形は崩れても目障りな桂馬を処理する

上図は、角換わり腰掛銀からの進展で△7三金とした局面。ソフトの評価値+747で先手優勢。

後手の6三の金が△7三金と寄った局面ですが、駒割りは先手が香得です。

先手は8五の桂馬が取れそうですが、8四の香車は取られそうです。

また▲1一歩成とすれば桂馬が取れそうなので、盤面全体を見ると先手が駒得を維持でできそうですが、5八の角の働きがいまひとつなので難しい形勢かと思っていました。

しかしソフトで検証すると先手有利と出ましたが、優勢に近いような有利だったので驚きました。

この局面のソフトの見解では、かなり形勢に差が開いているということです。

先手香得とはいえ、お互いに持ち駒が歩だけの駒の損得がない状態で、これだけ差が開いているというのをまず理解しなければいけないと思いました。

実戦は▲1一歩成△8四金▲2一と△同玉▲1三香成で、ソフトの評価値+228で互角。

この手順は▲1一歩成として△8四金と香車を取られますが、▲2一と~▲1三香成と敵陣を攻める手です。

駒割りは先手の桂得で▲1三香成は大きな手だと思っていたのですが、これで形勢は互角になったようです。

評価値の通りだと、この展開は先手は▲1三香成の得より何か大きな損をしているということになります。

ソフトは▲1一歩成では▲8五銀を推奨していました。

▲8五銀△8三歩▲同香成△同金▲1一歩成△8四歩▲2一と△同玉▲9六銀△同香▲1三香成で、ソフトの評価値+767で先手有利。

この手順は▲8五銀と桂馬を取る手ですが、△8三歩と打たれると香車が取られる形なので部分的には駒の損得はありません。

また8六の銀が▲8五銀とすると、銀を自陣に引き返して守るということはできませんので、決断の手になります。

▲8五銀に△8三歩▲同香成△同金は1本道ですが、そこで▲8四歩と打たずに▲1一歩成が少し指しづらいです。

▲8四歩と打つと△9四金▲同銀△同香で、ソフトの評価値+612で先手有利。

この手順は▲8四歩と手厚く打つと△9四金から金と銀の交換になり、将来△8五香のような手に先手は歩の合駒ができなくなるため、かえって先手玉が危険ということかもしれません。

