敵の打ちたいところに打て

上図は、角換り腰掛銀からの終盤戦で、先手が▲2三歩成と歩を取った手に対して△同玉と応じた局面。ソフトの評価値+1249で先手優勢。

先手の金銀と桂の駒得ですが、後手の△4五角が▲7八金を睨んでおり、△4六飛とか△8六歩などの手が回ると、先手もいやな形です。

ここからどのように勝勢から勝ちに持っていくかが結構難しく、終盤戦では時間がないため秒読みか、切れ負け将棋なので、じっくりと考える習慣がありません。

秒読みは基本30秒とはいえ、できるだけ正確に指すと意識しますが、切れ負け将棋は、自分と相手の持ち時間も結構重要で、時間によっては指し方も微妙に違うので、最善手を意識する将棋とは少し意味合いが違ってきます。

秒読みも切れ負け将棋も終盤は、ほとんどが直感になります。

本譜は以下、▲2六銀△2四歩▲2五銀△同歩▲4六桂で、ソフトの評価値+897と進みましたが、▲2五銀に△同角の方が難しかったようです。ソフトの評価値+793で先手有利。

▲2六銀では▲2四歩の方が良かったようです。

▲2四歩△同玉▲7五角で、ソフトの評価値+1143で先手優勢。

▲2四歩は見えていて、歩切れになるのでやめたのですが、後の▲7五角が見えていませんでした。

歩切れを解消して▲4二角成の先手なので、後手は受けるしかありません。

以下、△5三歩▲2六歩で、ソフトの評価値+1569で先手優勢。

1歩を犠牲にして△2四玉の形にしておけば、△2四歩で受ける形にはなりません。

敵に打ちたいところに打ての格言の通りです。

以下、△2八歩▲同飛△3九飛▲6九歩△1九飛成▲2五歩△同角▲同飛△同玉▲2六銀△同玉▲3七角で、王手龍取りをかけてソフトの評価値+2499で先手勝勢。

この勝ち方も、後手に入玉されそうな追い方ではありますが、以下△1七玉▲1九角に△2八歩なら▲2九桂で、△同歩成なら▲2六銀から詰み。

終盤はどのような将棋でも、1手は切れ味鋭い手を指さないといけないようです。

敵の打ちたいところに打てが、参考になった1局でした。