合わせの歩で銀を活用

上図は、令和元年以前の対局から、後手三間飛車に先手居飛車穴熊からの進展で、後手が△2六歩と突いた局面。ソフトの評価値+408で先手有利。

対局中は、先手有利とは思っておらず、後手から△2七歩成が入ればうるさい形になるなと思っていました。

先手は、5五に銀がいるので7七角が使いづらい形になっています。

本譜は▲5九金△2七歩成で、ソフトの評価値-124で互角。

▲5九金は遊んでいる金を穴熊側に使う手ですが、あまり良くなかったようです。

△2七歩成に▲6八金上は△5九角成で、△2七歩成に▲6九金は△4八角成で、ともに後手有利です。

5九の金を動かせないのでは、▲5九金と指した手が活きません。

▲5九金では▲5四歩がありました。

▲5四歩△同歩▲同銀△5三歩▲4五銀で、ソフトの評価値+619で先手有利。

▲5四歩と合わせるのは全く見えませんでした。

▲5四歩に△2七歩成なら、▲5三歩成△同金▲5四歩△5二金▲8六角で、ソフトの評価値+325で先手有利。

この手順は、先手は5五の銀と7七の角が活用できる理想的な展開です。

よって後手は△5四歩~△5三歩としますが、手順に▲4五銀が何気にいい手です。

この手は、銀交換してから▲1一角成を狙っています

▲4五銀以下△同銀▲同歩△3三角▲2六飛△7七角成▲同金△5五角▲6六銀△1九角成▲2一飛成で、ソフトの評価値+1032で先手優勢。

この展開は理想的ですが、飛車が成れれば先手優勢です。

合わせの歩で銀を活用するのが参考になった1局でした。

角を間接的に受けに使う

上図は、先後逆で後手横歩取り△3三角型からの進展で▲6五角と打った局面。ソフトの評価値+185で互角。

後手番になれば初手はほとんど△3四歩と指すのですが、相手が居飛車を選択すれば大会意外であれば最近はほとんど横歩を取ってくる感じです。

大会意外であれば気軽に指せるということだと思いますが、横歩取りは相手が横歩を取ってくれないとできない戦法なのでいい練習になります。

▲6五角はこの戦型だとよくある手で、飛車取りではありますが▲7四角~▲8三歩成を狙う手があります。

また5四の飛車がいなくて先手の持ち駒に桂馬があれば▲4四桂△同歩▲3二角成のような狙いもあります。

そのような意味で▲6五角は含みが多い手です。

▲6五角に後手はどこに飛車を逃げるかで全く展開が変わってくるようです。

実戦は△5五飛▲5六歩△9五角だったのですが、そこで▲8九飛でソフトの評価値+402で先手有利。

この手順は、△5五飛としていつでも△6五飛とする筋を残して▲5六歩に△9五角と打ちました。

7七の桂馬がいなければ△6五飛がある形なので△9五角と打ったのですが、▲8九飛とすれば後手は手がありませんでした。

▲8九飛に△7七角成としても▲5五歩で飛車が取られて後手からいい手ありません。

よって▲8九飛には△2五飛として、そこで▲9六歩と突いてくれたら△7七角成▲同金△6五飛がありますが、▲9六歩のところを▲6六歩として角にひもをつければ次に▲9六歩で後手が悪いです。