よって、▲8四歩と打たずに▲1一歩成とするのですが、△8四歩とすると今後は銀が取られる形なので、部分的には先手がすごい駒損をしているように見えます。

金駒が1枚なくなるというのは少し痛いという感覚です。

△8四歩には▲9六銀が見えづらく、ぱっと見であまり価値の高い手に見えないのですが、△同香とさせると後手の香車がやや不安定な駒になります。

以下▲2一と~▲1三香成とした局面が先手有利みたいです。

最後の局面図の駒割りは銀と桂桂の交換で一応2枚替えになっていますが、先手の持ち駒は桂馬2枚と歩が5枚とそれなりにそろっています。

特に歩が5枚あるというのは、将来歩を使った攻め方が幅広くなります。

また後手の8五の桂馬がいなくなったので、先手玉は少し広くなったようです。

おそらく▲8五銀と受けに回って、後手の桂馬を処理することがソフトは大事とみているようです。

▲1三香成以下△1二歩▲2二歩△3一玉▲1二成香△4二玉▲2一歩成で、ソフトの評価値+599で先手有利。

この手順は後手は△1二歩と受けたのですが▲2二歩が平凡ながらの継続手で、△3一玉に▲1二成香~▲2一歩成で先手有利のようです。

形は崩れても目障りな桂馬を処理するのが参考になった1局でした。

終盤の踏み込み

上図は、令和元年以前の対局から、先後逆で角換り腰掛銀からの進展で▲6三角と打った局面。ソフトの評価値-1901で後手優勢。

ソフトの評価値は圧倒的に後手優勢になっていますが、対局時は結構難しい局面だと思っていましたので、形勢判断が出来ていませんでした。

後手から△6九金のような筋はありますが、先手玉は詰まずに先手に金を渡すと▲4一金から後手玉が詰まされてしまいます。

本譜は△4八歩成▲7七銀で、ソフトの評価値+160で互角。

△4八歩成は△6九金からの詰めろですが、▲7七銀で詰めろを受けられて先手玉が広くなると寄せが見えない形になりました。

△4八歩成では△6八銀があったようです。

△6八銀▲同金△同成桂▲同玉△8八角成▲4一金で、ソフトの評価値-1212で後手優勢。

△6八銀~△8八角成の筋は浮かんだのですが、▲4一金と打たれると以下詰みだと思ってやめました。

△8八角成は△7八金以下の詰めろになっていますので、先手も厳しい手を指す必要があります。

▲4一金でぱっと見後手玉が詰んでもおかしくないのですが、△4一同飛▲同馬△同玉▲5二銀△4二玉▲4三銀打で、ソフトの評価値-4545で後手勝勢。

頭の中では▲4三銀打に△同金▲4一飛以下詰みだと思っていたのですが、△4三同金でも△5三玉でも後手玉は詰んでいませんでした。

ここら辺が、数手先のことを頭の中で考える対局と局後の検討の違いです。

対局時は時間がないとはいえ、このような終盤を少しでも正確に指せるようになりたいです。

終盤の踏み込みが足らなかったと分かった1局でした。

相手に攻めさせて逆に攻める形を作る

上図は、先後逆で立石流四間飛車からの進展で▲6五桂と打った局面。ソフトの評価値+742で先手有利。

駒割りは銀と香車の交換で後手が少し苦しいです。

▲6五桂はソフトの推奨手ではなかったのですが、候補手の1つでこれも後手としては嫌な手です。

また▲6五桂は銀取りで後手の龍の横の利きを止めています。

▲6五桂に△6四銀とか△6二銀と逃げる手は▲4五歩と歩を取られて、それがまた角取りとなり、なかなか後手に手番が回ってきません。

また△8一歩と打つのは▲4五歩△3三角▲5三桂成△同金と進むと、ソフトの評価値+1265で先手優勢。

この手順は後手がさらに駒損になり、歩切れの上に後手の金の形が崩れます。

ただ受けているだけだったら手数は伸びるかもしれませんが、勝負所がなくなってしまいます。

そのような意味で後手の次の手は大事だと思っていました。

実戦は△2五香打▲4五歩△3三角▲5三桂成△同金で、ソフトの評価値+1046で先手優勢。

この手順は△2五香打としてどこかで△2七香成のような攻め味の狙いの手ですが、2七の地点は玉と馬と銀の3枚が利いており効果としてはいまひとつです。

実戦の進行で後手がだいぶ苦しいです。

△2五香では△3三桂がありました。ソフトの評価値+622で先手有利。

この△3三桂は盤上の駒を使う手ですが、感覚的にはすごく指しにくい手です。

理由は先手の龍が1段目にいるのに守りの桂馬を跳ねて、さらに後手玉が守りが弱体化しているようにも見えるからです。

△3三桂に対してソフトの推奨手は▲6一龍ですが、一瞬ぬるい手にも見えますので後手としては少し考えづらいです。

▲6一龍の意味は龍を内側に移動して、後手からの△8一歩の受けを消しています。

▲6一龍で後手が苦しいのは変わりありませんが、対局心理としては▲1五歩のような手が気になります。

△3三桂と跳ねたことで1筋が弱くなったのと、先手の龍の利きが1段目に直通するからです。

△3三桂以下▲1五歩△2五桂打▲5九馬△4六歩▲1四歩△8一歩で、ソフトの評価値+525で先手有利。

