上図は、角換わり腰掛銀からの進展で△7三金とした局面。ソフトの評価値+747で先手優勢。
後手の6三の金が△7三金と寄った局面ですが、駒割りは先手が香得です。
先手は8五の桂馬が取れそうですが、8四の香車は取られそうです。
また▲1一歩成とすれば桂馬が取れそうなので、盤面全体を見ると先手が駒得を維持でできそうですが、5八の角の働きがいまひとつなので難しい形勢かと思っていました。
しかしソフトで検証すると先手有利と出ましたが、優勢に近いような有利だったので驚きました。
この局面のソフトの見解では、かなり形勢に差が開いているということです。
先手香得とはいえ、お互いに持ち駒が歩だけの駒の損得がない状態で、これだけ差が開いているというのをまず理解しなければいけないと思いました。
実戦は▲1一歩成△8四金▲2一と△同玉▲1三香成で、ソフトの評価値+228で互角。
この手順は▲1一歩成として△8四金と香車を取られますが、▲2一と~▲1三香成と敵陣を攻める手です。
駒割りは先手の桂得で▲1三香成は大きな手だと思っていたのですが、これで形勢は互角になったようです。
評価値の通りだと、この展開は先手は▲1三香成の得より何か大きな損をしているということになります。
ソフトは▲1一歩成では▲8五銀を推奨していました。
▲8五銀△8三歩▲同香成△同金▲1一歩成△8四歩▲2一と△同玉▲9六銀△同香▲1三香成で、ソフトの評価値+767で先手有利。
この手順は▲8五銀と桂馬を取る手ですが、△8三歩と打たれると香車が取られる形なので部分的には駒の損得はありません。
また8六の銀が▲8五銀とすると、銀を自陣に引き返して守るということはできませんので、決断の手になります。
▲8五銀に△8三歩▲同香成△同金は1本道ですが、そこで▲8四歩と打たずに▲1一歩成が少し指しづらいです。
▲8四歩と打つと△9四金▲同銀△同香で、ソフトの評価値+612で先手有利。
この手順は▲8四歩と手厚く打つと△9四金から金と銀の交換になり、将来△8五香のような手に先手は歩の合駒ができなくなるため、かえって先手玉が危険ということかもしれません。
よって、▲8四歩と打たずに▲1一歩成とするのですが、△8四歩とすると今後は銀が取られる形なので、部分的には先手がすごい駒損をしているように見えます。
金駒が1枚なくなるというのは少し痛いという感覚です。
△8四歩には▲9六銀が見えづらく、ぱっと見であまり価値の高い手に見えないのですが、△同香とさせると後手の香車がやや不安定な駒になります。
以下▲2一と~▲1三香成とした局面が先手有利みたいです。
最後の局面図の駒割りは銀と桂桂の交換で一応2枚替えになっていますが、先手の持ち駒は桂馬2枚と歩が5枚とそれなりにそろっています。
特に歩が5枚あるというのは、将来歩を使った攻め方が幅広くなります。
また後手の8五の桂馬がいなくなったので、先手玉は少し広くなったようです。
おそらく▲8五銀と受けに回って、後手の桂馬を処理することがソフトは大事とみているようです。
▲1三香成以下△1二歩▲2二歩△3一玉▲1二成香△4二玉▲2一歩成で、ソフトの評価値+599で先手有利。
この手順は後手は△1二歩と受けたのですが▲2二歩が平凡ながらの継続手で、△3一玉に▲1二成香~▲2一歩成で先手有利のようです。
形は崩れても目障りな桂馬を処理するのが参考になった1局でした。