自分の狙いが浅いですが、攻めたらいけないところで攻めると手が続かなくなります。

△5五飛では△2四飛がありました。

△2四飛▲7四角△6四角で、ソフトの評価値+308で先手有利。

この手順は△2四飛と遠くに逃げて▲7四角に△6四角と打つ手です。

形勢は少し先手有利になりましたが、自分の使っているソフトは300以上が有利になるのでほとんど互角の範疇のようです。

△6四角は角のラインで間接的に8六の飛車を狙っています。

先手からは▲8三歩成が狙いですが、後手は直接受けるのでなく間接的に受ける形のようです。

△6四角に▲8三歩成なら△7五角▲8五飛△7四飛▲7二と△同飛で、ソフトの評価値+268で互角。

この手順は▲8三歩成として8筋突破を目指してきましたが、そこで△7五角と飛車取りで受けます。

7五の歩を取ると△7四飛として角を取れる形になる受け方です。

変化手順は角と金の交換と進みますが、先手は飛車が成り込めてないので後手としては満足です。

△6四角に▲7六飛なら△7三金▲5六角△8四金で、ソフトの評価値-248で互角。

この手順は▲7六飛として△7五角を防いだのですが、△7三金~△8四金として金を活用するのが盲点で、飛車とか角への接近戦は金駒を使うのが有力です。

このような指し方を見ると自分の考えていることと全く違っていたようで参考になります。

角とか金をうまく使って形勢を保つのがうまいです。

角を間接的に受けに使うのが参考になった1局でした。

桂頭をどのように守るか

上図は、後手石田流からの進展で△7五角成と歩を取った局面。ソフトの評価値+201で互角。

駒割りは飛桂と角銀の交換でいい勝負のようです。

後手は馬を作って手厚い陣形で、次に△7六歩~△7七銀の打ち込みの狙いがあります。

ただしこの局面は先手の手番なので、その狙いにどのように対抗するかという場面です。

対局中は適当な受けも浮かばず攻めるしかないと思って▲7三歩と叩きました。

実戦は▲7三歩△同銀▲6五桂△7六歩で、ソフトの評価値+251で互角と進みましたが、△7六歩で△7四銀直▲7三歩△7一金▲2一飛△5二銀で、ソフトの評価値-538で後手有利。

この手順の▲7三歩△同銀に▲6五桂は、守りの桂馬を攻めに使って△7六歩の攻めを少し緩和する指し方ですが、△7四銀直と逃げる手があったようです。

先手は▲7三歩とくさびの歩を打ちますが、△7一金と引くのが辛抱強いです。

攻めの拠点の歩は残さない方がいいのが一般的なのですが、まだ7二から打つ込む駒がなので引いて辛抱します。

以下▲2一飛に△5二銀と打って後手の狙いは、△6五銀から桂馬を取って△7六桂のような感じです。

先手が駒不足で模様が悪いです。

攻め合いにいくのは少し先手が無理みたいなので受けに回るのですが、▲7三歩では▲7六歩がありました。ソフトの評価値+83で互角。

この▲7六歩は敵の打ちたいところに打ての格言に沿った手です。

この歩に対して後手は△同馬でも馬が逃げても先手は粘りがききそうです。

▲7六歩に△同馬なら▲6五銀△7五馬▲7六歩△3一馬▲7五桂△9二銀▲2四歩△同歩▲3四飛△3二馬▲8四飛△8三歩▲2四飛で、ソフトの評価値+284で互角。

この手順は▲7六歩に△同馬とすれば▲6五銀が馬取りで、以下△7五馬に▲7六歩と桂馬を守りながら馬取りで気持ちのいい受け方です。

以下△3一馬に▲7五桂と逆に先手は7筋から攻める展開です。

後手は△9二銀と形の悪い受け方をしますが、先手は2筋の歩を突き捨ててから▲3四飛と手を作る展開です。

敵陣に打つ飛車ではないのでかなり指しづらいですが、このような指し方もあるみたいです。

▲7六歩に△3九馬なら▲2一飛△5一金▲5四歩△5二歩▲5三歩成△同歩▲5二歩△同金▲6四桂で、ソフトの評価値+133で互角。

この手順の△3九馬は△2九馬からの攻め合いにいく手ですが、先手も▲2一飛と敵陣に飛車が打てるのが大きく、以下5筋の歩を伸ばして歩を使った攻めでいい勝負のようです。