この手順は先手が▲1五歩から攻めてきたのですが、そこで△2五桂打とする手も少し指しにくいです。

手の流れからいったら△2五桂と跳ねると、馬取りでかつ3三の地点に玉が将来逃げるスペースができるという意味です。

ただし、△2五桂と跳ねると先手からも▲4五歩が角取りで角が逃げる手になるので△2五桂打とするようです。

△2五桂打だとどこかで▲4五歩とすれば△同桂とする手を含みに残すという意味です。

△2五桂打に▲5九馬と逃げましたがそこで△4六歩と取り込みます。

△4六歩は地味な手ですが、歩を補充してチャンスを待つしかありません。

先手は待望の▲1四歩の取り込みで、次に▲1三銀と打てば△同香▲同歩成で後手玉が詰みますが、詰めろのがれで△8一歩と受けます。

このような展開になると後手が苦しいながらも、4四の角と2五の桂馬の利きで1筋から手を作ることが可能になっています。

4四の角は1七の地点を睨む絶好の位置です。

先手が1筋から動いたことにより、後手からも1筋の端攻めができるのも大きいです。

これだと先手としては、1筋の端攻めはしない方がよかったという気持ちになりやすいです。

相手に攻めさせて逆に攻める形を作るのが参考になった1局でした。

歩を使って細かい攻めを繋げる

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△6四同歩と銀を取った局面。ソフトの評価値+397で先手有利。

6四の地点で銀交換をした形です。

駒の損得はなく、先手が穴熊に対して後手が美濃囲いで後手だけが龍を作っている形ですが、ソフトは先手有利のようです。

後手の2六の桂馬が少し重たい形ですが、この局面が先手有利なのは少し分かりにくいです。

先手は飛車か角を働かせたいのですが、現状は後手の駒がよく利いていて少し使いづらいです。

具体的な手順で先手有利を確認したいです。

対局中は2六の桂馬を責める方針で指しました。

実戦は▲5九角△3五龍▲6八角△3九龍▲5七角△4九龍▲3五歩△3七銀で、ソフトの評価値+95で互角。

この手順は2六の桂馬を狙って▲5九角として、△3五龍に▲6八角します。

以下△3九龍に▲5七角と細かい動きをして、△4九龍に▲3五歩と後手の角道を止めて▲2六飛を狙います。

以下△3七銀と重たい銀を打たせたのですが、これで互角に戻ったようです。

先手はやや苦心な手で、以下▲6八飛として飛車が攻めに使うのは難しくなりましたが、後手も2六の桂馬と3七の銀が重たい形でも互角のようです。

普通は働きの悪い銀や桂馬を打たせると得な気分があるのですが、それでも実戦の手順は後手に分があったというのはいまひとつ理解しにくいです。

これも難しい展開ですが、最初の局面で▲5九角はソフトの候補手に上がっていませんでした。

▲5九角では▲5五歩がありました。ソフトの評価値+409で先手有利。

この手順は▲5五歩として中央の歩を突く手で、これが地味ながら角を活用する手だったようです。

▲5五歩に△同歩なら▲同角が龍取りになるのは分かるのですが、▲5四歩と歩を取る手も味がいいです。

ただし、後手の5筋の歩が切れると△5六歩~△5七歩成のようなと金作りもあるので決断の1手です。

▲5五歩に△同歩なら▲同角△3四龍▲5四歩△6三銀打▲5三桂△7一金▲2六飛△2五歩▲6六飛△4三金▲6四飛△5四金▲同飛△同龍▲3三角成△5九飛▲1一馬で、ソフトの評価値+479で先手有利。

この手順は▲5五歩に△同歩なら▲同角が気持ちのいい手ですが、△3四龍に次の手が難しいと思っていました。

△3四龍で△3五龍なら▲6四角が▲7四桂と▲3一角成の両方の狙いがあります。

よって△3四龍として▲6四角を防いだのですが、そこで▲5四歩が巧妙な手です。

1歩千金とはこのことだと思いましたが、次は▲6四角と出る手や▲5三桂と打って△7一金なら▲2六飛として桂馬を取るような狙いもあります。

また▲5四歩に△同龍なら▲3三角成がうまいです。

後手の△6三銀打もしぶとい手で、▲6四角を消しましたが▲5三桂△7一金に▲2六飛と桂馬を取れたのは大きいです。

以下△2五歩に▲6六飛として飛車を横に使って6筋で活用するのが鋭いです。

5四の歩と5三の桂馬がやや不安定な形なので、後手は△4三金~△5四金として攻め駒を払いにいきますが、先手は飛車を切って以下▲3三角成とする手順です。

最後の▲1一角成の局面は先手が少し駒得でソフトは先手有利のようですが、後手も飛車を2枚持っておりまだ勝負はこれからという感じです。

先手は攻めるのに色々と手を尽くしてますが、それでもびっくりするほど先手優勢になっていないので将棋は難しいです。

歩を使って細かい攻めを繋げるのが参考になった1局でした。

飛車以外の駒を活用してバランスをとる

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で▲5五角に△4四角と打った局面。ソフトの評価値+101で互角。

