上図は、角換わりからの終盤戦で△3八龍と1八の龍が回った局面。ソフトの評価値+50000で先手勝勢。
△1八龍としたのは△5四歩と馬を取るのは▲1六桂で後手玉が詰んでしまうので、それを受けた手です。
先手勝勢のようですが、形勢に差が開いていても対局中は1手ですぐにおかしくなることがあるので全く油断できません。
実戦は▲1六桂△同龍▲同金△5四歩▲3五歩△5二角▲5四龍で、ソフトの評価値+1806で先手優勢。
この手順の▲1六桂は後手の龍が取れるのですが、△5四歩と馬も取られます。
よって対局中はあまりいい手ではないと思っていましたが、他の手も考える余裕がなかったのでやむを得ず指したという感じでした。
▲3五歩に△5二角と粘られると意外とうるさく、▲5四龍でまだ先手が優勢のようですがすっきりしません。
最初の局面で▲1六桂を選択したなら、▲1六桂△同龍▲同金△5四歩▲1三桂成で、ソフトの評価値+50000で先手勝勢。
この手順は最後の▲1三桂成と捨てるのがいい手で、▲2五飛と▲1四飛と▲2三飛からの詰み筋を受けることができません。
▲1三桂成は玉頭の桂馬を捨てることで、2五から駒を打てるのが大きいです。
局後の検討で分かっても実際の対局では少しうっかりしやすく、全く気がつきませんでした。
▲1三桂成が見えるか見えないかで形勢が全く違ってくるので、最終盤の1手の価値は大きいです。
また別の手で▲1六桂では▲3五歩がありました。
▲3五歩△1七龍▲2七桂で、ソフトの評価値+50000で先手勝勢。
この手順の▲3五歩は▲3四龍の詰めろですが、△3五同歩なら▲1六桂△同龍▲同金△5四歩に▲3四飛と打って詰みです。
▲3五歩は△同歩と取らせることで、▲3四飛と打てるという意味です。
よって後手は▲3五歩に△1七龍と王手をしますが、そこで▲2七桂と打ちます。
この▲2七桂もなかなか打てない手で、△2六龍としても▲3四龍で詰みです。
▲2七桂に△4二桂と受けても▲同銀不成で受けがありません。
▲2七桂では▲2七歩が普通ですが、それは△2六龍▲同歩△1五玉で、ソフトの評価値+1797で先手優勢。
やはり寄せは結構難しく、▲1三桂成も▲2七桂も少し見えづらい手なので、桂馬という駒は少し特殊です。
このような手がどうやったら実戦で浮かぶのかというのが、これの勉強方法がなかなか見つかりません。
詰将棋の捨て駒というのも少し違う感じですので、ここらへんの手の見え方はある意味最初から少しひねって考えるということくらいを意識しないと浮かばないかもしれません。
桂馬を使って寄せの形を作るのが参考になった1局でした。