このような展開は一見先手がだいぶいいようなイメージがあっても、実際は後手も粘りがきく形なのでそんなに簡単ではないようです。

▲7六歩に△3一馬なら▲5四歩△7四銀打▲5八飛△5二歩▲5九飛△5一金▲6五銀△同銀▲同桂△6四銀▲6六銀で、ソフトの評価値+160で互角。

この手順は△3一馬と馬は自陣に引けの格言に沿った手ですが、先手は5筋の歩を伸ばして遊んでいる飛車を▲5八飛と活用します。

後手は受けに回っていますが、歩が入れば△7五歩からの桂頭を狙う手があります。

先手は▲6五銀から動いて桂馬を活用しますが、△6四銀と打たれると簡単ではなく▲6六銀と打って辛抱するような展開です。

やはり後手の馬は守リが固くいい勝負のようです。

桂頭をどのように守るかが参考になった1局でした。

▲4六角から銀冠の急所を狙う

上図は、角換わりからの進展で△4二玉とした局面。ソフトの評価値+234で互角。

普通は角換わりは2筋の歩の交換ができないのですが、ちょっとした形に違いから2筋の歩の交換ができました。

そのかわり後手は銀冠に組んだ展開です。

銀冠の急所は守りの銀の頭なので2四の地点になるのですが、その地点をどのような駒組みで攻めるかで今後の展開がかわってきます。

対局中は3八の銀を攻めに使うつもりでしたが、思った展開になりませんでした。

実戦は▲5八金△7四歩▲2七銀△7三銀▲3六銀△6四銀で、ソフトの評価値±0で互角。

この手順は▲5八金と守りを固めてから▲2七銀~▲3六銀と銀を進出させます。

先手の狙いは、余裕があれば▲3六銀以下▲1七桂~▲2五歩のように飛車と銀と桂馬を2五の地点に合わせて駒を活用するつもりでした。

ただし、その間に後手も銀を6四まで進出して次に△7五歩から捌いてくるような狙いです。

攻めのスピード感でいえば後手の方が少し早い感じです。

実戦は△6四銀以下▲4六角として▲2四角△同銀▲同飛のように後手が歩切れのときに飛車を捌くつもりでした。

ただし、これも▲2四角に△同銀とはせずに△4四歩~△4五歩~△7五歩として後手が7筋の歩を交換すると1歩が持ち駒に入るので2筋は受けやすくなります。

そのような意味で実戦の手順はソフトの評価値が下がったようです。

▲5八金では▲4六角がありました。ソフトの評価値+170で互角。

この手順は銀の活用でなく飛車と角を使って2四の地点を攻める構想です。

▲4六角は次に▲2四角の狙いですが、△7四歩や△6四歩のけん制にもなっています。

▲4六角以下△5二金▲2四角に△同銀なら▲同飛△3一玉▲2三銀△4二金右▲3二銀成△同金▲2三金△7四歩▲2二歩で、ソフトの評価値+640で先手有利。

この手順はややうまくいきすぎですが、▲2四角に後手が歩切れながらも△同銀と応じた展開で先手の攻めはやや単調ながらもそれなりに手になっているようです。

先手の攻めは細くても後手は歩切れということで受けづらい形です。

▲4六角以下△5二金▲2四角に△4四歩なら▲4六角△4五歩▲2四歩△1二銀▲5五角△4三金右▲1五歩△5四金▲1四歩△5五金▲1三歩成で、ソフトの評価値+1180で先手優勢。

