狙いを持って指す

上図は、令和元年以前の対局から、後手の角交換四間飛車からの進展で、後手が△4四歩と突いた局面。ソフトの評価値+227で互角。

対振り飛車だと少し居飛車側が最初に評価値が上がることが多いですが、本局もそうだったみたいです。

対局中は、先手は矢倉模様に構えたのですが、6筋とか7筋に位を取っていないので、ここからの駒組みが少し難しいと思っていました。

本譜は以下、▲1六歩△1四歩▲8六歩△8三銀▲5六銀△7二金▲6八金右△5四歩▲5八金△1二香で、ソフトの評価値+109で互角。

後手は、高美濃から銀冠に構えて玉が手厚くなったのに対して、先手は無理に動くのは危険と思い▲8六歩と突いて▲6八金右~▲5八金と1手パスみたいな指し方なので、あまり進展しておりません。

この数手のやりとりは、後手が得をしたような感じです。

▲1六歩では▲9八香があったようです。

▲9八香△8三銀▲9九玉△7二金▲6八金右△1四歩▲1六歩△5四歩▲5六銀で、ソフトの評価値+232で互角。

先手は矢倉模様から穴熊に組み替える手順です。

駒が少し偏りますが、玉の周りが固くなったのは明らかで、後手の銀冠には固さで対抗できます。

この局面は、お互いに角を持っているので打ち込むスペースが気になって手を出しづらいですが、△5五歩▲6七銀△4七角なら▲1八角で、ソフトの評価値+468で先手有利。

