飛車先の歩は受け一方で打たないようにする

上図は、後手阪田流向かい飛車で△2五歩と突いた局面。ソフトの評価値+55で互角。

お互いに玉を固めあう将棋でなく、金駒が全体に配置されておりどこから戦いが起こるか分かりにくい局面です。

角はどちらとも筋違い角になっており働きはまだいまひとつです。

後手が△2五歩と伸ばして先手にプレッシャーをかけてきたのですが、ここでどう指すかという局面です。

後手の持ち駒には歩しかありませんので、△2六歩と伸ばされても3八に金がいるのでまだ先手陣は受けが利きます。

ただし△2六歩と伸ばされて後手に金駒が入ると2七から打ち込まれる筋があるので、それだけは避けないといけません。

実戦は先手の方針がよく分からなかったので▲2七歩と安全に指したのですが、これが良くなかったようです。

実戦は▲2七歩に△5五歩▲4七角△7五歩ならソフトの評価値-234で互角。

この手順の▲2七歩は打ったらまずいような手で、先手の飛車が狭く働きが悪くなったうえに歩切れになったのでだいぶ損をしました。

▲2七歩に対して△5五歩として▲4七角と逃げればそこで△7五歩と打つ手がありました。

△7五歩と打たれると先手の6五の銀の動きが狭くなり、局面によっては△6四歩から銀を取られそうな感じです。

また△4五歩から先手の角を狙うような手もあるので、後手の方が楽しみが多かったようです。

▲2七歩と打つのは目のつけどころが悪かったです。

2筋が破られるならら▲2七歩と打って辛抱する手はありますが、まだその段階ではなかったので安全に指しすぎました。

先手は飛車が使える展開にならないので失敗です。

▲2七歩では▲1五歩がありました。

▲1五歩△同歩▲3六歩で、ソフトの評価値+84で互角。

この手順の1筋の歩を突き捨てて▲3六歩というのはいかにも筋という手です。

5六の角が間接的に1二の地点に利くように細工をしています。

後手の3四の銀がいなければ▲1二歩として香車が取れる形です。

後手の香車を1二に移動させるためには、1筋の歩を突き捨てて将来▲1二歩と叩ける準備をします。

△1五同歩にはそこで▲3六歩と突きます。

この手は後手の3筋の位が安定しているのでそれにアタックする手で、△3六同歩とすれば3五の地点に空間があくのであやが生まれます。

また3筋の歩を突き捨てることで3八の金が前進しやすくなります。

先手は2歩損になりますが、それよりも先手の角と3八の金の働きを優先します。

▲3六歩に△同歩なら▲2七金△5五歩▲6七角△7五歩▲3六金△3五歩▲1二歩△同香▲3五金△同銀▲1二角成で、ソフトの評価値+463で先手有利。

この手順はややうまくいきすぎですが、3筋の歩を突き捨ててから▲2七金と出るのが形で、歩を突き捨てることで金の働きのスピードを上げます。

後手は△5五歩から△7五歩として銀ばさみで次に△6四歩と銀を取る狙いですが、先手は▲3六金として△3五歩に▲1二歩と叩いてから▲3五金として金を捨てます。

最後の▲1二角成で駒割りは金と香車の交換で先手が駒損ですが、馬を作ってやや先手が指せるようです。

飛車先の歩は受け一方で打たないようにするのが参考になった1局でした。

形を変えて金取りに歩を打つ

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△6三同金と成香を取った局面。ソフトの評価値-76で互角。

