歩を使って相手の受ける形を変える

上図は、角換わりからの進展で▲8七歩と打った局面。ソフトの評価値+87で互角。

以前この局面から△8七同銀成というやや無理筋の手を書きました。https://shogiamateur.com/?p=41152&preview=true

今回はもう一つ気になっている筋があるので、その手についての対応です。

▲8七歩に△7七歩成です。

△7七歩成に▲同桂とするのが自然ですが、△7五銀と引かれた後に△7六歩と打たれて、7七の桂馬が取られそうな展開になるのが気になってます。

無条件で桂馬を取られるのは先手がまずいのですが、先手はどのように動くかがポイントです。

▲8七歩以下△7七歩成▲同桂△7五銀▲2四歩△2二歩▲4五桂△4四銀▲2三歩成△同歩▲2二歩で、ソフトの評価値+296で互角。

この手順は、△7五銀と引いた手に2筋を取り込んで△2二歩と受けるのは自然ですが、そこで▲4五桂と桂馬を活用します。

△2二歩と打った形なので△2二銀と引くことができず△4四銀としますが、そこで▲2三歩成△同歩▲2二歩が盲点です。

ぱっと見で△2二同金と進んで先手から手がなさそうですが、後手は離れ駒があるとうまくいけば技がかかりそうな形です。

▲2二歩以下△同金▲5三桂成△同玉▲3一角△4二飛▲2四歩で、ソフトの評価値+358で先手有利。

この手順は△2二同金に▲5三桂成が鋭く△5三同銀なら▲5五角が飛車と金の両取りで、ソフトの評価値+1064で先手優勢。

よって後手は△5三同玉としますが、そこで▲3一角と下から角を打ちます。

▲3一角と打てるのが▲2二歩と打ち捨てた効果です。

▲3一角に△4二角は▲2二角成があります。

また▲3一角に△5四玉は▲7五角成があります。

よって後手は△4二飛と移動合いをして受けますが、そこで▲2四歩が鋭いです。

あわてて▲4二角成としなくて、いいタイミングで▲4二角成とする狙いです。

▲2四歩以下△同歩▲同飛△2三歩▲3四飛△3三歩▲6五桂△5二玉▲4四飛△同歩▲5三銀で、ソフトの評価値+2963で先手勝勢。

この▲2四歩から飛車を▲2四同飛~▲3四飛と横に活用するのがうまい手で、以下△3三歩としたときに▲6五桂と遊んでいる桂馬を攻めに使えるのが大きいです。

以下△5二玉に▲4四飛と飛車を切って▲5三銀と打てば先手勝勢です。

これらの手順はうまくいきすぎですが、先手は2枚の桂馬を活用することで後手陣はあっさり崩壊することがあるようです。

後手の7五の銀が浮いているのと、▲2二歩として後手の金の形を崩して浮き駒を作ると後手はまとめづらい形のようです。

飛車と角と桂馬の攻めに、歩を使って後手の形を少し変えるのが大事なようです。

歩を使って相手の受ける形を変えるのが参考になった1局でした。

守り駒を薄くしてうまく攻める

上図は、角換わりからの進展で△7四角成とした局面。ソフトの評価値+938で先手優勢。

対局中は少し先手がいいと思っており、4四に歩の拠点があり先手の飛車を角が働いているので先手が指せているようです。

ここからどうやって優勢を拡大するかという局面です。

先手は攻め駒が飛車と角と4四の歩だけなのでやや細いのですが、後手は6二に歩があって飛車の横利きが止まっているので攻めのチャンスです。

ここで▲4五飛か▲7四同飛のどちらかを思っていましたが、駒得を重視して▲4五飛としました。

実戦は△7四角成以下▲4五飛△同銀▲同角△8六歩▲同歩△4九飛▲5六馬△同角▲同歩で、ソフトの評価値+1064で先手優勢。

この手順は飛車と銀銀の交換の2枚替えなので、先手が少し駒得です。

▲4五飛はソフトの候補手の1つでまずまずの展開のようで、持ち駒の角と銀銀と歩でうまく攻めればこの展開も悪くはなさそうです。

ただし△7四角成にソフトの推奨手は▲7四同飛でした。

△7四角成以下▲7四同飛△同金▲2二歩で、ソフトの評価値+841で先手優勢。

この手順は▲7四同飛と飛車を角を交換する手で、△同金に▲2二歩と歩を打つ展開です。