後手は3三の金が浮いているのと、△7四歩と突いているので9一の香車が浮いています。

それで▲5五角と両取りに打ったのですが、後手が△4四角と切り返してきました。

この瞬間は銀と桂馬の交換で先手が少し駒損ですが、いい勝負のようです。

ここでつい悪い癖がでたようで、よくある手を指してしまいました。

実戦は▲2四歩△5五角▲同歩で、ソフトの評価値-447で後手有利。

この▲2四歩と突く手は、居飛車を指す人ならよくある飛車先の歩を突き捨てて軽くしておくということですが、この場合は余計な手だったようです。

このような突き捨ては、考えて指すというより感覚で飛車先を軽くするという手で局面によっては有効な突き捨ても多いのですが、後手は形を変えてから1歩取るのがいいようです。

最近の将棋を見ていると飛車先の歩は簡単に突き捨てないような感じで、本来。飛車は縦に使って相手の陣地に成るのが理想ですが、飛車を横に使って受けに利かすというのが多いです。

受けの技術が進んで、簡単に相手の陣地に飛車が成れるような展開にならないようです。

また、1歩を渡すというのは相手の持ち駒が増えるので、特に歩切れの相手の場合はもったいない感じです。

本局の場合は、▲2四歩に△5五角として▲同歩に△2四歩でも△4七歩成でも後手がいいようです。

せっかく▲5五角と打ったのなら最初に▲9一角成を考えるべきでした。

▲2四歩では▲9一角がありました。ソフトの評価値+23で互角。

この▲9一角成は狙い筋ですが、相手の持ち駒に香車があれば取られそうな駒です。

後手から△8二銀や△8二銀打や△9九角成など有力な手があります。

▲9一角成に△8二銀なら▲同馬△同玉▲5一銀△5二飛▲6二銀成△同飛▲4六歩△9九角成▲8八銀△9八馬▲9九香△8八馬▲同玉で、ソフトの評価値+252で互角。

この手順は▲9一角成に△8二銀と受けたらあっさり▲同馬として、▲5一銀の割打ちの銀を打って金と銀の交換をしてから▲4六歩とするのが興味深いです。

後手に△9九角成とされますが、先手の持ち駒に香車があるので▲8八銀~▲9九香で後手の馬が取れる形で、これで形勢互角のようです。

▲9一角成に△8二銀打なら▲同馬△同玉▲5一銀△5二飛▲6二銀成△同飛▲5五金△4七歩成▲同金△4六歩▲同金△5七角▲4四金△4六角成▲4三金△同金▲3七歩で、ソフトの評価値+152で互角。

