです。

後手の2四の角が質駒なのでそれを避けたという意味はありますが、数手前に△2四角と上がったばかりなので全く考えていませんでした。

先手の2五の飛車の可動域は狭いですが、将来▲2六飛と引くような手もあり簡単には小駒で取られない形のようです。

△4二角に▲3八金寄は自然な手ですが、次の△6四銀が自分は全く浮かばない指し方です。

△4二角と△6四銀はセットみたいな手ですが、自分は対抗形は玉の守りを金銀4枚で囲いたいという意識があるので、△6四銀と反対側に使う筋が全く読めないという感じです。

ただし、この場合の△6四銀は▲9八香なら△2四歩▲2六飛△7五歩のように先手の飛車の働きを悪くしてから右側で戦いを起こします。

また△6四銀は△2四歩に▲6五飛△同銀という狙いもありますので、▲2六飛しかなく△7五歩で後手が調子がいいです。

よって△6四銀に▲6五歩と突いて△5三銀と引きます。

後手は△4二角と△5三銀と2手損した形ですが、玉を固めるような将棋で手待ちをするようなケースもありあまり手損は気にならないという感覚です。

△5三銀以下▲5五角△6四歩▲7七角△7三桂▲6四歩△6二飛で、ソフトの評価値-432で後手有利。

この手順は▲5五角の飛車取りに△6四歩と突く手で、次に△8六歩がありますので▲7七角と戻ります。

以下△7三桂に▲6四歩と歩を取り込みますが、△6二飛と歩の切れた筋に飛車を回るのがよくある指し方で後手が少し指しやすいようです。

対抗形の居飛車の駒組みが参考になった1局でした。

悪いと思った局面が有利だった

上図は、先後逆で角換わりからの進展で△7六銀と打った局面。ソフトの評価値-345で後手有利。

対局中は攻め方が失敗したと思って悲観していましたが、後からソフトで検討してみるとこの局面が後手有利だったのは驚きました。

仕方なく銀を打ったつもりで攻めが切れたら投了級かと思っていたので、全く形勢判断ができてなかったようです。

攻め駒は飛車と銀と桂馬と香車と持ち駒の歩2枚で、後手としてはぎりぎりの攻め駒という感じですが、攻めが鋭いとこのような局面でも有利と判断できるようです。

△7六銀に▲7八金なら△7七歩▲同桂△同桂成▲同金△同銀成▲同玉△7六歩▲同玉△6四桂▲7七玉△7六金▲6八玉△5六桂▲同歩△8七飛成で、ソフトの評価値-2573で後手勝勢。

この手順は変化手順ですが、▲7八金と受けるのは△7七歩からの攻めが厳しく、清算しから△7六歩と打って以下飛車が成るのは後手としては理想的です。

実戦は▲6九角△9七歩だったのですが、△9七歩で△8六歩▲同歩△8七歩▲9七玉△9五香▲9六歩△同香▲同玉△8八歩成で、ソフトの評価値-459で後手有利。

この手順の▲6九角の受けには△8六歩~△8七歩があったようで、持ち駒の歩2枚を使ったぎりぎりの攻めです。

△8七歩に▲同角なら△8六飛が調子がいいので▲9七玉とかわしましたが、△9五香~△9六同香~△8八歩成がうるさいです。

後手の攻め駒はやや不足気味ですが、先手玉も守り駒がいないので攻め合いの形にはなりません。

△8八歩成に▲9三歩なら△9四歩▲9二歩成△9九と▲9五歩△8四飛▲7九香△7七歩▲5八角△8三香▲7五角△9五歩▲同玉△9四歩▲9六玉△7四飛▲9三角成△8三金▲7五歩△8四飛で、ソフトの評価値-2293で後手勝勢。

この手順は▲9三歩とと金作りで後手も嫌な形ですが、この場合は△9四歩~△9九とが次に△9五香の詰めろになります。

以下手数は長いですが、後手は入玉を防いで6二の金も△7三金と活用するのがよく後手勝勢のようです。

△7六銀に▲8六角なら△同飛▲同歩△6六角で、ソフトの評価値-375で後手有利。

この手順は▲8六角として8七の地点を受ける形ですが、△8六同飛~△6六角がうるさいです。

先手は7四に歩があるため▲7七歩と打つことができません。

△6六角以下▲7九玉△9九角成▲5一飛△2二玉▲9一飛成△6七歩▲5八金△7七桂不成▲同桂△6六香▲8九桂△7七銀成▲同桂△同馬で、ソフトの評価値-50000で後手勝勢。