後手の7四の金と4五の銀が受けに役立っていない形ですが、先手も攻め駒が少ないので少し勇気がいる手順です。

▲2二歩は手筋の歩で△2二同金とすれば4三の地点が弱くなるのと、壁金になるので打って損はありません。

▲2二歩に△1三桂はありますが▲2一歩成としてと金を作って。と金も攻めの拠点になります。

よって後手は△2二同金と辛抱します。

▲2二歩以下△同金▲4五角△同銀▲6一角で、ソフトの評価値+1675で先手優勢。

この手順は△2二同金に▲4五角と角と銀の交換から▲6一角と打つ展開です。

ソフトは、優勢の局面からさらに優勢を拡大して勝勢に進めるのがうまいです。

自分の場合は優勢でも変な手を指して一気に互角になるなどよくあるパターンですが、ソフトはこのような展開はまず逃さない感じです。

▲4五角△同銀に▲6一角が次に▲4三歩成からの詰めろです。

先手の攻めは角と銀と歩でやや細いのですが、後手も守り駒が少ないのでこれで手になっているようです。

▲6一角以下△3二金▲4三銀△3一玉▲3二銀成△同玉▲4三歩成△2二玉▲5二角成△4九飛▲7四馬△8六歩▲同歩△8五歩▲2四歩△8六歩▲2三歩成△同玉▲4一馬△2四玉▲2五歩△同玉▲2六金△2四玉▲2三金まで。

この手順は一直線でややうまくいきすぎですが、先手はと金を作って▲5二角成として手を広げていきます。

後手は受けが効かないので△4九飛から△8六歩と攻め合いにでますが、先手は▲7四馬から▲2四歩がうまいです。

▲2四歩が何気ないように見えて実は詰めろで、△8六歩には▲2三歩成から即詰みです。

このような手順も簡単そうに見えますが、これを実戦で同じようにできるかというと自分の場合は簡単ではありません。

多分▲2四歩は自分の実戦だと見えないような気がします。

そこら辺が自分の課題の1つでもあります。

守り駒を薄くしてうまく攻めるのが参考になった1局でした。

千日手模様でも考える

上図は、先後逆で横歩取り△8四飛型からの進展で▲7三銀と打った局面。ソフトの評価値-888で後手優勢。

▲7三銀は次に、▲6二飛成△4一玉▲5二金△3一玉▲5一龍の詰めろに対して、先手玉はまだ即詰みがありませんので、後手は自玉を受けることになります。

対局中は先に詰めろをかけられて後手が少し悪いのかと思っていましたが、後手優勢だったのは気がつきませんでした。

実戦は▲7三銀以下△7一銀▲6二銀成△同銀▲7三金で、ソフトの評価値-1270で後手優勢。

この手順は△7一銀と受けた手に▲6二銀成△同銀▲7三金と打った展開です。

最初の局面と似たような形ですが、1つ違うのは7三の駒が銀から金に変わった点です。

実戦は早指しとはいえこの局面で自玉の危険度をよく考えずに形とばかり△7一銀打と進むのですが、このようなところが終盤が少し甘いところでした。

千日手模様の局面とはいえ、最終盤は少し考えないといけなかったです。

この局面で後手玉が詰めろになっているかをまず考えないといけなったです。

▲7三金の狙いは次に▲6二飛成ですが、△4一玉▲5二銀△4二玉で後手玉は詰みません。

ちょっと考えたら詰む詰まないの判断はできそうな形だったので、まずそれを考えていないのがまずかったです。

▲7三金には△4九飛成がありました。

▲7三金以下△4九飛成▲6二飛成△4一玉▲6一龍△4二玉で、ソフトの評価値-2027で後手勝勢。

この手順は△4九飛成と金を取った手に▲6二飛成から迫ってくる手ですが、△4二玉で詰みません。

ただし少し難しいのは、この局面で▲4五桂として次に▲3四桂の詰めろをかけられたときに後手はどう指すかです。

これを早指しの中で対応できるががポイントです。

後手の持ち駒はいい駒がそろっていますが、一番分かりやすいのは先手玉を詰ますことです。

△4二玉以下▲4五桂△4八角▲4六玉△5七角打▲3六玉△3八龍▲3七桂打△同角成▲同桂△3五角成▲同玉△3七龍▲3六歩△3四銀▲同玉△3六龍▲2四玉△1四金まで詰みです。

