相手の狙いを消す

上図は、令和元年以前の対局から、先後逆で相居飛車からの進展で▲1七桂と跳ねた局面。ソフトの評価値-606で後手有利。

対局中は、少し後手が指せていると思っていたのですが、▲1七桂の次の1手がよく分かりませんでした。

本譜は▲1七桂以下、△1六角成▲2五桂△1五馬▲3三桂成△同馬で、ソフトの評価値-176で互角。

この手順は、銀と桂香の2枚替えで自陣に馬を引いたのですが、評価値がだいぶ下がって互角になっています。

対局中もあまりいい手順ではないなとは思っていましたが、他の手も浮かびませんでした。

△3三同馬には▲5一角が意外と厳しく、後手も大変だったようです。

△1六角成では△2四歩がありました。ソフトの評価値-608で後手有利。

△2四歩は▲2五桂と跳ばせない手で、次に△1六角成を見ています。

守りの銀と攻めの桂馬の交換は、避けるようにした方が良かったです。

先手は△1六角成を受ける手を考えますが、▲7六歩△6四銀▲2七角なら△同角成▲同飛△4九角▲2六飛△5八角成で、ソフトの評価値-487で後手有利。

この手順は、▲7六歩と打って先手玉の玉頭の受ける形ですが、先手が歩切れになって▲2五歩の継ぎ歩がてきないので、後手指せそうです。

△2四歩に▲2五歩なら、△1六角成▲2四歩△1七馬▲2九飛△2七歩で、ソフトの評価値-796で後手有利。

△2四歩というのは、自分から突くと▲2五歩のような手を指されてお手伝いのような危険もありますが、この場合は馬と飛車の位置が近くて△1七馬が飛車取りになるのが大きいです。