この手順は△8二銀と△8二銀打の違いで部分的にはよく似た展開になって、今度は▲5五金と打って△9九角成を防ぐのが面白いです。

▲9一角成に△9九角成なら▲8八銀△9八馬▲4六馬△8四香▲5五馬で、ソフトの評価値+381で先手有利。

この手順はお互いに9筋の香車を角で取り合う展開ですが、先に馬を作った先手は▲4六馬と戻るのが可能になり、△8四香には▲5五馬として先手が指せるようです。

これら3通りの手順を見ると、先手は飛車の活用でなく他の駒を活用しており、このような地味なやりとりで局面のバランスをとっていることに気づきます。

こういう大局観も身につけないといけないようです。

飛車以外の駒を活用してバランスをとるのが参考になった1局でした。

細かい攻めを継続する

上図は、角換わり腰掛銀からの進展で△9五歩と突いた局面。ソフトの評価値+674で先手有利。

先手が数手前に1筋から▲1四歩△同香▲3六角として以下香得になった展開です。

先手として気になるのは4歩損をしているのですが、意外にもこれは形勢にあまり影響がないようで先手有利のようです。

後手は△9五歩と反撃にきたのですが、ここで先手がどう指すかという局面です。

対局中はあまりいい手が浮かばなかったので、もたれるような指し方で▲1五香と指しました。

実戦は▲1五香△1三歩▲5八角△9六歩で、ソフトの評価値-75で互角。

この▲1五香は歩を補充して香車を活用する手で普通の手に見えますが、これがよくなかったようで△1三歩に▲5八角と引きました。

▲5八角というのが働きの悪い角になって、さらに△9六歩と端を詰められるとこれだけで形勢が互角に戻ったようです。

▲1五香と相手の歩を取ったので△1三歩と打つのが可能になり、この手を軽視していました。

△1三歩という手が見えていたらおそらく▲1五香は指さなかったと思いますが、後の祭りです。

▲1五香では▲3五歩がありました。ソフトの評価値+670で先手有利。

この手は一目筋という手で、△同銀でも△4三銀左でも2三の地点が1枚弱くなります。

▲3五歩に△同銀に▲2三角成が目につきますが、△2八歩▲同飛△2七歩▲同飛△2六歩で、ソフトの評価値+135で互角。

この手順は最初に見えやすい手ですが、後手は歩を連打して2筋を受けることが可能でせう。

よって△3五同銀には別の攻め方になります。

△3五同銀▲2七香△2四歩▲同香△2八歩▲同飛△2七歩▲同飛△2六歩▲2一香成△同玉▲2九飛で、ソフトの評価値+650で先手有利。

この手順は▲2七香として2筋の攻め駒を増やす手で、2三の地点は先手が3枚の攻めに対して後手が1枚の受けなので、数の攻めで直接的には後手は受けが利きません。

ただし、3五に銀がいるのと持ち駒に歩の数が多いので、△2四歩以下サーカスのような受け方で2筋は突破されません。

ただし、▲2一香成~▲2九飛の展開は先手が指せているようです。

先手は▲2一香成として相手の桂馬を取ったことで、3三の地点が後手は少し弱くなったので、将来▲4五桂と跳ねて▲3四歩△同歩▲3三歩のような攻めを狙うイメージです。

この攻めは先手の角が1四にいるので効果がありそうです。

なお、▲3五歩と打つ手で▲3六香と打つ手も目につきますが、これはソフトの候補手には上がっていませんでした。

▲3六香に△4三銀左なら▲4四歩△同銀▲9五歩△9八歩▲同香△9七歩▲同香△9六歩▲6四歩△同金▲2四歩△同歩▲同飛で、ソフトの評価値+824で先手優勢。

この手順は▲3六香に△4三銀左と逃げた場合は、▲4四歩△同銀とさせて▲9五歩として歩を補充して、▲2四歩△同歩▲同飛と飛車と縦と横に使って▲4四飛の銀取りを狙うというのが鋭いです。

▲3六香にはソフトは△4七歩成を推奨しており、以下▲同金△8六歩▲同歩△8八歩▲同玉△8七歩▲同金△8五歩▲同歩△6五歩▲3四香△6六歩▲2四歩△同歩▲2三銀で、ソフトの評価値+496で先手有利。