駒割りは角金と飛銀の交換でいい勝負のようです。

また玉の囲いの固さは、先手は金銀の3枚で守っていますが、後手が一段龍の形で歩を使って攻める筋が多いので先手玉は見た目ほど固くありません。

ここで先手の手番ですが、後手から△7四香と打たれる筋が気になります。

7五の角を事前に逃げれば△7四香と打つことはありませんが、中盤でぬるい手を指すと形勢を大きく損ねることがあります。

よって実戦は▲6四歩と金取りに打ちました。

実戦は▲6四歩△7三金▲6二金△7四香で、ソフトの評価値-642で後手有利。

この手順は▲6四歩に△7三金と逃げられるとまだ△7四香の筋が残っており、ここでも指し手の方針が分かりませんでした。

▲6二金と張り付いたのですが、△7四香と打たれるとやはり後手有利になりました。

この展開になると先手は攻め駒不足で形勢が悪いです。

△7四香には▲5七角と逃げて△7八香成▲同銀で、ソフトの評価値-689で後手有利と辛抱すべきでしたが、一段龍の形でこの受け方はなかなか浮かびません。

▲6四歩では▲6四桂がありました。ソフトの評価値-48で互角。

この手の▲6四桂は銀取りですが、ぱっと見でどの程度の厳しさがあるのかが分かりにくい手です。

▲6四桂に対して△8三銀と逃げる手と△7四香と攻め合いにでる手が気になります。

▲6四桂に△8三銀なら▲5二桂成△7一飛▲6四歩△7五飛▲7六歩で、ソフトの評価値-172で互角。

この手順は△8三銀と逃げるのは自然な手ですが、▲5二桂成がかなり指しにくいです。

6四の桂馬は7二の地点に利いているのですが、あえて後手玉に遠いところの▲5二桂成とするのは浮かびにくいです。

▲5二桂成は飛車取りですが、△7一飛と逃げた手が手順に角取りになっているので先手が失敗したかに見えますが、このタイミングで▲6四歩と金取りに打ちます。

やはりこのような将棋はどこかで▲6四歩と金取りに打つのが筋ですが、ちょっとした形の違いでどのタイミングで打つかが変わってくるようです。

▲6四歩に△7五飛と角を取りますが、そこで▲7六歩と飛車取りに歩を打ってどうかという展開になります。

▲7六歩と打った時に後手から寄せがあればそれまでですが、なければまだいい勝負のようです。

▲6四桂に△7四香なら▲7二桂成△同玉▲6四歩△7三金▲6三銀△同銀▲同歩成△同玉▲6四歩で、ソフトの評価値+50で互角。

この手順は△7四香に対して▲7二桂成と守りの銀を取るのは思ったより効果がある手で、以下△同玉に▲6四歩とやはり金取りに歩を打ちます。

さすがに後手は金駒を2枚も渡すわけにはいかないので△7三金と逃げますが、▲6三銀から攻めを継続すると後手玉の守りがかなり薄くなりますので、実戦的には後手はこの手順は選べない感じです。

そのような意味で▲6四桂は意外と厳しかったようです。

形を変えて金取りに歩を打つのが参考になった1局でした。

歩を使って戦線拡大をする

上図は、相居飛車からの進展で▲2四歩と突き捨てた局面。ソフトの評価値+462で先手有利。

先手が雁木から▲8八玉と入城したのに対して、後手が菊水矢倉で低い形で構えた展開です。

あまり見慣れない戦型になると争点がどこになるかが分かりにくいことがあります。

対局中はここで先手が手番なので少し指しやすいかと思っていましたが、具体的にどのようにするかがよく分かっていませんでした。

実戦は▲2四同飛△2三歩▲2九飛△6五歩で、ソフトの評価値+385で先手有利。

この手順の▲2四同飛が2筋の歩の交換なのでこれが自然かと思っていましたが、ややぬるい手だったかもしれません。

これから本格的に戦いが始まろうかという段階で2筋の歩を交換してじっと飛車を引くというのは、ここで相手に手番が回ってきます。

後手が△6五歩と突いたことでお互いに攻め合いになりこれでも先手が少し指しやすいみたいですが、できれば先手としては1手早く攻める形にすれば△6五歩とは突く展開にならなかったようです。