この手順は△9九角成と香車を補充する手が意外と厳しく、先手は▲5一飛と飛車を内側から打って△2二玉に▲9一飛成と香車を補充しました。

後手が甘い手を指せば▲2六香と打って玉頭から攻める狙いですが、△6七歩が厳しく▲5八金右と逃げると△7七桂不成が△8九馬の詰めろになります。

よって▲同桂としましたがそこで取った香車を△6六香と打つのが継続手で、次に△6八歩成▲同金△同香成▲同玉△7七馬▲5八玉△5九金の詰めろになっています。

後手の攻めはやや細いと見ていたのですが、守り駒が少ない玉を攻めるのは結構効果的で、攻めが急所にくると形勢が大きく傾くようです。

これらの手順は先手がどこかでまずい手を指したので大きく形勢が傾きましたが、後手の狙いとしては分かりやすかったようです。

実戦は△7六銀の局面ではややあきらめモードが入っていましたが、何か手がないかとひねり出すくらいの気力も必要だったようです。

局面を悲観的に見すぎてあきらめたら勝負所がなくなってしまいます。

あきらめが悪いというのもこうして見ると結構大事なようです。

悪いと思った局面が有利だったのが参考になった1局でした。

端の垂れ歩で攻めを繋げる

上図は、先後逆で角換わりからの進展で▲4四歩と歩を取った局面。ソフトの評価値-297で互角。

後手が先に仕掛けた展開で後手が2歩損しています。

持ち駒の歩が1枚だと攻め方に苦労しやすいですが、2歩あるので何とかうまく手を繋ぎたいです。

先手は4四に歩が伸びてきているので将来▲4三銀と打ち込まれる可能性もあり、後手としてはその筋も気になります。

後手は7六に歩が伸びているのと9筋の歩を切っているので、7筋~9筋でうまく手が作れるか大事になりそうです。

よって後手は飛車と角と桂馬と香車をうまく攻めに使いたいです。

実戦は△4六歩▲4八金△5九角▲7四歩で、ソフトの評価値-114で互角。

対局中は△4六歩が魅力的な手に見えてしまいました。

△4六歩に▲同金なら3七の桂馬が浮くので、どこかで△5九角~△8六歩の筋で面白いかと思って指しました。

また△4六歩に▲4八金なら、先手の飛車の利きが止まるのといつでも△3九銀や△3九角の筋がありうまくいけば手になるかと思っていました。

以下▲4八金△5九角に▲7四歩という展開ですが、この展開はやや急所をはずしたようです。

△4六歩はソフトの候補手に上がっておらず、△4六歩と打ったから後手が不利になるまではなかったのですが、あまりいい手ではなかったようです。

なお△4六歩には▲同金もあったようで、以下△5九角なら▲4七金と先手は徹底的に受けに回る手もあったようで、攻める側は形勢を甘く見がちになりそうです。

△4六歩では△9七歩がありました。

△9七歩は9筋からの攻めで、先手は対応に悩みます。

△9七歩に対して先手は2通りの手が気になります。

1つは△9七歩に▲9七同香です。

△9七歩▲同香△8五桂▲9六香△3三角▲6七銀△4四角▲5六金△6四歩で、ソフトの評価値-480で後手有利。

この手順は後手の攻めに対して先手は▲9七同香~▲9六香と徹底的に受けに回る手で、ここから後手がどのように手を繋ぐかが気になります。

▲9六香に△7七歩成は▲同桂△9七角▲9八玉△7七桂成▲同銀△7五角成という攻め方もありそうですが、△3三角と自陣に角を打つのが興味深いです。

後手の角で先手玉のコビンを攻める意図ですが、敵陣に打つ角と違い生角なのでかなり指しにくいです。

先手は▲6七銀~▲5六金と金駒を守りに使いますが、後手も△4四角~△6四歩と歩を使った細かい攻めで後手が少し指せているようです。

後手はがんがん攻めるのでなく、力を蓄えて攻めるという感覚が参考になります。

もう1つは△9七歩に▲4五桂です。

△9七歩に▲4五桂なら△9五香▲6四角△4五銀▲同銀△9八歩成▲同香△同香成▲同玉△6九角▲3四銀△4二歩で、ソフトの評価値-370で後手有利。

