駒を繰り替えて手を作る

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△2四同角と歩を取った局面。ソフトの評価値+368で先手有利。

後手が2筋の歩の交換をした形で、いつでも△7九角成の筋があるため先手も油断できません。

2八の飛車には3七の角がひもをついているので条件はいいのですが、ちょっとした形の違いで成立することもありそうです。

ソフトの評価値は先手有利になっていますが、対局中は互角だと思っていました。

△7九角成の筋はぎりぎりだいじょうぶかと思っていましたが、次の指し手がよく分かりませんでした。

実戦は▲5五歩△4三銀▲1八香で、ソフトの評価値-17で互角。

この手順の▲5五歩はたまに出る手で銀取りなので一時的には気持ちがいいのですが、△4三銀の後の手がまた難しいです。

▲1八香は手待ちですが、△3三桂と跳ねられるとまた指し手が難しいです。

先手から動く形になりづらく、駒を繰り替えるようなことになると思いますが、全く指し手の構想が浮かびません。

ただし、駒を繰り替えるなら何か狙いをもって組み替える必要があります。

▲5五歩では▲3五歩がありました。

▲3五歩△同歩▲5九角で、ソフトの評価値+406で先手有利。

この手順の▲3五歩ですが△同角は▲2二飛成があるので△同歩が自然です。

次に△3六歩と角を攻める手があるのでお手伝いのように思えるのですが、そこで▲5九角と先に引くのが驚きました。

1歩損をして角が逃げて相手の手番になるということですが、これで先手が指せるという判断がすごいです。

▲5九角に△3六歩なら▲6八角△2三歩▲2四角△同歩▲4四角△3七歩成▲2二角成△2八と▲5五歩で、ソフトの評価値+1208で先手優勢。

この手順はうまくいきすぎですが、△3六歩はどこかのタイミングで△3七歩成~△3六歩でと金作りを狙う手です。

△3六歩には▲6八角がうまく、これで角が直通する形です。

▲6八角に△同角成は▲2二飛成がありますので△2三歩と受けましたが、▲2四角~▲4四角が厳しいです。

▲4四角に△3三角と合わせるのは▲同角成△同桂▲4四角△2三飛▲3四歩△2五桂▲5五歩△3七歩成▲5四歩△同金▲1一角成△2八と▲3三歩成で、ソフトの評価値+1269で先手優勢。

この手順は▲4四角と再度角を打つのがよくある手筋で、△5一角と受けても▲3四歩があります。

後手は△2三飛から軽く受ける形も、▲5五歩から歩を伸ばす手が有効で先手優勢のようです。

▲5九角に△2三歩なら▲6五歩△3三角▲6四歩△同金▲7七角△同角成▲同金寄△6五桂▲6七金寄△6六歩▲6八金引で、ソフトの評価値+949で先手優勢。

この手順の△2三歩はやや冴えない感じもしますが、後手の2四の角が負担なので先受けの手です。

これには▲6五歩と今度は6筋の歩を突くのが急所で、△同歩なら▲7七角という狙いです。

▲6五歩に△3三角も先受けの手ですが、▲6四歩の取り込みから▲7七角で角交換を狙うのがうまいです。

先手は5九の角が捌ける形で理想的です。

角交換の△7七同角成には色々な取り方がありますが▲同金寄がいいようで、△6五桂▲6七金寄△6六歩▲6八金引の手の流れは部分的には後手は気持ちがいいのですが、意外とこの後は後手の手が難しいようです。

▲5九角というのは▲6八角とか▲7七角を睨んだ角の活用方法で、その場合には3筋の歩を切っておくと将来△3三桂の形には▲3四歩が厳しいです。

これらは数手先を見越した指し方のようです。

また▲3五歩以外には▲6八金引もあったようです。ソフトの評価値+357で先手有利。

▲6八金引以下△2三飛▲5五歩△4三銀▲4八角△3三桂▲5七角△2五歩▲2四角△同飛▲5一角で、ソフトの評価値+482で先手有利。

この手順は▲6八金引は、後手がどこかのタイミングで△同角成としても金駒はすべての駒が連結しているので、それ以上金駒がただで取られることはありません。

以下先手は3七の角を▲4八角~▲5七角とぶつける手があり、これも先手が指せているようです。

駒を繰り替えて手を作るのが参考になった1局でした。

やや苦しいときの指し方

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△4四銀と5五の銀が引いた局面。ソフトの評価値+31で互角。

後手が5筋の歩の交換をして△4四銀とした展開です。

この局面に似た形は平成の頃に一時期指されていたのですが、本局はそのような形になりました。

先手は▲8六歩と▲9六歩と突いているのが少し当時と違う印象ですが、ここから先手がどう指すかという形です。

本局は序盤からずるずると居飛車が悪くなっていいところがなかったので、後で序盤の3つについてメモ程度に調べてみました。

まず驚いたのが最初の局面図の評価値ですが+31だったので、こんなに居飛車が少ないのかと思いました。

居飛車対振り飛車は序盤の評価値が居飛車側に傾くことが多いのですが、+100位はあるのかと思っていました。

将棋の勝ち負けから見ると序盤の評価値は大したことはないレベルですが、できれば少し指しやすい局面にして有利から優勢そして勝勢という流れにもっていきたいです。

実戦は△4四銀に▲4六歩△同歩▲同銀△4五歩▲5七銀で、ソフトの評価値±0で互角。

この手順は4筋の歩の交換で当時の将棋の本などにもあったと記憶していたのですが、ソフトは全くこの手を評価していないのが意外でした。

1歩を持ち駒にしてほかのところでその歩を使うことができるので、そこそこ価値があるのかと思っていましたが、先手は4筋が逆に薄くなったので後手はそれを逆用することを狙います。