そのように考えると▲2四同飛と歩を取った手は自然なようでも少し甘かったようです

▲2四同飛では▲1五歩がありました。

▲1五歩△同歩▲4四歩△同銀▲5四歩で、ソフトの評価値+488で先手有利。

この手順は、2筋の歩を取らずに1筋の端歩を突き捨てて▲4四歩と取り込んで△同銀に▲5四歩と歩を伸ばす手です。

将棋の難しいところでどのように仕掛けるかというのがあるのですが、この変化手順も少しひねった感じです。

先手はすべて歩を使った手ですが、1筋から5筋まで戦線を拡大している感じです。

2筋の歩を突き捨てていると、将来▲2四飛と飛車を4段目に飛び出す手があります。

1筋の歩を突き捨てていると、将来▲1五香と香車を捨てて歩を補充する手があります。

最後の▲5四歩と歩を伸ばすのは、次に▲4五歩△同桂▲同銀という狙いがあります。

よって後手はもう少し受けに回ります。

▲5四歩に△同金なら▲4五歩△5三銀▲1五香△5五歩▲1二歩△5六歩▲1一歩成△5七歩成▲同金△6五桂▲同歩△5七角成▲5八香で、ソフトの評価値+370で先手有利。

この手順は△5四同金と受けに回った手に▲4五歩△5三銀と形を決めてから▲1五香と歩を補充する手です。

▲1五香に△同香は▲5五歩で後手の金と取られる形なので、▲1五香には△5五歩とします。

△5五歩に▲1二歩からの攻めが微妙なタイミングで、後手も桂馬と角が捌けて駒得ですが、先手もと金をを作って▲5八香と打った形はいい勝負のようです。

▲5四歩に△4五歩なら▲4六歩△同歩▲1五香△同香▲4五歩で、ソフトの評価値+689で先手有利。

この手順は、△4五歩と敵に打ちたいところに打てで手厚く受けに回ったのですが、▲4六歩△同歩とこじあけてから▲1五香と捨てて△同香に▲4五歩と攻めを継続する手です。

この展開も決して簡単ではありませんが、歩を使って攻めるという手筋で参考になります。

歩を使って戦線拡大をするのが参考になった1局でした。

何気ない序盤でも手が広い

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△4四飛と4二の飛車が浮いた局面。ソフトの評価値+73で互角。

後手が△4二飛~△4五歩~△3五歩~△4四飛とした形で、最近では少ない指し方です。

後手は低い陣形から飛び道具で動いていく形で、金と銀の動きが少ないので先手からの大駒の打ち込むスペースが少ないです。

一方先手は▲5七銀として中央から左に駒が寄っており右側が薄いので、大駒の交換は避けたい形です。

後手が△4四飛とした形は次に△3四飛と狙っているので▲3八飛としましたが、この手はソフトの候補手にありませんでした。

実戦は▲3八飛△3四飛▲8八玉△1四歩▲7八銀で、ソフトの評価値+51で互角。

この手順の▲3八飛は、後手が3筋と4筋の位を取ったときによく見かけた手です。

ただし、後手の形の違いにあまり気づかず指したのであまり意味がありませんでした。

後手の形が△3三角△3二銀△4二飛△4五歩△3五歩のときに▲3八飛というのはあったのですが、△4四飛と浮いた状態で▲3八飛は効果が薄かったです。

▲3八飛としても△3四飛とすれば見合いの形で、逆に先手の飛車が少し使いづらいです。

これでも形勢は互角のようですが、将来▲2八飛とまた飛車を2筋にも戻しても△3六歩から後手が3筋の歩を交換できます。

よって先手は▲3八飛の形のままどこかで▲4六歩とぶつける形ですが、後手も△3三桂から△1三角と構える形でどうかという展開です。

▲3八飛では▲8八玉がありました。

▲8八玉△3四飛▲7八銀△8二玉▲4六歩△同歩▲同銀△3六歩▲2六飛で、ソフトの評価値+140で互角。

この手順は▲8八玉から▲7八銀として左美濃にします。

本来は9筋の位を取られているので左美濃でなく穴熊にしたかったのですが、後手の動きが早いのでそれに対応するため左美濃にして早く囲いを完成させました。

後手が△8二玉としたときに▲4六歩と動きます。

後手の金駒が前進していないので、先手は5七の銀を前進させて3筋と4筋を抑え込みたいです。

後手は△4六同歩▲同銀に△3六歩と動いてきますが、そこで▲2六飛が形です。

この手が見えないと▲4六銀と出た形は効果が薄いようです。

▲2六飛に△3七歩成なら▲同桂△3六歩▲3五歩△6四飛▲3六飛△6六飛▲4四歩△7六飛▲2四歩△同歩▲4三歩成△7七角成▲同銀で、ソフトの評価値+346で先手有利。