相手の狙いを消す△2四歩が参考になった1局でした。

端を突き捨てて飛車交換を狙う

上図は、先後逆で後手横歩取り△3三角型からの進展で▲6六歩と突いた局面。ソフトの評価値-140で互角。

横歩取りの戦型は大駒が持ち駒になった急戦型のような激しい戦いもあれば、相振り飛車のような形になることもあり相手の手によって戦型の幅が広いです。

先手が早めに▲7七桂と跳ねて角交換の筋がなくなったことから本局のような進行になりました。

先手は金無双のような構えで2八の銀は後手の端攻めを受けています。

それに対して後手は玉を中住まい横歩取りによくある形です。

先手が▲6六歩と突くと一瞬先手の飛車の横の利きが止まるので、この瞬間に後手は動くチャンスでした。

実戦は△2五桂▲6五歩で、ソフトの評価値+103で互角。

この手順は△2五桂と跳ねて端攻めを狙う手です。

1七の地点に殺到する狙いで、後手は角と2五の桂馬と1五の歩と1九の香車で端を狙っています。

それに対して後手は2八の銀と2九の桂馬と1九の香車で端を受けています。

▲6五歩に△1七桂成としたくなりますが、▲同銀△1六歩▲2八銀△1七歩成▲同香△同香成▲同銀△同角成▲同桂で後手は無理攻めです。

この桂馬を捨ててからの展開は、攻めは3(角と香車と歩)で受けは3(銀と桂馬と香車)で同じ数なので先に攻める方が無理です。

△2五桂と跳ねても無理だったらその手を保留して、別の構想で指すべきだったようです。

△2五桂では△9五歩がありました。

△9五歩▲同歩△3六歩で、ソフトの評価値-104で互角。

この手順は9筋の歩を突き捨ててから△3六歩と合わせる手です。

ぱっと見で意味が分からなかったのですが、後手は飛車交換に持ち込みたい意図です。

△3六歩に▲同歩なら△同飛▲3七歩△6六飛▲同飛△同角のような狙いです。

このときに9筋の歩を突き捨てていると次に△9五香と走る手があり、▲8六角なら△9九香成のようなイメージです。

単純に飛車交換をするのでなく、9筋にあやをつけておくことで攻める手が広がってきます。

9筋の突き捨ては後手の大駒がいる反対側の端歩なので、攻める方としては見えづらいです。

将棋は81マスの端にある香車を含めた全体を見て考えるというのがありますが、本局のような手の作り方もそれを意識しないと浮かびません。

△3六歩以下▲同歩△同飛▲3七歩△6六飛▲同飛△同角▲2六飛△4四角▲2一飛成△3一飛で、ソフトの評価値-239で互角。

この手順は飛車交換から▲2六飛と打つ手で△4四角に▲2一飛成とする展開です。

2一の金が浮いているので金取りになるのですが、そこで△3一飛が盲点です。

△3一飛では△3一歩の底歩が最初に浮かびますが、▲8八角と辛抱されると後手から手を作るのが難しくなります。

△3一飛に▲2四龍と逃げるのは△9八歩▲同香△9五香で後手の攻めが成功します。

△3一飛の局面はまだ大変ですが、後手が手を作って動いたというのは参考になります。

△3六歩に▲6五歩なら△3七歩成▲同銀△5五角▲3六歩△2五桂▲2八銀△1六歩▲同歩△1七歩で、ソフトの評価値-446で後手有利。

この手順は先手は▲6五歩と辛抱した手で、この展開は飛車交換にはなりません。

後手は△5五角とするのがうまい手で、次に△2五桂がうるさいです。

▲3六歩は後手の飛車の利きを止めたのですが、それでも△2五桂があり▲2八銀には後手は1筋から歩を使って攻める形です。

先手が▲3六歩と打ったことで今度は先手の飛車の横の利きが止まったので、1筋の攻めができたという展開です。

端を突き捨てて飛車交換を狙うのが参考になった1局でした。

序盤の何気ないところ

上図は、後手横歩取り△3三桂型からの進展で△9四歩と突いた局面。ソフトの評価値+143で互角。

横歩取り△3三桂型はたまにでる手ですが、久しぶりに対応するとあることを忘れてしまうことがあります。

何度も指していると意識して気をつけているのですが、この展開はよくある筋で失敗のパターンです。

実戦は▲8七歩△2四飛▲2七歩で、ソフトの評価値±0で互角。

この手順は▲8七歩と▲2七歩と打った展開で、ぱっと見だと自然なようにも見えます。

先手の▲8七歩は後手の飛車が直通しているので事前に受ける手で、△2四飛に▲2七歩と受けるのも飛車成りを受ける形です。

先手は序盤で後手の横歩を取ったため1歩得になっているのですが、先手は受けに持ち駒の2歩を使う形で、先手の持ち駒が1歩に対して後手が2歩になりました。

横歩取りの戦型は飛車や角や桂馬などの飛び道具を使うことが多く、それらの駒の活用には持ち駒の歩を使って相手の形を少し崩してから手を作るというのがあり、持ち駒の歩の数は大事です。

