と金を2段目に使って寄せる

上図は、角換わり腰掛銀からの進展で△8四角と打った局面。ソフトの評価値+1763で先手優勢。

駒割りは角と銀の交換で先手が少し駒損ですが、3三にと金と4四の桂馬が後手玉の近くで働いており先手がいいようです。

対局中も先手が少しいいと思っていましたが、ここまで優勢だったのは気がつきませんでした。

▲4四桂と打った手に△8四角と打ってきました。

△8四角はソフトの候補手に上がってなかったのですが、どこかのタイミングで△6六角▲同歩△同飛とすれば王手で先手は歩切れなので少し受けにくくなるというのが気になりました。

△8四角は勝負手みたいな手で、結構鋭い手だと思っていました。

先手は歩切れなのが攻めにも受けにも制約がありそうな気がして、▲1六香と指しました。

実戦は▲1六香で変化手順で△6四桂で、ソフトの評価値+1270で先手優勢。

この手順は▲1六香と歩を補充して△同香なら▲4三歩のつもりでした。ソフトの評価値+1742で先手優勢。

これは先手の理想形で次に▲4二銀打からの詰めろなので先手がやれそうです。

ただし△1六同香で△6四桂があってこれが意外とうるさいようです。

△6四桂は△7六桂や△5六桂▲同歩△4七歩成で、▲同金なら△3八角があり▲同金以外には△4六角の筋が残ります。

先手も丁寧に対応すれば残っているのでしょうが、対局時にこの手を指されると結構焦ったような気がします。

△6四桂以下▲6五銀直△5六桂▲同銀△4七銀▲4三歩で、ソフトの評価値+1454で先手優勢。

この手順は△6四桂に▲6五銀直として△5六桂には▲同銀と引く形で、銀を組み替えて守る手で、△4七銀に▲4三歩とすれば先手優勢のようですが、△5一玉としたときの指し手などが気になります。

強い人はこのような展開になっても精度のいい手を指すのでしょうが、後手の駒が先手玉の近くにきているので油断できません。

最初の局面図の▲1六香はソフトの候補手にありませんでしたので、ややぬるかったかもしれません。

▲1六香では▲3二とがありました。

▲3二と△5一玉▲4一銀で、ソフトの評価値+1748で先手優勢。

この手順の▲3二とは3段目にあると金を2段目に使う手で、全く見えていませんでした。

対局中は3三のと金はできるだけ動かさずに寄せにいきたいと思っていました。

と金は2段目より3段目の方が活用しやすいという先入観があったので、このような感覚が邪魔をしたようです。

▲3二と△5一玉に▲4一銀と下から銀を打つのがさらに見えにくいです。

指摘されればなるほどという手ですが、これも1段目に駒を打つというのがよほどいい条件でないと駒が残ってしまうので読みが入ってないと指せません。

銀は1段目よりどこかで▲4三銀のような3段目に打つ手を考えていたので、これも盲点だったようです。

▲4三銀に△6三金なら▲5二銀成△同飛▲同桂成△同玉▲2四飛△6二玉▲8二飛△7二桂▲8三金で、ソフトの評価値+3149で先手優勢。

この手順は△6三金には▲5二銀成から清算して▲2四飛があります。

▲2四飛に△同歩は▲4二飛△6一玉▲7二金△5一玉▲4一とまで詰みです。

なお▲5二銀成で先に▲2四飛として△同歩なら▲5二金以下詰みですが、▲2四飛に△6一玉▲5二桂成△7二玉▲2三飛成で、ソフトの評価値+1739で先手優勢。

これらは似たような手順ですが、ソフトは先に▲5二桂成と相手の飛車を取ってから▲2四飛と金を取る手を推奨しているのが面白いです。

▲4一銀に△4二金なら▲同と△同玉▲5二銀成△同飛▲同桂成△同玉▲8二飛△6二角打▲8一飛成で、ソフトの評価値+2415で先手勝勢。

これらの展開を見ると、やはり最初の局面図では▲1六香より▲3二との方が明快だったようです。

と金を2段目に使って寄せるのが参考になった1局でした。