この手順は△3六歩に▲3五歩で後手失敗のようでも△6四飛から△6六飛とぶつけるくるのがうるさいです。

形勢は互角に近い先手有利ですが、軽く捌く△6四飛から△6六飛は参考になります。

なお△3六歩に▲同歩だと△同飛で銀取りを受けるには▲3七銀としますが△3四飛で、ソフトの評価値+108で互角。

この手順もうっかりしやすいのですが、△3六同飛に▲3七銀と受けて△3四飛とした形は先手失敗かと思っていたのですが、そこまで悪い手ではなく△3四飛には▲3八飛で、ソフトの評価値+93で互角。

これらの手順を見るとまだ自分の知らないような指し方があるようです。

何気ない序盤でも手が広いのが参考になった1局でした。

少し悪い局面で粘りにでる

上図は、角換わりからの進展で△5四同歩と銀を取った局面。ソフトの評価値-347で後手有利。

駒割りは金と桂香の交換で後手玉は少し薄いのですが、後手の方が駒の働きがいいようで、後手が少し有利のようです。

持ち駒の金の価値も高いのですが、桂馬や香車などの小駒などで攻められると受けに神経を使います。

安い駒で攻められて金駒を取られると、桂馬や香車はあまり受けに役立つのが少ない特殊な駒なので自玉の守りが弱くなってしまいます。

また、桂馬や香車の持ち駒が相手にあるとスピードのある攻めがとんでくることがあります。

実戦は▲4五銀△5三銀打▲4四銀△同歩▲9四金△5五桂で、ソフトの評価値-753で後手有利。

この手順の▲4五銀は△同香なら▲7二金を狙った手で、自分の実力からすると手が見えた方かと思っていました。

ただし、▲4五銀はソフトの候補手に入っておらずあまりよくなかったようです。

▲4五銀に△5三銀打で後手陣が固くなって▲4四銀~▲9四金も狙い筋ですが、△5五桂と桂馬で守りの金を攻める形です。

このように安い駒で金駒を攻められると守りが崩れてきます。

後手の5五の桂馬と6二の香車と角と飛車がバランスよく働いています。

▲8四金と角を取られても△同飛で角と金の交換になります。

敵陣が固くなって安い駒で攻められるという流れがよくないです。

△5五桂に▲8三香がありそうですが、△6七桂不成▲同金△6六角▲同金△9一飛で、ソフトの評価値-970で後手優勢。

このように▲8三香としても守りの金が1枚取られた形は、後手の飛車と角と桂馬と香車のコンビネーションで先手陣はまとめようがなくなってしまします。

最初の局面は後手の4四の香車は2六の角の利きを止める守りの駒になっているので、将来的に後手からも△4六香と銀を取りづらいです。

そのような意味で4六の銀は動かさなくてもよかったです。

▲4五銀では▲9四金がありました。ソフトの評価値-311で後手有利。

この手は▲9四金として次に▲8四金と角を質駒にする手です。

角と取ってもすぐに使う場所はあまりありませんが、▲8四金△同飛と進むと角と桂香の交換になるので、チャンスを待つという感じです。

後手に金が入ると金と銀と桂馬と香車で攻められますが、4六の銀がまだいるので△5五桂には▲同銀とすることができます。

▲9四金に△5三銀打なら▲4四角△同歩▲8三香で、ソフトの評価値+193で互角。

この手順は△5三銀打は自陣を固めた手堅い手のようですが、あまりいい手ではなくこの場合は▲4四角△同歩に▲8三香と飛車を責めることで角を取る狙いです。

この展開は先手の守りの金駒が3枚いるので成立するようです。

▲9四金に△8五桂なら▲8四金△7七桂成▲同金寄△8四飛▲8六歩で、ソフトの評価値-365で後手有利。

この手順は△8五桂と桂馬を活用する手で、これが自然なようです。

▲8四金からさっぱりした形になりますが、最後の▲8六歩は△8五桂を消して粘りにでた手です。

将棋は先手が少し苦しいですが、相手の狙いの手を消してチャンスを待つという感じです。

少し悪い局面で粘りにでるのが参考になった1局でした。

金で取って柔らかく受ける

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形から後手が△6二飛と右四間飛車の形にしてからの進展で△6六歩と歩を取った局面。ソフトの評価値-23で互角。

