上図は、相掛かりからの進展で▲2四歩と歩を打った局面。ソフトの評価値+78で互角。
相掛かりでは、1回飛車先の歩を切った後にまた▲2四歩と合わせて細かい動きになる展開が多いです。
後手の△8五飛と△7三銀とした組み合わせがやや珍しい駒組みですが、後手の狙いがいまひとつ分かっていませんでした。
▲2四歩に△同歩なら▲2四同飛△2三歩▲3四飛で、ソフトの評価値+223で互角。
この手順は、△2三歩はややおとなしい手で▲3四飛と横歩を取って1歩得になるので先手指せそうです。
▲3四飛以下△8八角成▲同銀△2八角▲7七桂△8二飛▲6五桂△6四銀▲2二歩△3三歩▲6四飛△同歩▲2一歩成で、ソフトの評価値+1142で先手優勢。
この手順は、後手は△2八角と打つのは狙いの1手ですが、先手は▲7七桂から▲6五桂と活用して▲2二歩から細かい手を繋げて先手指せそうです。
なお▲6五桂では▲3二飛成△同銀▲1八金もありますが、ソフトの評価値+383で先手有利。
この手順は▲3二飛成と金を取ってから▲1八金と角を取る手も狙いの1つで、この指し方もあるようですが思ったほど評価値は上がっていませんでした。
なお実戦は▲2四歩△8八角成▲同銀△4四角で、ソフトの評価値+185で互角。
この手順は、▲2四歩に角交換してから△4四角と打つ手です。
初めて見ると少し浮かびにくい手順かもしれません。
後手は▲2四飛から▲3四飛とさせない狙いで△4四角と打ちます。
△4四角以下▲2九飛△2四歩▲同飛△2二銀▲7七角△2三銀で、ソフトの評価値-38で互角。
この手順は、△2四歩▲同飛に△2二銀と受けられるのが大きく、ここで▲3四飛なら△3三銀で飛車が取られてしまいます。
これで横歩を取られるのを受けた形で、先手は▲7七角と合わせて後手の4四の角を消す手を狙いますが、△2三銀と今度は銀冠で▲3四飛を防ぐ形です。
後手が銀冠に組むと、評価値が逆転して互角とはいえ後手に傾いているのが興味深いです。
銀冠は受けの形としてはバランスがいいようで、後手の狙いの1つのようです。
銀冠に組むと後手玉の位置は現在5二ですが、先手の陣形によっては△4二玉から△3一玉から△2二玉と駒組みすることも可能になります。
銀冠で横歩を取られるのを防ぐのが参考になった1局でした。