この手順の▲4五桂は少し浮かびにくい手で、正直狙いが分からなかったのですが△9五香に▲6四角と打って攻防に利かす形です。

▲6四角と打つことで次に▲5三桂成が狙いになります。

後手は△4五銀と銀と桂馬の交換をしてから△9八歩成から9筋を攻めます。

後手の攻めがやや軽いのですが、次の△6九角が期待の手で7八の地点と8七の地点の両方を狙う形です。

以下▲3四銀に△4二歩と受けてこの局面がどうかという形です。

後手の3一の玉は先手の攻め駒に対して遠い位置にいるので、やや安心感があります。

また、場合によっては△4一玉~△5二玉と中央に逃げることもできるが大きいです。

そのような形になると6二の金も守りに利いてきます。

△4二歩以下▲4六香△8二香▲8八銀△9五桂で、ソフトの評価値-50000で後手勝勢。

この手順はうまくいきすぎで▲4六香は▲4三歩成の狙いですが、△8二香の攻め合いの方が厳しく▲8八銀と打っても△9五桂を駒を足して後手勝勢です。

△9五桂以下は▲8六歩△同香▲同角△同飛▲8七歩△9六角▲8六歩△7八角成で、ソフトの評価値-50000で後手勝勢。

後手の△6九角からの狙いはこのような感じでした。

端の垂れ歩で攻めを繋げるのが参考になった1局でした。

端に歩を垂らして攻めを継続する

上図は、先後逆で角換わりからの進展で▲4五歩と突いた局面。ソフトの評価値-466で後手有利。

対局中は▲4五歩と突いた瞬間は先手から厳しい手がないので、ここは後手として攻めるチャンスだと思っていました。

後手が少し指しやすいと思っていましたが、後手有利までは気がつきませんでした。

このような局面で少しでも形勢を維持して、できれば有利から優勢にしたいです。

後手は攻めるとすれば手が広いところですが、実戦の進行はあまりよくなかったようです。

実戦は△8八歩▲同玉△7六歩で、ソフトの評価値-266で互角。

この手順は、△8八歩として先手玉を攻め駒に近づけて△7六歩と取り込む手です。

対局中はこれでまずまずかと思っていましたが、よく考えると▲8八玉で9筋と7筋がかえって安定したように感じました。

後手の攻めが少し難しくなったという意味です。

後手の持ち駒が豊富なら△8八歩のような手はありそうですが、現状はまだ攻め駒と守り駒が対等な感じなので少しタイミングが早かったようです。

攻めるときはつい厳しい手を意識しがちですが、まだ手を作る段階なのであまり強い手でなくリスクの少ない手を考えた方がよかったです。

△8八歩では△9七歩がありました。ソフトの評価値-467で後手有利。

この手は△9七歩で、数手前に9筋の歩を突き捨てたのでそれをいかす形です。

先手は桂馬と香車で9筋を守っていますがやや薄いので、後手としてはそこに目をつけるのが自然だったようです。

△9七歩に先手は色々な手がありそうです。

△9七歩に▲同香なら△9八歩▲8八角△7六歩▲4四歩△8五桂▲6八玉△9九歩成▲同角△9八角▲8八金△9七桂成▲同桂△8七角成で、ソフトの評価値-721で後手有利。

この手順は▲9七同香には△9八歩が細かい攻めです。

△9八歩に▲8八玉は△9九角~△6六角成がありますので▲8八角と辛抱しましたが、後手は△7六歩~△8五桂で攻めが継続できそうです。

△9七歩に▲7五銀なら△9五香▲8八玉△8五桂▲8六歩△7七歩▲7九金△9八歩成▲同香△同香成▲同玉△7三香で、ソフトの評価値-796で後手有利。

△9七歩に▲7五銀は難しい手ですが、後手から△7六歩と取り込まれる手を防いだとか、▲7五銀として浮いていた6六の銀にひもをつけたという意味があります。

ただし、△9五香から9筋を攻める形になるので後手としては満足です。

△9七歩に▲8六角なら△4九角▲6七銀△6五銀▲同銀△同桂▲6六歩△3八銀▲5六金△6七角成▲同金△2七銀打▲同飛△同銀成▲6五歩△3七成銀で、ソフトの評価値-992で後手優勢。