この手順は▲4五桂に△4八角から即詰みにいった手で、手順はそんなに難しくなく並べ詰みのようなところはあります。

これだけだと詰ましにいけばいいので考えることは集中できます。

ただし将棋の難しいところは最初の▲3七銀の局面で、自玉の詰み不詰みの判断をして、次に千日手模様の局面を打開した局面の自玉の詰み不詰みを判断して、さらに自玉が詰まない場合に後手玉に詰み不詰みの判断をするという複数のことを考える必要があります。

最後の局面の△4二玉が盤上に出て入れば少しは考えやすいのですが、▲3七銀からの数手先のことを頭の中で考えるというのがかなり難しいです。

終盤で相手玉がなんとなく詰みというのはよくありますが、それを正確に詰ますというのは結構難しいです。

このようなのが終盤力ということだと思いますが、このあたりを短い時間でも判断できるように集中して考えたいです。

千日手模様でも考えるのが参考になった1局でした。

一時的に2枚替えの駒損でも指せる

上図は、先後逆で先手が陽動振り飛車からの進展で▲6四歩と歩を取った局面。ソフトの評価値-516で後手有利。

先手が陽動振り飛車をしたことで後手がやや玉を強く囲いづらい展開になったので、早めに動きました。

先手から次に▲6三歩成が結構厳しいのですが、後手も△7九飛成と飛車が成れる形です。

対局中は△7九飛成としたいのですが、▲6三歩成の方が厳しいと思って△6二歩と受けたのですがこれは良くなかったようです。

実戦は▲6四歩以下△6二歩▲7七歩△7三桂▲3六歩で、ソフトの評価値+182で互角。

この手順は、△6二歩と受けたことで先手も▲7七歩と受けてゆっくりした展開になったのですが、後手が1歩損です。

後手はあまりゆっくりしていると▲8二角のような手もあるので、結構忙しいです。

ソフトの評価値はそれでも互角だったのが少し意外でしたが。▲3六歩には△4四角と打ってどうかという展開です。

△6二歩はあまりよくなかったのですが、△4四角のような手は参考になります。

△6二歩で△7九飛成がありました。

△7九飛成▲6三歩成△6七歩▲同飛△7六角▲5二とで、ソフトの評価値-565で後手有利。

この手順は▲6四歩に△7九飛成とする手で、これでよければ分かりやすいです。

先手は▲6三歩成に△6七歩と打つのが手筋で、▲同飛とさせて△7六角と打つ手が手の流れです。

ただし先手も▲5二とでと金を活用してきます。

対局中は△7九飛成からのこの変化を頭の中で考えていたのですが、早指しではほとんど考えるというより直感に等しいので後手がまずいと思いました。

よってこの変化を避けたのですが、この局面が後手有利だったのは気がつきませんでした。

▲5二と以下△6七角成▲4二と△同金上▲6七銀△6六歩▲5六銀△6九飛で、ソフトの評価値-455で後手有利。

この手順の▲5二とに△同金もありそうですが、▲6一飛成△5一金▲7一龍でソフトの評価値+465で先手有利。

この手順は先手も飛車が成れるのが大きく、△5一金として龍をはじく受けですが▲7一龍とした形が、後手の7九の龍と7六の角の位置関係があまりよくなく後手が少し動きづらいです。

