ちょっとした形の違いで指し手が違う


上図は、先後逆で横歩取り青野流からの進展で▲7七桂と跳ねた局面。ソフトの評価値+25で互角。

横歩取りは振り飛車と同様に序盤で少し評価値が低くなりやすいのですが、ここまでは後手としてはうまく進めている感じです。

通常横歩取りは後手が1歩損になることが多いのですが、本局は後手も7六の歩をとる形になったので駒の損得はありません。

後手としては△8二歩と打たされる形はあまりよくないのですが、以前に比べて違和感がない形で自陣の隙を消しています。

また△2六歩と打った形なので、どこかで△2七歩成を入れて先手陣の形を崩したいです。

ここで後手の手番ですが、ここからの指し手はまずかったです。

実戦は▲7七桂以下△7二金▲2三歩△同銀▲2四歩△1二銀▲3四飛△4二玉で、ソフトの評価値+201で互角。

この手順の△7二金は7筋と8筋を手厚くしたのですが、駒が右側に偏りすぎたようです。

先手は▲2三歩~▲2四歩と1歩捨てて▲3四飛に△4二玉と進んだのですが、後手陣の金駒の配置が悪いです。

7二の金と1二の銀が冴えない形で、5三の地点が薄いのでどこかで△6二銀と上がる形になりますが、右側は壁になっているのでまとめづらいです。

それに対して先手は低い構えで駒の配置がいいので、このあたりの駒組みの差が形勢になってでているようです。

先手は強い戦いができるのに対して、後手は強い戦いはできないということです。

本局とはあまり関係ありませんが、現代の横歩取りなら△6二銀△7二金型より△7二銀型の方が1手少なく自陣がまとまりますのでそれを含みにしてもよかったです。

なお最初の局面図では△7二金で△3六飛がありました。ソフトの評価値-144で互角。

この手順の△3六飛は歩を補充する手ですが、見た目以上に厳しい手だったようで驚きました。

△3六飛に▲3四歩なら△4五桂▲2三歩△7五角で、ソフトの評価値-603で後手有利。

この手順は△3六飛と歩を取ると3筋の歩が切れるので、▲3四歩と桂頭を攻める手が気になります。

部分的には2筋と3筋の歩の攻めで左側はまずいようですが、△4五桂と跳ねたこうかで△7五角が厳しいです。

この場合は先手の飛車の位置が悪いので先手の指し方は成立しません。

△3六飛に▲6八銀なら△7二金▲2三歩△同銀▲2四歩△1四銀▲3四歩△2五桂▲1一角成△3七歩で、ソフトの評価値-402で後手有利。

この手順は▲6八銀は5七の地点を補強して自然な手ですが、次の△7二金も驚きました。

△3六飛とせずに△7二金はよくなかったのですが、△3六飛とした後だと△7二金が推奨手になるのが難しいです。

後手の飛車が3筋にいるので、先手は3筋に飛車が回ることができません。

ちょっとした形の違いで推奨手が変わるというのが将棋の難しいところです。

後手の飛車が3筋に移動していると、△4五桂と跳ねた形が5七の地点を睨むのと同時に△3七歩の攻めが生じます。

後手の1四の銀の形が悪くても、飛車と桂馬の攻めで手が繋がればそれでよしという形勢判断のようです。

真ん中の局面図と最後の局面図の違いは3筋に先手と後手のどちらの飛車がいるかということで、3筋に飛車がいると攻め味が出てくるので先に回った方がよいということのようです。

ちょっとした形の違いで指し手が違うのが参考になった1局でした。