この手順の▲8六角は冴えない受けのようですが、△7六歩には▲7四歩△8五桂▲7三歩成△同金▲5三角成のような狙いがあります。

うかつに△7六歩とは取りにくいのですが、△4九角と利かせて▲6七銀に△6五銀かから桂馬を活用するのがいいようです。

▲6六歩に△3八銀もうっかりしやすい手で、▲5六金には△6七角成~△2七銀打で飛車を取りにいくのが鋭く後手が指せているようです。

△9七歩に▲4四歩なら△9五香▲4五銀△9八歩成▲5四銀△同歩▲4三銀△4二歩▲3二銀成△同玉で、ソフトの評価値-725で後手有利。

この手順は先手は攻め合いに出た手で、後手も9筋からと金を作る展開です。

先手は銀を取ってから▲4三銀と打ち込む形で、先手が素早く攻めているようですが△4二歩と受けて▲3二銀成△同玉の形でどうかという局面です。

後手の守り駒は少なくなりましたが先手もやや駒不足で、後手からは楽しみな手が多いです。

△3二同玉に▲4五桂なら△6七歩▲6九玉△3九銀▲5八飛△6八銀成▲同金△同歩成▲同玉△8七飛成で、ソフトの評価値-2281で後手勝勢。

この手順は▲4五桂は甘い手でうまくいきすぎですが、△6七歩と垂らすのが厳しく、▲6九玉の早逃げには△3九銀と反対側から飛車を責める形で以下後手勝勢です。

端に歩を垂らして攻めを継続するのが参考になった1局でした。

角換わり腰掛銀の仕掛け方

上図は、先後逆で角換わりからの進展で△6五歩と突いた局面。ソフトの評価値-198で互角。

先手が早い段階で▲2二角成としたため、実質的には先手と後手が変わったような展開です。

基本的に自分から角換わりの将棋にすることはないのですが、相手が角交換をすると自ずとそのような展開になります。

そのため角換わりの将棋も見ておかないと感覚がなじまないことがあるので、このあたりは気をつけています。

対局中は後手番だったのが実質先手番になり、角換わり腰掛銀から先に仕掛ける形になったのでまずまずかと思っていましたが、ここからが毎度のこと難しいところです。

△6五歩に先手も手が広いところですが、受けに回るなら▲6五同歩や▲6八飛が浮かびます。

対局中は相手の方は▲4五歩は多分指さないように思っていました。

先手は角交換腰掛銀の▲5八金~▲4七金とやや旧型のような指し方で、相手の手にのって指すような感じがしたので、ここで攻め合いは何となくなじまないかと思っていました。

ただし、局後のソフトの検討では△6五歩には▲4五歩を推奨していました。

△6五歩に▲4五歩なら△6六歩▲同銀△8六歩▲同歩△4五歩▲同桂△4四銀▲4六歩△8五歩▲同歩△6五歩▲7七銀△8五桂で、ソフトの評価値-210で互角。

この手順は△6五歩に▲4五歩と攻め合いに出た手で、以下△6六歩~△4五歩と自陣に手を戻す形で、後手は△8五歩と継ぎ歩をしてから△6五歩~△8五桂の攻め方が鋭いです。

形勢はそれでも互角のようです。

△6五歩に▲6八飛なら△2二玉▲6五歩△同桂▲同銀△6七歩▲同飛△5八角で、ソフトの評価値-642で後手有利。

この手順はうまくいきすぎですが、▲6八飛に△2二玉は対局中は多分指せなかったと思います。

▲6五歩と歩を取れば△同桂が盲点で、▲同銀には△6七歩~△5八角が狙い筋で先手の▲4七金型の欠点をついています。

実戦は△6五歩以下▲同歩△7五歩▲6六銀で、ソフトの評価値-270で互角。

この手順は昭和や平成の頃の角換わり腰掛銀によく出る指し方で、▲6五歩と歩を取れば△7五歩が攻めの形です。

△7五歩のような手に▲同歩と応ずることはほとんどなく、△6五桂で後手の攻め駒に勢いがついてきます。

△7五歩に▲6六銀が受けの形で、相手の方はじっくりとした受け将棋のような印象をうけました。

実戦は▲6六銀以下△9五歩▲同歩△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8一飛で、ソフトの評価値-167で互角。

この手順は後手は△9五歩の突き捨てから8筋の歩を交換する形で、攻め合いの形でなく後手が先に動く形になったのでまずまずかと思っていました。

ただし、△9五歩はソフトの候補手にありましたが推奨手ではありませんでした。

ソフトは△9五歩では△4九角を推奨していました。

△4九角▲6七角△同角成▲同銀△9五歩▲同歩△7六歩で、ソフトの評価値-217で互角。

この手順は△4九角と敵陣に打つ手で、先手は▲4七金型なのでこのような手が生じます。

先手は▲6七角と合わせて以下△同角成~△9五歩~△7六歩とする手です。

先手の5六の銀が▲6七銀と引く形になったので、先手玉の守りは少し堅くなった印象がありますが、先手からの攻め合いにはなりません。

先手はもたれるような指し方で相手の手をけん制するような感じになりそうです。

後手としては攻めの手を継続できるかがポイントになりそうです。

△7六歩以下▲同銀△8六歩▲同歩△同飛▲8七金△8一飛▲8六歩△7五歩▲同銀右△6五銀で、ソフトの評価値-377で後手有利。

この手順は▲7六同銀に後手は8筋の歩を交換する手で、以下▲8七金~▲8六歩と先手は辛抱します。

後手はどこに争点を求めるかですが、△7五歩▲同銀右に△6五銀として銀が捌けそうな形になったので後手が少し指せているようです。

やはり攻めるときはどのようにして攻めの争点を作るかが大事なようです。

角換わり腰掛銀の仕掛け方が参考になった1局でした。

攻め急ぐ前に自陣に手を入れる

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△9二歩と受けた局面。ソフトの評価値+832で先手有利。

