攻め急ぎでなく受けに回って持ち駒を増やす

上図は、先後逆で角換わりからの進展で▲6四桂と打った局面。ソフトの評価値+459で先手有利。

対局中は▲6四桂が見えておらず、指されてみると後手玉だだいぶ狭いです。

先手は5五の馬と6五の銀と5四の歩と3二の成桂と6四の桂馬の5枚の攻めで、受けてもきりがないのかと思っていました。

実戦は▲6四桂以下△3七歩▲同玉△4八角▲2七玉で、ソフトの評価値+337で先手有利。

この手順の△3七歩~△4八角は狙い筋の1つでこれもあったようですが、やや形を早く決めすぎたとも言えそうです。

後手が先手玉を攻めるのはまだ駒不足ですが、金駒が1枚でも入ると状況が変わってきます。

後手陣は危ない形ですがまだ即詰みはなく、後手玉を寄せるまでにはもう少し手数がかかります。

また先手が攻めるということは後手の持ち駒が増える可能性が高いです。

そのような意味で後手は受けに回って苦しいところですが、カウンター狙いでもう少し辛抱する手はあったようです。

△3七歩では△6二金がありました。ソフトの評価値+567で先手有利。

この手順の△6二金ですが、金を逃げただけで相手の攻め駒は盤上に多くなったのでかなり危険にも見えます。

先手の持ち駒に飛車があれば▲4一飛の1手詰めなので、気分的には先手はうまく指せていると思いますが、これから後手玉を具体的に寄せるとなるとそれなりに大変です。

先手は早く勝ちを決めたいと意識すると厳しく攻めることになりますが、それが後手の狙いでもあるようです。

対局中にそこまで余裕があれば大したものですが、それは対局後の検討だからできるのであって実戦でするのは勇気がいります。

それでもそれを少しずつ乗り越えていくと、意外と中終盤の指し手に幅が広がるかもしれません。

△6二金以下▲3三成桂△同桂▲5三銀△2六歩で、ソフトの評価値-488で後手有利。

この先手の手順はソフトの推奨する手ではありませんので、あまりいい手ではない可能性が高いです。

この手順は自分にとって不思議なのですが、先手は▲3三成桂と銀を取ってから▲5三銀と打ち込みます。

攻めっ気が強い人はこのような手順で後手玉に迫ると思いますが、意外にもこの展開は先手にとってよくありません。

普通に考えると▲3三成桂は銀と桂馬の交換で先手が駒得をしており、相手の金駒を取って守りが少し弱体化しているので先手がポイントを上げているように思います。

また▲5三銀の打ち込みはさらに後手陣を薄くするためによくある手で、このようにかさにかかって攻めてくる場合は攻めている方に勢いがあります。

ところが不思議なことに▲5三銀と打った局面は、なぜか後手の方に評価値が上がっています。

これが将棋の面白いところで、心理的には後手は攻められているのですが実は形勢は後手の方に傾きかけています。

後手は持ち駒に桂馬は入っただけですので大きな戦力増にはなっていないはずですが、先手が▲5三銀と打った形なので将来その銀も後手の持ち駒になる可能性が高いです。

▲5三銀は後手の質駒になるという考えです。

そのように考えると、後手の持ち駒は最初の局面図の角銀歩から角銀銀桂歩になる可能性が高くなります。

▲5三銀に後手は△2六歩と垂らすのですが、このような手が実戦的には結構うるさいです。

△2六歩に▲3四歩なら△2七銀▲同飛△4九角▲4七玉△2七歩成▲6二銀成△同玉▲7二桂成△5二玉▲5三金△4一玉▲3二銀△同玉▲4三金△同玉▲3三歩成△同玉▲4五桂△3二玉で、ソフトの評価値-5940で後手勝勢。

この手順は▲3四歩と力をためた手ですが、後手は△2七銀~△4九角が強烈です。

後手は銀を渡して飛車を取る手順で、以下▲6二銀成から後手玉が寄るかどうかという将棋になります。

結果的に後手玉は不詰みだったようですが、玉の逃げ方によっては詰む手順もありますのでこのあたりは際どいです。

△2六歩には▲同飛や▲同金でまだこれからの将棋のようですが、実戦よりははるかによかったようです。

攻め急ぎでなく受けに回って持ち駒を増やすのが参考になった1局でした。