先手はどこかで▲8八銀としてから仕掛ける形になると思います。

▲5六銀以下、△5五歩▲6七銀△2二飛▲8八銀△4二銀▲5二角△4七角▲3四角成△3六角成▲2四歩△同歩▲同飛で、ソフトの評価値+125で互角。

先手は▲8八銀と玉を固めたら飛車交換を狙う展開でいい勝負みたいです。

狙いを持って指すというのが大事を分かった1局でした。

詰み筋がぱっと見で見えるようになる

上図は、相掛かりからの進展で△8九飛と飛車を打った局面。ソフトの評価値+99989で先手勝勢。

この△8九飛は詰めろではありませんが、後手は次に△8七飛成▲同金△6七角成▲5九玉△6八銀の詰みを狙っています。

ただし△8九飛に対して先手の手番なのでそれを受けるか、詰めろをかけるか相手玉を詰ませば先手の勝ちです。

評価値が999・・と表示されているので、後手玉に即詰みがありそうです。

しかし、対局中は即詰みが見えずどのように受けようかと考えていました。

実戦は▲9三龍△8七飛成▲5五角で、ソフトの評価値+5924で先手勝勢。

この手順は▲9三龍と香車を取る手で終盤では少しぬるいようですが、△8七飛成としたときに▲5五角と王手で相手の根元の桂馬を取る手です。

▲5五角に△同歩ならそこで▲8七金で、ソフトの評価値+4691で先手勝勢。

5五の桂馬を取れば△6七角成という詰み筋が成立しませんので、これで先手勝勢です。

なお△8七飛成に▲同金なら△6七角成▲5九玉△6八銀で先手玉が詰みなので要注意です。

自分の実力からすれば実戦の手順はよく見えたほうですが、最初の局面は即詰みがありました。

▲9三龍では▲5五角がありました。ソフトの評価値+99991で先手勝勢。

この手順の▲5五角は桂馬を取る手で持ち駒が金銀桂に歩になりますが、このような中段玉の詰み筋は少し考えにくいです。

あまり見ないような局面になるのと、玉が下段に落ちる場合と自陣に入ってくる場合の両方の読みが必要になるからです。

また中段玉は駒の配置が複雑になりやすいので、駒の利きなどを少し見落としやすいような面もあります。

▲5五角に△3五玉と逃げるのは▲4六銀△3六玉▲2七金で詰みです。

またこの手順の△3六玉で△2四玉は▲1五金で詰みです。

よって▲5五角に後手は△同玉か△同歩のどちらかです。

▲5五角に△同玉なら▲4六銀△4四玉▲5六桂△5三玉▲6二龍まで詰みです。

この手順は▲4六銀から▲5六桂がうまい手で、▲5六に桂馬を打って詰ます形です。

▲4六銀では同じように▲5六銀と打ちたくなりますが、△4四玉▲3六桂△3五玉で即詰みはありません。

先手玉は詰めろになっていないので必ずしも後手玉を詰まさなくてもいいのですが、詰みがある場合は詰ませた方がいいです。

詰ましにいって詰まない場合というのは結構あせります。

▲5五角に△同歩なら▲3六桂△5三玉▲6二龍△5四玉▲6五銀△同玉▲6三龍△6四銀▲6五金まで詰みです。

この手順は△5五同歩の場合は▲3六桂と打つのが急所で、寄せはできるだけ安い駒から使っていきます。

大駒は別ですが、小駒は価値の安い駒を先に使って価値の高い金などは終わりの方で使うことが多いです。

小駒の中でも金や銀の金駒は駒の利きが多いので詰ますのに役立つことが多いです。

また桂馬や香車は特殊な動きをする駒なので、これらはやや例外で金駒とは全く違う感じです。

本局の場合は銀を捨てて最後に頭金で詰みです。

即詰みの手数が短ったのですが、中段玉はぱっと見で詰みが見えにくいので▲5五角は指しづらいようです。

時間があれば指せそうですが、早指しだと▲5五角は最初から考えないような感じなのでこのあたりの指し手の精度も高めたいです。

詰み筋がぱっと見で見えるようになるのが参考になった1局でした。

香車を守らずに飛車の活用を目指す

上図は、先後逆で居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で▲9七香と上がった局面。ソフトの評価値-241で互角。

平成の時代によく流行った相穴熊からの進展で、先手が4筋から攻めてきて角交換になりました。

先手の▲5三角に△8八角と打って▲9七香と上がった形です。

対局中は先手から次に▲6四角成と分かりやすい狙いがあるのに対して、後手は次の手が難しいと思っていました。

駒得する手がありませんし、狙いがはっきりするような手が見えませんでした。

結局もたれて指すしかないと思い△6六角成としました。

実戦は△6六角成▲6四角成△9二飛▲5四馬△8二飛で、ソフトの評価値+278で互角。

この手順は△6六角成と馬を作りましたが、次に狙いは△7六馬くらいで特別な狙いはありません。

先手は▲6四角成として飛車取りで、後手は9一の香車を守るため△9二飛とするしかありません。

以下▲5四馬で次に▲8一馬を桂馬を取る狙いがあるので、守るなら△8二飛とするしかありません。

このやりとりはだいぶ先手が得をしたようで、先手は馬の働きがいいです。

また先手は歩を使える筋が多く、▲4四歩や▲6四歩などの垂れ歩があります。

それに対して後手は4枚穴熊で固いのですが、飛車と馬の働きがいまひとつなのと8一の桂馬が使えていないのが痛いです。

決して後手が不利ではありませんが、気がついたらちょっと指しにくいという感じです。

△6六角成では△8三飛がありました。ソフトの評価値-241で互角。

この手順は△8三飛と角取りに浮く手ですが、この手はぱっと見で指しにくいです。

▲6四角成とされると次に▲9一馬と香車が取られる形になり、後手の守り方が分かりません。

こういうところで指し手のセンスが問われる感じです。

△8三飛以下▲6四角成△8六歩で、ソフトの評価値-230で互角。

ソフトは9一の香車を守るという発想はないようで、飛車をできるだけ活用するような展開にしたいようです。

△8六歩に▲同歩なら△6六角成▲6七金△4四馬▲7七桂△6三歩▲9一馬△8六飛で、ソフトの評価値-321で後手有利。

この手順は後手の理想的な展開ですが、△8六歩に▲同歩とすると先手の6四の馬がいなければ△8六飛とすることができます。

後手はそれが狙いのようで、△6六角成▲6七金に△4四馬と辛抱して、▲7七桂と桂馬の活用を狙えば△6三歩が地味な手ですがこの手がいい手で、▲9一馬に△8六飛とできます。

後手は香損ですが、飛車を活用できるのが大きく4枚穴熊がいきそうな展開です。

△8六歩に▲7四馬なら△7三飛▲同馬△同桂▲8三飛△8七歩成▲同飛成△6六角成▲6九飛△6七歩▲同銀△4四馬▲4七歩△1五歩で、ソフトの評価値-320で後手有利。

