盤面全体で駒を使う

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形の終盤戦で、先手が▲9六香の王手に△9四歩と中合いした局面。ソフトの評価値+242で互角。

先手の香と銀の交換で少し駒損ですが、▲2一龍が結構働いているのと、後手玉が少し不安定なので、まずまずです。

ただし、後手の△4五角と△4九角が▲6七金を狙っているので、怖いところがあります。

本譜は以下、▲9三歩△8三玉▲4八飛△6七角成▲同玉△5五桂▲7八玉△5六角▲8八玉△8五歩で、ソフトの評価値-584で後手有利。

本譜の手順は、後手玉が比較的安全になって、先手の▲6七金がなくなって、玉が薄くなったのが大きいです。

こういう流れになっては、もう勝つのは大変です。

▲9三歩では、▲3七桂が良かったようです。ソフトの評価値+203で互角。

角取りなので角を動かしますが、△2七角上成なら、▲同飛△同角成▲9三歩△8三玉▲9二角△8二玉▲2三龍で、ソフトの評価値+195で互角。

△3六角なら、▲4八飛△2七角引成▲9四香△8三玉▲2三龍で、ソフトの評価値+100で互角。

△6七角成なら、▲同玉△5五桂▲5七玉で、ソフトの評価値+754で先手優勢。この展開は、まだ△4五角取りになっているので、後手忙しいです。

元々が、互角の形勢なので、簡単に片方が有利になることは少ないようですが、▲3七桂で後手の△4五角にアタックするのは、自然な手です。

こういう手は、考えるというより、対局中に見えるかどうかで決まるような感じの1手ですが、広く盤面を見て、短い時間でもいいところに着手できるようになるのが大事と分かった1局でした。