上図は、後手角交換振り飛車からの進展で△3三桂と跳ねた局面。ソフトの評価値+73で互角。
この角交換振り飛車が相手の場合に嫌な筋として、早い段階で2筋を飛車と銀で圧迫される形と4筋から飛車と銀で捌いてくることがあります。
本局は△3三桂と跳ねたことで後手は4筋から動く手と2筋から動く手の両方の含みがあります。
先手としてはどのような構えでこれを迎え撃つかというの毎回難しく、自分なりの指し手の基準みたいなものがありませんでした。
その時の気分で指していたということで、やや指し手がぶれているという感じです。
今回このような局面になったので、このあたりを調べてみたいと思いました。
実戦は▲6八金右△6二銀▲8八玉で、ソフトの評価値+56で互角。
この手順の▲6八金右はソフトの候補手になかった手で、4七の銀が浮く形でどこかで▲5六銀と上がっても後手の飛車が4筋から成りやすい形で先手は受け方が少し苦労しそうです。
この先手の指し方は4筋は焦土作戦みたいな感じですが、後手に飛車を成られて一方的に攻め倒されるリスクもあり、できればこのあたりももう少し読みを入れて丁寧に指したいです。
評価値的にはそんなに下がっていませんが、指し方としては本筋でないように思います。
▲6八金右では有力な手が2つあって1つは▲3六歩がありました。
▲3六歩△5四銀▲3五歩△同歩▲2四歩△同歩▲同飛で、ソフトの評価値+224で互角。
この手順の▲3六歩ですが、将来▲3七桂の活用や▲3五歩と後手の桂頭を狙う手です。
自分は▲3六歩と突くと、後手がどこかで△6四角と打って以下△4五歩と決戦されたときに飛車のコビンが受けづらいと思ってあまりこの手を指す気がしないです。
まず▲3六歩に△5四銀として次に△4五歩とする狙いには、▲3五歩と突き捨ててから2筋の歩の交換が鋭いです。
3四の地点に空間をあけて1歩入れば▲3四歩で桂得になる狙いです。
3四の地点を守るなら△4三銀ですが、△5四銀と出て△4五歩を狙ったのに△4三銀と引くのはちょっと指しづらいです。
また▲3六歩に△7四歩なら▲3七桂△8二角▲2九飛△5四銀▲2四歩△同歩▲同飛△4五歩▲同桂△同桂▲同歩△1九角成▲4四桂で、ソフトの評価値+336で先手有利。
この手順は後手は△8二角~△4五歩と戦いを起こす手で、先手が受け損なうと大変ですが、後手に△1九角成と香車を取られても▲4四桂と打ってその代償が取れれば先手が指せているようです。
このような手に対抗できる指し方が分かっていると▲3六歩は有力です。
また▲6八金右でもう1つ有力な手で▲5六銀もありました。
▲5六銀△5四銀▲2四歩▲同歩△同飛△2三歩▲2八飛△4五歩▲同歩△同銀で、ソフトの評価値+337で先手有利。
この手順の▲5六銀は▲3六歩とは全く違うような展開になりそうです。
3筋の戦いより4筋の補強を急いだ手で、必要最小限の形で4筋に対抗する形です。
2九の桂馬が活用できていないので先手が少し損をしているという見方もありそうですが、3七に桂馬が跳ねることでその桂馬が狙われやすいということもあり、このあたりの感覚はちょっと特殊です。
遊び駒があっても、形勢がよくなればあまり気にすることはないとも言えます。
2九の桂馬の活用より、別の手を指してそれが有力であれば問題ないとも言えそうです。
変化手順は△4五同銀で銀がぶつかったのですが、ここからの指し手が気になります。
△4五同銀以下▲4二歩△同飛▲4三歩△6二飛▲5五銀△3五角▲4四角△4六銀▲3五角△同銀▲3六歩△同銀▲4四銀で、ソフトの評価値+255で互角。
この手順の▲4二歩に△同飛なら▲4三歩△同飛▲2一角△4一角▲2三飛成で、ソフトの評価値+1035で先手優勢。
この手順はうまくいきすぎですが、4筋に歩を連打してから▲2一角が急所で、△4一角の受けには▲2三飛成があり△同金なら▲4三角成で先手優勢です。
よって▲4三歩に△6二飛と逃げましたが、▲5五銀と銀交換を拒否するのが意表の手で、以下角の打ち合いからいい勝負のようです。
後手の飛車と銀の攻めに対抗する指し方が参考になった1局でした。