この手順は△8六歩に▲7四馬と飛車取りにきたのですが、強く△7三飛とするのが鋭いです。

後手から飛車と角の交換を目指すのですが、働きの悪い飛車と働きのいい馬との交換は後手は得です。

以下飛車と角の交換から▲8三飛には△8七歩成とできるのが大きく、7三の桂馬が飛車で取られません。

以下は後手は馬を作って、△6六馬~△4四馬から△1五歩と1筋に手を求めるのが盤上を広く使った手です。

今までは6筋~8筋で戦いが起きていたのですが、急に1筋に手が伸びると少し驚きます。

後手は馬を作っての4枚穴熊なので、そちらの方面で戦いを起こした方が戦力がいきやすいようです。

香車を守らずに飛車の活用を目指すのが参考になった1局でした。

銀を取られる形で手を作る

上図は、先手右四間飛車に後手矢倉に組んだ展開で△5五歩と突いた局面。ソフトの評価値+111で互角。

後手の9二の角が少し違和感がありますが、6五の銀が▲7四銀と歩を取った時に△9二角と打って以下▲6五銀△5五歩と突いた形です。

先手は1歩得ですが銀がやや不安定で、後手から△6四歩▲同銀△2九角成のような狙いがあります。

これを防ぎながら先手は銀をどのように活用するかという局面です。

実戦はここから▲4七角だったのですが、以下変化手順で△7三銀▲7五歩△4二玉▲7四歩△8四銀で、ソフトの評価値-75で互角。

この手順は▲4七角と6五の銀にひもをつけた手に後手は△7三銀として次に△6四歩を狙います。

先手は▲7五歩と突いて△4二玉に▲7四歩とする手ですが、△8四銀とされてはっきりしません。

後手の角の働きは止まっていますが、6五の銀がいなければ働きはよくなります。

それに対して先手は4七の角と4八の飛車の働きがいまひとつです。

4七の角は6五の銀を守るために打ったような角なので、使い道が少ないです。

▲4七角では▲3七桂がありました。ソフトの評価値+125で互角。

この▲3七桂は指されてみればなるほどですが、△6四歩と△7三桂と指されたときの対応が気になります。

▲3七桂に△6四歩なら▲同銀△2九角成▲6五角△1九馬▲2五桂△4二銀▲4五歩△5二香▲4四歩△5四金▲同角△同香▲4三金で、ソフトの評価値+1048で先手優勢。

この手順は△6四歩として先手の6五の銀をずらすことで△2九角成とします。

△2九角成は次に△1九馬と香車を補充する手があるので先手は忙しいです。

香車を守るだけなら▲1八香のような手もありますが、△7四馬▲7五銀△6三馬で、ソフトの評価値+99で互角。

この手順は後手も馬を自陣に引く形で十分戦えます。

よって先手は△2九角成には▲6五角と打って、△1九馬に▲2五桂と桂馬を活用します。

△4二銀と逃げれば▲4五歩が厳しく、△同歩なら▲4四歩△同金▲3二角成のような狙いがあります。

▲4五歩には△5二香と受けましたが、▲4四歩以下▲4三金と打ち込んで先手優勢のようです。

これらの手順は△2九角成とすれば先手失敗と思って読みを打ち切るのでなく、△2九角成とされてもそこから手がないかと考えるのが大事なようです。

そのためにはある程度の考える時間が必要なのですが、最悪直感でも▲4七角のような手はだめで、△2九角成とされてもなんとかなるのではないかと思うような大局観が必要かもしれません。