▲5七銀以下△5五歩▲2四歩△同角で、ソフトの評価値±0で互角。

この手順は5筋から歩を合わせる形で、先手は4七に歩がいないのでどこかで△4六歩と伸ばされるのがプレッシャーになります。

先手は自ら4筋を薄くしているので、4筋の歩の交換は面白くないということだと思います。

▲4六歩では▲1六歩をソフトは推奨していました。ソフトの評価値+31で互角。

2つ目の局面図は先手が▲2四歩の突き捨てに△同歩とした局面。ソフトの評価値+115で互角。

この局面ではソフトは△2四同角を推奨していたのですが、△2四同歩も自然な手です。

実戦は△2四同歩以下▲7五歩△同歩▲5五歩△同銀で、ソフトの評価値-78で互角。

まずこの手順の▲7五歩は7筋の歩を突き捨ててどこかで▲7四歩という手を含みにしたのですが、あまりいい手ではなかったようです。

また▲5五歩とした手も△同銀で後手の銀が中央に働いてきたので、これもまずかったようです。

▲7五歩で▲3七桂ならソフトの評価値+115で互角。

▲5五歩でも▲3七桂と跳ねて勝負すべきだったようです。

3つ目の局面図は▲3四歩と歩を取った手に△4四角と3三の角が逃げた手で、ソフトの評価値-192で互角。

後手は中央から6筋にかけての圧力があり、先手はそれをうまくいなせるかという形になりました。

このあたりは先手が少し苦しいのですが、先手がどうやって頑張るかという形です。

実戦は▲7四歩△同金▲2四飛△6六歩▲7七金△6五桂で、ソフトの評価値-534で後手有利。

この手順は▲7四歩△同金と形を崩してから▲2四飛と飛車の活用をしたのですが、この展開はまずかったようです。

自分は苦しいなりに仕方ないかなどと思っていたのですが、先手は6筋と7筋から攻められて苦しいです。

▲7四歩では▲3三歩成△同角▲5六歩△6六銀▲7七金で、ソフトの評価値-346で後手有利。

この指し方は全く浮かばなかったのですが、まず▲3三歩成△同角はいくら考えても浮かびません。

歩を渡してさらに将来▲2四飛も消えたのですが、4四の角が5三の地点の受けに利いているのでそれをずらしたとしか思えないです。

△3三同角に▲5六歩と自陣の傷を消す手ですが、△6六銀に▲7七金と寄って受けるのがなかなか見えないです。

先手は6筋が苦しいのでそこをどれだけ辛抱できるかという形ですが、6筋の歩を伸ばされないように受けてチャンスを待つということのようです。

各々の局面図は本当はもう少し深く掘り下げた方がいいのでしょうが、今回はメモ的な意味でまとめました。

やや苦しいときの指し方が参考になった1局でした。

少し指しにくい変化手順

上図は、後手横歩取り△3三角型からの進展で△7六飛と歩を取った局面。ソフトの評価値+319で先手有利。

自分はほとんど振り飛車は指さず居飛車が多いのですが、最近の将棋で意識していることは居飛車でも色々な戦型に慣れた方がいいということです。

居飛車でもどうしても好きな戦法になるのは仕方ないですが、相手が急戦模様できたらできるだけその戦型で対抗しようと思っています。

あまり見たことがないような局面だとどこが急所か分かりにくいので、少しでも実戦で考えて慣れておいた方がいいということです。

後手が△7六飛と横歩を取った局面ですが、自分の感覚だとアマの大会だとまず出てこないような戦型です。

大会で横歩取りの先手をもって指すのはかなりの少数派で、指し慣れていない形を持ち時間の短い大会で指すというのはリスクが高すぎるし、受け損なって勝負ところがなくなって負けるというのもよくありそうな戦型なので指す気がしないということです。