まだ何気ない局面ですが、後手は後手から見て右の方に玉を囲う形になると、先手は8筋の歩が切れている方が手が広いです。

8筋の歩が切れていると▲8二歩や▲8三歩の垂らしの歩があり後手玉にプレッシャーがかかります。

そのような意味で8筋に歩を使うのは手堅いようでももったいなかったです。

昔の将棋でも、横歩取り△3三桂型に先手は簡単に8筋の歩を▲8七歩と受けのみで使うということは少なかった記憶があります。

また、このような感覚はソフトで検証していると何気に評価値が下がっていることで気がつきます。

ソフトがなければ全く気がつかずに見逃しやすいのですが、ソフトで検証すると数値となって示されるのでそこで考えることになります。

そのような意味でソフトで検証することをうまく使えば役に立ちます。

ただし評価値が下がっても互角の範疇だと分かったというレベルです。

▲8七歩では▲2六飛がありました。ソフトの評価値+122で互角。

この手順は▲2六飛と3六の飛車を1つ移動した形です。

何気ない手ですが、後手からの△2四飛を防いでいます。

後手が△2四飛と回るためには△2五歩と打ってから△2四飛と回ることになりますが、1歩を使って△2四飛と回るため実戦より歩の数が1枚少なくなります。

▲2六飛に対して△8六歩が少し気になります。

▲2六飛以下△8六歩▲6六角△8五飛▲8八銀で、ソフトの評価値+528で先手有利。

この手順は△8六歩には▲6六角が飛車取りの先手で、△8五飛に▲8八銀と受けた形が先手有利なのは驚きました。

▲8八銀では▲8八歩もソフトの候補手にありますが、推奨手は▲8八銀です。

これも将来8筋に歩を使って攻める狙いを残す意味だと思います。

後手が△8六歩と打っても8七の地点に2枚受けが利いており、△8六の歩が活用しづらいということのようです。

▲2六飛に△4五桂なら▲2二角成△同銀▲8八歩△5四飛▲4六歩△5七桂成▲同銀△4九角▲同玉△5七飛成▲6六角で、ソフトの評価値+747で先手有利。

この手順はやや無理筋ですが、後手から△4五桂と動いてきた形で8筋は飛車が直通しちるので油断できません。

この場合は角交換をしてから▲8八歩と下から歩を打つのが手堅いです。

▲8八歩で▲8七歩もありますが、将来△4四角のような狙いがあるともう1手受けの手を指さないといけないので、▲8八歩の1手で相手の手を消すことができます。

後手はこの筋が無理なら▲2六飛には別の手を指しそうです。

序盤の何気ないところが参考になった1局でした。

桂頭を狙って角を活用する

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で▲5八金と上がった局面。ソフトの評価値-667で後手有利。

