終盤の手の組み合わせ

上図は、相掛かりからの進展で▲6二角成と金を取った手に△同玉とした局面。ソフトの評価値+1022で先手優勢。

駒割りは飛車と角香の交換になっていますが、後手玉が薄く先手の8一の飛車が働く形なので先手がいいようです。

ここで貴重な先手の手番ですが、ぬるい手を指せば△8九馬と飛車を取った手が△5八金からの詰めろになるので、厳しい手が指す必要があります。

実践は△6二同玉以下▲8二飛成△7二香▲7三歩△5二玉で、ソフトの評価値-29で互角。

この手順は、▲7三飛成に△7二香と1枚合駒を使わせて▲7三歩と打った手が詰めろになるので先手良しかと思っていたのですが、△5二玉の早逃げをうっかりしいていました。

▲7三歩と打ったからには▲7二歩成としたいのですが、後手玉は詰めろでないため△8九馬で、ソフトの評価値-2869で後手勝勢。

△5二玉に▲7二龍は△6二金▲7一龍△8九馬▲7二歩成△6八飛▲5八金△2九成銀で、ソフトの評価値-2173で後手勝勢でお互いに怖い展開ですが、▲7三歩と打った後に▲7二龍△6二金と龍をはじかれる展開になるのは感覚的に指しにくいです。

▲8二飛成では▲6四歩がありました。ソフトの評価値+729で先手有利。

この手は▲6四歩と歩を打つ手ですが、これは▲6三歩成からの詰めろになっています。

▲6四歩に△8九馬なら▲6三歩成△同玉▲6一飛成△7三玉▲6四銀△8四玉▲8五歩△8三玉▲8一龍△8二歩▲8四金まで詰みです。

▲6四歩に△同歩なら▲8二飛成△7二香▲7三歩△5二玉▲4四銀△8九馬▲7二龍△6二金▲6三金で、ソフトの評価値+50000で先手優勢。

この手順は、△6四同歩に▲8二飛成がうっかりしやすい手で、ここで▲6四同銀として▲6三金の詰めろを考えるのですが、△5二玉とされると先手は手が続かないようです。

よって▲8二飛成として△7二香に▲7三歩と詰めろをかけます。

△5二玉の早逃げに▲4四銀もうっかりしやすい手で、△8九馬には▲7二龍の王手があります。

△6二金に▲6三金と打てるのが数手前に▲6四歩と打った効果ですが、なかなか難しい手の組み合わせです。

また別の手として▲6四歩では▲7三歩として▲7二飛成からの詰めろも考えられますが、▲7三歩には△5二玉と早逃げして、ソフトの評価値-973で後手優勢。

終盤の手の組み合わせが参考になった1局でした。

後手の捌きに対抗する指し方

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△6三銀引と5四の銀が引いた局面。ソフトの評価値+279で互角。

△6三銀引で後手はダイヤモンド美濃が完成して部分的には満足な形ですが、この手はあまりよくなかったようでこのあたりが将棋の難しいところです。

ここで先手の手番ですが次の手も少し甘かったようです。

実戦は△6三銀引以下▲7八金右で、ソフトの評価値-45で互角。

▲7八金右が少し甘かったのは次に△4五桂があったようで、△3七桂成を受けるため▲3六歩と突きますが、△6五歩▲7七銀△8四角とされると、△5七桂成や△4八角成を少し受けづらいです。