よって▲5二とには△6七角成とするのですが、▲4二とで銀を取って王手をする手が先手になります。

以下駒の清算をすると角銀と飛車の交換で2枚替えで後手が駒損ですが、△6六歩から△6九飛と打った局面が後手有利なのが盲点です。

次に△2九飛成があるので先手は▲3九銀とか▲5九銀とかで受けるしかありませんが、後手は△8九龍から△9九龍と駒損を回復して後手が指せるようです。

後手玉は2枚の金の守り駒なのでやや薄いですが、先手の駒も角と銀ではやや後手玉に迫りにくい形なのでまだ耐久性があるようです。

一時的に2枚替えの駒損でも指せるのが参考になった1局でした。

少し重たく歩を打っても指せている

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△2二歩と受けた局面。ソフトの評価値+387で先手有利。

▲2四飛と歩を取った手に△2二歩と受けた形ですが、ここで先手がどのように手を作るかという場面です。

対局中は、5五の地点は後手は2枚利いているので▲5六歩と打って次に▲5五銀とぶつける手を考えました。

先手は穴熊なので大駒が捌く形になればまずまずかと思っていました。

実戦は▲5六歩△4六歩▲同角△5八歩▲5五銀△同銀▲同角△同角▲同歩で、ソフトの評価値+526で先手有利。

この手順は▲5六歩から▲5五銀とぶつけて角と銀がお互いに捌ける形で、最後の▲5五歩と角を取った形は後手から△5九歩成や△4七飛成が少し甘いので先手が少し指せているようです。

後手は△4六歩の突き捨てや△5八歩の垂れ歩などの小技を使って捌きを狙っていましたが、先手の穴熊の方が遠いのも形勢に影響しているようです。

ただし、最初の▲5六歩に△4六歩でなく△9五歩▲同歩△8五桂を利かしておくと、将来△9七歩からの端攻めがあるのであやがあったようです。

穴熊で端攻めをされるのは実戦的にはいやな形です。

なお最初の▲5六歩はソフトの候補手には上がっていましたが,推奨手は▲2三歩でした。

▲5六歩では▲2三歩で、ソフトの評価値+511で先手有利。

この手の▲2三歩はこの瞬間が少し重たいので指しにくい手です。

ここで後手が指したい手がいくつかあります。

▲2三歩に△同歩なら▲同飛成△2二歩▲2六龍△9五歩▲同歩△8五桂▲8六歩△9七歩▲同桂△同桂成▲同香で、ソフトの評価値+589で先手有利。

この手順は△2三同歩から△2二歩と先手に龍を作らせますが辛抱する手で、先手は龍を引くことになります。

後手は9筋からの端攻めで△8五桂に▲8六歩が形にとらわれない手で、8七に空間をあけても問題ないという感覚は参考になります。

▲2三歩に△3六歩なら▲2六角△同角▲同飛△6五歩▲7七銀引△4四角▲3三歩成△2六角▲4二とで、ソフトの評価値+389で先手有利。

この手順は△3六歩から角交換になる展開で、△6五歩▲7七銀引をいれてから△4四角と辛抱します。

△4四角は▲2二歩成が入る前に動く意味ですが、▲3三歩成が強い手で△同角でも△同桂でも▲3六飛で先手の飛車が軽く活用できます。

以下△2六角▲4二とで飛車の取り合いになりますが、と金の活用も見込めるので先手が少し指せているようです。

▲2三歩に△9五歩なら▲同歩△8五桂▲2二歩成△同飛▲同飛成△同角▲5五歩△3六歩▲2六角△2三飛▲3五角△2九飛成▲5四歩で、ソフトの評価値+963で先手優勢。