駒割りは飛桂と銀の交換で先手が駒得しており、後手は歩切れなので先手が少し指せているようです。

9筋を詰めたのは大きいのですが、後手から次に△6八歩成が見えているので先手がどうするかという局面です。

△6八歩成とされてもまだ先手玉に詰めろがかかるわけではなく、先手は3八に飛車がいるので意外と簡単に詰めろはかかりません。

ただし先手の攻め駒も少し不足気味で、うまい手があれば後手玉が寄りそうな気もしますが微妙です。

対局中は先手は受けてもかえって危ないと思って攻めることにしました。

実戦は△9二歩以下▲9三桂△同歩▲同歩成△同香▲同香不成で以下変化手順で△8二銀打で、ソフトの評価値+516で先手有利。

この手順は9筋から攻める手で、後手は金銀4枚で守っていますが9筋が薄いのでそこを攻めるのは自然な感覚です。

▲9三桂以下▲9三香不成として次に▲9一飛を狙うことにしました。

▲9三香不成に△6八歩成と攻め合いにきましたが、▲9八香△9五歩▲同香△8二玉▲6八金△同成桂▲同飛△同馬▲8五桂で、ソフトの評価値+50000で先手勝勢。

この手順はうまくいきすぎたのですが、△6八歩成には▲9八香と9筋に香車を足すのが次に▲9二香成の詰めろで、以下△9五歩~△8二玉とあやを求めますが、▲6八金~▲同飛で桂馬を入手してから▲8五桂で後手受けなしで先手勝勢です。

このように急所にはまればうまくいくのですが、▲9三香不成には△8二銀打とまだ大変だったようです。

△8二銀打以下▲9八香△9三銀▲同香成△9二歩で、ソフトの評価値+580で先手有利。

この手順は▲9八香には△9三銀とあっさり清算するのが盲点で、以下▲同香成に△9二歩が意外としぶとい受けです。

先手は攻めを繋ぐなら▲9四歩としますが、△9五香で先手は歩の合駒ができず、飛車や銀の合駒や▲9七桂では先手は逆転模様になります。

これらを見ると先手は相手が少し甘い手を指せばうまくいきますが、正確に指されると結構大変なようです。

▲9三桂では▲6七金左がありました。ソフトの評価値+951で先手優勢。

この手順は▲6七金左とと金の卵の歩を取る手です。

後手はと金を作るのが楽しみだったのでそれを無くして先手は清算しようとします。

ただし、この瞬間が後手の手番なので何かうまい手があるかが気になります。

▲6七金左に△4九馬なら▲5七金△3八馬▲9三桂△同歩▲同歩成△同香▲同香成△9二歩▲同成香△同玉▲9八香△9三香▲同香成△同玉▲9八香で、ソフトの評価値+3145で先手勝勢。

この手順はうまくいきすぎですが、△4九馬なら▲5七金とあっさり飛車を渡すのがうまく、後手は△3八馬としても馬が遊ぶ形なので▲9三桂から寄せきることが可能です。

▲6七金左に△同成桂なら▲同金△4九馬▲6八飛△7八銀▲7七金△8九銀成▲同玉△8五桂▲9三桂△同歩▲同歩成△9七桂打▲同香△同桂成▲同銀△9三香▲8五桂△9二歩▲9三桂成△同歩▲8五桂で、ソフトの評価値+1513で先手優勢。

