上図は、先後逆で居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△7四歩と突いた局面。ソフトの評価値-316で後手有利。
先手の振り飛車ミレミアムに対して後手の居飛車が穴熊にした展開です。
△7四歩と突いた局面でソフトは後手有利になっていますが、実戦的には全く互角の感じです。
対局中は5三の銀を3一まで引けたら理想かななどと思っていましたが、居飛車はどのような形で仕掛けるかが毎回悩みます。
実戦は▲2五飛△8六歩▲同歩だったのですが、以下変化手順で△8八歩▲9七桂△8九歩成▲6五飛△8三飛で、ソフトの評価値-376で後手有利。
この手順の▲2五飛ですが、このような手があるのは知りませんでした。
棋譜並べなどで思い出そうとしても思い出せなかったです。
プロの先生の実戦であったのかは不明ですが潜在的にあるような手だったようで、▲2五飛は自分の使っているソフトも推奨手でした。
▲2五飛の狙いは2つあるようです。
1つは▲6八角~▲3五歩として3筋で戦いを起こす手で、玉頭で戦いを起こすことであまり見慣れない形になりそうです。
もう1つは、▲9七桂~▲8五飛とぶつける手で、飛車交換を目指す形です。
どちらの狙いも居飛車側の駒組み次第という感じです。
実戦は▲2五飛に△8六歩と突き▲同歩だったのですが、▲同角もあったようです。
▲8六同角の形はいつでも▲5三角成と殺到する筋もあるので、働きは悪くないようです。
▲8六同角に△6四歩とすると、先手は1歩得に満足して▲5五飛と5筋に飛車を戻す手もありそうです。
実戦の△8六歩▲同歩には変化手順で△8八歩と打つ手があったようで、以下後手はと金を作りますが先手は飛車成りや飛車交換の筋を見せながら後手陣の形を少し崩すような指し方です。
先手は後手のと金が働かないうちに飛車交換をして飛車を敵陣に打つような形ですが、7七の角が少し使いづらいのでこのような展開も後手は有力だったようです。
早い段階で△8六歩と突いたので、後手はこのような前向きな指し方をした方がよかったです。
なお△8六歩と突くところではソフトは△4二角を推奨していました。
▲8五飛△4二角▲3八金寄△6四銀▲6五歩△5三銀で、ソフトの評価値-405で後手有利。
この手順の△4二角はぱっと見狙いが分かりにくいです。
後手の2四の角が質駒なのでそれを避けたという意味はありますが、数手前に△2四角と上がったばかりなので全く考えていませんでした。
先手の2五の飛車の可動域は狭いですが、将来▲2六飛と引くような手もあり簡単には小駒で取られない形のようです。
△4二角に▲3八金寄は自然な手ですが、次の△6四銀が自分は全く浮かばない指し方です。
△4二角と△6四銀はセットみたいな手ですが、自分は対抗形は玉の守りを金銀4枚で囲いたいという意識があるので、△6四銀と反対側に使う筋が全く読めないという感じです。
ただし、この場合の△6四銀は▲9八香なら△2四歩▲2六飛△7五歩のように先手の飛車の働きを悪くしてから右側で戦いを起こします。
また△6四銀は△2四歩に▲6五飛△同銀という狙いもありますので、▲2六飛しかなく△7五歩で後手が調子がいいです。
よって△6四銀に▲6五歩と突いて△5三銀と引きます。
後手は△4二角と△5三銀と2手損した形ですが、玉を固めるような将棋で手待ちをするようなケースもありあまり手損は気にならないという感覚です。
△5三銀以下▲5五角△6四歩▲7七角△7三桂▲6四歩△6二飛で、ソフトの評価値-432で後手有利。
この手順は▲5五角の飛車取りに△6四歩と突く手で、次に△8六歩がありますので▲7七角と戻ります。
以下△7三桂に▲6四歩と歩を取り込みますが、△6二飛と歩の切れた筋に飛車を回るのがよくある指し方で後手が少し指しやすいようです。
対抗形の居飛車の駒組みが参考になった1局でした。