この手順は後手は9筋の歩を突き捨ててから△8五桂とする手で、ここで先手は▲2二歩成と踏み込みます。

数手間に▲2三歩と打ったので▲2二歩成は継続手で、後手は△同飛から飛車交換になるので先手も怖いところですが、そこで▲5五歩と銀取りに歩を打ちます。

▲5五歩は後手の角の利きを止める意味もありますが、△3六歩の角取りに▲2六角と逃げて△2三飛の自陣飛車に▲3五角が少し浮かびづらいです。

以下△2九飛成と桂馬を取られますが▲5四歩と銀を取った形は先手が指せているようで、この手順はやや後手が無理気味のようです。

少し重たく歩を打っても指せているのが参考になった1局でした。

相手の無理筋に対応する

上図は、角換わりからの進展で▲8七歩と打った局面。ソフトの評価値+87で互角。

将棋を指していると、相手からの気になる手があってあまり指されないのですが、いまひとつ対応が分かっていないという場面があります。

あまり指されないというのはやや無理筋ということですが、その対応をうまくしないと無理筋が通るということがあります。

本局でもそのような気になる場面がありました。

実戦は▲8七歩に△7五銀と引いてこれが普通ですが、たまに△8七同銀成とする手があります。

△8七同銀成▲同銀△8六歩▲7六銀△8七角で、ソフトの評価値+1303で先手優勢。

この手順は△8七同銀成と銀を捨ててから△8六歩~△8七角と打つ手です。

後手は銀損なので普通はない手ですが、先手も気をつけて対応しないと後手に手を作られてしまいます。

自分の場合だとこれといった受け方を用意しておらず、指されたらその場で考えるということでした。

一番まずいのは後手に飛車を成られる展開で、先手が駒得でも結構大変です。

△8七角以下▲同金△同歩成▲7五銀で、ソフトの評価値+1296で先手優勢。

この手順は▲8七金と金で角を取る手で、△同歩成に▲7五銀が少し見えづらいです。

▲7五銀は銀を進出することで8筋に歩を打って、後手の飛車成りを受ける手です。

▲7五銀以下△7八と▲8四歩△7四歩▲同銀△8四飛▲8五銀打△8二飛▲8四歩△7三金▲6六角で、ソフトの評価値+1678で先手優勢。

この手順は後手は飛車が捌けるように8筋に狙いを定めますが、先手は銀を打ったり角を打ったりすれば受かっているようです。

先手はとりあえず後手の飛車成りだけを受ければ、駒得が活きて指しやすいという感覚です。

変化手順は▲8七同金としましたが、それ以外にも色々な受け方がありました。

▲8七同金で▲7七金として、△7六角成▲同金△8七歩成▲7四角△7七と▲8三銀△6二飛▲7七金△8二歩▲2四歩△2二歩▲9二銀不成で、ソフトの評価値+2183で先手勝勢。

この手順は▲7七金と上がり△7六角成に▲同金とする形で、後手は△8七歩成としますが▲7四角と打って8三から駒を打って飛車成りを受ける形です。

角に利きで後手の飛車成りを受けるのがうまいです。

また別の受け方で▲8七同金で▲5五角として、△7三歩▲7七金△7六角成▲同金△8七歩成▲6六角△8六と▲7五金△7六と▲8三歩△同飛▲8四歩△7五と▲3三角成△同桂▲8三歩成で、ソフトの評価値+2379で先手勝勢。