この手順は△6七同成桂~△4九馬ですが、▲6八飛がしっかりした受けの形です。

後手は△7八銀~△8九銀成~△8五桂とあやを求めますが、やはり▲9三桂からの攻めが厳しいようです。

先手は自陣がだいぶ安全になると攻めに専念できるのが大きいようです。

攻め急ぐ前に自陣に手を入れるのが参考になった1局でした。

攻め急ぎでなく受けに回って持ち駒を増やす

上図は、先後逆で角換わりからの進展で▲6四桂と打った局面。ソフトの評価値+459で先手有利。

対局中は▲6四桂が見えておらず、指されてみると後手玉だだいぶ狭いです。

先手は5五の馬と6五の銀と5四の歩と3二の成桂と6四の桂馬の5枚の攻めで、受けてもきりがないのかと思っていました。

実戦は▲6四桂以下△3七歩▲同玉△4八角▲2七玉で、ソフトの評価値+337で先手有利。

この手順の△3七歩~△4八角は狙い筋の1つでこれもあったようですが、やや形を早く決めすぎたとも言えそうです。

後手が先手玉を攻めるのはまだ駒不足ですが、金駒が1枚でも入ると状況が変わってきます。

後手陣は危ない形ですがまだ即詰みはなく、後手玉を寄せるまでにはもう少し手数がかかります。

また先手が攻めるということは後手の持ち駒が増える可能性が高いです。

そのような意味で後手は受けに回って苦しいところですが、カウンター狙いでもう少し辛抱する手はあったようです。

△3七歩では△6二金がありました。ソフトの評価値+567で先手有利。

この手順の△6二金ですが、金を逃げただけで相手の攻め駒は盤上に多くなったのでかなり危険にも見えます。

先手の持ち駒に飛車があれば▲4一飛の1手詰めなので、気分的には先手はうまく指せていると思いますが、これから後手玉を具体的に寄せるとなるとそれなりに大変です。

先手は早く勝ちを決めたいと意識すると厳しく攻めることになりますが、それが後手の狙いでもあるようです。

対局中にそこまで余裕があれば大したものですが、それは対局後の検討だからできるのであって実戦でするのは勇気がいります。

それでもそれを少しずつ乗り越えていくと、意外と中終盤の指し手に幅が広がるかもしれません。

△6二金以下▲3三成桂△同桂▲5三銀△2六歩で、ソフトの評価値-488で後手有利。

この先手の手順はソフトの推奨する手ではありませんので、あまりいい手ではない可能性が高いです。

この手順は自分にとって不思議なのですが、先手は▲3三成桂と銀を取ってから▲5三銀と打ち込みます。

攻めっ気が強い人はこのような手順で後手玉に迫ると思いますが、意外にもこの展開は先手にとってよくありません。

普通に考えると▲3三成桂は銀と桂馬の交換で先手が駒得をしており、相手の金駒を取って守りが少し弱体化しているので先手がポイントを上げているように思います。

また▲5三銀の打ち込みはさらに後手陣を薄くするためによくある手で、このようにかさにかかって攻めてくる場合は攻めている方に勢いがあります。

ところが不思議なことに▲5三銀と打った局面は、なぜか後手の方に評価値が上がっています。

これが将棋の面白いところで、心理的には後手は攻められているのですが実は形勢は後手の方に傾きかけています。

後手は持ち駒に桂馬は入っただけですので大きな戦力増にはなっていないはずですが、先手が▲5三銀と打った形なので将来その銀も後手の持ち駒になる可能性が高いです。

▲5三銀は後手の質駒になるという考えです。

そのように考えると、後手の持ち駒は最初の局面図の角銀歩から角銀銀桂歩になる可能性が高くなります。

▲5三銀に後手は△2六歩と垂らすのですが、このような手が実戦的には結構うるさいです。

△2六歩に▲3四歩なら△2七銀▲同飛△4九角▲4七玉△2七歩成▲6二銀成△同玉▲7二桂成△5二玉▲5三金△4一玉▲3二銀△同玉▲4三金△同玉▲3三歩成△同玉▲4五桂△3二玉で、ソフトの評価値-5940で後手勝勢。

この手順は▲3四歩と力をためた手ですが、後手は△2七銀~△4九角が強烈です。

後手は銀を渡して飛車を取る手順で、以下▲6二銀成から後手玉が寄るかどうかという将棋になります。

結果的に後手玉は不詰みだったようですが、玉の逃げ方によっては詰む手順もありますのでこのあたりは際どいです。

△2六歩には▲同飛や▲同金でまだこれからの将棋のようですが、実戦よりははるかによかったようです。

攻め急ぎでなく受けに回って持ち駒を増やすのが参考になった1局でした。

自陣の傷を消して辛抱する

上図は、先後逆で角換わりからの進展で▲5六角と打った局面。ソフトの評価値+117で互角。

先手が右玉に対して後手が△3三銀△4三金左の形で、昭和の時代に流行ったやや古い指し方です。

対局中は▲5六角は攻防の角であまり見えていませんでしたが、指されてみるとなるほどという手です。

ソフトの候補手にはありませんでしたが、何となくいい手だと思っていました。

後手は9七のと金を活用したく、できれば△8七と~△7八とで金得を目指したいです。

できれば飛車成りまで進めば理想的ですが、相手もいることなので簡単にはいきません。

実戦は▲5六角以下△8七とに▲8二歩△同飛だったのですが、▲8二歩で▲2四桂△4二玉▲6四桂で、ソフトの評価値+241で互角。

この手順は△8七とでせっかく9筋にと金を作ったので活用する意味で指しました。

実戦は△8七とに▲8二歩△同飛を入れてから▲2四桂だったのですが、単に▲2四桂もあったようで、以下△4二玉に▲6四桂と攻める形です。

実戦的には互角になってますが、この局面の後手玉は角と銀と桂馬2枚と5四の歩で攻められており、先手の攻めを振りほどけるかどうかという勝負です。

後手玉だけ終盤戦に入っているような感じで、後手にとってはやや危険な形かもしれません。

▲6四桂に△6二金▲2三角成△5四銀の瞬間に先手から技がかかるかどうかという展開になりそうです。

△8七とでも大丈夫と思って指すのならいいのですが、△8七とと攻めるもうっかり先手に攻められる展開になるというのは後手の指し方としてはやや不本意です。

▲2四桂~▲6四桂と2枚の桂馬で攻められるのが痛いです。

△8七とでは△6四歩がありました。ソフトの評価値+50で互角。

この△6四歩は受けの手ですが、銀取りで将来の▲6四桂のような手を消してます。

▲6四桂のような手は安い駒で相手の守り駒の金を攻める形なので、後手としては痛いです。

△6四歩に▲7六銀なら△5四銀▲9二歩△3六歩▲同金△9二香▲7四角△5七歩▲同銀△7一飛▲5二角成△4七角▲2八玉△7六飛で、ソフトの評価値-2147で後手勝勢。

