馬を作って自陣に引く

上図は、居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で△2八飛と打った局面。ソフトの評価値+

後手が飛車交換を目指してから△2八飛と打った展開です。

先手は1一の香車は取れそうですが、後手は2九の桂馬と1九の香車が取れそうでそのように進むと先手が桂損になります。

後手は早い段階で2一の桂馬が活用できていると、この桂馬は取られにくくなります。

そのような駒の損得だけみるとやや先手の分が悪いのですが、それでもいい勝負なのが面白いところです。

実戦は△2八飛▲1一角成△2九飛成▲2一飛△2二歩で、ソフトの評価値+195で互角。

この手順は▲1一角成は馬ができて将来自陣に引く形になればだいぶ自玉が固くなります。

ただし、▲1一角成では▲2一飛と打って▲1一飛成の形で香車を取ることも考えられます。

その場合は▲2一飛に△1二香のような手も考えないといけないので、実戦的には早く駒を取る▲1一角成が自然なようです。

後手も△2九飛成として▲2一飛に△2二歩が妙着です。

対抗形で馬と龍の位置の利きに打つ△2二歩はよくある筋で、どちらかで取るとどちらかの利きが一瞬止まるので技がかかりやすくなります。

後手の理想は△2二歩に▲同馬△3七桂成▲同銀△2二龍▲同龍△4四角で、ソフトの評価値-813で後手有利。

この手順は▲2二同馬として自陣に馬を利かせる形にしたくなるのですが、△3七桂成~△2二龍が鋭く先手玉の位置が悪いので△4四角で王手龍がかかってしまいます。

なお、△2二歩では△3三歩と打って先手の馬の利きを止めるような筋もたまに出てきます。

このような手も居飛車側からするとうっかりしやすい筋です。

なお実戦は△2二歩以下▲同飛成△8四角▲8六香△4八角成▲2一飛成△6二金寄▲5七銀△3七馬に▲4六歩でしたが▲4六歩で▲6六馬なら、ソフトの評価値+326で先手有利。

この手順は自分の実力からすればまずまずの指し方で、△8四角には▲8六香と打って8筋にプレッシャーをかけます。

後手は8三の地点が弱いので△4八角成には▲2一龍として次に▲8三香成を狙います。

後手は△6二金寄として受けましたが、実戦はそこで▲4六歩と相手の馬の利きを止めたのがやや甘く▲6六馬がありました。

▲4六歩と止めるのは馬を自陣に引かせないことでは有力ですが、△9四桂~△4七馬~△6九馬のような筋もあり、8七の地点が狙われやすくなるという意味です。

▲4六歩で▲6六馬と自陣に馬を引く手ですが、ぱっと見でこの手がよさが分かっていませんでした。

持ち駒に金駒が2枚あれば▲8三香成以下即詰みですが、現状は歩しかありませんのでやや駒不足です。

居飛車対振り飛車の対抗形からの進展だと、居飛車側から取る駒がなくなるというのがよくあります。

そのため辛抱する手順というのがでてくるのですが、本局でいえば▲6六馬のような手になります。

自陣に馬を引いたのは分かりますが、その後の展開が気になります。

▲6六馬以下△6四歩▲5五歩△6五歩▲7七馬△6三銀▲6四歩△同銀▲8三香成で、ソフトの評価値+249で互角。

この手順は△6四歩として▲同歩なら△6五歩~△6四馬と6筋を手厚くする指し方です。

△6四歩に▲5五歩が盲点で△6五歩に▲7七馬と引きます。

これだけ見ると先手は何がしたいのか分かりませんが、△6三銀と引けば▲6四歩△同銀▲8三香成が鋭いです。

▲8三香成に△6三玉と逃げる手はありますが▲2四龍で、ソフトの評価値+784で先手有利。

また▲8三香成に△同玉は▲6三歩△7二銀▲6二歩成△同金で、ソフトの評価値+341で先手有利。

これらの手順を見ると相手に6筋の歩を取らせることで▲6四歩~▲6三歩の叩きが生じる結構難しい指し方で、歩の使い方がうまいです。

馬を作って自陣に引くのが参考になった1局でした。