歩を重たく使って攻め駒を活用する

上図は、先後逆で相居飛車からの進展で▲3五歩と突いた局面。ソフトの評価値-632で後手有利。

お互いに相手の角頭を銀で攻める展開で、後手が1手早く攻めている形です。

対局中はここからの方針がよく分からなかったのですが、この局面が後手有利だったのは意外でした。

後から振り返ってそんなに形勢に差がついたのかと思いましたが、自分の指し手と何がどう違うのかが気になりました。

実戦は▲3五歩以下△8六歩▲同歩△7六歩▲同金△7二飛▲3四歩△2二角▲7五歩で、ソフトの評価値+95で互角。

この手順の△8六歩は8筋に飛車がいたのでとりあえず△8六歩と突き捨てて味付けをしたつもりでした。

△8六歩に▲同角なら△4五歩がありますので▲8六同歩としますが、将来△8八歩や△8七歩の手が含みになるので効果的かと思っていました。

以下△7六歩▲同金に△7二飛と今度は7筋に回って金取りです。

▲3四歩の取り込みには△2二角と引いて▲7五歩まで進んだのですが、この局面が互角でどちらかというと先手持ちみたいです。

この展開は自分なりにまずまずかと思っていたのですが、手の組み合わせが悪いのか後手有利だったのが活かされていません。

これらの指し手の中で、後手の指し手がおかしかったのは3つあったようです。

△8六歩では△7六歩がありました。

ソフトの推奨手順は、△7六歩▲同金△7五歩▲6六金△6五歩▲3四歩△4二角で、ソフトの評価値-581で後手有利。

まず1つ目は△8六歩と突いた手です。

ソフトは△8六歩と突かず直接△7六歩と取り込む手を推奨していました。

自分の悪い癖ですが、相居飛車や対抗形で飛車先の歩は戦いの前にとりあえず突き捨てるというのがあって、考えて突き捨てるのでなくただ突き捨てているという感じです。

もちろん突き捨てることがいい場合もあるのですが、基本的に相手に持ち駒の歩を1枚渡すことになるのでかえって紛れるケースもあるようです。

突き捨てずに攻めがうまくいくのであれば突き捨てる必要はないので、とりあえず突き捨てるというのはやめた方がいいのかもしれません。

2つ目は△7二飛と金取りに回った手ですが、ソフトの推奨手順で△7五歩と歩を重たく打つ手があったようです。

自分の感覚として、飛車を軽い筋に回って活用するというのがありそれでうまくいけばいいのですが、どうしても攻めが軽くなる傾向になるので力をためて攻めるという展開になりにくいです。

△7五歩と打つと先手が▲6六金と逃げるしかありませんでので、後手は7筋に位が取れたと考えた方がよかったです。

6四に銀がいるので△7五歩と位が取れたということで、6四の銀の攻めに活用できていると言えそうです。

つい攻めに活用というと、相手の金駒と交換して持ち駒になるイメージがあるのですが、攻めの拠点を作るということでも役立っているようです。

3つ目は△2二角とでは△4二角と引く手が形だったようです。

△2二角と引くと壁角になるので後手玉の守りが薄くなりがちで、角の頭も狙われやすくなります。

今見たら△4二角は自然な形ですが、対局中は全く見えていなかったのでこのあたりの感覚もいまひとつでした。

さすがに数手の間に3つもソフトでいうところの疑問手が重なると、評価値がかなり落ちるようです。

最後の局面図からは、▲5六金△7六歩▲8八角△8六歩▲同歩△7五銀で、ソフトの評価値-759で後手有利。

たしかにこの手順だと、後手は歩を使うことで飛車と角と銀が7筋と8筋の攻めに活用できており、早めに8筋の歩を突き捨てる必要はなかったです。

歩を重たく使って攻め駒を活用するのが参考になった1局でした。