先手の玉の囲いを見てから後手は飛車を右四間にして6筋から動いてきた展開です。

今までこのような局面で先手をもって指すと、どこかで受け損ねて気がついたら勝負所もないまま一方的に攻めつぶされるということが多かったので、あまり好きな戦型ではありません。

受けつぶされるのもありますが、先手から動くという形になりづらいので今回は少し工夫をしました。

早めに2筋の歩を突き捨てたのと、▲3七桂型にしてどこかで▲4五歩とか▲2五歩とか仕掛ける形にしました。

ただし、それまでに相手から動いてきたときに受ける必要があるので、どの程度の精度で受けるかが大事です。

実戦は△6六歩以下▲同銀△6五歩▲5七銀△6四銀で、ソフトの評価値-68で互角。

この手順は▲6六同銀として△6五歩と6筋の位を取った時に▲5七銀と引く形です。

後手は6筋の位を取ってから△6四銀と圧力をかけてきました。

次に△5五銀とされるとまずいので先手は▲5六銀と上がりました。ソフトの評価値-125で互角。

先手のここまでの受け方がいまひとつだったようで、先手は5筋の位を確保するのに▲5六銀とした形は将来△6六歩と金取りに歩を突かれると取っても逃げても少し味が悪い形です。

後手はいいタイミングで△4五歩としてから△5五銀と出ると、先手玉に後手の角のラインが入ってくるのでうるさいです。

このような展開になると6筋の位のあたりがきつくて少し先手が受けづらいです。

▲6六同銀では▲6六同金がありました。

▲6六同金に△6五歩なら▲5六金で、ソフトの評価値+110で互角。

この手順は▲6六同金と金で歩を取る手がありました。

感覚的に金が4段目に上がるのはあまりよくないという先入観があったので、全く考えていませんでした。

▲6六同金に△6五歩と位を取ってくると▲5六金と5筋に逃げるのが急所です。

この受け方は先手は5筋に位を取っているので▲5六金とすることができるのですが、5七の銀の形にしておくのがいいみたいです。

▲5六銀型より▲5六金型の方が後手から将来△6六歩と突いても先手の駒に当たらないので、場合によっては手を抜くこともできます。

受け方としては▲5六金型の方が柔らかく、後手からの6筋の攻めにあたりが少ない感じです。

▲5六金型だと将来▲6七歩と下から歩を打って受けることも可能です。

なお、▲6六同金に△6五歩でなく△6四銀と圧力をかけたきたら、その瞬間に▲2五歩△同歩▲同桂△1五角▲3三桂不成△同桂▲2一飛成で、ソフトの評価値+679で先手有利。