逆に言うと、大会でない将棋で横歩取りを指されるのは経験値を増やす上では最適だと思います。

実戦は▲7七桂△2三銀▲8四飛△8二歩▲8三歩△7二金▲8二歩成△同銀▲4五桂で、ソフトの評価値+662で先手有利。

この手順は▲7七桂と角交換を拒否する形で、先手は将来2枚の桂馬が中央に活躍できればいいなというイメージです。

最後の▲4五桂で先手が少し指せているようです。

▲7七桂に後手は△2三銀でなく△4四角として、▲8四飛を防ぐと同時に▲4五桂としても角取りにならないという手が有力でした。

対局中は▲7七桂は有力な手だと思っていたのですが、ソフトの候補手に上がっておらず、この戦型でよく出る▲7七角について調べてみます。

▲7七角△同角成▲同桂△5五角▲4五桂で、ソフトの評価値+399で先手有利。

この▲7七角ですが、自分の感覚だと少し指しづらい手だと思っていました。

なぜ指しづらいかと言うと、△同角成▲同桂に△5五角が目につきそれに対抗する手段を用意していないと指せないからです。

なお△7七同角成に▲同金もありますが、金が3段目に上がるのは基本的にあまりいい形ではないので指しにくいです。

金が3段目に上がるのは相手の飛車が狭い形のようなときの接近戦に有効なのですが、大駒が交換されて飛車の可動域が広い場合には金が上ずって隙ができやすいからです。

よって▲7七同桂と取りますが、△5五角には▲4五桂と跳ねて勝負するしかありません。

▲4五桂以下△7七角成▲同金△同飛成▲5三桂成△同玉▲3二飛成△7九龍▲2二龍△6八金▲4八玉△4五桂▲3一角で、ソフトの評価値+99980で先手勝勢。

この手順は、お互いに受けに回らず攻めの展開のみなので参考にならないかもしれません。

普通は玉が危険だと判断したら受けに回りますが、それでも攻めにくることがあるのがこの戦型の怖いところです。

気持ちが攻めに回ったらいまさら受けても仕方ないとか、攻めが最大の防御などの考えもあり少し無理っぽくても攻めて勝負するというケースがあります。

無理っぽく攻めてきてそれに対抗するのも将棋の難しいところで、ここで間違うと相手の手が通ったということになります。

△4五桂は次に△3七銀の詰めろなので、先手は相手玉を詰ますか受けに回るかのどちらかです。

▲3一角以下△5四玉▲5五金△同玉▲5六銀△5四玉▲2四龍△4四歩▲6五角で詰みです。

この手順だけ見ると1本道の場合は先手が勝つということになるのですが、まず▲5五金が少し指しづらいです。

金はとどめに使えという格言があるように、持ち駒の金は最後に使う方が詰ましやすいということですが、▲5五金で▲5五銀は△6五玉で少し詰まし方が複雑になります。

▲5五銀△6五玉▲5四角△5五玉▲5六歩△4四玉▲2四龍△3四歩△5五金まで詰みです。

また途中の▲2四龍と王手する手は自分の感覚だと少し見つけづらく、自分は盤上の大駒を動かして詰ますというのが詰将棋でも浮かびにくいです。

そこは意識して盤上を見るようにしています。

少し指しにくい変化手順が参考になった1局でした。

形を崩してから飛車を打ち込む

上図は、後手横歩取り△3三角型からの進展で△6二金と上がった局面。ソフトの評価値+

先手が▲3五角と打って5三の地点に駒を足して攻めてきた手に、6一の金が△6二金と上がりました。

▲3五角では▲8三角と打つ方がよかったようで、以下△7二銀▲5三桂右成△同銀▲同桂成△同角▲8二飛で、ソフトの評価値+386で先手有利でした。

実戦の▲3五角はやや狙いが単調だったようで、ソフトの候補手にも上がっていませんでした。

また後手の△6二金も自然な受けだと思っていたのですが、この手もソフトの候補手に上がっておらず△6二銀を推奨していました。

△6二銀は8筋の方が弱くなるので指しづらかったと思いますが、このあたりは人間の感覚と違っており読みが入っていないと△6二銀は指しづらいです。

△6二金と受けたことで▲3五角が働きのいい角になったようで、結果的に先手の手が有効になったようです。

5三の地点は攻めが角と桂馬2枚の計3に対して、後手の守りが玉と角と金と銀の計4なので数の上では先手の攻めは足りていません。

先手から攻めると5三の地点は2対4になるので、普通は先手が駒損になります。

ただし、5三以外の地点で後手に隙ができると、戦線拡大で先手の攻めが続くケースがあります。

こういうのがあるので、できるだけ盤面全体を見た方がいいです。

実戦は△6二金に▲8四飛△8二歩▲7四飛△7二銀で、ソフトの評価値+80で互角

この手順は先手の失敗で、敵陣に打つ飛車でなく生飛車なのでよほどいい条件でないと攻めの手の継続が難しくなります。

対局中は△7二銀を軽視しており、後手の陣形が立ち直った形なので先手の攻めは面白くなかったです。

▲8四飛では▲7二歩がありました。

▲7二歩△同銀▲5三桂右成△同銀▲同桂成△同角▲同角成△同金▲8二飛で、ソフトの評価値+1053で先手優勢。

この手順は▲7二歩と打つ手で、△同銀と取らせることで後手の守りが薄くなります。

▲7二歩に△同金なら▲5三桂右成△同銀▲同桂成△同角▲同角成△同玉▲5一飛で、ソフトの評価値+708で先手有利。

この手順は▲7二歩に△同金なら5三の地点の守りが後手は1枚弱くなるので、5三の地点で清算してから▲5一飛で先手有利です。

よって△7二同銀としたのですが、5三の地点で清算してから▲8二飛と打つのが△7二同銀とさせた効果です。

駒割りは銀と桂桂の交換ですが、▲8二飛と打ったときに後手の受け方が難しいです。

後手は5三の金が受けにあまり利いていないのが痛く、持ち駒に金駒がないので飛車にアタックするような受けがありません。

▲8二飛以下△9四角▲8五銀△6一玉▲9四銀△同歩▲7三歩△同桂▲8一角で、ソフトの評価値+1881で先手優勢。

