上図は、先後逆で相掛かりからの進展で▲5六飛とした局面。ソフトの評価値-189で互角。
先手が▲3五歩△同歩と3筋の歩を突き捨ててから▲5六飛と2六の飛車が回った形です。
後手の中住まいの玉は5三の地点を狙われやすいので、▲5六飛は部分的にはある手です。
▲5六飛の形から、2九の桂馬と8九の桂馬が中央に躍動出来たら理想的な展開です。
さすがにそうなっては後手が具合が悪いので、それまでに何かしらの対応をすることになります。
実戦は▲5六飛以下△8五飛▲7五歩△8八飛成▲同銀△5五角打で、ソフトの評価値±0で互角。
この手順は▲5六飛に△8五飛と引いたのですが、将来先手の桂馬が5段目に跳ねるのを飛車で受ける形にしました。
ただし、この手はソフトの4つある候補手に入っていませんでした。
ソフトの感覚ではあまりいい手ではないようです。
以下▲7五歩もぱっと見で意味が分かりづらく、△同歩も△同飛も取りづらいので△8八飛成~△5五角打としました。
この変化はソフトの4つの候補手の最後にありましたが、あまりいい筋ではないようで評価値も最初の局面からだいぶ下がりました。
こういうところの指し手のセンスがいまひとつで、先手が少し無理な動きをすれば後手は丁寧に受けるような展開も選択できるのでしょうが、受けに回るのが好きでないのでやや指し手が攻めの単調な手になってしまいます。
後手が1歩得しており互角ながらもやや後手に評価値が傾いているのを考えると、別に慌てて荒捌きみたいな展開を選ぶ必要もないので、指し手の幅が狭くもったいないです。
このあたりはソフトがあって検討することで分かったことで、ソフトがなければ自分の棋力だけで判断するのは難しいです。
△8五飛では△7三銀がありました。ソフトの評価値-167で互角。
この△7三銀は将来△6四銀と上がって5三の地点を補強する意味は、将来▲6五桂に△同銀の手を用意しています。
中央を手厚くする手で、確かに先手が▲5六飛と回っているのなら△7三銀~△6四銀の形を用意するのは自然です。
また中住まいは3一の銀を将来△4二銀とすることも可能なので、先手の攻めにも十分対抗できるようです。
なお、△7三銀に▲2二角成△同銀▲9七角は△8九飛成▲5三角成△4一玉▲6三馬△5二歩▲8七歩△7二桂▲8八銀△6四桂▲2六飛△3六角で、ソフトの評価値-1050で後手優勢。
この手順は△7三銀に角交換から▲9七角と打つ手で、△8九飛成と桂馬を取れるので後手がいいですが。▲5三角成と玉頭に馬ができるのでやはり受け方は慎重になります。
▲5三角成~▲6三馬で王手ですが、△5二歩と受けて凌げているようです。
▲8七歩は後手の龍の利きを止める手ですが、△7二桂と受けて▲8一馬を防ぎます。
次の▲8八銀は次に▲7九金として龍を取る手を狙っていて、この形は後手としても少し嫌な形ですが、△6四桂と飛車取りに桂馬を跳ねて▲2六飛に△3六角して、馬取りと△7六桂を含みにした手で後手が指せています。
このような▲9七角はぱっと見無理なので考える必要はないのかもしれませんが、実戦はちょっとした形で技が決まったりすることがあるので、やはり無理筋でも一応考えることになります。
結局△7三銀には▲8七歩と打って以下△8五飛▲3七桂△6四銀で、ソフトの評価値-235で互角。
このような展開になれば、後手も中央が手厚くなって1歩得なので後手満足です。
後手で1歩得なのでゆっくりした展開も考えるのが参考になった1局でした。