▲3七桂に△7三桂なら▲7七桂△4一玉▲8八玉△4二銀▲6七金右で、ソフトの評価値+92で互角。

この手順は△7三桂と跳ねられると銀が取られる形ですが、▲7七桂とします。

△6五同桂と銀を取る手はありますが、▲同歩でやや味消しになりますので後手は△4一玉とします。

以下先手は▲8八玉~▲6七金右とやや地味な展開にします。

後手の△4二銀では△3一玉が形ですが、▲7五角△2二玉▲9三角成のような手があるので、それは9二の角をとがめています。

▲6七金右でいい勝負のようですが、先手は持ち駒に角があるのが主張のようです。

銀を取られる形で手を作るのが参考になった1局でした。

勝勢からの指し方も色々ある

上図は、先後逆で横歩取り青野流からの進展で▲7九同銀と金を取った局面。ソフトの評価値-2333で後手勝勢。

駒割りは角桂と金銀の交換ですが、先手玉が薄く4九にと金がいて先手玉に迫っているので後手勝勢のようです。

対局中もうまく攻めれば寄せきれそうだと思っていましたが、攻め駒もぎりぎりなので意外と簡単ではありません。

飛車と金と銀とと金の4枚の攻めですが、歩が使える筋が少ないので手が限られています。

このあたりはソフトの評価値と自分の感覚では少し乖離がありました。

実戦は△8八銀だったのですが▲6五桂なら、ソフトの評価値-1025で後手優勢。

この手順の△8八銀は次に△7九銀不成が詰めろになるのでこれでいいかと思っていましたが、▲6五桂という手がありました。

後手は相手玉しか見ていない感じなので、ここで▲6五桂と跳ばれるとドキッとします。

▲6五桂に△7九銀不成なら▲5三桂成△同銀▲4三角成△5一玉▲4二角△同銀▲同馬△6二玉▲8六馬で、ソフトの評価値-2115で後手勝勢。

この手順は少し長いのですが、△7九銀不成に▲5三桂成が勝負手で△同玉なら▲7五角~▲8六角で後手の飛車が取られます。

▲8六角の形が△5九金に▲同角を用意しており、先手玉は寄りません。

よって△5三同銀としたのですが、▲4三角成~▲4二角として以下▲8六馬とする手順で、先手はサーカスみたいな詰めろの受け方で先手玉は詰みはありません。

これでも後手勝勢のようですが、大駒の交換が激しく読み抜けがあってもおかしくありません。

最初の局面で△8八銀では別の手として△8七銀と△5九銀が浮かびます。

▲7九同銀に△8七銀▲9五角△4八金▲6八玉△5九と▲6五桂△7六飛▲6六歩△9八銀成▲7七金△5八角で、ソフトの評価値-4728で後手勝勢。

この手順は△8七銀と攻め駒を増やす手に▲9五角と受けますが、△4八金~△5九とが詰めろになります。

▲6五桂の受けに△7六飛が際どく、▲8七角なら△5八とで詰みです。

この攻めも後手勝勢のようですが、際どい手も含んでいるので見た目ほどの評価値ではないような感じもします。

▲7九同銀に△5九銀▲5六歩△同飛▲6九玉△4八と▲7八玉△5八飛成▲8七玉で、ソフトの評価値-2086で後手勝勢。

この手順の△5九銀は△8八飛成▲同銀△4八と▲6九玉△6八金の詰めろです。

△5九銀で先手玉が受けなしに見えるのですが、ここで▲5六歩が際どい受けです。

▲5六歩に△同飛以下後手は飛車を成りこんで後手勝勢のようですが、下から玉を追って攻める形なのでうまく攻めないと攻めが切れるリスクがあります。

これら△8八銀や△8七銀や△5九銀を調べましたが、それ以外の手で△3四金もありました。

△8八銀で△3四金▲6五飛△6四銀で、ソフトの評価値-2423で後手勝勢。

この手順の△3四金は持ち駒で相手玉の周辺を攻めるのでなく、盤上の駒を使って飛車を責める手です。

先手は▲6五飛と逃げますが、そこで△6四銀と打って飛車を取りにいくのが少し浮かびにくいです。