この手順はうまくいきすぎですが、先手の狙い筋です、

よって▲2五歩には△6五桂▲6八銀で、ソフトの評価値+3で互角。

やはり平手の将棋は、片方が一方的によくなるというのは少ないようです。

金で取って柔らかく受けるのが参考になった1局でした。

厚みを作って相手の攻め駒を責める

上図は、相雁木からの進展で△4一玉と寄った局面。ソフトの評価値+356で先手有利。

先手は金と銀を中央から左に固める方針で後手の△7五銀に備える形です。

先手はどちらかと言えば受け身な指し方で厚み重視なので、攻める方に手が伸びていません。

元々相居飛車で厚み重視の指し方というのは自分はあまり好きでないので、つい飛車のいる右側の方に手が伸びます。

実戦は▲2五歩△5二金▲7九玉△7五銀▲同銀△同角で、ソフトの評価値-22で互角。

この手順は何気ないようですが、だいぶ先手が評価値を下げた感じです。

飛車の活用を急ぐ▲2五歩は自然な手のように思っていましたがこれ良くなかったようで、ソフトの候補手に上がっていませんでした。

部分的には飛車の活用に手を回したので価値の高い手ですが、局面は右側より左側の方が大事だったようです。

なお、△5二金に▲7九玉も部分的には自然な手ですが、この手もソフトの候補手にありませんでした。

形だけで指していると気がつかない間に形勢を損ねるというのがよくあり、本局もその典型のようです。

後手の銀が捌けて歩損が解消される形になったので互角に戻ったようです。

▲2五歩では▲7四歩がありました。

▲7四歩△8四飛▲6五歩△7五銀▲同銀△同角▲7六金△5三角▲7五銀で、ソフトの評価値+462で先手有利。

この手順の▲7四歩は後手に△7五銀と出られたときに歩を取られないようにする手です。

部分的にはある手筋ですが、後手は△8四飛と浮きます。

△8四飛も▲7四歩と伸ばした時の部分的な形ですが、△8四飛で△5二金なら▲6五歩△7五銀▲同銀△同角▲7三歩成△同桂▲7四歩で、ソフトの評価値+351で先手有利。

この手順は△5二金には▲6五歩と突くのが狙いの手で、以下桂頭を歩で攻める形で桂馬が取れるかと金ができるかの形なので先手有利です。

ただし圧倒的に先手がいいかと言われればそうでもないので、形勢の過大評価は禁物です。

よって▲7四歩に△8四飛としたのですがそれでも▲6五歩があり、以下△7五銀からの銀交換になりますが▲7六金が強い手です。

6八の玉が5七の地点を補強しているので△5三角と引きますが、そこで▲7五銀が7四の歩の形を活かした手厚い指し方です。

先手は左側だけで形勢を有利にする感じで、先手は1歩得で7四の位が大きいです。

7四に位があると後手は△7三桂と活用することができません。

▲7五銀で先手有利になってますが、その後の指し方が気になります。

▲7五銀△8三飛▲6六角△6二金▲8四銀△8二飛▲7三歩成△同桂▲7四歩で、ソフトの評価値+591で先手有利。

この手順は▲7五銀に△8三飛には▲6六角が継続手です。

戦場は左側になっており▲6六角の次の狙いは▲8四銀で、先手は後手の攻め駒を責める形です。

△6二金は7三の地点の受けですが、▲8四銀△8二飛▲7三歩成△同桂▲7四歩で桂馬が取れる展開なので先手有利です。

厚みを作って相手の攻め駒を責めるのが参考になった1局でした。

歩を使って重たく香車と取りにいく

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△2四同角と歩を取った局面。ソフトの評価値+273で互角。

後手が高美濃ですが先手が7筋の歩を角で交換するやや珍しい展開です。

7筋の歩を交換することで1歩を持ち駒にすることができます。

ただし、7筋の歩は守りの歩でもありますので、将来△7五桂のような手があり一長一短です。

▲2四歩の突き捨てに△同角としたのですが、ここで先手がどのように手を繋げていくかという局面です。

実戦は△2四同角▲2四同飛△同歩▲2二角△4一飛▲5五歩△4三銀▲1一角成△3九飛で、ソフトの評価値+14で互角。

この手順は▲2四同飛として飛車と角の交換になります。

以下△同歩に▲2二角と打って△4一飛に▲5五歩から▲1一角成とします。

この瞬間は角香と飛車の交換で先手が少し駒得です。

ここで△3九飛と打った局面の形勢がはたしてどうかが気になります。

先手から飛車を切る展開なので少しでもポイントを上げたかったのですが、△3九飛と打たれた局面は互角とはいいながらも後手が持ち直した感じです。

この局面から先手は駒得を図るのは難しいのに対して、後手は△2九飛成から△1九龍として桂香を拾うことが可能です。

そうなると駒割りは角香と飛桂香で先手が少し駒損になります。

△3九飛の瞬間に何か先手から厳しい手があればいいですが、無理に動いいても反動がきつくなります。

▲2四同飛と飛車と角を交換する手は、この手順にすればやや先手よしのケースや元々先手が苦しい展開での勝負手で指すような手なので、互角の形勢から指すのは少しもったいなかったようです。