この手順はうまくいきすぎですが、▲7六銀は甘い手で△5四銀と相手の攻めの拠点の歩を取ることができます。

先手は▲9二歩~▲7四角と角を活用しますが、後手は△3六歩~△5七歩と相手の4七の地点を狙った手で、△4七角が打てれば後手勝勢です。

△6四歩に▲7四銀なら△5四銀▲2四歩△同歩▲6六桂△3六歩▲同金△5七歩▲同銀△6五銀▲同銀△同歩▲2三銀△4二玉▲6五角で、ソフトの評価値-237で互角。

この手順は△6四歩に▲7四銀としますが、△5四銀と銀をかわして5四の歩を取るのが味がいいです。

先手も▲2四歩~▲6六桂と攻めてきますが、△3六歩~△5七歩の叩きの歩をいれていい勝負のようです。

△6四歩以下▲2四桂△4二玉▲7四銀△同銀▲同角△7一飛▲7五歩で、ソフトの評価値+207で互角。

この手順は▲2四桂とスピードアップする手で以下△4二玉に▲7四銀として、攻めを継続します。

▲7四銀に△5四銀もありますが△7四同銀▲同角△7一飛もなかなかの手で、▲7五歩ともたれてこれもいい勝負のようです。

色々な手順を調べましたがやはり最初の局面は結構難しく、後手は結構攻められる展開になりどこかでカウンターで切り返すという将棋のようです。

自陣の傷を消して辛抱するのが参考になった1局でした。

手渡しをして相手に動いてもらう

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△4六歩と突いた局面。ソフトの評価値+644で先手有利。

