角を先着して盤上を手厚く

上図は、相早繰銀からの進展で△8六同銀とした局面。ソフトの評価値+154で互角。

何気ない局面ですが、先手が端歩に2手費やしたのに対して後手が1手だけ費やしているので後手が1手早く仕掛けた展開です。

後手が△8六同銀として銀交換になりそうな形ですが、先手がどのように受けるかという局面です。

実戦は▲8六同銀△同飛▲8七歩△8二飛で、ソフトの評価値+88で互角。

この展開は攻めの銀と守りの銀の交換で、今までの感覚だと守りの銀を交換している先手の方が少し損というイメージですが、評価値による形勢判断は互角のようです。

将棋の格言と実際の形勢判断は必ずしも一致するとは限らないということを知っていれば、このような展開になっても悲観することはないようです。

ただし、昔の先入観というのがあり、それから新しい感覚を身につけるというのは昔の感覚が邪魔をしてそれなりに時間がかかります。

なお▲8六同銀では▲5五角もありました。

△8六同銀以下▲5五角△7三歩▲8六銀△同飛▲8七歩で、ソフトの評価値+170で互角。

この手順は銀交換をする前に▲5五角と打つ手です。

部分的には飛車取りですが▲5五角と先着することで、後手から△4四角とか△6四角のような筋を先に受けているという意味もあります。

特にこの戦型は、先手の飛車が2六にいると△4四角のような筋があります。

盤上に角を打つことで盤面を少し制圧します。

▲5五角△7三歩と進んでから銀交換をして▲8七歩と打ちます。

▲8七歩以下△7六飛▲7七桂△2五歩▲6五銀で、ソフトの評価値+533で先手有利。

この手順はやや後手の失敗ですが、▲8七歩に△7六飛と横歩を取れば▲7七桂と受けます。

先手は歩切れで▲7七桂としてもあまり意味がないようですが、△2五歩と取れば▲6五銀で飛車が取れる形です。

▲6五銀はややうっかりしやすい手ですが、以下△7五飛に▲6六角で飛車が取れます。

このような展開になると▲5五角や▲7七桂や▲6五銀はいい働きをしています。

やはり後手の飛車が狭いと狙われやすいです。

真ん中の局面図の▲8七歩以下△8二飛▲2四歩△2二歩▲7四歩△6四銀▲同角△同歩▲7三歩成△同桂▲7四歩△7二歩▲7三歩成△同歩で、ソフトの評価値+185で互角。

この手順は△8二飛と引いた場合には、2筋の歩を取り込んでから▲7四歩と後手の飛車のコビンを攻めます。

角のラインを使って飛車のコビンや玉のコビンを攻めることはよくあります。

▲7四歩に△6四銀と先手を取って受けてきたら▲同角から▲7三歩成が強い手です。

角と銀の交換から後手の桂頭を狙う筋です。

△7三桂の形に▲7四歩と打って後手の桂馬が逃げると▲7三歩成とと金ができるのですが、△7二歩と受けるのがたまに出る受け方です。

以下▲7三歩成△同歩で駒割りは角と銀桂の交換で2枚替えですが、先手は歩切れなのでいい勝負のようです。

2枚替えで少し駒得でも歩切れなので実戦はまだ難しいということはよくあり、本局の変化手順もそのような感じです。

角を先着して盤上を手厚くするのが参考になった1局でした。