上図は、後手角交換振り飛車からの進展で△5四歩と打った局面。ソフトの評価値-250で互角。
この局面は先手の5五の銀が取られる形で、▲9六歩とすれば銀と香車の交換になりますが、先手が少し駒損です。
対局中は、この局面はだいぶ先手が悪いと思っていたのですがまだ互角だったのは意外でした。
ちょっと苦しいかなという局面からどこまで粘れるかが大事ですが、だいたいこのような局面から形勢に差が開いてきます。
実戦は△5四歩以下▲5四同銀△同金▲3六角△4五金で、ソフトの評価値-785で後手有利。
この手順は▲5四同銀から▲3六角として遊んでいる5八の角を活用して少し盛り返したかと思っていたのですが、△4五金をうっかりしていました。
▲4五同歩なら△2八角成があります。
将棋で見落としがあると形勢に差がつく典型的なパターンです。
仕方なく▲4五同角としましたが、以下△同歩▲2四歩△同歩▲3四歩で、ソフトの評価値-1306で後手優勢。
この展開は後で9六の香車が取れそうですが、駒割りは角銀と金香の交換で先手が苦しいです。
先手の玉は穴熊ですが、後手の銀冠もかなり手厚いのでやはり後手優勢のようです。
▲5四同銀では▲9六歩がありました。
▲9六歩△5五歩▲同歩△同角▲5七金で、ソフトの評価値-348で後手有利。
この手順は▲9六歩とするのは自然な手ですが、△5五歩に▲同歩△同角▲5七金というのが全く浮かびませんでした。
後手の指し手は自然ですが、最後の▲5七金として△4六角を防ぐのが大事なようです。
▲5七金とすると穴熊が弱くなり、金は斜め後ろには下がれませんので6八に戻る展開にはなりくにいのですが、このように辛抱するようです。
やはり後手の大駒の働きを防ぐというのは大きいようです。
▲5七金以下△4五歩▲3六角△4六歩▲4八飛△7三角▲5五歩△同角▲4六金△6六角▲4七飛△3九角成▲5五金で、ソフトの評価値-400で後手有利。
この手順は△4五歩と後手の角道を活かす手で、先手は▲3六角から▲4八飛と受けます。
後手の駒の配置で4三に金がいるので、△4七歩成には▲同飛が金取りになるのが大きいです。
後手は△7三角と引いて駒のあたりを避けた手に、▲5五歩と歩を打ち捨ててから△同角に▲4六金と金を活用します。
▲5五歩△同角▲4六金は大駒を近づけてあたりを強くする手筋です。
ただし形勢は△6六角から△3九角成で後手がいいようですが、▲5五金と金を攻めに活用してどうかという展開です。
やはり大駒が働くような展開にならないといけないようです。
少し駒損の時の指し方が参考になった1局でした。