この手順は後手は△2四同銀とはせず△4四歩として先手の角を狙う展開です。

先手から▲2四歩としても△1二銀として耐える形で、後手は金を使って先手の角を狙います。

大駒は接近戦に弱いのでこのような筋はありますが、その間に先手は1筋の歩を伸ばします。

△5四金の角取りに強く▲1四歩と取り込んで、△5五金に▲1三歩成として1筋と2筋の突破を狙います。

これもあまり見ない展開で、先手は先に角損をして指しづらいところはありますが、1筋と2筋の攻めの方が厳しいので先手優勢のようです。

▲4六角~▲2四角を狙うときは、後手は歩切れで歩切れをを解消するのに時間がかかる場合に効果があるようです。

▲4六角から銀冠の急所を狙うのが参考になった1局でした。

先に駒損してもそれなりにいい勝負

上図は、後手横歩取り△3三桂型からの進展で△3六歩と打った局面。ソフトの評価値-176で互角。

駒割りは角と桂馬の交換で先手が駒損ですが、後手玉が狭く先手に金駒が入れば8三から打ち込んで以下即詰みの形です。

そのような意味で意外とこの局面はいい勝負になっています。

△3六歩に▲3八金と逃げるのは△4九角があるので、▲4六金と上がりました。

▲4六金は△同歩とすれば▲同金が。次に▲8三金△7一玉▲8二金△同玉▲8三歩成△7一玉▲8二との詰めろになります。

そのような意味で一発狙いのような手ですが、この手はあまりよくなかったようです。

実戦は△3六歩以下▲4六金△同金▲同歩で以下△5二銀なら、ソフトの評価値-611で後手有利。

この手順は実戦では金交換まで進みましたが、次の△5二銀が変化手順です。

△5二銀は▲8三金に△6三玉の逃げ道を作った手で、これで後手玉が広くなって安全になりました。

先手は金を持ち駒にしたのは成果ですが、攻めるとすればここから▲4三とが浮かびます。

△5二銀以下▲4三と△同銀▲同龍△3七歩成▲同銀△2五角▲3六桂△4三角▲4四桂△同銀で、ソフトの評価値-1414で後手優勢。

この手順は▲4三とから銀を取って部分的には成果が上がっているのですが、△3七歩成~△2五角の王手龍がありました。

▲3六桂と合駒をしますが△4三角から清算されて先手失敗です。

先手の玉のコビンがあくと、先手の龍の位置が悪く王手龍がかかる典型的なパターンです。

最初の局面で平凡な▲4六金で先手が悪いのでは手がないように見えますが、意外な手がありました。

▲4六金では▲3六同金がありました。

▲3六同金△同金▲4三とで、ソフトの評価値-263で互角。

この手順は▲3六同金と金を捨てる手で、△同金に▲4三とで攻め合いにする展開です。

▲4三との瞬間は先手の駒損が大きいのですが、これで意外にも勝負になっているようです。

後手は先手に金駒を渡すと8三から打ち込んで以下詰みの制約があるので、強く攻め合いにでることが難しいです。

また先手は玉のコビンがあいていないので、後手から角を使った攻め筋が緩和されています。

▲4三と以下△3五角▲5三と△同金▲3二龍△5二金▲5六桂△4二歩▲4四桂打△5一金▲3三龍で、ソフトの評価値-285で互角。

この手順は△3五角に▲5三とで銀を取り返して粘る手で、以下△同金に▲3二龍ともぐります。

△5二金には▲5六桂と控えの桂馬を打って次に▲6四桂△同銀▲5二龍を狙います。