▲5五角打として▲9一角成の詰めろを狙った手に△4六歩と詰めろを消してきた展開です。

駒割りは角と銀の交換で先手が駒得していますが、後手は5七に成桂を作っており先手は3七の角と3八の飛車が近い形なのでまだ難しいです。

後手玉は9筋が弱いですが、金銀4枚で固めており囲いを崩すのは容易ではありませんん。

対局中はここは先手にとっても勝負所だと思っていました。

実戦は△4六歩以下▲3三角成△4七歩成▲4二馬△3七と▲同飛△4八角▲3八飛△5九角成で、ソフトの評価値+735で先手有利。

この手順は先手は▲3三角成~▲4二馬と桂馬と飛車を取る手で、それに対して後手は△3七とで角を取ってから△4八角~△5九角成ともたれる指し方です。

駒割りは飛桂と角の交換で先手が駒得していますが、後手は成駒を2枚作って将来△6七歩のような垂れ歩で戦力を増やす感じです。

評価値的にはまだ先手有利ですが、実戦は△5九角成に▲9五歩としたのがやや甘く△6七歩でソフトの評価値+434で先手有利。

対局中は▲9五歩と相手玉の薄い端に手をかけてまずまずかと思っていましたが、評価値をだいぶ下げておりこのあたりはあまり形勢判断ができてなかったようです。

先手は穴熊ですが2枚の金を浮いており通常の穴熊より弱いので、そこまで強い戦いはしづらいです。

▲9五歩では▲6四歩と打って△同銀なら▲5四桂△6三金上▲6二歩で、ソフトの評価値+624で先手有利。

この手順は▲6四歩と相手の金駒を直接攻める手で、全く見えていませんでした。

守りの堅いところを攻めるので浮かびにくいということですが、△同銀に▲5四桂が狙いの手で、△同歩なら▲6四馬があります。

よって△6三金上としましたが、▲6二歩と垂らして先手が少し指せているようです。

最初の局面図での▲3三角成はソフトの候補手にも上がっていたので有力だったのですが、ソフトの推奨手は▲2八飛でした。

▲2八飛で、ソフトの評価値+569で先手有利。

この手順は忙しい中盤に▲2八飛と手渡しみたいな手で少し浮かびづらいです。

▲2八飛に△4七歩成なら▲9一角成で後手玉が詰みというのは分かりますが、この瞬間に相手の手番になるので対応できるかが気になります。

▲2八飛に△4三飛なら▲4六角上△6四銀打▲同角△同銀▲同角△4七飛成▲9五歩で、ソフトの評価値+765で先手有利。

この手順は△4三飛と浮いて▲3三角成を受けたのですが、▲4六角上が詰めろと成桂取りで決まったかに見えます。

後手も△6四銀打として粘り▲同角△同銀▲同角は角と銀2枚の交換で先手が駒得です。

以下△4七飛成に▲9五歩と端に手をつけて先手が少し指せているようです。

▲9五歩に△同歩なら▲9一角成△同玉▲9三銀△8二金▲9四香△8一玉▲6五金で、ソフトの評価値+759で先手有利。

この手順は9筋を突き捨てて△同歩なら▲9一角成~▲9三銀として詰めろをかけます。

以下△8二金と粘りますが、▲6五金が地味ながらも攻め駒を増やす手で先手が少し指せているようです。

▲2八飛に△6五歩なら▲同金△6七銀▲同金△同成桂▲5一銀△4五飛▲6二銀成△同銀▲4六角上△5五飛▲同角で、ソフトの評価値+619で先手有利。

この手順は△6五歩~△6七銀とする手で、これが実戦的に一番嫌な手かもしれません。

先手は▲同金△同成桂に▲5一銀を一回入れるのが何気ない手で、相手の金駒を1枚う薄くするのは大きいです。

以下▲4六角上とすれば角の活用も見込まれ先手が指せるようです。

直線的な読みだけでなく手渡しをするような手も指せるようになると、局面の幅が広がるようです。

そういう手が少しでも指せるように盤面全体を見れるようになりたいです。

手渡しをして相手に動いてもらうのが参考になった1局でした。

取ったばかりの桂馬を自陣に打つ

上図は、先後逆で角換わりからの進展で▲5六歩と打った局面。ソフトの評価値-157で互角。

△3六歩に▲5六歩とお互いの桂馬を取りにいった展開です。

対局中は後手玉を直接攻めている形なので少し後手が指せていると思っていました。

ただし、評価値を見ると互角の範囲なのでまだこれからです。

最初は△3七歩成が浮かびましたが▲同金の後の指し方がよく分からなかったので、含みを持たせる意味で△9六歩としました。

△9六歩に▲同歩とすれば将来△9六香として香車を捨てますが歩を補充できるという意味ですが、この手は少し甘かったようです。

実戦は△9六歩▲5五歩△3七歩成▲同金△9七歩成▲5四歩△5五桂で、ソフトの評価値+327で先手有利。

この手順は△9六歩に▲5五歩と先に桂馬を取る手ですが、この手を軽視していました。

▲5五歩と取られてもこの手が駒に当たっていないということで、△3七歩成~△9七歩成が厳しいかと思っていましたが、地味に▲5四歩と歩を取った手がうるさいようです。

先手は右玉で9筋にと金ができても、直接後手玉に響くわけではありませんので先手は余裕があります。

▲5四歩と取り込んだ手は次に▲5五桂と打つ手がありますので、後手は先に△5五桂と打ってどうかという形です。

対局中はよく△5五桂が見えて何とかなりそうと思っていましたが、評価値を見ると先手有利になっているので△9六歩からの構想はいまひとつだったようです。

△5五桂には▲3六桂と打って、将来の△3六歩という手を消して先手が指せているようです。

以下△8七となら▲8二歩と打って△同飛なら▲7三角、▲8二歩に△6一飛なら▲6八金という感じです。

後手としてはと金が働いてできれば金得になるとか、最悪でも飛車が成れる展開にならないと9筋から手を作った効果が薄いです。

1手ぬるい手を指せば先に相手から動かれるという典型的な例です。

△9六歩では△3七歩成がありました。

△3七歩成▲同金△5三桂▲7六銀△9二角で、ソフトの評価値-263で互角。

この手順は△3七歩成と先に桂馬を取る手です。

駒を先に取れるときは取ってから後のことを考えるのが自然だったようです。

▲3七同金としますが、そこで△5三桂と銀取りに打つのが継続手です。

取ったばかりの桂馬を自陣に打つのが少し盲点で、どうしても桂馬は相手玉を攻めるのに使いたいという感覚になりやすいのですが、まだ慌てて攻める形になっていないので自陣を手厚くすると同時にその後の展開をにらんだ手のようです。

▲7六銀とした形は先手の銀が離れ駒になり遊び駒になったのが大きいです。

▲7六銀には△9二角と自陣角を打つのがさらに継続手でこの手は指摘されないと浮かびません。

右玉相手に自陣角というのはたまに出てきますが、5六の歩と7四の歩が角の利きをふさいでいるのでさらに浮かびにくいです。

間接的に角のラインの玉がはいっていますが、歩2枚がじゃまなのでこの歩を消すような狙いになります。

△9二角以下▲4八玉△7五歩▲同銀△5六角▲2八飛△8五飛▲8六銀△同飛▲同歩△3六歩▲同金△4七銀▲5七玉△5八銀成▲同玉△4七角成▲6八玉△3六馬で、ソフトの評価値-1670で後手優勢。

この手順はうまくいきすぎですが、先手は▲4八玉と角のラインから避けたときに後手は△7五歩~△5六角とします。

▲2八飛と逃げた瞬間は後手の桂得なのでここで攻めます。

△8五飛と軽いジャブを出して▲8六銀には強く△同飛~△3六歩が狙い筋です。

▲3六同金と先手の3七の金を無力化にして△4七銀と打ち込む形で、このように進めば5五の桂馬が十分に働いています。

攻め駒が少なくても右玉の弱いところを攻めると手になる典型的な例です。

取ったばかりの桂馬を自陣に打つのが参考になった1局でした。