▲7八金右は穴熊を固める手ですが、後手から動かれると少し損をしているようです。

▲7八金右では▲3六歩がありました。

▲3六歩△4五桂▲4六歩で、ソフトの評価値+327で先手有利。

この手順は▲3六歩として次に▲3五歩と飛車を取りにいく手です。

後手は飛車が取られてはまずいので△4五歩か△4五桂とします。

△4五歩なら▲3五歩△4四飛▲5五銀△4三飛▲3四歩で、ソフトの評価値+530で先手有利。

この展開は▲5五銀と中央に銀が出て▲3四歩といつでも桂馬を抑えて取れる形なので先手が指せそうです。

よって後手は△4五桂としますが、そこで▲4六歩が平凡ながら桂馬を取りにいく手です。

これも後手は桂損が確定ですが、後手は桂馬を取られる前に手を作ってきます。

▲4六歩以下△6五歩▲7七銀引△7三角▲1七香で、ソフトの評価値+312で先手有利。

この手順は、△6五歩として▲同銀なら△6四歩がありますが、▲7七銀引と手順に玉を固めます。

以下△7三角も狙いの筋で▲4五歩なら△1九角成がありますので、事前に▲1七香と逃げる形です。

この形にすればいつでも▲4五歩と桂馬を取ることができます。

▲1七香以下△3七桂成▲同桂△8四角▲2四歩△4八角成▲2三歩成△3七馬▲3三と△2六馬▲3四と△1七馬▲4三とで、ソフトの評価値+653で先手有利。

この手順は▲1七香に△3七桂成と取られる桂馬で形を乱す手で、▲3七同桂とした形は桂馬が浮いてあまりいい形ではありません。

後手は△8四角から△4八角成として3七の桂馬を目標に指してきますが、その直前の▲2四歩が軽い手筋です。

▲2四歩に△同歩は▲4五歩として▲2四飛とぶつけて飛車交換を狙う筋です。

よって後手は△4八角成から△3七馬として駒損を回復して、その間に先手もと金を作ってまだまだ戦いは長くなりそうですが先手が指せるようです。

最後の▲4三とに△同金なら▲5五桂が狙いです。

後手の捌きに対抗する指し方が参考になった1局でした。

龍を切って金駒で寄せる

上図は、相掛かりからの終盤戦で△6九角に4七の玉が▲4八玉と逃げた局面。ソフトの評価値-50000で後手勝勢。

この局面は先手玉に即詰みはありませんが、後手の大駒がよく利いており先手玉は薄いので後手勝勢のようです。

後は後手がどうやって先手玉を寄せるかという局面ですが、龍と馬と持ち駒の銀の3枚の攻めでやや細いのでうまく攻める必要があります。

対局中は先手がまずいと思っていましたが、後手勝勢までになっているのは気がつきませんでした。

実戦は▲4八玉以下△5九銀▲同玉△3八龍▲6九玉△3九龍で、ソフトの評価値-228で互角。

この手順は△5九銀から寄せに出る手で、3八の金を取って頭金の寄せ狙ってきました。

△3八龍に▲同香なら△5八金の頭金までなので▲3八同香とはできません。

対局中はこれで先手が負けかと思っていましたが、▲6九玉と角と取った手に△3九龍と香車を取って王手をしてきました。

この手順でも先手がだめかと思って実戦はここで▲5九桂だったのですが、△5八香で。ソフトの評価値-406で後手有利。

この手順は▲5九桂の合駒に△5八香が鋭く、▲同玉なら△4八金以下詰みなので取れません。

よって△5八香に▲7九玉と早逃げしてどうかという展開ですが、ここまでの手順で先手は少し受け方がまずかったようです。

△3九龍に▲5九桂で▲6八玉なら、ソフトの評価値-238で互角。

最後の▲6八玉と逃げる手をうっかりしやすく、後手は持ち駒に金があるので△6九金から寄せたくなりますが、▲5八玉に△5九金としても▲4七玉から逃げることができます。

