安い駒で金駒を取りにいって自陣に埋める


上図は、後手角交換振り飛車からの進展で△6四同歩と龍を取った局面。ソフトの評価値-688で後手有利。

6四の地点で龍と角を交換した形で、ここでどう指すかという局面です。

駒割りは飛銀香と角の交換で先手がだいぶ駒損しています。

先手は3九の歩の底歩で後手の1九の龍の利きをを止めているのですが、後手の持ち駒が豊富で、飛車を5筋とか6筋などの底歩の内側に打たれると先手は底歩の効果がないのでそれだけでだいぶ危険になってきます。

そのような意味で先手にとって忙しい局面です。

対局中はだいぶ差がついていると思っていたのですが、この局面が先手が苦しいとはいえそこまで差が開いていないのは全く気がつきませんでした。

実戦は▲4四角△6一金で、ソフトの評価値-1023で後手優勢。

この手順の▲4四角は角を打つならこの筋になるのですが、△6一金と引かれたときに次に攻める手がありません。

▲5二と△同金▲5三桂成はありますが、△同金▲同角成△6一金で金と桂馬の交換で一段落してしまいます。

先手はと金を捨てる形なので継続して攻める手がありません。

急いで攻めるとこのような筋になるのですが、それ以後の攻め手がなくなると将棋が単調になってしまいます。

実戦は△6一金に▲1一角成と粘りにいったのですが、ソフトの評価値-1547で後手優勢。

この手は先手は香車を取って少し駒損を回復しましたが、一時的に馬が働かない形でここで後手の手番になるので先手が苦しいようです。

▲4四角では▲5四歩がありました。ソフトの評価値-612で後手有利。

この▲5四歩は少し遅いようでも次に▲5三歩成の確実な攻めがあります。

また▲5四歩と突くことで将来▲4四角や▲1一角成と香車を補充する手もありそうです。

▲5四歩はと金の遅早みたいな手でと金攻めは地味ですが意外と効果が高く、安い駒で攻めるので相手は受けづらいです。

▲5四歩以下△5八飛▲5三歩成△6一金▲5二と寄△6九銀▲6一と△同銀▲7九金打△7八銀成▲同金△6九銀▲7九銀打△8六香▲5九歩△8七香成▲同玉で、ソフトの評価値-1036で後手優勢。

この手順は少し長いですが、先手は5筋にと金を作って2枚のと金で後手の美濃囲いを攻める展開です。

一方後手は2段目に飛車を打ってから△6九銀と銀を引っかけて、7八の金を攻める展開です。

以下先手は美濃囲いの金を取ってから▲7九金と打ち、後手は清算して再度の△6九銀には▲7九銀と埋める形です。

部分的には対抗形によくありそうな展開ですが、△8六香と銀冠の頭に香車を打つような難しい手がでてきます。

後手優勢とは言いながらも先手は8五に位を取っているので、将来▲8六玉と逃げることができる可能性もあり、まだ先手玉を寄せきるまではそれなりに大変です。

そのような意味で、歩のような安い駒で相手の金駒が取れる形であれば取りにいって、取った金駒を自陣に埋めて粘るというのが実戦的だったようです。

安い駒で金駒を取りにいって自陣に埋めるのが参考になった1局でした。