あまり見ない受け方で受ける

上図は、後手ゴキゲン中飛車に先手▲3七銀型の超速からの進展で△6四桂を打った局面。ソフトの評価値-306で後手有利。

駒の損得はないのですが、後手は6筋の位を取った形で△6四桂と打ったのが味がいいです。

位を安定させてかつ攻め駒の桂馬を打つことで、攻めの幅が広がってきます。

こういう手が指せると気分がいいのですが、逆に先手の立場としては次の手が難しいです。

△6四桂に▲3五歩なら△8五桂▲8六銀△8八角成▲同玉△7六桂で、ソフトの評価値-911で後手優勢。

この手順はうまくいきすぎですが、▲3五歩には△8五桂が気持ちがよく▲8六銀と逃げると△8八角成~△7六桂の王手金取りです。

中盤の駒の動きが少ない戦いで、桂馬で守りの金を取られるのはだいたい形勢が悪くなります。

対局中は、これを防ぐ手もぱっと見で浮かびませんでした。

実戦は△6四桂以下▲5八金引△8五桂▲8六歩△7七桂成で、ソフトの評価値-488で後手有利。

この手順の▲5八金引は△5六歩の叩きの歩を事前に受けた手ですが、それでも後手は△8五桂と跳ねてきます。

先手は▲8六銀と逃げると△8八角成~△7六桂の筋があるので、銀を逃げることはできません。

よって▲8六歩と催促して△7七桂成と進みます。

守りの銀と桂馬を交換になるのは少しつらいですが、仕方ない展開です。

実戦は△7七桂成▲同角△6六歩で、ソフトの評価値-410で後手有利。

この手順は角交換してから△6六歩と突くのがこれも味のいい手で、普通は△7七同角成とするのですが、あえて6筋のの歩を突いて先手の玉のコビンをあける手です。

△6六歩に▲同角なら△同角▲同歩△5六角の王手飛車の筋があり、また▲6六同歩なら△7五歩と先手の角頭を狙う形です。

後手の持ち駒に銀が2枚あるので、△7五同歩なら△7六銀▲8八角△8七銀打のような筋で角が取られてしまいます。

こういう展開になると後手がたくさん指したい手があり、先手としてはつらいです。

▲5八金引では▲5六桂がありました。

▲5六桂△同桂▲同金△6四桂▲5五金で、ソフトの評価値-341で後手有利。

この手順は▲5六桂と合わせる手で、この手は全く見えませんでした。

後手は△同桂と取って▲同金に再度△6四桂と金取りに打ってきます。

△6四桂に▲5七金引とすると先手は何をやっているのかさっぱり分かりませんが、▲5五金と出るのが意表の一手です。

こういう受け方というのはあまり見たことがありません。

4六に銀がいるので▲5五金がただで取られることはありせんが、それで後手の角の利きを止めています。

▲5五金に△8五桂なら▲4四歩△7七桂成▲同角△7六桂▲5八金で、ソフトの評価値-478で後手有利。

この手順は▲5五金に△8五桂と跳ねる手でこれも気持ちがいい手ですが、先手は▲4四歩と後手の角道をさらに止めます。

後手の△7七桂成に▲同角が次に△7六桂が金取りになるので少し指しづらいのですが、そこで▲5八金と逃げる形です。

後手の7六の桂馬が簡単に取れる形ではないので先手は制約が多いのですが、後手もこの局面から決めようとなるとまだ駒不足で簡単ではありません。

このような先手の展開は受け一方でつらいイメージですが、評価値を見るとそこまで悪くはなっていないようです。

不利くらいの範囲であれば、相手が甘い手を指せばすぐに互角になるような形勢ですのでまだこれからの将棋です。

あまり見ない受け方で受けるのが参考になった1局でした。