▲2四同飛では▲2二歩がありました。

▲2二歩△3三桂▲2一歩成△8五歩▲1一と△7四歩▲8四角で、ソフトの評価値+496で先手有利。

この手順は▲2二歩から後手の桂馬を攻める手です。

7筋の歩を交換した手が▲2二歩と攻めに使えるので、形勢はともかく先手としては狙いの展開です。

△3三桂と逃げられますが、▲2一歩成から▲1一とで香得になります。

その間に後手は△8五歩から△7四歩として先手の角を目標に指します。

先手の角は動ける範囲が狭いので取られそうな角ですが、△7四歩に▲8四角が盲点です。

▲8四角で▲9七角と逃げると△9五歩が厳しいので仕方ありませんが、▲8四角はうっかりしやすい狙いがありました。

▲8四角に△8三銀なら▲7三角成△同金▲3六桂で、ソフトの評価値+1083で先手優勢。

この手順は△8三銀で角が取られる形ですが、▲7三角成から▲3六桂で大駒が取り返せます。

▲8四角に△3五歩なら▲9三香△8三銀▲7三角成△同金▲9一香成で、ソフトの評価値+514で先手有利。

この手順は△3五歩として▲3六桂の筋を消したのですが▲9三香が継続手です。

以下△8三銀で角は取られますが▲7三角成から▲9一香成でどうかという展開です。

駒割りは角と桂香香の3枚替えで、金駒がないのでそんなに大きな駒得ではありませんが、これで先手も指せているようです。

このような展開は少ないので形勢判断が難しいのですが、このような展開もあると頭に入れておくと何かの時に役立つかもしれません。

歩を使って重たく香車と取りにいくのが参考になった1局でした。

あまり見慣れない受け方で指す

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△6七銀と打った局面。ソフトの評価値-606で後手有利。

相穴熊からの進展で△6七銀と打って張り付いた形です。

駒割りは銀と桂馬の交換ですが、後手の攻め駒が働いており先手の穴熊は攻め込まれています。

先手からは▲5二龍と金を取れる形ですが、この手はそんなに厳しい手ではありません。

先手の穴熊でこのような形で攻められることはよくあるのですが、形勢はすでに悪くどのように粘るかという場面です。

実戦は▲5二龍△7八銀成▲同金△同龍▲7九銀打△8八龍▲同銀△7八金で、ソフトの評価値-1023で後手優勢。

この手順の▲5二龍は仕方なく指したという感じで、これで寄せられたら仕方ないという感覚です。

後手は△7八銀成から先手の金駒を取って穴熊を薄くする展開で、最後の△7八金で典型的な穴熊に張り付いて攻める形です。

△7八金は先手玉の詰めろではありませんが、後手玉にもうまい詰めろがかからないので先手が苦しいです。

実戦は△7八金▲7九金△8八金▲同金△7九銀▲7八金打△8八銀成▲同金△7九銀で、ソフトの評価値-1423で後手優勢。

この手順は先手の守りの金をなくすような攻め方で、守りに金がいないと先手玉は弱体化します。

▲5二龍では▲5八歩がありました。

▲5八歩△同龍▲6九角で、ソフトの評価値-911で後手優勢。

この手順の▲5八歩は大駒は近づけて受けよの格言に沿った手で、△同龍とさせることで▲6九角が先手になります。

本来、角という駒は受け駒より攻めに使うことで持ち味がでるのですが、そのような形勢ではありません。

評価値は後手優勢で先手としては後手に2手くらい間違ってもらって互角という感じですが、あまり見慣れないような局面にして少しでも局面の急所が分かりにくいようにするしかないようです。