後手の△4二歩はそれを消した手ですが、後手かの4筋の歩を使った攻めがなくなるので、先手としても少し粘りが利く形になります。

最後の▲3三龍は次に▲5三龍として▲8三銀からの詰めろを狙いですが、やや単調ながらもいい勝負になっているようです。

苦しくても粘りの手を指すとそれなりに勝負になるので、そのあたりの指し手の精度を少しでも上げたいです。

先に駒損してもそれなりにいい勝負だったのが参考になった1局でした。

受け身の急戦形には準備が必要

上図は、令和元年以前の対局から、先後逆で横歩取り青野流からの進展で▲3七桂と跳ねた局面。ソフトの評価値+68で互角。

横歩取りは数が少ないながらも後手をもって何度か指していたのですが、青野流を後手をもって指すのは少ないです。

戦法の急所がいまひとつ分かっていないのか、手の感覚だけで指した感じです。

本譜は▲3七桂△7六飛で、ソフトの評価値+176で互角。

△7六飛と回ると先手から▲8二歩がありますが、この場合は△8八角成がありますので成立しません。

△7六飛には▲7七角を予想していて、以下△同角成▲同桂△5五角で、以下▲2二歩や▲8二歩などがありそうですが、その時に考えようと思っていました。

実戦は△7六飛▲7七桂で、ソフトの評価値+176で互角。

練習将棋ならともかく、大会で横歩取りの急戦型の▲7七桂になって次の▲4五桂~▲6五桂をどうやって受けようかなど考えるようでは、さすがにまずかったです。

この戦型を選択するなら準備不足だったです。

▲7七桂には△4四歩で▲4五桂を防ぐ1手でした。

△4四歩には▲2二歩を気にして△2二同銀なら、▲2五桂で角が逃げると▲3二飛成があるのでまずいかと思っていましたが、△2二同角で問題なかったです。

△4四歩に▲8二歩なら、△8六飛で▲8一歩成なら△8七歩▲9一と△8八歩成▲同銀△8九角▲8七金△6六飛▲6九香△8六歩で、ソフトの評価値-482で後手有利。

よって△4四歩に▲3八銀△8六飛▲9六歩△7四歩▲6八銀△7三桂で、ソフトの評価値+226で互角。

まだ手が広すぎてこれからですが、受け身の急戦形には準備が必要と分かった1局でした。

飛車交換後の攻めと受け

上図は、先後逆で後手横歩取り△3三角型からの進展で▲2六飛と3六の飛車が回った局面。ソフトの評価値±0で互角。

先手は次に▲2一飛成があるので後手は受ける1手ですが、どのように受けるかという形です。

対局中は最初に△2五歩と先手を取って受ける手が浮かんだのですが、▲8六飛から飛車交換になると▲2一飛とされてから後手が受けにくいと思って指せませんでした。

飛車交換の後に2筋に空間があきすぎて、先手に駒が入れば▲2四桂とか▲2四香のように安い駒で攻められるためです。

そのような意味で△2二歩と低く受けたのですが、この場合はあまりよくなかったようです。

実戦は△2二歩▲8六歩△9四歩▲8五歩△5四飛で、ソフトの評価値+227で互角。

この手順の△2二歩は2段目に歩を打って守りを強化するというつもりだったのですが、先手は▲8六歩~▲8五歩と伸ばす手がありました。

後手の△9四歩はあまり意味がなかったようで、△9四歩では△7二金のように8三の地点を補強すべきでした。

最後の△5四飛は次に△3五角~△5七飛成のような狙いですが、△5四飛には▲8三角と受ける手があったようで、▲8三角△3五角▲5六飛△同飛▲同角成で、ソフトの評価値+220で互角。