後手にうまく寄せられていると思っていた手順が、意外とそうでもなかったのが不思議な展開でした。

最初の局面で△5九銀では△3八龍がありました。ソフトの評価値-50000で後手勝勢。

この手順は△3八龍と金を取る手でいかにも先手玉が寄りそうな形はしていますが、対局中はなぜか全く見えていませんでした。

△3八龍に▲3八同玉なら△3七歩で、以下▲同玉△3六銀▲2八玉△2七歩▲3八玉△4七角成▲4九玉△4八金まで詰みです。

この手順は▲3八同玉なら△3七歩が厳しく、以下△2七歩と2筋と3筋で歩を使ったせがあるので即詰みです。

△3八龍に▲同香なら△4七金▲3九玉△3七歩▲同香△同金▲6八飛△4七角成で、ソフトの評価値-50000で後手勝勢。

この手順は▲3八同香なら△4七金がうまい手で、この場合は先手玉に即詰みはありませんが▲3九玉に△3七歩が手堅い寄せです。

△3七歩の瞬間に後手玉を攻めたいのですが手がありません。

なお、△4七金では△4七銀▲3九玉△3七歩でも意味合いはほとんど同じです。

ただし、△4七銀からの寄せで▲3九玉に△4八金から追いかけると、▲2八玉△3八金▲2七玉で少しもつれてきますので要注意です。

後手玉は安全なので確実に寄せた方がいいです。

龍を切って金駒で寄せるのが参考になった1局でした。

どのように手を作るか

上図は、横歩取り青野流からの進展で▲2四歩と突いた手に△2二歩と受けた局面。ソフトの評価値+85で互角。

対局中は先手は1歩得で持ち駒に歩が2枚あるのに対して、後手は歩切れで2二に歩を打たされているので、少し先手が指しやすいかと思っていましたが互角のようです。

後手の4三の銀が浮いているので先手に手がありそうな感じもしましたが、見た目ほど簡単ではないようです。

実践は▲7六飛△7二金▲6八銀△8一飛▲5九銀左で、ソフトの評価値-11で互角。

この手順は、飛車を7筋に回っていつでも後手の桂頭を狙う展開にしたのですが、△7二金から△8一飛と用心される展開で、▲5九銀左まで進むと互角とはいえ少し評価値が後手に傾いたようです。

後手の桂頭を狙う形にするには6八の銀を▲7七銀から▲6六銀と前に進めてから▲7五歩△同歩▲同銀とするような方針が良かったかもしれないのですが、▲5九銀左と後ろに使ったので評価値が下がったかもしれません。

▲7六飛では▲6八銀がありました。

▲6八銀△5二金▲1六歩△3三金▲3五歩で、ソフトの評価値+63で互角。

この手順は、▲6八銀と上がる手でこの手は普通の手です。

後手は先手の飛車が5三の地点に直通しているので△5二金と補強しますがそこで▲1六歩と突きます。

後手は3四の銀が浮いているので△3三金として紐をつけますが、そこで▲3五歩と仕掛けます。

▲3五歩は仕掛けの決断の一手で、▲3五歩に△4三銀と引いてくれたら▲2六飛と回って、先手の2筋と3筋の歩が簡単に取られない形になるので先手が指せそうです。

よって△3五同銀と進みますが、次に△3六歩と打たれる筋があるので先手は何か継続手が必要です。

▲3五歩以下△同銀▲3六歩で、ソフトの評価値+43で互角。

この手順は、▲3五歩△同銀に▲3六歩がやや盲点です。

3筋の歩を突き捨てて後手の銀の位置を変えてから▲3六歩が継続手です。

▲3六歩に△2四銀なら▲2五歩で後手の銀が取られる形でまずいです。

▲3六歩以下△2六銀▲2三歩成△同金▲2七歩△3七銀成▲同銀で、ソフトの評価値+46で互角。

この手順は、△2六銀に▲2三歩成と2筋の歩を切ってから▲2七歩として以下銀と桂馬の交換で先手が少し駒得する展開です。

先手が駒得とはいえ先手は歩切れになるのでまだ大変ですが、2九の桂馬が捌けたのは大きいです。

別の手順で▲3六歩に△3四角なら、▲3五歩△5六角▲同歩△2九飛▲9五角△7二銀▲8四銀△6三金▲1八角△1九飛成▲6三角成△同銀▲3九金打で、ソフトの評価値+81で互角。

この手順は、△3四角から後手は飛車を取って△2九飛と打ち込む手で、実戦的にはこちらの方が先手としては嫌な感じです。

△2九飛に▲9五角から▲8四銀が鋭く、以下△6三金に▲1八角から角を切ってから▲3九金打が読めません。

普通は攻めている途中で▲3九金打とするようでは先手がちょっと失敗かと思いがちですが、次に▲7三銀成が受けづらいのでいい勝負のようです。

どのように手を作るかが参考になった1局でした。

玉を上部に出して寄せる

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△6六角と歩を取って王手をした局面。ソフトの評価値+507で先手有利。