これらの色々な手順を見ていると、やはり将棋の筋がいいというか手がいいところに伸びてくるという感じです。

自分の使っているソフトは結構古いソフトなのですが、自分の棋力においては参考になることばかりで役立ってます。

細かい攻めを継続するのが参考になった1局でした。

穴熊への攻め方

上図は、先後逆で相穴熊からの進展で先手が▲4六同歩と銀を取った局面。ソフトの評価値-1527で後手優勢。

駒割りは角金と飛桂で後手が少し駒得で、ここで手番なのが大きいです。

ただし、対局中は7六の馬があまり働いていないのと、いつでも先手から▲3三歩の叩きから▲2五桂の筋があるので、結構大変な局面だと思っていました。

本譜は△5六歩▲5二飛で、ソフトの評価値-1105で後手優勢。

この手の交換は、評価値はまだ後手優勢になっていますが、だいぶ後手が損をした感じです。

先手の▲5二飛が攻防に効く形で、先手からの攻め味も出てきます。

▲5二飛に△5七歩成▲同飛成なら後手陣はまだ固いですが、先手も龍が自陣に戻ると結構固くなります。

△5六歩では△3七銀の方が良かったようです。ソフトの評価値-1476で後手優勢。

△3七銀と放り込むのが良かったようです。

△3七銀に▲3八歩なら、△2八銀成▲同金△3九銀▲1七銀△4六角▲5六飛△2八銀成▲同銀△同角成▲同玉△4九馬で、ソフトの評価値-2065で後手勝勢。

手順の▲3八歩は玉を固める手ですが、▲3三歩の攻め味がなくなります。

後手は平凡に△2八銀成~△3九銀と引っ掛けるのがいいようです。

△4九馬以下▲3九銀△4七銀と飛車を攻めての、1手1手の寄せとなります。

△3七銀に▲同桂なら、△同歩成▲同銀△2五桂▲2八銀打△3七桂成▲同銀△3六歩▲2八銀△3七銀▲2九桂△2八銀成▲同金△4六角で、ソフトの評価値-1983で後手優勢。