この手順も角を使って飛車をけん制する手で、△8六と~△7六とで一瞬先手も飛車成りが受けづらくても、▲8三歩~▲8四歩があれば大丈夫です。

これらの指し手は平凡ですが、相手が無理筋に動いてきたときに短い時間で対応できるかが大事で、変化手順を覚えておけばいいみたいです。

相手の無理筋に対応するのが参考になった1局でした。

手待ちでも狙いをもって指す

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△6四歩と打った局面。ソフトの評価値+169で互角。

数手前に6筋の歩を交換したのに歩を打つのは少し意外でしたが、お互い千日手模様になって後手も動かす手が難しいので歩を打って辛抱してきました。

実戦は、△6四歩以下▲4八飛△6五歩で、ソフトの評価値+157で互角。

この手順はやや不思議なのですが、▲4八歩に△6五歩と動いてきた展開です。

▲4八飛と回っても次に▲4六歩は突きにくく△同歩▲同銀△6五歩で、かえって6筋が手薄になって少し危険です。

対局中は先手から動くつもりはなく手待ちの意味で▲4八飛としましたが、それを見て△6五歩がこの戦型ではいつも気になる筋です。

具体的には、△6五歩に▲同歩なら△同桂▲6六銀△同角▲同金△5七銀のような狙いです。

ただし、この手に対しては先手はうまく対応できれば有利になることが多いようで、△5七銀以下▲6五金△同銀▲5七角で、ソフトの評価値+1577で先手優勢。

この手順は、角と金の交換でいい勝負でも後手の飛車があまり働いていないので、先手が指せているようです。

また△6五歩には▲2八飛とする手もあったようで、△6六歩▲同銀△6五歩▲5七銀で、ソフトの評価値+207で互角。

この手順は、後手に6筋の位は取られますが、先手はいいタイミングで▲2四歩△同歩▲7七角△同角成▲同桂として次に▲2四飛と捌く狙いがあります。

よって△6五歩に▲同歩なら△同銀として以下▲6六歩△5四銀と進めば、また千日手模様になっていた可能性が高いです。

最初の局面で▲4八飛は手待ちの意味が強かったのですが、次に何かの狙いがある手待ちのような手がありました。

▲4八飛では▲2七飛がありました。

▲2七飛△8三銀▲5五歩で、ソフトの評価値+476で先手有利。

この手順の▲2七飛はたまに対抗形で出る手ですが、後手が四間飛車の△5四銀型の振り飛車の形で出やすいです。

▲2七飛は最初見た時は狙いが分かりづらく、後手は手待ちと思って△8三銀とするとそこで▲5五歩が狙いの1手です。

▲5五歩に△同銀なら▲4五桂△同飛▲5六歩△4四銀▲4六歩として、桂馬を捨ててから後手の飛車を取るのが狙いです。

この手順はうまくいきすぎなので▲5六歩には△6六銀と暴れてきますが。▲6六同銀で、ソフトの評価値+345で先手有利。

この手順は銀と桂馬の交換で先手が少し駒得なので、先手が少し指せそうです。

▲2七飛は最初の▲5五歩に△同角としても、3七の桂馬に飛車のひもがついているので△3七角成には▲同飛があります。

また▲5六歩と打った時に後手は△4七飛成としたいのですが、これも▲2七飛とした効果で▲4七同飛とすることができます。

そのような意味で、▲2七飛はなかなかの手待ちだったようです。

このような狙いが▲2七飛にあるので、後手は▲2七飛に対してどのように形で待つかが少し難しそうみたいです。

手待ちでも狙いをもって指すのが参考になった1局でした。

横歩取り△8四飛型で攻めの形を作る

上図は、先後逆で横歩取り△8四飛型からの進展で▲7七銀と上がった局面。ソフトの評価値+20で互角。

少し前に流行った横歩取りの△8四飛△5二玉型で。よく出てきそうな局面です。

後手玉は最低限の囲いは完成しているのでここから動きたいですが、相手もしっかりした構えなのでどのように手を作っていくかという局面です。

実戦は△5四角▲3七銀△7五歩と進みましたが▲6六角で、ソフトの評価値+52で互角。

この手順の△5四角は7筋と8筋を攻めるために打った手ですが、ややスピード感にかけるような感じでした。

自分の指し手は、どうもこのあたりがいまひとつのような感じです。

先手は▲3七銀と出て上部を厚くした手に狙いの△7五歩で、▲同歩と取ってくれるなら△8七角成がありますが。▲6六角と打たれたら結構攻めるのは大変だったようです。

この▲6六角はやや受け一方の手に見えますが、後手も△5四角と打っているのでどちらの角が働くかという局面です。

先手の7七の銀と3七の銀が後手の両方の桂馬の跳ぶ位置にいるので、▲6六角以下△4五桂▲4六銀△6五桂とする狙いはありますが▲8六銀で、ソフトの評価値+224で互角。

この攻めは2枚の桂馬を中央に使って気持ちがいい攻めの1つですが、先手も5七の地点は角と銀が利いているので簡単ではありません。

やはり後手の攻めは桂馬だけでなく、飛車と角も働かないと攻めが切れてしまいます。

後手番の横歩取りは好きな戦法で先手が横歩を取るとよく指すのですが、自分の場合はどのように攻めの形を作っていくかというのを覚えないと、いつも攻めの手が伸びていない感じがします。