形勢は先手有利になっていたのですが、王手に対してどのように受けるかという局面です。

以前、△6六角に▲7七桂と受けた場合を調べてみました。https://shogiamateur.com/?p=32381&preview=true

▲7七桂とした場合は先手玉が詰んでしまったので、今回は▲7七金右とした場合の変化です。

▲7七金右△同桂成▲同銀△同角成△同桂△9九角で、ソフトの評価値-99977で後手勝勢。

この手順の▲7七金右はソフトの推奨手ですが、金と桂馬の交換になるので普通は先手が損です。

以下△同桂成▲同銀△同角成▲同桂△9九角と進みますが、桂馬が跳ねると下から角を打たれます。

この時点でソフトの評価値が999・・と出ると即詰みがあるということです。

先手有利の形勢が数手で後手勝勢になるのは、たまに即詰みがあるような終盤だと出る現象で、局面を深く読むと詰みがあるので形勢判断が変わったということみたいです。

△9九角に▲8七玉なら△7六銀▲同玉△6六金▲同玉△5五金▲7六玉△5六龍▲8七玉△8六銀まで詰みです。

△9九角以下▲9七玉なら△8八銀▲同金△同角成▲同玉△6八龍▲7八桂△8七歩で、ソフトの評価値-99988で後手勝勢。

この手順は、▲9七玉に△8八銀からばらばらにして△6八龍と2段目に龍を引く形です。

一間龍は寄せの形ですが、▲7八桂に△8七歩がうまいです。

先手玉は7四の銀と7七と7八の桂馬が微妙に配置されて意外と詰ましにくい形ですが、△8七歩と3段玉にするのが急所のようです。

△8七歩以下▲同玉△7六金▲同玉△6七銀で、ソフトの評価値-99992で後手勝勢。

この手順は△7六金と4段玉にしてから△6七銀と下から王手をする手で、上部に逃がす可能性があるので少し勇気がいります。

△6七銀に▲6六玉なら△5七龍▲同玉△5六金▲4八玉△4七歩成▲3九玉△3八金まで詰みです。

△6七銀に▲6五玉なら△5五金▲同玉△5七龍▲4五玉△3五金▲4四玉△5三龍で詰みです。

これらより△6六角に▲7七金右はよくなかったので、△6六角には▲9七玉か▲7七銀打だったようですが、このような終盤は答えが出やすい局面とはいえ、人間レベルだと時間があっても正確に読み切るのは大変です。

自分が使っているソフトの評価値はこのような終盤でやや不安定な感じもしますが、先手玉が詰みや不詰みでだいぶ変わってくるようです。

玉を上部に出して寄せるのが参考になった1局でした。

大駒を近づけて受ける

上図は、相掛かりからの進展で△7六同角と銀を取った局面。ソフトの評価値-188で互角。

7六の地点で銀交換になった展開で、5四の角が△7六同角とした局面です。

次に後手から△8七角成という手が気になりますが、△8七角成には▲8二歩△同飛▲7一角の切り返しがあります。

後手の2二の銀が壁銀なので、6二の金を取られる形になると後手玉はまずいです。

よって直ぐに△8七角成はなさそうですが、先手の手番なので何か指さないといけないです。

実戦は△7六同角以下▲7七金△5四角で、ソフトの評価値-287で互角。

この手順は▲7七金と角取りにする手で、▲7七金に対して△8七角成は、▲8二歩△同飛▲7一角△6九銀▲4九玉△7七馬▲8二角成△6七馬▲3九玉で、ソフトの評価値+163で互角。

