取ったばかりの桂馬を自陣に打つ

上図は、先後逆で角換わりからの進展で▲5六歩と打った局面。ソフトの評価値-157で互角。

△3六歩に▲5六歩とお互いの桂馬を取りにいった展開です。

対局中は後手玉を直接攻めている形なので少し後手が指せていると思っていました。

ただし、評価値を見ると互角の範囲なのでまだこれからです。

最初は△3七歩成が浮かびましたが▲同金の後の指し方がよく分からなかったので、含みを持たせる意味で△9六歩としました。

△9六歩に▲同歩とすれば将来△9六香として香車を捨てますが歩を補充できるという意味ですが、この手は少し甘かったようです。

実戦は△9六歩▲5五歩△3七歩成▲同金△9七歩成▲5四歩△5五桂で、ソフトの評価値+327で先手有利。

この手順は△9六歩に▲5五歩と先に桂馬を取る手ですが、この手を軽視していました。

▲5五歩と取られてもこの手が駒に当たっていないということで、△3七歩成~△9七歩成が厳しいかと思っていましたが、地味に▲5四歩と歩を取った手がうるさいようです。

先手は右玉で9筋にと金ができても、直接後手玉に響くわけではありませんので先手は余裕があります。

▲5四歩と取り込んだ手は次に▲5五桂と打つ手がありますので、後手は先に△5五桂と打ってどうかという形です。

対局中はよく△5五桂が見えて何とかなりそうと思っていましたが、評価値を見ると先手有利になっているので△9六歩からの構想はいまひとつだったようです。

△5五桂には▲3六桂と打って、将来の△3六歩という手を消して先手が指せているようです。

以下△8七となら▲8二歩と打って△同飛なら▲7三角、▲8二歩に△6一飛なら▲6八金という感じです。

後手としてはと金が働いてできれば金得になるとか、最悪でも飛車が成れる展開にならないと9筋から手を作った効果が薄いです。

1手ぬるい手を指せば先に相手から動かれるという典型的な例です。

△9六歩では△3七歩成がありました。

△3七歩成▲同金△5三桂▲7六銀△9二角で、ソフトの評価値-263で互角。

この手順は△3七歩成と先に桂馬を取る手です。

駒を先に取れるときは取ってから後のことを考えるのが自然だったようです。

▲3七同金としますが、そこで△5三桂と銀取りに打つのが継続手です。

取ったばかりの桂馬を自陣に打つのが少し盲点で、どうしても桂馬は相手玉を攻めるのに使いたいという感覚になりやすいのですが、まだ慌てて攻める形になっていないので自陣を手厚くすると同時にその後の展開をにらんだ手のようです。

▲7六銀とした形は先手の銀が離れ駒になり遊び駒になったのが大きいです。

▲7六銀には△9二角と自陣角を打つのがさらに継続手でこの手は指摘されないと浮かびません。

右玉相手に自陣角というのはたまに出てきますが、5六の歩と7四の歩が角の利きをふさいでいるのでさらに浮かびにくいです。

間接的に角のラインの玉がはいっていますが、歩2枚がじゃまなのでこの歩を消すような狙いになります。

△9二角以下▲4八玉△7五歩▲同銀△5六角▲2八飛△8五飛▲8六銀△同飛▲同歩△3六歩▲同金△4七銀▲5七玉△5八銀成▲同玉△4七角成▲6八玉△3六馬で、ソフトの評価値-1670で後手優勢。

この手順はうまくいきすぎですが、先手は▲4八玉と角のラインから避けたときに後手は△7五歩~△5六角とします。

▲2八飛と逃げた瞬間は後手の桂得なのでここで攻めます。

△8五飛と軽いジャブを出して▲8六銀には強く△同飛~△3六歩が狙い筋です。

▲3六同金と先手の3七の金を無力化にして△4七銀と打ち込む形で、このように進めば5五の桂馬が十分に働いています。

攻め駒が少なくても右玉の弱いところを攻めると手になる典型的な例です。

取ったばかりの桂馬を自陣に打つのが参考になった1局でした。