地味な手で形勢を保つ

上図は、後手角交換振り飛車からの進展で△2六角と打った局面。ソフトの評価値+711で先手有利。

駒の損得はありませんが、4一の角と3六の飛車と3四の歩がうまく働いており、しかも角取りなので先手が指せているようです。

うまくいけば技がかかりそうな局面で、何かいい手がありそうです。

実戦は▲3三歩成△同飛▲同飛成△同金▲3六飛でしたが、ここから変化手順で△3二歩で、ソフトの評価値+234で互角。

この手順は3三の地点で清算して▲3六飛と角と金の両取りに打つ手です。

対局時には両取りが決まって確実に駒得になって半分勝ったような気分でした。

先手は▲2六飛と取った形が自陣飛車に対して後手は持ち駒に飛車があるので、先手の飛車を狙われる展開が気になりますが、駒得の方が大きいので何とかなるかなどと考えていました。

しかし▲3六飛には△3二歩と受けるのが盲点で、▲2六飛とすれば角が取れますが△5一金で今度は角が取られます。

これは完全に互角ですが、持ち駒に飛車がある後手の方が気分的には有利かもしれません。

一見▲3六飛の両取りで技が決まったかに見えても、△3二歩という受けがあるので▲3六飛で読みを打ち切るのでなくその次まで考える必要があったようです。

飛車交換の展開になると4一の角の働きが悪いので、飛車交換の展開はまずかったようです。

▲3三歩成では▲3八飛がありました。ソフトの評価値+635で先手有利。

この手順は▲3八飛と引く手で、このような地味な手が後から効いているようです。

将来△4八角成を消しつつ次に▲2七歩を狙います。

▲3八飛に△7四歩なら▲2七歩△3七歩▲3九飛△3五角▲3七桂で、ソフトの評価値+1849で先手優勢。

この手順はうまくいきすぎですが、△7四歩のような手だと▲2七歩が厳しく△3七歩に▲3九飛と3筋に飛車を引けば△3五角には▲3七桂と捌けて理想的な展開です。

▲3八飛に△4五歩なら▲同歩△5四歩▲3二角成△同銀▲4二金△2二飛▲3三歩成△3七桂成▲2二と△3八成桂▲3二と△4八成桂▲4一飛△4七成桂▲4四歩で、ソフトの評価値+615で先手有利。

この手順は興味深いのですが、後手が△4五歩~△5四歩として角の利きを広げました。

ぼんやりとした局面になったのですが、次の▲3二角成~▲4二金が見えにくいです。

自分は▲4二金では▲3三金のような手が最初に浮かぶのですが、△同銀▲同歩成△3七桂成▲同桂△3三飛のような切り返しがあり、△3七桂成に▲2三と△3八成桂とすれば飛車の取り合いは後手も持ち駒に金があるので後手も戦えそうです。

よって先手は▲4二金ともたれる指し方にして、△2二飛に▲3三歩成と攻め駒を増やします。

そこで△3七桂成として▲同桂なら△3三銀で4二の金が重たくなりますが、このタイミングで▲2二と△3八成桂と飛車の取り合いになります。

先手は4二の金が取られずに盤上に残っても、▲4一飛と打った形では活用できそうな金なので手になっているようです。

これらの指し方は実戦とは全く違う展開ですが、地味な展開でもちゃんと形勢を保っており崩れない指し方のようです。

こういう指し方ができると自分ももう少し棋力が上がるような気もしますが、つい派手な手なの流れに目がいきがちで簡単ではないようです。

地味な手で形勢を保つのが参考になった1局でした。