この手順は△9四角と打って7二の銀にひもをつけると同時に△6六桂を狙った手ですが、▲8五銀とここに金駒を打って攻めるのが少し浮かびにくいです。

敵陣に金駒を打つのは考えやすいのですが、中段に金駒を打つと働きが決していいとは言えないので浮かびにくいというのがあります。

ただしこの場合は、▲8五銀に△8三角と逃げても▲8四歩で後手は収拾がつかないので▲8五銀は有効なようです。

▲8五銀に△6一玉と7二の銀にひもをつけましたが、▲9四銀△同歩に▲7三歩が細かい手です。

▲7三歩に△同銀は▲8一飛成や▲3二飛成があるのは分かりますが、△同桂と取った次の手が難しいです。

△同桂と取ると将来△6五桂~△5七桂成のような筋が生じますので、先手としても読みが必要です。

△7三同桂には▲8一角と打つのが△7三同桂とさせた効果で、8一の地点に空間をあけることで▲8一角と打てます。

▲8一角以下△7一銀▲7二角成△同銀▲8一銀で、ソフトの評価値+2084で先手勝勢。

この手順は△7一銀には▲7二角成~▲8一銀が決め手で、△8三角と受けても▲8四歩があります。

ややうまくいきすぎたところはありますが、狙いとしては分かりやすかったと思います。

形を崩してから飛車を打ち込むのが参考になった1局でした。

自陣に飛車を打たれたときの指し方

上図は、後手横歩取り△2三歩型からの進展で△2九飛と打った局面。ソフトの評価値-109で互角。

後手の横歩取り△2三歩型に先手は飛車と金の交換する展開で、昭和の一時期流行った形です。

最近のプロの先生の将棋ではほとんど見ることはありませんが、横歩取り△2三歩型で△2五角と打った時には▲3二飛成でなく▲3六飛の方が多いイメージです。

飛車と金を交換する形は、先手が駒が前進するとどうしても相手に飛車を打たれる展開になりやすいです。

先手玉はそんなに守りが強くない状態で、後手は2九の飛車と1二の角と持ち駒の銀で先手玉を攻める形で、△1九飛成や△8九飛成など駒を補充する筋もあります。

これらを見ると後手の攻めは相当厳しく感じます。

それに対して先手の攻めは、角金銀と歩が数枚で直接的に後手玉を攻めるというのは難しそうです。

先手は次の指し手が難しいです。

実戦は▲3九金打△1九飛成▲2七角だったのですがそこで変化手順で△2八銀なら、ソフトの評価値-424で後手有利。

この手順は▲3九金打とはじいて、△1九飛成に▲2七角が▲6三角成と▲2八銀で龍を取る狙いで先手がうまく切り返したと思っていたのですが、△2八銀という手がありました。

△2八銀は▲2八銀を防ぐと同時に▲2八同金上なら△8九龍で、ソフトの評価値-499で後手有利。

△8九龍に▲7九金が気になりますが、△6七角成▲同玉△7九龍があります。

△2八銀は難しい手なので簡単には指せませんが、このような手があることを知ったのは今後似たような筋で役立ちそうです。

▲3九金打はソフトの候補手になかった手なので、あまりいい手ではなかったようです。

▲3九金打では▲6六角がありました。ソフトの評価値-293で互角。

この手順は▲6六角と打って次に▲3三角成が狙いですが、ぱっと見はそんなに厳しそうな手には見えません。

▲3三角に対して後手は色々な手がありそうです。

▲6六角に△4九飛成なら▲3三角成△4二銀▲4八金打で、ソフトの評価値+1006で先手優勢。

この手順は△4九飛成▲3三角成に△4二銀とはじいて、馬取りと△3八龍の狙いが後手がうまくやったようでも▲4八金打と受ける手があり、後手は持ち駒の銀を使ったので△5九銀と打てずに後手失敗です。

▲6六角に△8九飛成なら▲7九金打△9九龍▲3三角成△4二銀▲1一馬で、ソフトの評価値+1399で先手優勢。

この手順は△8九飛成には▲7九金打とすれば意外と先手玉はしっかりしており、△9九龍には▲3三角成~▲1一馬で先手優勢です。

やはり後手は▲3三角成を受ける必要があるようです。

▲6六角に△3二飛なら▲3九金打△1九飛成▲3四歩△同角▲2一銀で、ソフトの評価値-70で互角。

この手順は△3二飛と持ち駒の銀は温存して受けに回る手で、これに対しては▲3九金打と受けて△1九飛成に▲3四歩~▲2一銀が鋭いです。

▲2一銀に△3一飛なら▲3二歩△2一飛▲3三角成が王手角取りという狙いです。

まだ形勢は互角ですが、後手の持ち駒に銀がある場合は受けるというのが興味深いです。

▲3三角に△4二玉なら▲3四銀△3二銀▲2三歩で、ソフトの評価値+1022で先手優勢。

この手順は△4二玉と玉で受けるのは先手の攻め駒に近い意味があり、▲3四銀~▲2三歩で先手優勢のようです。

ソフトは▲3三角に△4二銀を推奨していました。

▲3三角△4二銀▲3四歩△同角▲3五銀で、ソフトの評価値+99で互角。

この手順は△4二銀と打つ手で、後手は銀を使った攻めがなくなったので先手は少しほっとします。

△4二銀には▲3四歩の突き捨てから▲3五銀と打つのが筋のようです。

3筋の歩を切ると▲3四歩や▲3九歩のような使い方ができ幅が広がります。

この局面もまだ互角なのでこれからですが、▲3五銀以下△3六歩▲3四銀△3七歩成▲同金△7四桂で、ソフトの評価値-20で互角。

先手は自陣に飛車を打たれた形で、バランスをとって指すのは結構難しいです。

自陣に飛車を打たれたときの指し方が参考になった1局でした。

ぎりぎりのタイミングで角交換を狙う

上図は、先後逆で相掛かりからの進展で▲3六銀と4七の銀が出た局面。ソフトの評価値+24で互角。

この戦型は争点がどこになるかが分かりにくい形ですが、先手は▲3六銀と銀を4段目に進出してきました。

先手は▲3六銀~▲2五銀~▲2四歩のように飛車と銀の2枚の攻めに対して、後手は2三の地点を3二の金で守っているので、数の上では後手は2三の地点を防ぐことはできません。

