上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で7二の金が△8三金と上がった局面。ソフトの評価値+337で先手有利。
先手は2歩損していますが、7五の金が攻防に抑えの駒として働いているのと、後手の角がいまひとつ働いていないのが大きいようで、先手が少し指せている感じです。
ここで貴重な先手の手番ですが、どう指すかという局面です。
実戦は△8三金以下▲7八金△9五歩で、ソフトの評価値+166で互角。

この手順は、浮いている6九の金を▲7八金として上部を手厚くしたのですが、△9五歩と突くと後手も9筋であやを求めることができるので互角になったようです。
▲7八金としても駒が浮いていることに変わりはなく、△9五歩との手の交換はやや先手が損をした感じです。
後手は持ち駒に歩の数が多いので、▲9五同歩としても△9七歩とか△4五飛から角道を通した後手の攻めがうるさいです。
そのような展開になると、7五の金が少し中途半端な働きの駒になるのでよくないようです。
守りを固めるならまだ▲7九金の方がよかったようですが、ここでは全く別の手がありました。
▲7八金では▲6四歩がありました。
▲6四歩△6二金▲5五歩△同銀▲6五金で、ソフトの評価値+349で先手有利。

この手順は▲6四歩△6二金までは自然ですが、そこで▲5五歩△同銀とさせてから▲6五金の活用が面白いです。
先手は7五の金を中央で手厚くさせる指し方で、後手の銀を△5五銀とさせることで、後手の角道を4四の飛と5五の銀で2重に止めています。
またこの展開は後手の9筋のあやがないので、先手は攻めに集中できそうです。
▲6五金に△5四歩なら、▲2六飛△9五歩▲5五金△同歩▲6六飛△7二金打▲6三銀△9六歩▲7二金△同銀▲6三銀で、ソフトの評価値+351で先手有利。
この手順は△5四歩には▲2六飛として、遊んでいる飛車を横に活用する狙いです。
さすがに飛車の活用がないと攻めが細いので、このような手は大事なようです。
後手は△9五歩と待望の端攻めですが、▲同歩とせず▲5五金から▲6六飛を急いで攻め合いに出るのが興味深いです。
後手は△7二金打で補強したときに▲6三銀がやや打ちにくいですが、攻めるならこの筋になりそうです。
後手は無視して△9六歩と取り込んで先手も結構いやな形ですが、後手は9七の地点に歩と香車と桂馬の3枚が利いているのに対して、先手は香車と桂馬と銀と角の4枚が利いているのでまだ耐えられる状態のようです。
後手に駒が入ったら数の攻めで9七に打ち込むことは可能ですが、これでまだ先手玉が詰むわけではないので、まだ耐久力はありそうです。
ただし形勢は先手有利とはいえほとんど互角に近いので、まだこれからの将棋のようです。
中央を手厚くして飛車を活用するのが参考になった1局でした。