持ち駒の銀を敵陣でなく飛車を責めるために使うのですが、後手に飛車が入ると△4八飛▲6九玉△5九金の詰み筋があります。

こちらの方が手堅い攻めで、飛車を取れる形にすれば方針が分かりやすいです。

△8八銀や△8七銀や△5九銀は難しい手を含んだ評価値で攻めも際どいですが、△3四金はゆっくりですが確実に手を繋げるという意味では自分はこちらの方がいいです。

勝勢からの指し方は何通りかあるようなパターンですが、必ずしも直接的に攻めるより回り道しても確実な指し方もあるようです。

ここからも▲6六飛で戦いは続きますが、飛車交換になっても先手玉が薄いので後手勝勢のようです。

勝勢からの指し方も色々あるのが参考になった1局でした。

6筋に飛車が回れば△6四歩

上図は、令和元年以前の対局から、先後逆で居飛車対振り飛車の対抗形で▲3四歩と打った局面。ソフトの評価値-221で互角。

先手は3筋に圧力をかけていつでも角道を通した端攻めを見ているので、後手も穴熊とはいえ神経を使います。

後手は6筋に飛車を回っているのでどこかで△6四歩と突く将棋なのですが、1歩渡すと端攻めがうるさいと思って指せませんでした。

本譜は△6一飛▲6九飛△6二飛▲2八玉△6一飛▲2五桂で、ソフトの評価値+465で先手有利。

この手順は、△6一飛~△6二飛と手待ちをしたのに対して、先手は▲2五桂と前に駒が活用できているので、先手がいいです。

このあたりの後手の指し方は消極的過ぎました。

△6一飛では△6四歩があったようです。

△6四歩▲同歩△同銀で、ソフトの評価値-207で互角。

穴熊にして消極的な手待ちをしても仕方がなかったので、先手の▲2五桂がくるまえに△6四歩から動きます。

△6四同銀の次の狙いは△6五桂です。

△6四同銀に▲1四歩△同歩▲2五桂なら、△6五桂でソフトの評価値-383で後手有利。

この手順は、1筋の歩を突き捨てて▲2五桂としたのですが、△6五桂で攻めを催促する手です。

後手も怖い形ではありますが、先手の攻めは角と桂馬でやや細いので、このような進行は後手もやむを得ないようです。

△6四同銀に▲8八角なら、△8六歩▲同歩△6七歩で、ソフトの評価値-142で互角。

▲8八角は△6五桂を事前に受けた手で、どこかで▲9七角のような筋があります。

後手は△8六歩と突き捨てて▲9七角の筋を消しますが、そこで△6七歩が見えづらい手です。

△6七歩に▲同飛なら△6六歩▲同角△同角▲同飛△6五銀▲6九飛△7八角▲5九飛△5六銀▲同金△6八飛成で、ソフトの評価値-385で後手有利。

この手順は、△6七歩~△6六歩で先手の角筋を止めて角交換して銀損から飛車を成りこむ手です。

銀損していますが、先手玉も形が崩れているのでいい勝負のようです。

6筋に飛車が回れば△6四歩が参考になった1局でした。

角と桂馬のラインで後手玉を寄せる

上図は、後手ゴキゲン中飛車に先手▲3七銀からの超速からの進展で、▲6四角に△5四飛と5三の飛車が逃げた局面。ソフトの評価値+1692で先手優勢。

対局中は先手がいいと意識していましたが、角取りなのでここでいい手があるかどうかです。

先手の角が少し後手に近い位置なのでいったん逃げて次に▲7四桂と打とうと思ったのですが、これが勘違いでした。

実戦は△5四飛以下▲2八角△2七歩で、ソフトの評価値+350で先手有利。

この手順は先手のお粗末な手の流れですが、▲2八角として次に▲7四桂と打とうと思ったのですが、△同飛と取られてしまいます。

こういうところが早指しだと手が見えていないという典型的な例で、▲7四桂の筋があるならこのタイミングで打てばよかったのですが、なぜかこのときは見えてなかったというパターンです。