▲5八金は4九の金が上がったのですが、5七の地点が薄いのでそれを補充した意味で、これで▲5五角と出るような手も狙っています。

対局中は次に▲5五角と出られたらうるさいと思っていました。

▲5五角を防ぐ意味で△5二飛と回っても▲4一銀の割打ちの銀があります。

実戦は△5四金打で、ソフトの評価値-468で後手有利。

この手順の△5四金打は自分の棋力からするとまずまずの手だったようです。

以前は△5四金打のような手は浮かばない棋力だったのですが、▲5五角を防ぐだけに△5四金打は指せなかった気がします。

攻めだけでなく受けの手も指せないといけないという意味では少し進歩したようです。

△5四金打は▲6四歩~▲6三歩成のと金攻めも防いでいます。

ソフトで検討するようになってから、このような局面ではどのように指すのかを繰り返していると△5四金打になった感じです。

ただし、△5四金打はソフトの候補手の1つでしたが、推奨手は別の手でした。

△5四金打では△7五歩がありました。ソフトの評価値-644で後手有利。

この手順の△7五歩は桂頭を攻める手ですが、6六に角がいるのに△7五歩とするのが盲点です。

6六に角がいなければ△7五歩は浮かぶ可能性が高いですが、6六に角がいる状態ではまず浮かびません。

△7五歩に▲同歩は△7六歩がありますので、普通は▲7五同角とします。

△7五歩▲同角以下△4五歩▲同歩△5六歩▲4四銀△同金▲同歩△同角▲6七金打△3三桂▲5六歩△7二飛で、ソフトの評価値-554で後手有利。

この手順は▲7五同角と進むと3三の角が間接的に7七の地点を睨むことになります。

そのような意味で△4五歩と突くのが自然なようです。

先手が▲4五同歩とおとなしく指したら△5六歩と後手は角道を通します。

先手は4五の歩を活かすことで▲4四銀と暴れてきますが、△4四同金~△4四同角で眠っていた角が働くことになります。

▲6七金打は固い受けですが、△4六歩と利かせて▲同銀なら△4五歩で銀が取られますので▲3八銀としますが、そこで△3三桂が味わい深いです。

△3三桂は直接的な狙いはないのですが、玉のコビンを閉めたのと将来3三の桂が攻めに役立つ可能性があり、盤上の駒を活用したという手みたいです。

自分なら△3三桂は自玉が薄くなるのと3四の銀が浮いているので、金駒を自陣に打って埋めたいのですが、そのような手は候補手にも上がってこないのが興味深いです。

このあたりの感覚はまだソフトには全く追いついていないようです。

以下▲5六歩と歩を取れば△7二飛として、▲6四角の飛車取りを先に受けつつ、いつでも△7五飛と切ることができるように指すのが形のようです。

このような何気ない指し手が結構自分の中では大事なような気がします。

まだ難しい戦いですが、じりじりした将棋でこれが対抗形によくある展開です。

桂頭を狙って角を活用するのが参考になった1局でした。

持ち駒の大駒を活用する攻め方

上図は、角換わり腰掛銀からの進展で△4一同玉と成銀を取った局面。ソフトの評価値+753で先手有利。

駒割りは飛車と金銀桂の3枚替えで後手が駒得しています。

しかしここで先手の手番なのと、持ち駒に飛車と角という大駒が2枚あるのが大きく先手が少し指せているようです。

後手の玉の周辺の金駒は少し連結がはずれており、先手に2四の歩の攻めの拠点があるのも大きいです。

実戦は▲4三歩△5二玉▲2三歩成△4三金で、ソフトの評価値+321で先手有利。

この手順は▲4三歩と垂らす手で、2四の歩と4三の歩を攻めの戦力として増やす指し方ですが、後手は△5二玉として▲2三歩成とと金を作っても△4三金で玉の方に逃げます。