このような展開は、△8七角成から△6九銀はあまり見ない筋で以下△7七馬から△6七馬として攻めを継続する手ですが、後手は飛車を渡す攻めは少し考えにくいです。

よって▲7七金には△5四角と引いたのですが、7七の金があまりいい位置でなく△8八歩や△6五桂のような7七の金を逆用する手もあるのでやや先手が損をしたようです。

▲7七金では▲8六歩がありました。ソフトの評価値-160で互角。

この手順は大駒は近づけて受けよの手で、△8六同飛には▲7七銀で、ソフトの評価値+421で先手有利。

この手順は、△8六同飛には▲7七銀がありますので後手はが△8六同飛とは取りにくいです。

▲7七銀には△8七銀と打って▲8六銀には△7八銀不成のような展開もありますが▲8一飛で、ソフトの評価値+514で先手有利。

この手順は、後手は飛車を捨てて攻めを継続する手ですが、さすがに壁銀で飛車を捨てるのはやや後手不満な感じです。

ただし後手が△8六同飛としない場合の先手の指し方が気になります。

▲8六歩以下△3三銀▲4七銀△8八歩▲同金△8六飛▲7七銀△8三飛▲8六歩△5四角▲7八金で、ソフトの評価値-158で互角。

この手順は、△3三銀と▲4七銀とお互いに自陣を整備した手から△8八歩▲同金として8筋に金を移動させてから△8六飛とする展開です。

△8六同飛に▲8七歩と受けても△同角成で受けになっていませんので▲7七銀と打ちます。

△8三飛はやや変則的な位置ですが、△8一飛では将来▲8二歩△同飛に▲7一角や▲7一銀を防いだ手です。

先手は持ち駒の銀を受けに使ってやや損をしたようにも見えますが、後手陣に反撃する筋がなく8筋を突破されては先手陣がもたないので仕方ないようです。

このあたりは先手も粘り強く受けに回る感じで、辛抱するところは辛抱するのが大事なようです。

大駒を近づけて受けるのが参考になった1局でした。

玉側からの歩を突いて手を作る

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△9五歩と突いた局面。ソフトの評価値+104で互角。

後手が三間飛車から3筋の歩を交換して△3四飛と石田流に構えたのに対して、先手は居飛車穴熊にした展開です。

後手が石田流に対しては先手の右の銀は4六にいくことが多いイメージですが、本局は▲6六銀と左側に移動した形です。

ここでは▲7八金右が自然な手でこれで穴熊が完成しますが、本局はその手を後回しにして▲2六飛としました。ソフトの評価値+9で互角。

この▲2六飛は部分的にある形で▲3六歩から▲3五歩と飛車を取りにいく手や、場合によっては▲3六飛と飛車をぶつける手が狙いです。

また▲5五歩から▲5六飛と飛車を横に使うような形もあります。

ただし、この局面ではあまりいい手ではなかったようで▲2六飛には△4五桂がありました。

△4五桂は次に△3七桂成が狙いですが、△4五桂に▲5九角と引いても△6五歩▲5五銀△同銀▲同歩△5七桂成があります。

また△4五桂に▲4六角は△7三角で、ソフトの評価値+30で互角。

△7三角とした局面はいつでも△6五歩と決戦する筋があり、△4五桂と跳ねた形はいつでも△5七桂成とする筋があるので先手は神経を使います。

振り飛車側からすると、2一の桂馬が4五まで跳ねることができれば最低限の役目は果たしたような感じだと思います。

▲2六飛では▲7五歩がありました。ソフトの評価値+80で互角。

この▲7五歩は▲6六銀型の穴熊でたまに出る筋ですが、歩を交換して6六の銀を活用する手です。

▲7五歩に△同歩なら▲同銀△6三銀引▲7四歩で、ソフトの評価値+113で互角。

この手順は、歩を交換して銀が5段目に出ると単騎の銀とはいえ後手玉に近い形で後手も神経を使います。

▲7四歩と抑えた形は▲4六角と出ると▲6四銀から角で後手玉のコビンを狙う筋があります。

また▲7四歩と抑えた形は、大駒の交換になって小駒が入れば7三から打ち込む手もあります。

▲7五歩に△6五歩は、▲4六角△7三角▲同角成△同銀▲7四歩△同銀▲7七銀で、ソフトの評価値+114で互角。

この手順は△6五歩と突いたら先手の▲7五歩は失敗のようですが、この場合は▲4六角と王手で角が飛び出る手があります。

後手は△7三角と対抗しますが、角交換から▲7四歩と取り込み△同銀に▲7七銀と引いた形は、後手の駒組みが少しバラバラなので先手としては手が作りやすいです。

▲7五歩のようなB面攻撃のジャブみたいな手があると、盤面全体で駒が動くような感じで気持ちがいい展開だと思います。

玉側からの歩を突いて手を作るのが参考になった1局でした。

危ない玉形でも攻め合いにする

上図は、相掛かりからの進展で△2九飛と打った局面。ソフトの評価値-50で互角。

駒割りは桂馬と香車の交換でほぼ互角です。