▲2八角では▲7四桂がありました。

▲7四桂に△7一玉は▲8二金で詰みなので、それ以外の△9二玉と△9三玉と△8三玉について調べます。

▲7四桂に△9二玉なら▲9四銀△8三金▲9三歩△同桂▲8三銀成△同玉▲8二金△7四玉▲2三龍で、ソフトの評価値+

この手順は▲9四銀と▲8二金の詰めろをかけるのが分かりやすいようで、△8三金には▲9三歩~▲8三銀成として金を入手します。

以下△同玉に▲8二金~▲2三龍がうまい手で、6四の角が取られそうですが、△6四玉でも△6四飛でも▲7五金で詰みです。

また▲2三龍は▲7五金の詰めろになっていますので1手1手のようです。

▲7四桂に△9三玉なら▲8二銀△8三玉▲9一銀不成△6四飛▲8二桂成△9四玉▲9五歩△同玉▲9六香△8六玉▲8七歩△8五玉▲7五金△9六玉▲9七香まで詰みです。

この手順は少し長いですが、△9三玉には▲8二銀~▲9一銀不成と香車を取る手がうまい手で、△6四飛と角を取られますが▲8二桂成以下寄り筋です。

6四の角が取られそうな形ですが、それより9一の香車を補充してそれを寄せに使うというのがうまいです。

終盤は駒の損得より速度が大事なようです。

▲7四桂に△8三玉なら▲8二金で、ソフトの評価値+1831で先手優勢。

この手順は△8三玉には▲8二金と下から金を打つのが継続手です。

下から金を打って玉が上部に上がる形は少し指しづらいのですが、ここからどのように寄せるかが気になります。

▲8二金に△9三玉なら▲9五歩△8三角▲8一金で、ソフトの評価値+4289で先手勝勢。

この手順は△9三玉に▲9五歩として次に▲9四銀の詰めろをかけるのがうまい手で、△8三角には▲8一金が少し見えづらいです。

▲8一金に△同銀なら▲7三角成がありますので▲8一金に△6四飛とすれば、▲8二銀△9二玉▲9一金で詰みです。

▲8二金に△9四玉なら▲9五歩△同玉▲8七銀△9七金▲9六銀△同金▲同香△同玉▲9七歩△9五玉▲1一龍で、ソフトの評価値+50000で先手勝勢。

この手順は△9四玉には▲9五歩~▲8七銀が▲9六香の詰めろをみた手で、△9七金には▲9六銀がうまい手です。

最後の▲1一龍は▲9六香の詰めろで後手は受けなしです。

▲8三金に△7四玉なら▲7五銀△6三玉▲5五歩△6四飛▲2三龍で、ソフトの評価値+7203で先手勝勢。

この手順は▲8二金に△7四玉とする手で、これが一番複雑です。

先手は持ち駒は銀なので、後手玉が斜めにするする抜け出す可能性があります。

先手は▲7五銀は見えやすいですが、△6三玉に▲5五歩が見えにくいです。

△6四飛として角が取られますが、そこで▲2三龍がうまいです。

▲2三龍に△5三桂なら▲6四銀△同玉▲5三龍△同玉▲4三飛△6四玉▲4四飛成△6三玉▲5四龍△6二玉▲6四龍△6三銀▲5四桂で詰みです。

▲2三龍に△5三金なら▲6四銀△同玉▲5三龍△同玉▲4三飛△6四玉▲4四飛成△6三玉▲5三金まで詰みです。

▲2三龍に△5三角なら▲6四銀△同玉▲5三龍△同玉▲4三飛△6四玉▲4四飛成△6三玉▲5四龍△6二玉▲5三角まで詰みです。

角と桂馬のラインで後手玉を寄せるのが参考になった1局でした。

駒得を図って優勢を拡大する

上図は、角換わり腰掛銀からの進展で△4五銀と桂馬を取った局面。ソフトの評価値+1173で先手優勢。

駒の損得はありませんが、この局面はすでに先手優勢だったようです。

お互いの玉がそれなりに固く駒の損得がないとぱっと見でいい勝負に見えるのですが、こういうところでも強い棋力の人が見るとすでに差があるようです。

自分は対局中はそこまで先手がいいとは思っていませんでした。

すでに形勢がいい局面ではいい手を指すと、さらに形勢がよくなることが多いです。

将棋は相手玉を詰ませば勝ちになりますが、相手玉を詰ませなくても駒得を目指して戦力を増やすことで優勢を拡大する指し方があります。

本局もそのような指し方がありました。

実戦は▲4五同銀△同歩▲4四桂で、ソフトの評価値+249で互角。

この手順は▲4五同銀と銀交換をしてから▲4四桂と両取りの金を打つ手です。

相手玉を攻めるならこの手順が自然なようで、桂馬と金の交換になれば先手が駒得になり優勢が拡大したようにも見えます。

相手の守り駒の金を1枚でも取ると相手玉が薄くなるので、攻めている分には気持ちがいいのですが、評価値は大きく下がりました。

なぜ下がったかですが、自分が攻めても相手も攻め駒が増えており、特に後手は4六の角が働いています。

先手玉が6八にいるので角の利きが間接的に玉を睨んでおり、△5六桂のような手があります。

この実戦の攻め合いの手順は、先手の自玉の危険をおかして攻めにいったという手でリスクが高いです。

最初の局面も後手の4六の角は働いているのですが、この評価値は先手がうまく対応すれば優勢という評価値です。

先手としては4六の角を消せば自玉が今より安全になります。

ここでは自玉を安全にして優勢を拡大するという指し方がありました。

▲4五同銀では▲4六飛がありました。

▲4六飛△同銀▲2四角△3三銀▲4六角で、ソフトの評価値+1299で先手優勢。

この手順は、▲4六飛と飛車と角の交換をしてから▲2四角と王手銀取りに打つ手です。

▲4六角の瞬間の駒割りは飛車と角銀の交換の2枚替えなので先手が駒得です。