と金を作るのは大きいのですが、後手も△5二玉と上がって将来3段目に玉が上がる形です。

後手から見て右側に逃げて粘りが利くので、先手有利でも評価値が下がったと思います。。

▲4三歩では2通りの手がありました。

1つは▲4三歩では▲8一飛がありました。

▲8一飛△5一銀▲2三歩成△同金▲4三角で、ソフトの評価値+670で先手有利。

この手順は▲8一飛とすることで後手に合駒請求をする形です。

▲8一飛に△5二玉は▲2三歩成△同金▲4一角があります。

よって後手は△5一銀と銀を埋めましたが、▲2三歩成と後手の金を斜めにさそってから▲4三角と打ち込む展開です。

次の▲2一角成が受けづらく、後手の4一の玉が将来的に3二に移動すると▲5一飛成の筋があります。

また▲4三角として後手の上部脱出を防いでいるのも大きいようです。

先手は攻める駒が少ないので、できれば9一の香車と2一の桂馬を拾って戦力を増やしたいです。

▲4三角に△2二金なら▲2三歩△4二玉▲3四角成で、ソフトの評価値+209で互角。

この手順はソフトの推奨手の流れですが、後手も手を尽くせば互角に戻るようで、このあたりの形勢判断はやや不安定のため自分もよく分かりません。

見た目ほど簡単ではなく自分の理解を超えているようです。

もう1つは▲4三歩では▲2三歩成がありました。

▲2三歩成△同金▲4三飛△3二玉▲4四飛成△4三歩▲7四龍で、ソフトの評価値+707で先手有利。

この手順は▲2三歩成~▲4三飛と王手銀取りに打つ手で、こちらの方が自然に見えます。

先手は銀と取って手順に龍を作る形で駒損を回復できます。

駒割りは、飛車と金桂の2枚替えで先手は龍ができた形です。

本来、龍という駒は敵陣に入った方が価値が高いのですが、この形は後手も簡単に入玉できないので先手が指せているようです。

▲7四龍に△4六馬なら▲5五角△同馬▲同歩△4六角▲4四歩△同歩▲同龍△4三歩▲4六龍△同と▲2四歩で、ソフトの評価値+1574で先手優勢。

この手順はややうまくいきすぎですが、後手が△4六馬と活用してきたら▲5五角と打って馬を消しにいきます。

交換して再度△4六角と打つと▲4四歩と合わせてから△同歩に▲4四同龍~▲4六龍と飛車と角の交換をするのが鋭いです。

最後に▲2四歩と叩いて△同金なら▲5一角のような感じです。

持ち駒の大駒を活用する攻め方が参考になった1局でした。

トーチカは▲6六角の形で辛抱する

上図は、令和元年以前の対局から、居飛車対振り飛車の対抗形で先手がトーチカに囲った展開で、後手が△2二飛とした局面。ソフトの評価値±0で互角。

先手は玉の守りを4枚で固めて、これからどのように攻めるかという感じですが、飛車と角と桂馬の3枚で攻めるので結構難しいです。

本譜は以下、▲5七角△5四歩▲3六歩△7三桂▲8六歩△1四歩▲1六歩△4五歩▲3七桂△4四銀▲4六歩△同歩▲同角で、ソフトの評価値-362で後手有利。

先手は▲8六歩と突いたのは、▲8七銀や▲8五桂を含みにした手で、以下▲3七桂~▲4六歩という展開ですが、この局面が後手有利だったのは驚きました。

対局中は、 玉の守りを4枚で固めているので 少し攻めが細いとは思っていましたが、先手が手を作っていくのは難しいということみたいです。

玉の整備が完成したので動くしかないと思っていたのですが、そうでもないようです。

このあたりの感覚がいまひとつ分かっていません。

▲5七角では▲9八香がありました。

▲9八香△7三桂▲9九玉△5四歩▲3六歩で、ソフトの評価値+60で互角。

先手は6六の角をそのままにして、後手の△4五歩を指させないようにするのが狙いみたいです。

△6五歩と突いてくれば▲5七角となるのですが、後手も少し隙ができやすい形なので、指しにくいという意味があります。

先手は▲9八香~▲9九玉と穴熊にしますが7七に桂馬を跳ねているので、あまり強い穴熊とは言えません。

手詰まりになれば、▲8六歩~▲8七銀~▲8九金~▲7九銀のような手を考えているかもしれませんが、善悪は不明です。

後手は、△5二飛として△6五歩を突いて先手の角をどかしてから△5五歩のような感じだと思いますが、お互いに難しい将棋だと思います。

トーチカは▲6六角の形で辛抱するのが参考になった1局でした。

狭いスペースに飛車を打って寄せる

上図は、先後逆で三間飛車からの進展で▲3三香と打った局面。ソフトの評価値-99978で後手勝勢。

後手の穴熊に先手が▲3三香と打った局面ですが、後手玉は詰めろになっていません。

よってこの瞬間に先手玉を寄せ切ればいいという局面です。

7五に角がいるため△3八金▲同玉△4八飛は▲同角があるので、別の攻め方が必要です。

自分の使っているソフトは999・・と出ると即詰みがあるということですが、受けなしの状態でも同じように999・・と出るようです。

今回の999・・は次の手を指せば先手玉は受けなしになりますの表示です。

ただし、実戦は寄せ方がはっきり分からず△3三同銀右だったのですが、変化手順で▲6六角打△3九飛で、ソフトの評価値-1520で後手優勢。

この手順の△3三同銀右は相当甘い手だったようで、そこから変化手順で▲6六角打がありました。

対抗形では角を使った攻防の手がよく出ますが、▲6六角打もそのような手です。

▲6六角打に後手が指すなら△3九飛を指摘しているのですが、先手の2枚の角が受けに利いていて攻め切れるかが不安です。

△3九飛以下▲4八角△3八飛成▲同玉△4九銀▲2八玉△4八成桂▲同角△2七香▲1八玉△3八銀不成で、ソフトの評価値-99986で後手勝勢。

この手順は後手が少し駒が足らないようにも見えますが、△2七香があって▲同玉なら△3八角以下の寄り筋がありますので後手勝勢です。

この先手玉の形の急所は、△3九飛と狭いところに飛車が打てるかがポイントのようです。

少し駒不足でも寄せ切れるということであれば、最初の局面では△3三同銀では△3九飛がありました。ソフトの評価値-99973で後手勝勢。

△3九飛は△3八飛成以下の詰めろなので先手は受けることになります。

△3九飛以下▲2七銀△3八金打▲1七玉△2九飛成▲1八金△3五桂▲2八桂△同金▲同金△同龍▲同玉△2七桂成▲同玉△3八銀▲3六玉△3五金まで詰みです。

この手順の△3九飛以下は即詰みはありませんが、一手一手の寄せで相手玉を薄くして寄せるパターンです。

先手の受けるスペースをなくしていくような寄せでもあります。

△3九飛に▲2七角なら△3八金▲同角△同飛成▲同玉△4九角▲2八玉△2七金▲3九玉△3八金まで詰みです。

この手順は駒を清算してから△4九角と打てば詰みです。

これらを見ると相手玉が薄いときに寄せにいけば寄り筋になりやすいみたいです。

そのような意味で▲3三香には受けずに寄せにいくという感覚が大事なようです。

そう指せば穴熊らしい指し方だったようです。

自分の場合は敵陣の寄せと自玉の危険度をちゃんと見極めるようになればいいのですが、短い時間の指し手だとそのあたりの精度が悪くなるので、このあたりも課題の1つのようです。

