上図は、後手阪田流向かい飛車で△2五歩と突いた局面。ソフトの評価値+55で互角。
お互いに玉を固めあう将棋でなく、金駒が全体に配置されておりどこから戦いが起こるか分かりにくい局面です。
角はどちらとも筋違い角になっており働きはまだいまひとつです。
後手が△2五歩と伸ばして先手にプレッシャーをかけてきたのですが、ここでどう指すかという局面です。
後手の持ち駒には歩しかありませんので、△2六歩と伸ばされても3八に金がいるのでまだ先手陣は受けが利きます。
ただし△2六歩と伸ばされて後手に金駒が入ると2七から打ち込まれる筋があるので、それだけは避けないといけません。
実戦は先手の方針がよく分からなかったので▲2七歩と安全に指したのですが、これが良くなかったようです。
実戦は▲2七歩に△5五歩▲4七角△7五歩ならソフトの評価値-234で互角。
この手順の▲2七歩は打ったらまずいような手で、先手の飛車が狭く働きが悪くなったうえに歩切れになったのでだいぶ損をしました。
▲2七歩に対して△5五歩として▲4七角と逃げればそこで△7五歩と打つ手がありました。
△7五歩と打たれると先手の6五の銀の動きが狭くなり、局面によっては△6四歩から銀を取られそうな感じです。
また△4五歩から先手の角を狙うような手もあるので、後手の方が楽しみが多かったようです。
▲2七歩と打つのは目のつけどころが悪かったです。
2筋が破られるならら▲2七歩と打って辛抱する手はありますが、まだその段階ではなかったので安全に指しすぎました。
先手は飛車が使える展開にならないので失敗です。
▲2七歩では▲1五歩がありました。
▲1五歩△同歩▲3六歩で、ソフトの評価値+84で互角。
この手順の1筋の歩を突き捨てて▲3六歩というのはいかにも筋という手です。
5六の角が間接的に1二の地点に利くように細工をしています。
後手の3四の銀がいなければ▲1二歩として香車が取れる形です。
後手の香車を1二に移動させるためには、1筋の歩を突き捨てて将来▲1二歩と叩ける準備をします。
△1五同歩にはそこで▲3六歩と突きます。
この手は後手の3筋の位が安定しているのでそれにアタックする手で、△3六同歩とすれば3五の地点に空間があくのであやが生まれます。
また3筋の歩を突き捨てることで3八の金が前進しやすくなります。
先手は2歩損になりますが、それよりも先手の角と3八の金の働きを優先します。
▲3六歩に△同歩なら▲2七金△5五歩▲6七角△7五歩▲3六金△3五歩▲1二歩△同香▲3五金△同銀▲1二角成で、ソフトの評価値+463で先手有利。
この手順はややうまくいきすぎですが、3筋の歩を突き捨ててから▲2七金と出るのが形で、歩を突き捨てることで金の働きのスピードを上げます。
後手は△5五歩から△7五歩として銀ばさみで次に△6四歩と銀を取る狙いですが、先手は▲3六金として△3五歩に▲1二歩と叩いてから▲3五金として金を捨てます。
最後の▲1二角成で駒割りは金と香車の交換で先手が駒損ですが、馬を作ってやや先手が指せるようです。
飛車先の歩は受け一方で打たないようにするのが参考になった1局でした。