この手順は8三の地点に空間があいているので▲8三角が攻防の手で、▲5六同角成と馬ができて自陣に引く形は味がいいです。

△2二歩は候補手の1つだったのでそこまで悪い手ではなかったようですが、最初の局面の推奨手は△2五歩でした。

▲2六飛以下△2五歩に▲8六飛なら△同飛▲同歩△8九飛で、ソフトの評価値-322で後手有利。

この手順は△2五歩に▲8六飛から飛車交換をで直後に△8九飛と打つ展開です。

狭いところに飛車を打つのは取られそうなときもあり勇気がいりますが、この後の展開が気になります。

△8九飛に▲8八角なら△7二銀で、ソフトの評価値-356で後手有利。

この手順の▲8八角は受け一方の手ですが、△9九飛成を受ける手で実戦的には考えられます。

▲8八角に△7二銀が自分の感覚だと少し浮かびにくいです。

敵陣に飛車を打ったらまた攻める手を考えそうなものですが、あえて自陣に手を戻すというのが意外でした。

△7二銀に▲2一飛なら△2二角▲同飛成△同金▲9八角△8八飛成▲同銀△1六歩で、ソフトの評価値-718で後手有利。

この手順は▲2一飛には△2二角と受けるのが形で、先手は2筋の歩が切れていれば▲2三歩のような手があるのですが、2歩のため打てません。

次に△3一金とすると飛車が取られますので▲2二同飛成と飛車と角の交換をしますが、△同金と進みます。

次の▲9八角で後手の飛車も取られる形ですが、△8八飛成~△1六歩で後手が少しうまく進んだ感じです。

△8九飛に▲2七歩なら△5四角▲8五桂△8四歩で、ソフトの評価値-814で後手優勢。

この手順は▲2七歩は手待ちですが、△5四角が継続手で次に△8七歩があります。

▲8五桂は△8七歩に▲6六角の受けですが、△8四歩と桂馬を取りにいって後手優勢です。

これらより先手は飛車交換は少し無理みたいなので、最初の局面から△2五歩には▲6六飛でソフトの評価値-27で互角。

結局△2五歩には飛車交換をせず▲6六飛で1局の将棋のようでした。

飛車交換後の攻めと受けが参考になった1局でした。

△7五歩から△3九角の筋の受け方

上図は、後手石田流からの進展で△7五歩と突いた局面。ソフトの評価値-12で互角。

数手前に▲8八玉の形から先手は手待ちをして▲7九玉としたのですが、対抗形であれば玉を▲8八玉と入城させたのであれば▲7九玉とする必要はなかったです。

▲7九玉型の方が玉が弱いので、わざわざ玉を弱体化するのはよくなかったです。

対抗形は展開によっては飛車交換になりやすく、一段玉だと飛車を打たれたら王手になることがあるためです。

先手玉が少し薄いのを見て後手は△7五歩と動いてきました。

▲7五同歩なら△3九角~△7五角成で馬ができるという狙いですが、先手はどのように対応するかという局面です。

実戦は△7五歩に▲5七角と打ったのですが、△7六歩▲同銀△4二金ならソフトの評価値-177で互角。

この手順の▲5七角は角を先着して△3九角の筋を消したのですが、△7六歩~△4二金で互角だったようです。

先手の角が盤上の角に対して、後手は持ち角なので後手の方がやや手が広いです。

盤上に角があると後手は角の打ち込みを気にする必要がなくなるので、△4二金からゆっくり駒組みを進めることができます。

△7五歩と突っかけてから相手の手を見て△4二金と手をためるという間の取り方が、居飛車側の方からすると考えにくいです。

よって▲5七角はいまひとつだったようです。

なお実戦は▲5七角に△8五桂だったので▲7五角△7七桂成▲同桂で、ソフトの評価値+172で互角。

この手順は銀と桂馬の交換で先手が駒損ですが、形勢は互角でした。

銀と桂馬の交換で駒損といっても後手も玉に近い守り駒の桂馬を交換したので、そこまで大きな駒損ではないということのようです。

なお最初の局面では2通りの指し方がありました。

1つは最初の局面の△7五歩には▲同歩がありました。

▲7五同歩△3九角▲3八飛△7五角成▲8六角△同馬▲同歩で、ソフトの評価値-107で互角。

この手順は後手に馬を作らせるのですが▲8六角と合わせて馬を消す展開です。