先手は馬ができており▲2一馬と桂馬が取れる形ですが、後手の△2九飛もなかなか厳しく次に△6九角のような狙いがあります。

対局中は攻め合いにでるか受けに回るか迷いましたが、龍ができる形の攻め合いは危険と思い受けに回りました。

実戦は△2九飛以下▲3九香△2三飛成で、ソフトの評価値-273で互角。

この手順は▲3九香と1段目に香車を打って後手の飛車の利きを止めましたが、△2三飛成と自陣に龍を引っ張って▲2一馬を防ぐ形です。

先手陣が少し安全になったとはいえ香車を受けに使ったのはやや不本意で、本来は攻めに使いたい香車です。

また後手の龍の働きがよく、一時的に受けに回ってもまた△2九龍と入る筋もあり、先手はあまりいい形ではありません。

実戦は△2三飛成に▲3四歩と突いたのが悪く、△3八歩▲同金△4五桂で、ソフトの評価値-652で後手有利。

この手順の▲3四歩はどこかで△3三桂を跳ねるのを防いだ手ですがやや甘く、後手は△3八歩から△4五桂が厳しかったようです。

▲3四歩では▲2四歩△同龍▲3四飛として、後手の龍を消すような指し方の方がよかったようですが、この手順も少し浮かびにくい手です。

▲3九香はソフトの4つの候補手にない手でした。

ソフトの推奨手は▲3九香で▲2一馬でした。

△2九飛以下▲2一馬△6九角▲同玉△4九飛成▲5九香で、ソフトの評価値-47で互角。

この手順の▲2一馬は桂馬を取ってさらに金取りになるので部分的には自然な手ですが、後手も△6九角から△4九飛成が強烈です。

頭の中ではこれも考えましたが、さすがに先手がまずいだろうと思ってそれ以上考えませんでした。

△6九角から△4九飛成まで一本道ですが、ここで▲5九香と合駒するのがやや盲点です。

一間龍の形なので安い駒を合駒するのは仕方ないですが、これをやむを得ず打つのでなく読み筋の中で打つのが少し考えにくいです。

▲5九香以下△5八金▲7九玉△5九龍▲8八玉で、ソフトの評価値+181で互角。

この手順は、手順に香車をただで取られて龍を活用されるので、ぱっと見で先手がいいところないようですが、駒割りは角と金の交換になります。

最後の▲8八玉と逃げた形が意外と耐久性があって、後手の攻め駒がやや少ないです。

後手は金を使ったのがやや重く、次に▲3二馬の狙いが残っており、後手はどこかで自陣に手を戻さないといけないようです。

本来は後手は△5八金と打つところでは△5八歩と打ちたいのですが、この場合は2歩になるので打てませんでした。

最後の▲8八玉に△3一金と引いて馬にあてても▲4三桂の切り返しがあります。

ちょっと先手玉は怖い形だったのですが、△6九角と打たせもそれなりに勝負になっていたようです。

危ない玉形でも攻め合いにするのが参考になった1局でした。

終盤でどのように粘るか

上図は、相矢倉からの進展で△9六香と打った局面。ソフトの評価値-334で後手有利。

駒割りは飛香と金銀でいい勝負のようで、先手は▲7三角成と桂馬を取った手に後手は飛車を逃げずに△9六香と打った展開です。

△9六香は詰めろで▲8二馬とすると△7八飛▲同金△同桂成▲同玉△6九銀▲6八玉△5八馬▲7九玉△7八金まで詰みです。

この手順は8六に桂馬がいるので清算して△6九銀から詰みです。

後手玉はまだ全然詰まない形なので、先手は詰めろを防ぐ一手です。

実戦は▲8六銀△9九香成▲同玉△9六香▲9七香△8六歩で、ソフトの評価値-2314で後手勝勢。

この手順は▲8六銀と受けたのですが、後手は△9九香成が次に△9八飛▲7七玉△8八銀▲7八玉△8九銀成▲7七玉△8八飛成までの詰めろです。

よって先手は▲9九同玉としたのですが、△9六香に▲9七香に△8六歩が次に△8八銀▲同玉△8七歩成▲7九玉△8八とまでの詰めろです。

後手の3六の馬が6九に利いているので先手玉が寄ってしまいます。

△8六歩には▲8二馬△8七歩成▲1三銀とする手はありますが、△8七歩成に対する受けが難しいので後手玉が寄らなければ後手勝勢です。

▲8六銀はだいぶ悪い手だったようで、後手は自然な手が詰めろの連続で勝勢になった感じです。

▲8六銀では▲8六歩がありました。

▲8六歩△同歩▲8二馬△8七銀▲7九玉△9九香成で、ソフトの評価値-288で互角。

この手順は、▲8六歩と詰めろを消す手で△同歩に▲8二馬が際どいタイミングで飛車を取る手ですが、先手玉に即詰みはありません。

後手は△8七銀と抑えてから△9九香成とする手で、次に△8九成香▲同玉△9七桂▲7九玉△8九飛の詰めろです。

△9九香成の局面は先手にほとんど受けがないようで、△9九香成に▲6九金としても△8九成香▲6八玉△7八銀成▲同玉△8七歩成▲同玉△6九馬▲7八銀△8四香▲8五歩△8八金以下手数はかかりますが詰みです。