この手順は、穴熊特有で駒を打ち換えて埋める展開ですが、後手は一番いいタイミングで△4六角~△2八角成を狙う感じです。

寄せきるまではもう少し手数がかかりますが、後手指せるようです。

穴熊への攻め方が参考になった1局でした。

受け一方の展開にならないようにする

上図は、先後逆で先手立石流四間飛車からの進展で▲3四香と銀を取った局面。ソフトの評価値+557で先手有利。

駒割りは後手は3四の香車や7七の桂馬が取れる形になっても、駒得にはなっていません。

先手は金銀4枚に馬付きの美濃囲いで相当固いです。

後手も金銀3枚で囲っていますが、先手の飛車が下段に直通しているので後手が少し苦しいです。

こういう苦しい局面で、後手はできるだけ形勢が離れないようにしなければいけません。

後手は甘い手を指すと不利から劣勢になりますので、このあたりの指し手の精度はできるだけ高く維持したいです。

実戦は△3四同歩だったのですがここで変化手順の▲2六桂で、ソフトの評価値+955で先手優勢。

この手順は△3四歩と香車を取り返して次の△7七歩成と楽しみにしたのですが、その瞬間に▲2六桂と打つ手がありました。

桂馬は控えて打てという格言の手で次の狙いは▲3四桂です。

さすがに桂馬で守りの金を取られるのは痛いので後手は受けることになります。

▲2六桂以下△4三金直▲2五銀で、ソフトの評価値+752で先手有利。

この手順は△4三金直と3四の地点を受けたのですが、▲2五銀がややいも筋ながらも手厚い手で、▲3四桂や▲3四銀や▲1四桂など攻めの含みが多いです。

玉頭戦は厚みの勝負とも言いますが、先手は5段目まで陣地を広げて戦う形で後手としてうんざりします。

このように1筋~3筋の戦いになると後手としては苦しく、なかなか△7七歩成の手番が回ってきません。

後手としては受けばかりではいいところがないので、△3四同歩では△7七歩成がありました。

△7七歩成▲3三香成△同金右▲5七金△6八とで、ソフトの評価値+545で先手有利。

この手順は▲3四同香の瞬間に△7七歩成と桂馬を取る手で、とりあえずと金に勝負を託します。

先手は▲3三香成として後手の陣形を少しでも弱体化しますが、そこで△3三同金右とします。

3三同金右に先手は厳しい攻めの手があればいいのですが、有利な方はあまり無理な攻めをする必要はなく次に△6七とで金を取られますので▲5七金は自然です。

以下△6八との局面がどうかということになります。

次に△5八ととして銀を取れば駒割りは意外にも後手の香得になりますが、後手は歩切れなのと玉の守りが先手陣に比べて薄いのがマイナス材料です。

そのような意味でこの局面は先手有利のようです。

△6八と以下▲3五銀△5八と▲同金引△2五桂▲2六馬△2四香▲6四歩△3四香で、ソフトの評価値+728で先手有利。

この手順は▲3五銀と手厚い銀で角取りに打ちます。

後手は△5八とで銀を取り返しますが、次の手が難しいです。

後手の持ち駒に歩があれば△7一歩と打って先手の龍の利きを止めるような手がありますが、後手は歩切れです。

▲3五銀に△7一香と打つ手がありそうですが、▲4四銀△同銀▲9三角で両取りがかかり受けになっていません。

▲5八同金に対しては受けてもきりがないので、△2五桂と攻めの拠点を作って▲2六馬に△2四香と香車を設置します。

▲6四歩は将来後手の持ち駒に角が入れば△7三角の王手龍の狙いがありますが、▲6四歩と突き捨てることでそれを消しています。

▲6四歩には△3四香として玉頭戦独特の駒の設置の仕方ですが、玉頭戦は駒の厚みが大事なので盤上に駒をたくさん配置するという感覚のようです。

これでも後手が苦しいのですが、苦しいなりに辛抱して戦うことになりそうです。

受け一方の展開にならないようにするのが参考になった1局でした。

横歩取りでも受けるところは受ける

上図は、先後逆で横歩取り青野流からの進展で△2六歩と打った手に▲2二歩と打った局面。ソフトの評価値-196で互角。

△2六歩には手が広いところで、▲3八銀とか▲3八金とか▲3七桂とか▲2八歩とか▲8七歩が候補手ですが、▲2二歩と指してきました。

▲2二歩はただの歩ですが△同銀と取らせて▲3七桂と跳ねた形が、次に▲4五桂と跳ねる狙いです。

3二の金が浮いているので、角が逃げると▲3二飛成とされてしまいます。

そのような意味で△同銀▲3七桂と跳ねた次の手は結構重要です。

実戦は△同銀▲3七桂△2三銀で、ソフトの評価値-516で後手有利。

この手順は▲3七桂と跳ねた手に△2三銀とする手で、3二の金が浮いているので△2三銀とすればひもがつくのと、飛車取りの先手で受けるという意味です。

△2三銀の瞬間はかなり怖い形ですが、▲3三飛成なら△同桂▲7七角打△8八飛成▲同角△2七歩成▲2四歩△同銀▲2一飛△3八歩▲4八銀△3七と▲同銀△2九飛で、ソフトの評価値-1204で後手優勢。

