1歩損になってもいい勝負

上図は、角換わりからの進展で△5五角と打った局面。ソフトの評価値+58で互角。

△5五角は△9九角成と△4六角の2つの狙いがあり、先手は両方を受けることはできません。

△5五角のような手は相居飛車や対抗形でも部分的に出てきそうな手ですが、実際に指されるのは少ない印象です。

△5五角は別に悪い手ではなく、確実に歩得になるので損のないような手に見えますが、持ち駒の角を使うことになるのでやや味消しのようなところはあります。

△9九角成とされるとまずいのでその筋を受けることになりますが、どのように受けるかという形です。

また、先手からすると4六の歩が取られる形は少し戦力が減るのでその後はどのように指すのかが気になります。

実戦は△5五角以下▲7七角△4六角▲4七銀△6四角で、ソフトの評価値+88で互角。

この手順は△5五角に▲7七角と合わせる手です。

角には角の受けですが△4六角と取られて以下▲4七銀とします。

大駒は接近戦に弱いので金駒と使って角を責める形になり、以下△6四角と逃げてどうかという局面です。

7七に角を打っていますが、そのため先手はやや厚みがあるように見えます。

8六の地点を角と銀で守っているため安心感があるのと、7七に角を据えているので後手陣を睨んでいるという意味もあります。

後手の6四の角が狭く、先手は4七の銀を以下▲5六銀~▲6五銀のような含みで後手の角を責める狙いです。

これだと先手は歩損ですが、後手陣に対抗できる形のようです。

そのような意味で▲7七角の選択はソフトの候補手の1つで悪くはなかったですが、ソフトの推奨手は▲7七桂でした。

評価値的には▲7七桂も▲7七角も同じでした。

▲7七桂△4六角▲4七銀△6四角▲5六銀で、ソフトの評価値+44で互角。

この▲7七桂は持ち駒の角を温存する受け方で、▲7七角とは違った趣があります。

以下△4六角~△6四角と引きますが、今度は7七の地点が桂馬なので後手からいつでも△8六角のような手が生じます。

先手は持ち駒に歩がないので、後手からの8筋の攻めを歩で追い返すことができません。

▲5六銀の局面で▲6五銀から角を責めることができても、△8六角に対抗する受けを用意していないと歩損が大きくなります。

▲5六銀以下△8六角▲5五銀△6二銀▲6八玉△6四角▲同銀△同歩▲8六角で、ソフトの評価値-164で互角。

この手順は△8六角とする手ですが、▲同銀だと△同飛で△8九飛成が受けにくいです。

よって先手は▲5五銀としましたがこの手は意味が少し分かりにくいです。

▲5五銀は後手がどこかで△6四角と引けば▲同銀とする意味です。

普通は角と銀の交換は角の方が駒得ですが、本局の変化手順は後手が2歩得で先手歩切れという形なので先手は少し受けにくいです。

最後の▲8六角は後手からの△8六歩の攻めを先に受ける形で、敵の打ちたいところに打ての格言に沿った手です。

評価値は互角ながらもやや後手持ちのようで、やや先手が駒組みに神経を使うような形です。

最初の局面図の後手の△5五角はソフトの候補手にも上がってなかった手ですが、それでも互角なので序盤は手が広いようです。

なお、△5五角では△3二金がソフトの推奨手でしたが、手の流れで3三に上がった金を引くのは少し浮かびにくいかもしれません。

1歩損になってもいい勝負だったのが参考になった1局でした。