3一の金が浮いているので▲8六角とする手がありました。

後手は△同馬としますが▲同歩でどうかという局面です。

お互いに7筋の歩が切れており、先手からすれば将来▲7四歩と叩く筋があり、後手からすると△7六歩と叩く筋があります。

このようなところをイメージしてから▲7五同歩とすればなおいいのでしょうが、早指しだとそこまで頭が回らないのが現状です。

▲8六同歩以下△5五歩▲同歩△2七角▲2八飛△6三角成▲5六角△4四飛▲2三角成△4二金で、ソフトの評価値+156で互角。

この手順はお互いに馬を作る展開ですが、意外にもバランスがとれていい勝負のようです。

もう1つは▲7五同歩では▲8六歩がありました。ソフトの評価値-85で互角。

この手順の▲8六歩は柔らかい受けの手です。

8七の歩のままでは後手から△7六歩▲同銀△7五歩▲同銀△3九角の両取りがあります。

よって▲8六歩と突くことで、歩の交換の後の△7五歩と打ったときには▲8七銀と引く意味です。

銀冠になると先手の理想形の1つになります。

ただし▲8六歩と突いた後は先手から▲7五歩とすると△3九角▲3八飛△7五角成と進み、そこで▲8六歩型なので▲8六角とできないのが欠点です。

よって先手からも後手からも歩を取りにくい形で、どちらが得をしているかが分かりにくくお互いに動きづらい展開になります。

どの手を選んでもそれなりにいい勝負のようです。

△7五歩から△3九角の筋の受け方が参考になった1局でした。

馬を捨てて分かりやすい形にする

上図は、先後逆で相雁木からの進展で▲7八同銀と成桂を取った局面。ソフトの評価値-5626で後手勝勢。

この将棋は、後手が攻める展開になって優勢に拡大していたこともあり、まずまずの展開でした。

そのようなことで気分的に攻めることだけを考えており、自玉をあまり見ていませんでした。

後からソフトの検討で知ったのですが、この局面は後手玉が詰めろになっていました。

手順は▲2二金△同金▲同香成△4一玉▲5二金△同玉▲6三銀△4三玉▲5四金△3三玉▲2三飛成の詰めろです。

対局中は後手玉が広いので全く考えていませんでしたが、終盤はこれがあるので油断できません。

幸いここで後手の手番なので先手玉をどのように寄せるかという局面です。

実戦は△6七歩で、▲5九玉ならソフトの評価値-2411で後手勝勢。

この手順は時間に追われてとりあえず歩で王手をして考えようという手だったのですが、あまりいい手ではありませんでした。

実戦は△6七歩に▲5八玉と逃げたので△4六桂と打って、悪くても2九の飛車が取れる形になって後手玉の詰めろが消えています。

そのような意味で結果オーライだったのですが、▲5九玉と逃げると先手玉に詰まない形で、後手玉は詰めろだったので結構難しかったです。

▲5九玉には△5五馬として、▲2二金以下の詰めろを防ぎつつ△3七馬からの詰めろを狙えばまだ後手の方がよかったようです。

▲2二金以下の詰めろを防ぐというのは、△5五馬の形にしておくと▲5四金に△同馬を用意しているという意味ですが、多分△5五馬は実戦では指せていないように思います。

△6七歩では△7七馬がありました。ソフトの評価値-6618で後手勝勢。

この手順は△7七馬と9九の馬を活用する手で、大駒を捨てる形なので少し浮かびにくいです。

このあたりが手が見えておらず、終盤は駒の損得より速度という格言があるので寄せがある場合は厳しく攻める形だったです。

△7七馬に▲同銀なら△同桂成で▲同玉なら△6五桂が継続手で、ソフトの評価値-99986で後手勝勢。

この手順は7七に玉がいる場合は△6五桂と王手をするのが形で、持ち駒に角と金と銀と歩が数枚あって8一の飛車が王手で成れるので詰み形です。

△6五桂に▲6八玉なら△6七銀▲同玉△8七飛成▲5六玉△5七龍▲6五玉△4七角▲5六歩△同角成▲5四玉△5三金まで詰みです。

この手順は銀を捨てる手は少し難しいですが、飛車が成れる形なので詰みです。

よって先手は△7七馬に▲5八玉と逃げます。