この手順は▲3三飛成~▲7七角打とする手で、局面が少しでも違えばありそうな筋です。

ただし本局では△8八飛成から△2七歩成が平凡ですが、これで後手は方針が立てやすいです。

▲2四歩と叩くのは先手の狙い筋で、△同銀とさせて▲2一飛が▲2四飛成と▲1一飛成が厳しそうに見えます。

▲2四歩に△1二銀と逃げると▲2一飛を防げてよさそうですが、この場合は▲2五桂△同桂▲1一角成のような手があります。

これでも後手がよさそうですが、▲2四歩△同銀▲2一飛には△3八歩▲4八銀△3七と▲同銀とさせてから△2九飛が分かりやすいようです。

△2九飛は2四の銀にひもをつけているのと、△6九角▲同玉△4九飛成のような狙いで後手優勢です。

▲2四歩に△同銀は銀が離れ駒になりますが、桂得で△2九飛とした形が急所です。

よって△2三銀に先手は▲3五飛と逃げます。

△2三銀以下▲3五飛△3四歩▲2五飛で、ソフトの評価値-516で後手有利。

この手順は▲3五飛と逃げた手に△3四歩がやや盲点です。

△3四歩は相手の飛車の利きを止める手で手堅いのですが、このような激しい戦型で△3四歩と受けに手を入れるのが少し浮かびにくいです。

横歩取りの後手はやや危険な指し方でバランスをとるようなところがあるのですが、手堅く受けるところは受けるという気持ちの切り替えが大事なようです。

これが意外と簡単そうで難しく、つい激しい手で攻めたりすることを考えて、すぐに手が続かなくなって自滅のようなケースもあり、こういうのが将棋では一番まずいです。

平凡だけど受けるところは受けるということですが、▲2五飛にどう指すかです。

▲2五飛以下△8八角成▲同銀△3三桂▲2六飛△4四角▲2三飛成△同金▲8七銀△8四飛▲7七桂△3五歩で、ソフトの評価値-885で後手優勢。

この手順は、▲2五飛と中段飛車には角交換をしてから△3三桂と跳ねるのが味がいいです。

▲2六飛に△4四角が厳しく、▲2三飛成から▲8七銀で先手は非常手段的な指し方ですが、△8四飛として▲7七桂に△3五歩として後手優勢のようです。

横歩取りでも受けるところは受けるのが参考になった1局でした。

突き違いの歩を取って対抗する

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△4五歩と突いた局面。ソフトの評価値+187で互角。

後手が早囲いの金無双のような形に先手が▲4六銀から仕掛けた展開です。

後手が△3二金型で先手の攻めを受ける形で最近ではあまり見ない指し方ですが、▲3五歩に△4五歩が突き違いの歩で、後手の切り札のような指し方です。

△3二金型なので先手は攻めを継続するのが大変ですが、後手は△7四歩と突いておりやや隙がある形なのでうまく攻めたいです。

実戦は▲3三角成△同桂▲3四歩△4六歩▲3三歩成△同金▲5五角で、ソフトの評価値-109で互角。

この手順は▲3三角成~▲3四歩と取り込む手ですが、△4六歩以下銀と桂馬の交換になりました。

銀と桂馬の交換は先手が少し駒損ですが、▲5五角に期待をしていました。

ただし、この攻め方はあまりよくなかったようです。

振り飛車の2一の桂馬が先手の銀と交換した形で、先手の2九の桂馬はまだ盤上に残っています。

この桂馬もすぐ攻めに使えそうにありませんので、少し先手の攻めが重いという感じです。

▲5五角以下△4七歩成▲3三角成△5八と▲同金△4一飛▲4二金△3二金▲4一金△3三金で、ソフトの評価値-266で互角。

この手順は変化手順ですが、▲5五角には△4七歩成があり▲同金なら△5四銀▲3三角成△4七飛成があります。

よって△4七歩成に▲3三角成ですが、△5八とで先手の囲いが崩れるのが少し痛いです。

▲4二金からの金の使い方も重たいので、互角といいながらも少し先手が指しにくいです。

▲3三角成では▲4五同銀がありました。

▲4五同銀△8八角成▲同銀△3五歩▲5五角で、ソフトの評価値+240で互角。

この手順は▲4五同銀とする手で、銀がまっすぐ進んだことで千鳥に使う形ではありません。

銀は千鳥に使えという格言があり、銀は斜めに使うとバックしやすいのですが、まっすぐ使うと元の形には手数がかかってなかなか戻れません。

▲4五銀は後手から△3三桂や△4四歩で銀が取られそうな形なので、銀をまっすぐ使うのは決断の手になります。

この最後の▲5五角の局面は上の実戦の局面図とよく似ているのですが、この変化手順の方がだいぶ評価値がいいのが興味深いです。

▲5五角に△3三桂なら▲2四歩△同歩▲3四歩△4五桂▲3三歩成△4四銀▲4二と△5五銀▲同歩△4二金▲2四飛で、ソフトの評価値+224で互角。

この手順の△3三桂はソフトの候補手にない手だったので、あまりいい手ではない可能性がありますが、指してみたい手の1つです。

この場合は先手は2筋の歩を突き捨ててから▲3四歩でいい勝負のようです。

▲5五角に△4四歩なら▲2四歩△同歩▲9一角成△4五歩▲2四飛△2三歩▲7四飛△7三銀▲9四飛で、ソフトの評価値+2175で先手勝勢。

この手順は△4四歩から銀を取りに行く手ですが、先手は2筋の歩を突き捨てて▲9一角成が意外と厳しいです。

後手は△4五歩と銀を取って銀と香車の交換になりますが、先手は飛車を▲2四飛~▲7四飛と横に使うのがうまいです。

▲5五角に△6四角なら▲同角△同歩▲5五歩△3九角▲2六飛△8四角成▲7七銀で、ソフトの評価値+27で互角。

この手順は▲5五角に△6四角と合わせる手で、やはり▲9一角成を受けるのは自然です。

先手は角交換から▲5五歩と銀の逃げ道を作って、▲5五角に△3三桂や△4四歩の変化手順とは全く違う展開になるようです。

このあたりはちょっと形が違えば指し手の方針も違うというのが面白いです。

突き違いの歩を取って対抗するのが参考になった1局でした。