そのため後手は2筋を突破されないためには少しひねった受け方をすることになるのですが、その受け方が悪いと後手は墓穴を掘ることになりやすいです。

基本的には後手は角の頭が狙われやすいので、角がいなければ少し受けやすくなるという発想があります。

ただしこのタイミングが悪いと全然だめというのが実戦の進行です。

実戦は▲3六銀以下△3四歩▲2二角成△同金▲3四歩で、ソフトの評価値+342で先手有利。

この手順は△3四歩と後手か角交換を目指す手に対して、先手は▲2二角成~▲3四歩と自然に指してきました。

先手は棒銀でいくぞという手に対して後手が慌て気味に△3四歩と突いた感じで、これだけ見ると後手は全く受けの形になっていません。

後手の2二の壁金がよくない形の上に、後手は1歩損で将来▲7七角のような遠見の角に対して後手は受けづらいです。

先手は棒銀の可能性があるつもりで▲3六銀と指したのですが、これだと棒銀にする必要もなくじっくりした展開を目指すので十分です。

自分の指し方は指し手に余裕がなく、後手としては先手が攻めてきて少し態勢が崩れてくるようなときに角交換を目指すべきでした。

相手の攻めを引きつけてから角交換を目指すイメージでした。

△3四歩では△6一玉がありました。

△6一玉▲2五銀△7二玉▲2四歩△同歩▲同銀△3四歩で、ソフトの評価値+132で互角。

この手順は後手は5二の玉を△6一玉~△7二玉と右玉にする手です。

先手は2筋から攻めてきてうまくいけば飛車が成れそうな形なので、後手は△7二玉として相手の攻めより遠い玉にしています。

2三の地点は相変わらず守りが薄いのですが、飛車が成られても後手は1段飛車なので2一の桂馬を守っています。

先手は▲2筋から攻めて▲2四同銀とした形にときに△3四歩と角道を開いて角交換を狙います。

後手は持ち駒に角が入ると先手の玉のコビンがあいているのがやや隙がある形で、いつでも△3六角と王手をする筋があります。

これを少し細工して、先手の飛車が2七の時には△3六角が王手飛車になります。

後手は歩を使って△2八歩▲同飛△2七歩▲同飛△3六角のようなイメージです。

また歩を節約して△2七歩と垂らすだけでも効果がありそうです。

△3四歩に対して先手は色々な手がありそうです。

△3四歩に▲2二角成なら△同金▲3四歩△2七歩▲4五桂△4四銀▲5七銀△3二金で、ソフトの評価値-131で互角。

この手順は▲2二角成~▲3四歩と取り込む手で、後手は△2七歩と垂らします。

△2七歩に▲同飛は△3六角の狙いがありますので先手は▲4五桂~▲5七銀としましたが、△3二金と形を整えていい勝負のようです。

△3四歩に▲4七金なら△8八角成▲同金△3五歩▲7七角△3八角▲2八飛△4七角成▲同玉△2七歩▲3八飛△4四銀で、ソフトの評価値-882で後手優勢。

この手順は△3四歩に▲4七金として玉のコビンを先受けした形です。

▲4七金には△3五歩と歩を補充するのが意外と価値が高く、▲7七角には△3八角~△4七角成が盲点です。

角と金の交換ですが、先手は飛車が攻めに使えず玉の守りは薄いので後手が指せているようです。

△3四歩に▲7七桂なら△6六歩▲2三銀成△6七歩成▲同玉△2三金▲同飛成△6六歩▲5七玉△4四角▲4五金△6七銀で、ソフトの評価値-84で互角。

この手順は▲7七桂と跳ねて角交換を拒否する手で、後手は角が捌けないのが難点です。

後手は△6六歩と戦いの争点を求める手に▲2三銀成からの攻め合いで、これはいい勝負のようです。

どの展開も実戦よりはるかによかったです。

ぎりぎりのタイミングで角交換を狙うのが参考になった1局でした。

実戦詰将棋だが結構難しい

上図は、角換わりからの進展で▲4二とと寄った局面。ソフトの評価値+99972で先手勝勢。

▲4二とは3四に桂馬がいるので自然な王手ですが、この局面以下は後手玉に即詰みがあったようです。

後手玉は6筋~8筋に逃げることができるので手数はかかりそうです。

また王手の筋も色々あるのでぱっと見では分かりにくい形です。

まず一番分かりやすい逃げ方は△6三玉ですが、以下▲5二角△6二玉▲6一金△同飛▲同角成△同玉▲5一飛△6二玉▲5三桂成で詰みです。

この手順は▲5二角~▲6一金として飛車を取るのが分かりやすいです。

一番手数がかかるのが△6一玉のようです。

▲4二とに△6一玉なら▲7三桂で、ソフトの評価値+99974で先手勝勢。

この手順の▲7三桂が少し見えにくく、それ以外は即詰みはないようです。

▲7三桂は桂馬での王手飛車ですが、△7三同金と△7一玉がありそうです。

▲7三桂に△7三同金なら▲5二角△7一玉▲6二角△同玉▲7三歩成△同玉▲7四金△8二玉▲8三金打△7一玉▲7二歩△6二玉▲7三金寄まで詰みです。

この手順は△7三同金には▲5二角~▲6二角が見えれば詰み筋に入ります。

先手は持ち駒に歩が多いのと、6筋や7筋に歩を打てることができるのでこれも詰み筋が多くなり心強いです。

▲7三桂に△7一玉なら▲6二角で、ソフトの評価値+99976で先手勝勢。

この手順は▲7三桂△7一玉に▲6二角ですが、これが実戦ならまず打てずに気がつかないと思います。

▲6二角で▲8一桂成は△同玉▲4一飛は△7一桂で後手玉は詰みません。

また▲6二角で▲6一金は△8二玉▲8一桂成△同玉▲7一飛△同金▲同金△同玉▲6二角△同玉▲8四角△7一玉で、これも持ち駒に金と歩では駒が足らずに詰みません。

王手の消去法でいったら▲6二角が出てきます。

▲6二角に△同玉なら▲6一金△同飛▲同桂成△同玉▲5一飛△6二玉▲5三桂成まで詰みです。

また▲6二角に△同金なら▲8一桂成△同玉▲8五飛があります。

▲8五飛以下△8二桂▲同飛成△同玉▲7三角△同金▲同歩成△同玉▲8五桂△8四玉▲7五金△8三玉▲7三金△9二玉▲9三桂成△同玉▲9四歩△9二玉▲9三歩成△8一玉▲8二とまで詰みです。