△5四角では△2三銀がありました。

△2三銀▲3七桂△7五歩▲同歩△6五桂▲6六銀△7六角で、ソフトの評価値-10で互角。

この手順は△2三銀と1手ためる手で、直接的に手を作るという手ではないので効果はいまひとつ分かりにくいのですが、2筋と3筋の上部を手厚くする手です。

先手は▲3七桂と跳ねて▲2五桂を狙いますが、ここで△7五歩▲同歩とさせてから△6五桂が形のようです。

桂馬が跳ねると後で△7七歩と打てる形にするために、先に7筋の歩を突き捨てます。

▲6六銀と逃げるのは自然ですが、そこで△7六角が打ちづらいです。

先手の弱くなった8筋を飛車と角の2枚で攻める筋はたまにあるのですが、狭い角なので少し勇気がいります。

しかし▲7七歩は2歩で打てないため、簡単には角は追われる形ではなさそうで、これも7筋の歩を突き捨てた効果です。

次の後手の狙いは△8七角成ですので、先手は何か受ける必要があります。

△7六角に▲8六角なら、△8八歩▲同金△8六飛▲同歩△4九角▲同玉△6七角成▲3九玉△6六馬で、ソフトの評価値+35で互角。

この手順は▲8六角に△8八歩から飛車を切って角を打ち込んで攻めていく展開で、これもすごい攻めですが形勢は互角のようです。

△7六角に▲6九角なら△3四飛▲6八玉△3六飛で、ソフトの評価値+106で互角。

この手順は▲6九角と打てばそれ以上8筋の攻めは難しいのですが、先手の角の働きも決してよくないので、△3四飛から△3六飛とする展開でいい勝負のようです。

また最初の局面では、少し軽い手ですが△1六歩▲同歩△1七歩として▲同香なら△1九角▲1八飛△6四角成とする手もあったようです。

横歩取り△8四飛型で攻めの形を作るのが参考になった1局でした。

先手の手で全く展開が違ってくる

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△4五歩と突いた局面。ソフトの評価値+202で互角。

先手が穴熊にしたら後手から角交換をしましょうという手で、振り飛車から動いてきた展開です。

対局中は、穴熊がまだ完成していないので戦いをおさめた方がいいと思って▲6六歩と突いたのですが、この手はあまりよくなかったようです。

▲6六歩と突くと角交換にはなりませんが、実戦は後手から△4四銀~△5四歩~△5五歩と早い動きを軽視していて、先手が守勢になりました。

守勢とはいえ互角のようですが、先手は穴熊が完成していないので強い戦いにはしづらく、作戦的に面白くなかったようです。

後手が早い動きをしなければ先手もゆっくり穴熊に組めますが、さすがに後手はそれを許さない感じです。

△4五歩には2通りの指し方がありました。

1つは▲6六歩で▲6六銀で、ソフトの評価値+162で互角。

この▲6六銀も▲6六歩と同様に角交換を避ける手ですが、▲6六銀と進出することで5五の地点を受けている意味があります。

具体的には△4四銀とすれば▲3六歩と突いて4四の銀が動きづらくなります。

先手の▲6六銀が歩越し銀なので、後手は△5四銀から△6四歩としてどこかで△6五歩とぶつけるような展開がありそうです。

それだと先手も穴熊が完成しそうで、実戦とは全く別の将棋になります。

もう1つは▲6六歩で▲3三角成がありました。

▲3三角成△同桂▲8八銀で、ソフトの評価値+144で互角。

この手順は角交換をして▲8八銀とする形で、これが穴熊の完成を目指すなら一番分かりやすい手順だったようです。

次に▲6八金寄とすれば離れ駒がなくなります。

また、角交換をすれば実戦の展開より角が捌けているので、その分の負担はなくなります。

ここから後手が動いてくる場合が少し気になります。

▲8八銀以下△4四銀▲3六歩△6四角▲1八飛△5四歩▲6六歩で、ソフトの評価値+340で先手有利。

この手順は角交換をして△4四銀と進出する手で、次に△3五銀~△4六歩の捌きを狙った手です。

