上図は、先後逆で居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で▲5四銀と6五の銀が歩を取った局面。ソフトの評価値-802で後手優勢。
駒割りは後手の香得で後手まずまずの展開ですが、先手は7五に角がいるためいつでも▲3一角成のような強襲があります。
後手は実質的には金駒2枚の穴熊なので決して堅くはなく、金が1枚いなくなるとすかすかになります。
また9九の馬が少し遊んでいるので後手としては馬を活用したいです。
後手から△8八歩成のような手では▲3一角成△同銀▲4二歩△同銀▲3二金のような形で攻められ、▲6三銀成や▲6三飛成の筋もありますので後手大変です。
ここは後手にとっても大事な局面で、この後の指し手で方針がだいぶ変わりそうです。
実戦は▲5四銀以下△5三歩▲同銀成△同金▲同角成△4五香で、ソフトの評価値-98で互角。

この手順は△5三歩で▲同銀成~▲同角成とされますが、△4五香と攻め合いに出てどうかという展開です。
駒割りは金と銀香の交換で、さらに金と香車の交換になりそうなので後手が駒得になりますが、後手は歩切れで大駒の飛車が受けにしか働いておらず結構大変です。
切れ負け将棋の対局なのでほんの数分しか考えることができませんでしたが、他の手も浮かばなかったので仕方なく指した感じです。
優勢な局面から互角になったので、この展開はよくなかったようです。
△5三歩では有力な手が2通りありました。
1つは△6四歩がありました。ソフトの評価値-626で後手有利。

この手順は△6四歩とする手でぱっと見で中合いみたいな手ですが、盤上の6三の歩を1つ上がる手です。
先手は飛車と角が両方働いていたので△6四歩とすることで、どちらで取っても一時的に大駒の働きが1つになって働きが落ちるという意味です。
△6四歩に▲同角なら△6六歩▲同飛△7七馬で、ソフトの評価値-1067で後手優勢。
この手順はさすがにうまくいきすぎで、これが後手の理想です。
△6四歩に▲同飛なら△7七馬▲6一飛成△5一歩で、ソフトの評価値-809で後手優勢。
この手順は△6四歩に▲同飛とすれば▲6一飛成がありますが、後手は△7七馬と桂馬を補充して△5一歩と底歩を打った形は意外と堅いです。
△7七馬と桂馬を取ったことで、後手の飛車は△8五飛と使えることになるのも大きいです。
もう1つはまた△5三歩では△8九馬もありました。ソフトの評価値-631で後手有利。
この手は△8九馬が飛車取りなので分かりやすい手ですが、駒得する手ではありませんので少し辛抱が必要です。
△8九馬以下▲6六飛△7八馬▲6五桂△7七馬▲5六飛△5五歩▲6六角△5六歩▲7七角△7八飛▲8六角打で、ソフトの評価値-767で後手有利。
この手順は馬を使って先手の飛車を追いかける手で、△7八馬に▲6五桂で遊んでいる桂馬を活用されるという考えもあるのですが、6筋の駒の利きを重くしたという考えもあり微妙なところです。
以下△7七馬~△5五歩で先手の飛車が取る形ですが、▲6六馬の切り返しもあり後手有利ながらも将棋としては難しいです。
このような手順をみると、短気を起こさずに中盤も粘り強く指さないといけないと思う次第です。
切れ負けの大会の将棋も検討してみると、それなりにいいところに手がいくとそれなりの勝負に見えてくるのが不思議です。
遊んでいる馬を働かせる手を考えるのが参考になった1局でした。