上図は、先後逆で後手横歩取り△3三角型からの進展で▲1五歩と突いた局面。ソフトの評価値-711で後手有利。
横歩取りの将棋からややゆっくりした展開となり、後手が△3八歩と打って以下△3九歩成~△3八とと進みました。
先手は桂馬を逃げるのでなく▲1五歩と突いてきた局面ですが、後手がだいぶよかったようです。
対局中は後手が少し指せていると思っていましたが、評価値-711は期待勝率でいうと75%くらいありそうです。
そのような意味では有利の中でも優勢に近いような差ですが、評価値や期待勝率と実戦の対局中の心理状態はだいぶ違います。
このあたりは違いは棋力の差が大きいということですが、感覚的には少し指しやすそうというのは結構差が開いていることが多いようです。
実戦は▲1五歩以下△2八角▲2四歩△同歩▲1四歩だったのですが、▲1四歩で▲2三歩ならソフトの評価値-359で後手有利。
この手順の△2八角は△1九角成や△3七とを含みにして、できるだけと金を活用させて駒得を大きくしようとした手ですが、効率が少し悪かったようです。
後手がその手を指せれば理想的なですが、先手の手番なので動いてきます。
先手は▲2四歩~▲2三歩がやや盲点の手の作り方で、2三の地点は金と銀の2枚が利いているので少し浮かびにくいです。
この▲2三歩に対してもぱっと見で△同銀で大したことがなさそうに見えますが、そうではないようです。
▲2三歩に△同銀なら▲2八飛△同と▲6六角△7五歩▲1一角成△2九飛▲2一馬△7六歩▲同銀△8九飛成▲7九金△9九龍▲2三角成△同金▲8八銀で、ソフトの評価値-557で後手有利。
この手順は△2三同銀には▲2八飛~▲6六角の切り返しで、先に後手が駒損する形になります。
後手は飛車をもらったので敵陣に打って駒を回収することでやや後手が指せていますが、▲8八銀と打てば龍が取られそうな形なので油断はできません。
それ以上に気になったのはと金が活躍するような展開にならないので、せっかくと金を作ったのがあまり活かされていない感じです。
と金が働く展開になると先手はまずいということでやむを得ず動いたという見方もありますが、△2八角はソフトの候補手にもなかったです。
△2八角では△3七とがありました。
△3七と▲同銀△6四桂▲4五角△8五飛で、ソフトの評価値-592で後手有利。
この手順は△3七とで桂得する手です。
確実に駒得になるので分かりやすいのですが、と金が消えてさっぱりするので対局中は選択できませんでした。
▲3七同銀に△6四桂と角取りに打つのが盲点で、狙いが単純に見えますが▲4五角に△8五飛が継続手です。
確かに4五の角がいなくなると△1五歩と歩を補充しやすくなります。
4五に角がいる形だと△1五歩には▲2四歩△同歩▲1二歩のような筋が気になります。
そのような意味で△8五飛とする手は角の処置をどうしますかと聞いた手です。
△8五歩に▲4六歩なら△3三桂▲2七角△7三桂で、ソフトの評価値-819で後手優勢。
この手順は▲4六歩の受けには△3三桂と角取りに跳ねる手が気持ちがよく、▲2七角に△7三桂と両方の桂馬を活用して次に△6五桂▲6六銀△7六桂のような手があります。
3枚の桂馬を盤上で活用できる形で、後手としては理想的です。
△8五飛に▲4六銀なら△4五飛▲同銀△3七角▲2九飛△5五角打で、ソフトの評価値-789で後手有利。
この手順は△4五飛と飛車と角の交換で、以下△3七角~△5五角打と2枚の角を打って△1九角成と狙う手でこれも後手が指せそうです。
平凡に桂馬を取って駒得をするのが参考になった1局でした。