よってこのような局面になると先手は後手玉に迫って、あわよくば詰めろを消すような展開にするしかなさそうです。

△9九香成以下▲1三銀△同桂▲同歩成△同玉▲1一飛△1二香▲1四歩△同玉▲1二飛成△1三銀▲2六桂△同馬▲3七桂で、ソフトの評価値-257で互角。

この手順は▲1三銀から清算して▲1一飛と打つ手で、上部に脱出される可能性もありますが、8二に馬がいるのでそれを頼りに攻めます。

△1三銀の合い駒に▲2六桂と捨ててから▲3七桂と迫るのが参考になる手で、後手の3六の馬を2六に移動させることで、先手玉の詰めろが消えています。

なお▲3七桂は次に▲2四金△同歩▲2三銀の詰めろです。

このあたりはかなり難しくここからも簡単ではありませんが、先手の考え方は単に受けるのでなく攻めることで後手の3六の馬を移動させて詰めろを消すという考えです。

形勢は互角のようですが、このような終盤でどこまで粘れるかというのが大事みたいです。

終盤でどのように粘るかが参考になった1局でした。

例外的に守りの銀を攻めに使う

上図は、先手が矢倉模様から2筋で角交換をして駒組みが進んだ展開で、△5四銀と上がった局面。ソフトの評価値-25で互角。

後手は腰掛銀にしたのに対して、先手は序盤で▲7九角から▲5六歩の組み合わせで2筋から角交換をしたので5六に歩がいる形です。

普通は5筋の歩を突いていると、角交換をすれば相手からの角の打ち込みが生じやすいのであまりよくありません。

現局面ではまだ後手からの角の打ち込みはありませんが、先手の駒組みが進むと△5七角とか△3九角とかの筋があります。

実戦も4八の銀が少し使いづらい形なので、攻めの幅を広げる意味で▲6六銀と上がりました。

△5四銀以下▲6六銀△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8一飛で、ソフトの評価値-22で互角。

この手順は、▲6六銀と上がって将来▲5五歩や▲5五銀とぶつける味をつけた手ですが、反面8筋が弱くなるので後手は8筋の歩を交換します。

普通は、守りの銀を上部に上がって後手に飛車先の歩を交換されるのは先手が損で、対局中も少し大局観がおかしかったかなとは思っていましたがソフトの推奨手でした。

▲6六銀以外に手が浮かばなかったので結果オーライという感じです。

ただし、実戦の△8一飛に▲8八玉と上がったのがあまりよくなかったようで、ここは▲4五歩と突くべきだったようです。ソフトの評価値-22で互角。

実戦の▲8八玉がなぜよくなかったというのは、▲8八玉には△9五歩があったようで以下▲9五同歩△9六歩が気になる筋です。

△9六歩に▲同香が普通ですが、以下△8五角▲9七玉△9六角▲同玉△9五香▲同玉△9三香▲9四歩△8五飛▲9六玉△9四香で詰みです。

これは後手のうまくいきすぎですが、飛車と香車の組み合わせで先手玉と詰めるのはたまに出てきます。

▲8八玉と▲6六銀との組み合わせであまり囲いとしては強くないのと、後手から攻めのあたりが強くなるので▲7九玉型で駒組みをした方がよかったようです。

よって△8一飛には▲4五歩として数手前に▲6六銀とした手を活かす展開です。

▲4五歩に△同歩なら▲5五銀で、ソフトの評価値±0で互角。

この展開は△4五同歩とした手に▲5五銀とぶつけて▲6六銀から銀交換を目指します。

銀を交換すれば▲6三銀△同金▲7二角のような狙いが生じます。

▲5五銀には△同銀▲同歩△6三銀で、ソフトの評価値-41で互角とまだこれからの将棋のようですが、このような展開なら▲6六銀とした手は筋が通っているようです。

例外的に守りの銀を攻めに使うのが参考になった1局でした。