さらに▲4六角が飛車取りの先手になっているのも大きいです。

ただし後手の持ち駒に飛車が入ったので、先手はいずれ飛車の打ち込みに対応することになります。

それまでに先手が手を作れるかが気になります。

▲4六角に△8一飛なら▲6四桂△5一金▲7三桂成△4九飛▲6三角△4六飛成▲4七銀打で、ソフトの評価値+1267で先手優勢。

この手順は△8一飛と逃げれば▲6四桂と金取りに打つのがうまいです。

安い駒で相手の守り駒の金を攻めるのが急所です。

▲6四桂に△5一金と逃げましたが、△5一金で△6二金なら▲7三桂成△同金▲5二桂成△同玉▲7三角成があります。

よって△5一金と逃げましたが、そこで▲7三桂成がゆっくりしているようで手厚い手のようです。

一見遅いような攻めでも盤上の駒を攻めに使って手厚く指すの本筋のようです。

後手は△4九飛と打って先手も少し嫌な形ですが、角を逃げずに▲6三角が継続手です。

▲6三角に△4六飛成と角を取りましたが、そこで▲4七銀打と手厚く受けるのがうまいです。

▲4七銀打で▲8一角成と飛車を取るのは、△4九龍と入られて大変です。

受けるところはしっかり受けて自玉を安全にするというのが大事なようです。

なお▲6三角に△8四飛と逃げるのは▲7四成桂△8二飛▲7二桂成△9二飛▲7三角成で、ソフトの評価値+2219で先手勝勢。

この手順は△8四飛と逃げた手に▲7四成桂と飛車を攻めるのが効果的で、次に▲5位一馬~▲5二金の狙いと、▲8三成桂と飛車を取る手があり先手勝勢のようです。

駒得を図って優勢を拡大するのが参考になった1局でした。

歩を使って後手の形を崩す

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△3五歩と突いた局面。ソフトの評価値+422で先手有利。

後手の角道を止める振り飛車に先手が居飛車穴熊に組んで、平成の時代にあったような展開です。

後手は△3五歩と桂頭を攻めてきたのですが、うまく手を作れば先手がやれそうな形です。

先手は穴熊に組んでいる場合は基本的に荒捌きは歓迎なのですが、本局の場合は先手も後手も金と銀が中央にいて、実質的な守り駒はお互いに金と銀の2枚ずつです。

先手の穴熊と後手の銀冠の比較は、先手の穴熊の方が固いのですが後手の銀冠が広いという感じです。

先手の穴熊は7八の金が浮いているのが少しマイナスで、そのような意味で本局における一直線の駒の交換は微妙です。

実戦は△3五歩以下▲5五歩△同銀▲同銀△同金▲同金△同角で、ソフトの評価値+297で互角。

この展開は中央で金銀がお互いに持ち駒になる形で、△5五同角と角が中央に飛び出します。

一直線の駒の交換は穴熊らしいといえばそうですが、後手の角は先手の穴熊を直接睨んでいる形なのでそこまで強い穴熊ではありません。

また次に△3七角成がありますので▲5八飛とすれば、△6九銀の割打ちの銀があるので難しい形勢です。

先手から駒の交換をして少し形勢が微妙になるというのは、あまりうまくいっていないようです。

これらの展開はやや穴熊の玉の固さを過大評価しているような感じです。

▲5五歩では▲5三歩がありました。ソフトの評価値+233で互角。

この▲5三歩は焦点の垂れ歩ですが、次に▲5二歩成が狙いです。

▲5三歩に対して▲5二歩成を受ける△同金や△同銀や△4二飛や△5一歩が浮かびます。

一般的にはこれらの手はきかされの手で、気分的には後手はあまり好きで指す手ではない感じです。

▲5三歩に△同金なら▲8六角△8五歩▲7七角で、ソフトの評価値+477で先手有利。

この手順は△5三同金には▲8六角として次に▲4五桂を狙います。

△8五歩は角取りでそれを受けたのですが、▲7七角と引いた手が5五の地点を補強して次に▲4五桂の狙いで先手有利です。

後手が△5三同金とすると5五の地点の数が足らなくなりますので、▲7七角の局面は少し先手が指しやすいです。

▲5三歩に△同銀なら▲5五歩で、ソフトの評価値+938で先手優勢。

この手順は△5三同銀としたのですが、▲5五歩と中央に歩を打つのが大きく△4四金と逃げると▲4五桂の両取りがあります。

▲5三歩に△4二飛なら▲4三歩△6二飛▲6四歩△6七歩▲8六角△8五歩▲7七角△3六歩▲4五桂で、ソフトの評価値+496で先手有利。

この手順は▲5三歩に△4二飛と辛抱したのですが、▲4三歩があり△同飛なら▲5二歩成がありますので△6二飛と逃げました。

そこで▲6四歩が味のいい突き出しで、△同飛には▲5二歩成があります。

後手は△6七歩~△3六歩と暴れてきますが、▲4五桂と2九の桂馬がここまで活用できれば先手もまずまずです。

▲5三歩に△5一歩なら▲3五歩で、ソフトの評価値+360で先手有利。

この手順の△5一歩は手堅い歩ですが歩切れになるので、▲3五歩とされると△3六歩とする歩が持ち駒にありません。

ソフトは▲5三歩に△3六歩を推奨していました。

▲5三歩に△3六歩なら▲5二歩成△3七歩成▲4九飛△8一飛▲5五歩で、ソフトの評価値+373で先手有利。

この手順は▲5三歩に△3六歩として強く勝負にでたのですが、▲5二歩成△3七歩成の飛車取りに▲4九飛が冷静な手で、△8一飛とされると先手の桂損ですが、5二にと金を作っているのが大きく▲5五歩で先手が少し指せるようです。