狭いスペースに飛車を打って寄せるのが参考になった1局でした。

評価値と実戦心理がだいぶ違う

上図は、先後逆で横歩取り青野流からの進展で△2九馬と桂馬を取った局面。ソフトの評価値-2497で後手勝勢。

駒割りは後手が銀得で△2九馬が金取りになっているので後手がいいです。

ただし後手が勝勢までになっているのは気がつきませんでした。

先手からは▲8一歩成~▲8二とが間に合うかという感じですが、後手の方が少し攻めが厳しいです。

実戦は△2九馬に▲4八金と逃げてこの手はソフトの推奨手と同じだったのですが、▲8一歩成の攻め合いを少し気にしていました。

自分の悪いくせで、本来は相手の最善手を想定してその先を考えれば読みの効率はいいのですが、最善手でなくつい一直線の変化の▲8一歩成を考えるくせがあります。

俗にいうこう指されたら少し気になるなという手です。

この一直線の変化はソフトの推奨手でないので、後手が正確に指せば形勢はさらに後手に傾くのですが、一直線の変化は切り合いの将棋になるので変な手を指せば逆に先手がよくなるようなことがあります。

このあたりが実戦心理の難しいところで、結局あまり関係ない手を考えているという効率の悪い面があります。

早指しの将棋で実戦に出にくいような手を考えると、相手が最善手を指したときに反応できないということもあります。

このあたりの読みの入れ方が課題の1つかと思っています。

変化手順で△2九馬以下▲8一歩成△3八馬▲8二とで、ソフトの評価値-50000で後手勝勢。

この手順は先手はと金と作って次に▲7二とまで進めば後手玉が詰めろになるのですが、ここで後手の手番なので詰めろをかけていけばいい局面です。

△4九銀▲6九玉△4七馬▲7九玉△8六桂で、ソフトの評価値-50000で後手勝勢。

この手順は△4九銀~△4七馬と手順に王手をして迫る手で、最後に△8六桂とします。

この手が詰めろになっていないとまずいですが、△8六桂は詰めろです。

△8六桂▲7二とに、後手は△6九馬と△7八桂成と△6九金の3通りの詰まし方がありますが、どれも意外と難しいです。

1つ目は、△8六桂▲7二と△6九馬▲同玉△5八金▲7九玉△7八桂成▲同玉△6八金▲同玉△5七桂成▲7八玉△6七成桂▲同玉△6六金▲6八玉△7七飛成▲5九玉△5八銀打▲4八玉△4七龍▲3九玉△3八龍まで詰みです。

この手順は△6九馬と馬を捨てる手ですが、実戦心理としてはとても指しづらいです。

またその後の△5七桂成も読みにくく△7九銀として▲同玉なら△7七飛成を考えるのですが、△7九銀には▲7八玉△8八金▲6九玉で先手玉に詰みはありません。

まず実戦では選べない手順だと思います。

2つ目は、△8六桂▲7二と△7八桂成▲同玉△6九馬▲同玉△5八金▲7九玉△6八金▲同玉△5七桂成▲7八玉△6七成桂▲同玉△6六金▲6八玉△7七飛成▲5九玉△5八銀打▲4八玉△4七龍▲3九玉△3八龍まで詰みです。

この手順は1つ目の手順とかなり似てますが、△7八桂成~△6九馬と捨てる手で、これも実戦では選べないです。

3つ目は、△8六桂▲7二と△6九金▲8八玉△7八桂成▲8七玉△7七成桂▲同銀△同飛成▲同玉△6八銀▲8七玉△8六歩▲同玉△8五香▲同玉△7四馬▲8六玉△8五金▲8七玉△6五馬▲8八玉△8七歩▲9八玉△8六桂▲8九玉△7九金まで詰みです。