この手順は▲8五飛と上から打つのがうまい手で、後手は合駒は桂馬しかありませんので△8二桂と打ちますが、▲同飛成~▲7三角~▲8五桂がうまいです。

ここで注意なのが▲8五桂と打つところで▲7四歩と王手したいのですが、△同玉で▲7五歩でも▲8六桂でも後手玉は詰みません。

▲6二角に△8二玉も▲8一桂成△同金▲7一金△同金▲同角成△同玉▲6二角△同玉▲7三金△7一玉▲7二飛△8一玉▲8二飛成まで詰みです。

よって▲6二角以下は後手玉は即詰みのようです。

最初の局面図の▲4二とに△6二玉なら▲7三角△同金▲同歩成△同玉▲8五桂で、ソフトの評価値+99987で先手勝勢。

この手順は△6二玉には▲7三角から清算するのが分かりやすいようです。

△7三同玉に▲8五桂とするのがうまく、△8四玉なら▲6二角以下、△8二玉や8三玉なら▲7三金以下詰みです。

よって△8五同飛としますが▲7四歩で詰み筋に入ります。

▲7四歩に△同玉なら▲8五銀と飛車が取れるのが▲8五桂と打った効果です。

▲8五桂△同飛▲7四歩△同玉▲8五銀△同玉▲8六飛以下詰みです。

▲8五桂△同飛▲7四歩に△8三玉なら▲7三金△9二玉▲8三角△同飛▲同金△同玉▲7三飛△9二玉▲7二飛成△8二歩▲8三金まで詰みです。

なお▲8五桂では▲7四歩△同玉▲7五歩でも、以下手数はかかりますが並べ詰みです。

実戦では詰み筋が見えたら目移りせずに1本道で詰ましたいのですが、これが色々な手が見えると読みが重複して詰まし損なうことがあるので要注意です。

実戦詰将棋だが結構難しいのが参考になった1局でした。

桂馬が活用できるような展開を目指す

上図は、先後逆で相掛かりからの進展で▲2四飛と歩を取った局面。ソフトの評価値+71で互角。

先手が▲8二歩と桂馬取りに歩を打って△9三桂としたときに、▲2四飛と歩を取ってきました。

この先手が8二歩と叩く筋は数年前によく見かけた手ですが、最近はだいぶ少なくなった感じです。

一定の結論が出たのかは不明ですが、あるときを境に指されなくなるというのはよくあります。

自分はこの戦型は先手をもって指すのが多かったのですが、逆に後手をもつと感覚がだいぶ変わってきます。

特に9三に桂馬を跳ねているのがやや異質で本来は中央に桂馬を使いたいのですが、使いづらい形になっているのでどのようにバランスを取るかが難しいです。

実戦は▲2四飛以下△2三歩▲8四飛△8三歩▲8七飛△7一金▲9五歩で、ソフトの評価値+449で先手有利。

この手順はちょっと勘違いしていたのですが、△2三歩と打って▲8四飛に△8三歩と打てば局面がおさまるかと思っていました。

▲8七飛に△7一金は▲8一歩成△同銀▲8三飛成を受けた手ですが、次の▲9五歩を見落としていました。

今見ると自然な手でこれではっきり後手が悪いのですが、対局中はこの局面になって▲9五歩が気づくようでは遅かったです。

このあたりの手順は頭の中だけで理解していたようで、とっさに反応できませんでした。

ちょっとこのあたりは指しなれていないという感じです。

9三の桂馬を守るのができないので、ほぼ桂損が確定したような形です。

△2三歩と打ったのは局面がゆっくりした流れになるので、後手の桂馬が狙われやすくなりました。

ゆっくりした流れというのは、この場合ある程度手が限られてくるので変化のしようがなくなってきます。

後手は暴れる筋がなくなったので、避けようがなくなったという感じです。

△2三歩では△3四歩がありました。ソフトの評価値+60で互角。

この手順は△3四歩と角道をあける手で、これで先手も後手も大駒が働く形になり一触即発のような局面になりました。

大駒が交換できる筋になると手が広がってくるので、戦いの争点がどこにあるかが分かりにくくなってきます。

△3四歩と突いた瞬間は、先手にとっても後手にとっても怖い形です。

△3四歩に▲8一歩成なら△8八角成▲7七歩△7八馬▲同銀△8六飛▲9七角△2三歩で、ソフトの評価値-1851で後手優勢。

この手順はうまくいぎすぎですが▲8一歩成には△8八角成があり、さすがにこれは先手がまずいです。