後手がぬるい手を指してくれば将来的に▲5二龍を間に合わせるという受け方です。

▲6九角以下△7八銀成▲同角△6七金▲6九銀△7八金▲同銀△6二金寄▲8六桂で、ソフトの評価値-1046で後手優勢。

この手順は駒の繰り替えで穴熊戦ではよく見られる手順ですが、先手はできるだけ穴熊の守り駒は多くして玉が直接攻められる形にさせないようにします。

後手は逆に先手玉が見えるような攻め方をしたいのですが、無理攻めをして攻めが頓挫するのはまずいので一度は受けに回ることになります。

最後の▲8六桂を打っても将棋は先手が苦しいのですが、一応穴熊3枚の金駒で守っているのでこれで辛抱して指すという感じです。

相穴熊は形勢の差がついたら優勢な方の玉が見えづらいので逆転はしづらい戦型ですが、あまり見慣れない形にして指して少しでも相手を迷わせるというのが大事なようです。

あまり見慣れない受け方で指すのが参考になった1局でした。

盤上の駒を活用して手を広げる

上図は、角換わりからの進展で△9五歩と打った局面。ソフトの評価値-20で互角。

後手が端攻めをしてきて△9五歩と打った展開で、先手は香車が取られますが駒の損得はありません。

ここで先手がどう指すかですが、先手の持ち駒に銀があれば▲7二銀と打つことができます。

対局中は持ち駒の香車を使って後手の銀を取りにいってどうかと思っていました。

実戦は△9五歩以下▲5六香で以下△9六歩▲5四香△同金▲9八歩と進み、そこから変化手順で△9七歩成▲同歩△9一飛で、ソフトの評価値-412で後手有利。

この手順は▲5六香と打って銀を取りにいく手で予定通りだったのですが、▲5四香に△同金で▲7二銀と打つ展開にはなりませんでした。

▲9八歩の受けに対して、変化手順の△9七歩成▲同歩△9一飛の局面は先手の方が形勢が悪いようです。

駒割りは銀と香車の交換で先手が駒得で後手玉はやや不安定な形なのですが、先手が方が悪いようです。

このあたりの形勢判断が難しく、次に△9七飛成がありますのでそれを受ける形ですが、受けの形がしっくりこないようです。

△9一飛に▲8八玉は△9四香と9筋の駒を足されて先手が悪いです。

また△9一飛に▲8八銀は△6五歩と6筋に歩を合わされてこれも嫌な形です。

先手は飛車と角と4六の銀と2九の桂馬が働いてないのでそれがマイナスの要因です。

▲5六香では▲5六歩がありました。

▲5六歩△6二金▲9三歩△9一飛▲6四香△6三歩▲5五歩で、ソフトの評価値-6で互角。

この手順は▲5六歩と盤上の駒を使う手です。

次は▲5五歩として銀を取る手がありますので後手は△6二金と引きます。

そこで▲9三歩が小技で次に▲9二歩成が狙いです。

▲9三歩に△同角なら▲9五香で香車が助かりますので△9一飛と辛抱しますが、後手の飛車の形はあまりよくありません。

そこで▲6四香と金取りに香車を打つのが見えづらいです。

単騎の香車ですが△6三歩と受けたらそこで▲5五歩として銀を取る形です。

実戦との違いは、同じ香車を取るのに5筋の歩を使うか使わないかということです。

盤上の駒を動かして駒を活用するというのは本筋の指し方で、持ち駒はいつでも使いたいときに使えますが、盤上の駒を活用できるようになると盤面全体の駒を意識するようになります。

少しでも盤上の駒を使って戦力を増やして勝負するのがいいようです。

5筋の歩を使うということは4六の銀が攻めに参加しています。

また将来▲5四歩と突く形は2六の角が攻めに参加できる形になり、2六の角が捌けると先手の飛車の利きが通ります。

そこまで進むとやや理想的ですが、盤上の歩を活用するのが手が広がります。

つい目先の駒得で持ち駒を使いたくなるのですが、そこを辛抱して盤上の駒で何かいい手がないかと考える習慣をつけるだけでも棋力の向上に役立つかもしれません。

実戦はまだ互角ですが、先手の4六の銀と2六の角の活用が見込めるのが大きいです。

盤上の駒を活用して手を広げるのが参考になった1局でした。