金駒を埋めないで受ける


上図は、先後逆で先手陽動振り飛車からの進展で▲4一角成とした局面。ソフトの評価値-53で互角。

7四の角が▲4一角成とした形です。

対局中は少し後手が苦しい将棋だったのですが少し盛り返したかなと思っており、少し楽観気味でした。

▲4一角成はある狙いがあったのですがそれが分かっておらず、とりあえず守り駒が薄いので1枚金駒を埋めようかなどと考えていました。

埋めるのは悪くはないのですが、埋め方が悪いと全く受けの機能が役立たないことがあります。

本局もそんな感じで後から振り返って初めて気がつきました。

実戦は△4三銀打だったのですが、変化手順で▲4二馬△同金▲5一飛で、ソフトの評価値+942で先手優勢。

この手順は△4三銀打と埋めて将来▲3二馬には△同銀と取る形をイメージしていました。

相手の守りの金を攻めるというのはよくある形で、金がいなければ守りが薄くなるので銀を1枚先に埋めることで対応しようと思っていたのですが、本局は3二の金より4二の銀が大事な駒でした。

△4三銀打には▲4二馬△同金▲5一飛が何気なない手ですが、次の▲3一銀と▲7一飛成の両方が受かりません。

△4三銀打は1手で将棋がだめになるという典型で気がつかないのは実力なのですが、△4三銀打としなくても先手は▲4二馬~▲5一飛の筋があると考えると、それに対応した受けを考えるべきでした。

こういうちょっとしたところで形勢を大きく損ねるのはもったいないです。

同じ銀を打つなら△4三銀打では△3一銀だったようです。ソフトの評価値+25で互角。

また△4三銀打では△6一歩もありました。ソフトの評価値-105で互角。

この手順は△6一歩と1段目に歩を打つ受け方で、ここに歩を打つと先手はどこかで1段目に飛車を打っても7一の金が取れません。

また先手の持ち駒に歩があれば▲7二歩△同金▲6一龍や、▲7二歩△6二金▲7一歩成のような筋がありますが、先手は歩切れです。

そのような意味で△6一歩と打つことで後手陣は結構堅くなったようです。

自陣を堅くするというとつい自玉の近くに金駒を埋めるということがイメージしやすいのですが、安い駒の歩でも守りを堅くできるようです。

△6一歩という受け方で金駒を持ち駒に温存できるのも大きく、受けだけでなく将来攻めに使える可能性も出てきます。

△6一歩に▲4二馬なら△同金▲5一飛△3一桂で、ソフトの評価値-1072で後手優勢。

この手順は▲4二馬~▲5一飛で次に▲3一銀の狙いですが、△3一桂と敵の打ちたいところに打ての格言に沿った手で、これで後手優勢のようです。

△3一桂では金駒を埋めた方が自玉が堅くなるかというとそうでもないようで、▲5一飛に△4一銀は▲4三銀△同金▲4一飛成のような筋が気になります。

▲4三銀に△同金でなく△3二銀打とすれば後手優勢のようですが、△3一桂と安い駒を受けに使うとこのような手は生じません。

また▲5一飛に△3一銀は▲2三銀△同玉▲3一飛成のような筋もあります。

そのような意味で、銀を受けに使うと逆にその銀を目標に攻められる可能性があります。

先手も銀以外に持ち駒があれば△3一桂のような受けは危険ですが、銀1枚だけなのでそれで受かっているようです。

△6一歩に▲3二馬なら△同玉▲5二金△4五馬▲4一飛△3一銀で、ソフトの評価値-304で後手有利。

この手順は▲3二馬~▲5二金と張り付く手で、これも実戦的には嫌な形です。

後手玉に近くに金駒が少ないのと、相手の持ち駒に飛車があるので受け損なうと形勢が大きく相手に傾くからです。

ただし、▲5二金には△4五馬としていつでも△2七馬とする筋や△3五桂のような手を睨んでいます。

△4五馬に▲4一飛は狙いの手ですが、軽く△3一銀と引いて受けるのもちょっとうっかりしやすいです。

△3一銀では△3一銀打と金駒を増やしたくなるのですが、▲3六銀△5四馬▲4二金△同銀▲1一飛成で、ソフトの評価値+31で互角。

このあたりは見た目以上に難しいようです。

金駒を埋めないで受けるのが参考になった1局でした。