△3四歩に▲7七角なら△8八歩▲同金△8五桂▲2二角成△7九飛成▲6六馬△2三歩▲2五飛△8七歩▲8五飛△8八歩成▲同馬で、ソフトの評価値-175で互角。

この手順は▲7七角と受けるのはこの戦型ではよく見られる受け方で、△8八角成を防いでいます。

▲7七角には△8八歩と打つのが鋭く▲8八同銀は形ですが、△8五桂▲2二角成△7八飛成があります。

後手は9三に桂馬が跳ねているので、この筋があるのは気がつきませんでした。

よって△8八歩に▲同金と取ったのですが、△8五桂から攻めて以下△7九飛成として後手が好調のようでも先手も粘る筋がありいい勝負のようです。

△3四歩▲2二角成△同銀▲8一歩成△8八歩▲7七金△7四飛▲8八銀△8七歩▲7九銀△8五桂▲6五角△7七桂成▲7四角△6七成桂▲同玉△7四歩で、ソフトの評価値-769で後手有利。

この手順は▲2二角成~▲8一歩成とする手で、△同銀なら▲3四飛△3三桂▲8四飛△8二歩▲9五歩とする狙いで、この展開は後手が少し指しづらいです。

後手にとっては9三の桂馬が働くかが大事で、▲8一歩成には△8八歩と打つのが筋のようです。

先手は駒の取り合いは面白くないので▲7七金~▲8八銀としましたが、今度は△8七歩~△8五桂で後手の桂馬が活躍できるような形で後手が面白いです。

急所の駒は9三の桂馬でこの駒が働けば後手よしで、桂馬が狙われるのは先手よしという感じです。

桂馬が活用できるような展開を目指すのが参考になった1局でした。

相手の駒組みを意識して見る

上図は、先後逆で相居飛車の先手雁木で▲4七銀と上がった局面。ソフトの評価値-108で互角。

この局面は普通にありそうな形ですが、先手は飛車先の歩の2筋の歩を全く突いていません。

それがどのように影響しそうかなのですが、早指しの対局をしていると序盤の相手の駒組みをあまり見ていないことが多く、自分の駒組みでこのように指したいという手を優勢することがあります。

本局もそんな感じで、実戦は▲4七銀以下△2二銀▲3六歩△8四銀だったのですが、以下変化手順で▲3五歩△同歩▲3八飛で、ソフトの評価値+92で互角。

この手順の△2二銀は壁銀なので初めて見ると少し違和感のある形ですが、後手は早繰銀模様の場合は△2二銀と上がる形もやや少ないながらもあります。

△2二銀と上がれば後手の玉は△3二玉とするのがセットで多いのですが、これは2筋の補強という点では2三の地点は受けに強いです。

また短い手数で玉を囲うことができるので、その分攻めに手をかけることができます。

ただし、本局においては先手は飛車先の歩を突いていないため、その手数を3筋にかけることができました。

▲3六歩~▲3五歩の突き捨てを入れて▲3八飛と回る手順です。

3筋は後手は角頭で狙われやすいのですが、後手の駒の配置で角頭は少し守りづらいです。

守るなら▲3八飛に△4四歩~△4三金を目指すのですが、△2二銀との駒の位置関係が悪く△3二玉~△4二角と角を引いて使う形になります。

このような手順になると、玉の守りに手数をかけて早繰銀を目指すというのは少し無理なので、後手の作戦としては面白くありません。

また▲3八飛に△3二玉とするのは、間接的に先手の飛車のラインに玉が入るので3三の角が使いづらいです。

そのような意味で△2二銀には先手は3筋から動くのが機敏だったようです。

やはりいくら早指しとはいえ、できるだけ相手の駒組みも見るようにして相手の狙いがどこにあるかを意識した方がよかったです。

△2二銀では△3二銀がありました。

△3二銀▲3六歩△3一玉で、ソフトの評価値-114で互角。

この手順は後手は△3二銀~△3一玉と左美濃に囲う手で、△2二銀と指される前は△3二銀~△3一玉とするのが主流でした。

その後△2二銀という手が出たという流れですが、△3一玉は玉を少し深く囲うのが特徴です。

後手の角頭が少し狙われやすい形ですが、後手の角は△2二角とか△4二角とか△5一角と逃げるスペースもあります。

また△4四歩~△4三金として3四の地点を補強することも可能です。

△3一玉に▲3五歩なら△同歩▲3八飛△4四歩▲3五飛△4三金▲3四歩△2四角▲3八飛△3五歩▲4五歩△3四金▲4四歩△同金▲6五歩△3三角で、ソフトの評価値-94で互角。