歩を使って後手の形を崩すのが参考になった1局でした。

意外な手の組み合わせで受けに回る

上図は、後手角交換振り飛車からの進展で△1四歩と突いた局面。ソフトの評価値-35で互角。

先手は穴熊にしようとしたのですが、後手から角交換をする展開になりやむを得ず銀冠にしました。

先手は銀冠と9八の香車のバランスがいまひとつですが、後手にうまく動かれた感じでやはり評価値も少し後手持ちのようです。

通常居飛車対振り飛車の対抗形は、居飛車の方が駒組みの段階で評価値が+100~200になっていることが多いです。

もちろん人間が指せば全くの互角ですが、うまく手を作れば居飛車の方が完全に作戦勝ちで有利ということもあるのでそれなりに評価値は気になります。

そのような意味で本局はやや先手失敗ですが、ここから互角を維持したいところです。

実戦は▲8五歩△4二飛▲5六銀△4五歩で、ソフトの評価値-334で後手有利。

この手順の先手は▲8五歩と▲5六銀の組み合わせですが、あまりよくなかったようです。

▲8五歩は8筋の位を取って中盤過ぎに▲8四歩△同歩▲8三歩のような嫌味を作った手ですが、この局面では価値が低いようです。

先手玉は9筋を突いておらず9八の香車の形なので自玉の下がすかすかで、後手が下段に飛車を打って持ち駒に金があると△8九金の1手詰みになります。

そのような意味で先手は強い戦いができません。

8筋の位よりも自玉の安全を図るべきでした。

また▲5六銀は後手が△4二飛としたので4五の地点を守る意味での受けですが、これもあまり意味がなかったようです。

最初は実戦の▲5六銀がよくなかったのがいまひとつ理解できなかったのですが、△4五歩に▲同歩なら△6四角▲2七飛△4五桂▲同桂△同銀で、ソフトの評価値-631で後手有利。

この手順は▲4五同歩には△6四角と飛車のコビンを狙うのがうまいです。

また△4五歩に▲同桂なら△同桂▲同銀△同銀で、ソフトの評価値-505で後手有利。

この手順は▲4五同桂として桂馬を捌いたのですが、△同桂とされると次に△3七桂成があるので先手は▲4五同歩とするしかなく△4五同銀で後手有利です。

そのような意味で▲5六銀と上がったのは△4五歩に備えるつもりで指したのですが、△4五歩に▲同歩とできないので手の組み合わせがよくないようです。

こういう何気ないところで形勢に差がつくと、勝負どころがなくなって終わってしまうことがあります。

▲8五歩では▲9六歩がありました。

▲9六歩△4二飛▲2九飛で、ソフトの評価値+17で互角。

この手順は▲9六歩は玉の近くで指すならこれが自然な手です。

後手から攻められて将来▲9七玉のような形になれば、そこからもうひと勝負という展開になることがあります。

ややレアなケースですが、9八に香車がいる場合は▲9七玉という形がたまに出ます。

少なくとも玉が広くなったという意味では▲8五歩より価値が高いです。

△4二飛は4筋から攻める手で、次に△4五歩という分かりやすい狙いがあります。

ここで先手がどう指すかですが、▲2九飛とするのは驚きました。

▲2九飛は指摘されないと全く浮かびません。

▲2九飛に△4五歩なら▲同歩△同桂▲同桂△同銀▲3三角△4六歩▲3八銀で、ソフトの評価値+209で互角。

この手順は△4五歩とまともに攻めてきた展開ですが、4五の地点で桂馬の交換をしてから▲3三角と打つのが狙いの手です。

桂馬が交換になると3三の地点があくのでそこに角を打つというのは浮かびますが、△4六歩に▲3八銀と逃げていい勝負という感覚はぱっと見で難しいです。

△4六歩▲3八銀というのは、人間の感覚だと先手が全くさえないような感じですが、▲3八銀に△4一飛でも△3六銀でも▲4八歩と打って受けるという感覚のようです。

▲3八銀と▲2九飛の組み合わせはそんなに悪くないようで、飛車は将来▲6九飛とか▲9九飛のような使い方もあり、自陣に活用するような含みがあります。

また4七の銀は▲5六銀と活用するだけでなく、4七にいたままで受けに役立っているので▲2九飛とできるという感覚のようです。

意外な手の組み合わせで受けに回るのが参考になった1局でした。