この手順は△6九金から追う手順で自分ならこれから考えますが、7七の地点で清算して△6八銀と打つのが指しづらいです。

下から銀を打って王手で上部に上がる形は、戦力不足になりやすいので短い時間では選べないかもしれません。

結局は3通りのどれも詰みなのですが、ソフトの評価値だけ見ると後手必勝のようでも実際に考えて詰ますのはかなりハードルが高い感じです。

少しでも棋力をあげて終盤力をつけたいです。

評価値と実戦心理がだいぶ違うのが参考になった1局でした。

桂頭に歩を突いて戦いをおこす

上図は、先後逆で角交換振り飛車からの進展で▲6五歩と打った局面。ソフトの評価値-504で後手有利。

最近は対振り飛車で玉頭位取りになるのは少ないのですが、矢倉から△3五歩と位を取って玉頭位取りになりました。

6四の地点で歩を交換してから▲6五歩と打ってきた展開です。

銀取りなので銀が出るか引くかのどちらかですが、この局面では銀が出ても引いてもどちらでも後手有利でした。

銀が出るのと引くのでは方針が全く違うのですが、どちらも後手有利だったのは不思議な局面です。

実戦は△5五銀▲同金△同歩で、ソフトの評価値-502で後手有利。

実戦の手順の△5五銀は戦いをおこす手で、先手は4九の金が離れ駒になっているので戦いをおこしたという感じです。

本当は△5五銀のような戦いをおこす手は時間をかけて考えたいのですが、早指しではそのようなことはできません。

△5五同歩に▲5五同角は△5二飛があり、▲9一角成なら△5七飛成があります。

また△5二飛に▲5六歩なら△5五飛▲同歩△4五歩▲同歩△6七角▲3八金△5五角で、ソフトの評価値-676で後手有利。

この手順は飛車と角の交換になりますが、△6七角が4九の金の離れ駒を狙った手で以下△5五角とすれば角の働きがよく後手有利です。

よって△5五同歩には▲5五同角とせず先手は別の手を指すのですが、後手は悪い戦いではなかったようです。

なお最初の局面のソフトの推奨手は△5三銀でした。

△5三銀▲3八金△7五歩で、ソフトの評価値-615で後手有利。

この手順は△5三銀と引いて▲3八金とする展開です。

先手は▲3八金とすれば離れ駒がなくなるので、この手順は先手がだいぶ得をしていたと思ったのですが、ここで△7五歩がありました。

この△7五歩はうっかりする手で、7五の地点には6六の角がいるので効果がなさそうに見えますが▲7五同角とさせても狙いがあります。

まず△7五歩に▲同歩なら△7六歩で桂得になります。

よって△7五歩に▲同角ですが、そこで△4五歩と突きます。

△7五歩▲同角△4五歩に▲6六角なら△同角▲同金△4六歩▲5六銀△8六歩▲同歩△7九角▲5八飛△8六飛▲8八歩△同角成で、ソフトの評価値-1488で後手優勢。

この手順はうまくいきすぎですが、▲7五同角には△4五歩が厳しく次に△7七角成がありますので▲6六角と引いたのですが、角交換から△4六歩が激痛です。

△4六歩に▲同銀なら△4五歩で銀が取られますので▲5六銀としましたが、8筋を突き捨ててから△7九角~△8六飛で後手優勢です。

△7五歩▲同角△4五歩に▲7八飛なら△4六歩▲同金△4五歩▲5六金△8六歩▲同角△同飛▲同歩△8七角▲7九飛△6八歩▲3九飛△7七角成▲6四歩△4四銀▲6三歩成△7六角成で、ソフトの評価値-475で後手有利。