先手は▲3六歩して△3五銀の進出を防ぎますが、そこで△6四角と飛車のコビンを狙ってきます。

その手に対して▲1八飛が冷静な手のようで、一時的にあまりいい位置ではありませんが、後手は角を盤上に使っているのに対して先手は持ち角なので対抗できそうです。

後手は△5四歩と突きますが、▲6六歩としていつでも▲6五歩と角を攻める筋を見せれば先手もまずまずのようです。

最初の局面の△4五歩に先手が少し手を変えると全く違う展開になるのが将棋の面白いところで、自分はまだまだ知らないことが多いようです。

先手の手で全く展開が違ってくるのが参考になった1局でした。

桂馬を打って寄せ形を作る

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△8七歩と打った局面。ソフトの評価値+1440で先手有利。

駒割りは先手の桂得で、自玉は4枚の穴熊なので先手が少し指せているようです。

後手が△8七歩と打った手は、先手としては少し形が崩れるので嫌な手です。

対局中は△8七歩に▲同銀とすれば△7五桂▲7七金寄△8七桂成▲同金寄で、いつでも△6六角のような王手がうるさいと思っていました。ソフトの評価値+1331で先手優勢。

この手順だと駒割りは銀と桂桂になり、先手は桂馬が活用できるかという展開になります。

実戦は△8七歩に▲7七銀として以下△2七角▲3九飛△4六歩▲8五桂で、ソフトの評価値+1369で先手優勢。

この手順は△8七歩に▲7七銀と逃げる手で、両取りの△7五桂を打たれる心配はありませんが、後手にたくさん駒が入れば8八から打ち込んで清算してから△8七歩のような筋が残ります。

ただし△8七歩の形は将来▲8五桂と王手して、後手玉が逃げても△8四歩は2歩になるので、桂馬がなかなか死なない形です。

このように△8七歩も一長一短で、▲8七同銀でも▲7七銀でも先手が指せていたようです。

なおソフトの推奨手は△8七歩に▲8五桂でした。

▲8五桂△7二玉▲8七銀で、ソフトの評価値+1330で先手優勢。

この手順は▲8五桂と王手をしてから▲8七銀と手を戻します。

▲8五桂を入れることで局面の印象が少し違ってきますが、△8四歩と△7五桂が気になります。

▲8七銀以下△8四歩▲3六飛△3四角▲7三歩△8二玉▲7二角△8五歩▲3四飛△同金▲6一角打で、ソフトの評価値+2537で先手勝勢。

この手順は△8四歩と桂馬を取りにいって先手の攻めを催促させるのですが、▲3六飛が後手が歩切れなので厳しいです。

以下△3四角と受けますが▲7三歩から▲7二角とかぶせて少し重たい攻めのようでも、後手の守り駒が少なく▲3四飛と角の質駒があるので先手が寄せきれそうです。

この手順の△3四角では△4二金が自然ですが、▲3三飛成△同金▲7三金でソフトの評価値+50000で先手勝勢。

これらの手順は後手は歩切れだと受けになっていません。

よって▲8七銀に△7五桂とします。

△7五桂▲7七金寄△8七桂成▲同金上で、ソフトの評価値+1696で先手優勢。

この手順は△7五桂には▲7七金寄△8七桂成に▲同金上が形のようです。

この瞬間に7九の銀が浮く形ですが、7九の銀が取られる形になっても後手の持ち駒に金がないと詰む形でないので、意外としっかりしているようです。

先手からは次に▲6四桂が厳しいです。

▲8七同金上以下△6四銀▲6八飛△6五歩▲7六桂△7五銀▲7三角で、ソフトの評価値+2452で先手勝勢。

この手順は△6四銀は敵の打ちたいところに打ての手ですが、▲6八飛が意外と厳しく△6五歩と打ちますが、▲7六桂から▲7三角と攻め駒を足していくと、次の▲6四桂が受けづらく先手勝勢のようです。

このあたりも先手が簡単に寄せの形を作っているようですが、これを実戦で同じようにできるかというと、これが意外と難しいというのが実戦と検討の違いです。

桂馬を打って寄せ形を作るのが参考になった1局でした。