△7七馬▲5八玉△4六桂△▲4八玉△3八金で、ソフトの評価値-99996で後手勝勢。

この手順は、△7七馬に▲5八玉と逃げて後手の飛車を活用させない手ですが△4六桂が厳しいです。

△4六桂に▲4八玉と逃げると△3八金が少し打ちにくいですが、以下▲4七玉△5八角▲4六玉△5五馬まで詰みです。

この手順も少しうっかりしやすく、△3八金は飛車を取るための手でなく詰みを狙う手です。

なお△4六桂に▲4七玉とすれば即詰みはありませんが、△3八角▲3七玉△2九角成で、ソフトの評価値-9155で後手勝勢。

この手順は△3八角から先手の飛車を取る手で、後手玉への▲2二金からの詰めろも消していますので後手勝勢です。

馬を捨てて分かりやすい形にするのが参考になった1局でした。

危ないようでも踏み込んで指す

上図は、後手雁木に先手左美濃の右四間飛車からの進展で▲4四飛と歩を取った手に4二の玉が△5一玉と逃げた局面。ソフトの評価値+538で先手有利。

対局中は先手は攻めているというより、攻めを急がないと後手から△7六桂などがうるさいという気分で、あまり気持ちに余裕がありませんでした。

先手有利になっていますが、次の1手が全く分かりませんでした。

気持ちに余裕がないと指し手もどこか抜けがでるようで、このようなときに形勢が大きく左右します。

実戦は△5一玉に▲2一角△5五銀▲3二角成△4四銀で、ソフトの評価値-862で後手優勢。

この手順は典型的な失敗例で、▲2一角は金取りですが△5五銀と桂馬を取られて飛車取りになるのをうっかりして以下▲3二角成に△4四銀では先手駒損でまずいです。

先手有利だったのが数手で後手優勢になるのですから全く手が見えてなかったです。

攻めばかりに意識すると△5五銀のような普通の受けを見落とすので、桂馬が取られる前にうまく攻めないといけないです。

▲2一角では▲1五角がありました。

▲1五角△3三銀▲3四飛で、ソフトの評価値+356で先手有利。

この手順は▲1五角は単騎の王手ですが、このような手はなかなか浮かびにくいです。

角の利きが攻めとしては1方向しかないので、ぱっと見で単調な感じがします。

△3三銀の受けに▲3四飛が攻めの継続手で、この形になったら飛車と角が働いてきたのが分かります。

▲3四飛以下△2四歩▲同角△8六歩▲3三角成△同金▲同飛成△7六桂▲7七銀打で、ソフトの評価値+544で先手有利。

この手順は△2四歩ははっとする手ですが、▲同角とします。

△2四同銀なら▲3二飛成がありますので、後手は受けてもきりがないということで△8六歩と攻め合いにきます。

先手は▲3三角成から2枚替えで飛車が成り込みますが、後手も△7六桂が詰めろになります。

そこで▲7七銀打として詰めろを受けるのですが、先手玉も攻められて危ない形でこれで先手有利というのが読みが入っていないと判断できないです。

▲7七銀打以下△8七歩成▲同銀△同飛成▲7八金で、ソフトの評価値+539で先手有利。

この手順は8七の地点で清算してから▲7八金と受ける手で、ぱっと見で相当先手玉が危なく見えます。

具体的には▲7八金に△同龍▲同玉△8七角▲同玉△6九角のような筋です。

△6九角の場面は後手の持ち駒に金銀と歩が2枚だけでぎりぎり詰んでいないようですが、持ち駒に桂馬があると△7五桂で詰み筋です。

桂馬がなくても先手玉は危ないのですが、駒を渡しすぎると後手玉が詰みということなので読みが必要ということです。

△6九角以下▲7八銀△8六歩▲同銀△8八金▲9七玉△7八角成▲8一飛△6一銀▲4一金△同玉▲6一飛成△5一金打▲3二銀で詰みです。

これらの手順は後手が無理っぽく寄せにきたパターンなので正着ではありませんが、このような危険な筋があるので、それに先手が踏み込めるかどうかの判断が必要になります。

実際は▲7八金には△8二龍で以下▲8三歩△同龍▲8四歩△同龍▲7六銀で、ソフトの評価値+1437で先手優勢。

この手順は▲8三歩から後手の龍の利きを甘くしてから▲7六銀と桂馬を補充して先手優勢のようです。

危ないようでも踏み込んで指すのが参考になった1局でした。