この手順は昔はやった玉頭位取りらしい戦い方です。

△4五歩と突いたときに▲7八飛と受けましたが、△4六歩~△4五歩と位を確保して△8六歩と突きます。

▲8六同角には△8六同飛として飛車と角の交換をするのが位取りらしい指し方です。

普通は少し無理っぽいのですが、△8七角から2枚の角を活用して桂得になります。

先手は▲6四歩~▲6三歩成とと金ができますが、△4四銀と早逃げして後は玉頭で戦いをするという感じです。

相手に飛車を渡しているのでまだ大変ですが、玉頭の厚みを活かして勝負する感覚です。

桂頭に歩を突いて戦いをおこすのが参考になった1局でした。

自陣が危なくても攻める手を考える

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△6九龍と金を取った局面。ソフトの評価値+34で互角。

対局中は先手玉は守りが薄く先手が少し悪いと思っていたのですが、この局面が互角だったのは少し意外でした。

駒割りは金と桂香の交換ですが、次に△7九龍とされると詰めろがかかるので先手は忙しいです。

実戦は、▲6八銀打△5八龍▲6三香△同金▲同桂成△同銀▲7五桂△7二銀▲4三角△5一金打で、ソフトの評価値-1172で後手優勢。

この手順は▲6八銀打で受ける手で、以下△5八龍と少しゆるんだときに先手が攻める展開です。

先手は△5八龍に狙いの▲6三香から攻めていくのですが、後手は数手前に△5八龍と金を補充したのが何気に大きく、金を自陣に打ちつける形になるとなかなか後手玉に寄り筋が見つかりません。

また△5八龍は将来△6九角のような王手を含みに残しており、先手は7八に合駒をすれば攻めの戦力が低下します。

また△6九玉に▲7七玉と逃げる形は、後手の持ち駒がたくさんあれば詰みが生じてもおかしくありません。

そのような意味で▲6八銀打としたのは自陣が少し安全になったようでも、攻めの戦力が落ちるということにつながります。

後手から△7九龍とされる前に先手は持ち駒を活かして攻めた方がよかったです。

▲6八銀打では▲6三香がありました。

▲6三香△同金▲5二銀で、ソフトの評価値+814で先手優勢。

この手順は▲6三香と打ち込んで△同金に▲5二銀と引っかける手です。

まず▲6三香に△7九龍なら▲6二香成△同玉▲6三銀△同銀▲同桂成△同玉▲6一飛成以下詰みです。

よって▲6三香に後手は受ける手になりますが、△6三同金と取れば▲5二銀と引っかける手が盲点です。

▲5二銀では▲6三同桂成△同銀▲5五桂のような手が浮かびますが、△7五桂▲同歩△5四角の王手に合駒をすることになり、▲7六桂としても△同角▲同玉△7九龍の筋があります。

△7九龍に▲6六玉と逃げても△5七銀の捨て駒がうまい手で、▲同金なら△6五金で詰みなので▲5七同玉としますが、△6五桂の王手があります。

△6五桂に▲6六玉なら△7六金までで詰みなので▲4八玉と逃げますが、△4九金~△3九金~△2九金~△1九金の筋で詰みです。

2六の銀が攻めに役立っているのがすごいです。

ただし、▲5五桂では▲7五桂とこちらに桂馬を打つ手があったようで、この場合は△5四角で、ソフトの評価値-196で互角。

この局面のポイントは△7五桂と捨てて▲同歩に△5四角のような手で先手玉が詰み筋なので要注意です。

よって最後の局面図の△6三同金には▲同桂成とはせずに▲5二銀打が継続手です。

▲5二銀打は詰めろで次に▲6一銀成△同銀▲6三桂不成△7二玉▲6一飛成△同玉▲5一金以下の詰めろです。

この詰み手順も少し難しいところがあり、▲6一銀成~▲6三桂不成とするのが盲点で先に▲6三桂不成とすると△8二玉で後手玉は詰みません。

よって▲5二銀には△6二金打や△5四角のようなひねった受け方になりそうですが、結構難しく自分の棋力では判断できません。

また数手前の▲6三香に△同銀のような手もあり変化が複雑です。

ただ全体的に言えるのは、最初の局面からは先手は受けずに攻める手を考えるべきだったということです。

自陣が危なくても攻める手を考えるのが参考になった1局でした。