この手順は先手は▲3五歩~▲3八飛と3筋から動く手で、やはり後手の角頭を狙う形です。

後手は△4四歩~△4三金と角頭を守る形に▲3四歩~▲4五歩と強気に攻めてきます。

先手は居玉ですが、雁木では居玉で戦うというのがよくあり、昔の感覚で居玉は避けよという格言からかけ離れた形です。

後手が守りに手数をかけたので、先手は守りより攻めを優先した手順です。

後手にとっても先手の角のラインを活かした攻めは結構嫌な形ですが、4四の金を守るために△3三角と引くのはやむを得ないようです。

この展開を見ると先手は攻めて後手は受け身に回っているので先手がうまくやっているようでも、居玉ということで決して堅い囲いではありませんので先手玉の近くで戦いが起きると反動がきつくなります。

後手は飛車や7三の銀が攻める形になっていませんが、それでもバランスが取れているというのが興味深いです。

後手はどこかのタイミングで△6四歩と突いて、以下△6五歩から6六の地点に駒を打つて攻めるというのを楽しみに受けるという感じになりそうです。

先手玉は居玉なので、6六の地点に駒を打つだけでも結構嫌な形です。

相手の駒組みを意識して見るのが参考になった1局でした。

攻めの戦力を増やして玉を寄せる

上図は、相掛かりからの進展で△4三銀と銀を取った局面。ソフトの評価値+1566で先手優勢。

対局中は、先手は6三のと金と6六の桂馬が働いており、持ち駒も金があるのでうまく指せば後手玉を寄せきれそうな気もしていました。

終盤は指し手の精度で形勢が大きく変わるので、1手の価値が大事になってきます。

実戦は▲7四金△同飛▲同桂△6五角▲5六歩△4四角で、ソフトの評価値+2184で先手勝勢。

この手順は▲7四金から飛車を取りにいく手で局面を決めにいったのですが、△同飛▲同桂で寄せきれるかどうかという形です。

△6五角は攻防の手で▲5六歩に△4四角としましたが、ここで▲6四ととすればはっきりと先手がよかったようです。

ただし、▲6四とで▲8二飛としたため△7四玉▲7二飛成△8五玉とぎりぎりの展開になりました。

これでも先手よかったようですが、急いで決めにいっているような指し方なのであまり余裕のあるような感じはありません。

持ち駒も歩だけになるので、寄せきれないと攻めが切れてしまう可能性があります。

局面を決めにいったのはいいのですが、半信半疑で指していたのでもう少し攻めの戦力を増やした方がよかったです。

▲7四金はソフトの候補手の1つだったのですが、推奨手ではありませんでした。

なお最初の局面図で▲7四金で▲4三同歩成なら、△5六銀▲同玉△6五角▲5七玉△2九角成で、ソフトの評価値-140で互角。

この手順は▲4三同歩成と銀を取る手で、攻めの戦力を増やすならこれが目につきます。

ただし、▲4三同歩成には△5六銀と打つ手があり、▲同玉なら△6五角▲5七玉△2九角成と飛車を抜かれることになります。

△2九角成に先手は後手玉を寄せきれれば一番いいのですが、後手の飛車と馬が受けに利いており後手玉は詰みません。

また2九角成は詰めろで、▲7三銀なら△5六飛▲6七玉△7七歩成▲同金△同飛成▲同玉△6六角▲8六玉△7五金▲9七玉△8五桂▲9六玉△8四桂まで詰みです。

そのような意味で、ぱっと見で指すような手は意外と先手も大変です。

▲7四金では▲7四歩がありました。ソフトの評価値+1618で先手優勢。

この手は▲7四歩と垂らす手で後手は7六に歩があるので、よくある歩の裏側に歩を打つ手です。

▲7四歩は次に▲7三歩成でなく▲7三と以下の詰みを狙っています。

▲7四歩に△4四角なら▲7三と△8四玉▲8三金△8五玉▲8六歩△同玉▲8八飛まで詰みです。

この手順は2九の飛車を活用する手で、盤面全体を意識していないと浮かばない手順です。

▲7四歩に△7七歩成なら▲7三歩成△8四玉▲7四金△8五玉▲7五金△同玉▲7四飛△6五玉▲6四と△6六玉▲7七金まで詰みです。

この手順は△7七歩成には▲7三歩成とと金を作るのがよく、後手は飛車を渡しては勝負どころがないので△8四玉としましたが、▲7四金から詰みです。

▲7四歩に△8二銀なら▲7三歩成△同銀▲同と△同飛▲7四歩△7一飛▲7三金△8四玉▲4三歩成△6六角▲6七金△5五桂▲同銀△同角▲8五銀△同玉▲8六銀△8四玉▲9六桂まで詰みです。

この手順は△8二銀と数の攻めには数の受けで粘る手で、これには▲7三歩成からと金で銀を取るのがよさそうです。

△7三同飛に▲7四歩と歩で攻めるのがよく、△7一飛に▲7三金と決め△8四玉に▲4三歩成と銀を取って銀2枚で寄せにいって先手の勝ちのようです。

これらの手順を見ると、先手は攻めの戦力を増やして攻めが切れないように意識して指しているようです。

何気ないところですが、実戦もこのように指してみたかったです。

攻めの戦力を増やして玉を寄せるのが参考になった1局でした。