攻めばかりに意識すると危ない

上図は、角換わり▲4五桂の急戦からの進展で△8六歩と突いた局面。ソフトの評価値+643で先手有利。

駒割りは飛車と金の交換で先手が少し駒損ですが、2二にと金を作って攻めている形で先手が少し指せているようです。

飛車と金の交換は少し勇気がいりますが、▲4五桂からの急戦は攻めが止まると受けられてしまいますので、ちょっとの駒損でも攻めを継続することになります。

後手は△8六歩と突いたのですが、実戦は▲同歩と取りました。ソフトの評価値+353で先手有利。

この手順は、先手は歩切れを解消する意味で▲8六同歩は自然なのですが、ソフトはこの手が甘いと見ていたようです。

▲8六同歩としないということは、後手から△8七歩成~△7七とが間に合ってくると先手玉は危険になります。

先手はそれ以上の早い攻めが必要となりますが、やや駒不足なのが気になります。

▲8六同歩では▲2三とがありました。

▲2三と△8七歩成▲3三角△5二玉▲5五桂で、ソフトの評価値+597で先手有利。

この手順は▲2三とで銀を補充して△8七歩成に▲3三角と打ちます。

この▲3三角が意外と厳しい手だったようで、後手は△4二歩が2歩のため打てません。

▲3三角に△4二角なら▲同角成△同玉▲3三銀△4三玉▲3二角△5二玉▲4一角成△同玉▲4二金まで詰みです。

▲3三角に△4二飛なら▲同角成△同玉▲3二飛△4三玉▲5五桂△4四玉▲4二飛成△5四玉▲4三龍△5五玉▲4五龍まで詰みです。

よって▲3三角に合駒は無効なので△5二玉しかありませんが、そこで▲5五桂と詰めろをかけます。

次に▲4二金や▲4三銀からの詰めろなので後手は受けることになります

▲5五桂に△6三銀なら▲5一金△同金▲4三銀△6二玉▲5一角成△同玉▲6三桂成で、ソフトの評価値+5298で先手勝勢。

この手順は△6三銀とすると後手は6二からのルートが広がるのですが、▲5一金~▲4三銀がうまい手で、以下▲5一角成~▲6三桂成と玉を下段に落として先手勝勢です。

特に▲4三銀と打てるかどうかがポイントで、自分はこの手が見えるかどうかがあやしいと思っています。

▲5五桂に△7一金なら▲4一銀△6一玉▲6三金で、ソフトの評価値+388で先手有利。

この手順は△7一金と玉の逃げ道を6一から広くする手ですが、▲4一銀~▲6三金の詰めろをかけます。

先手は持ち駒を使い切ったような攻めなのでやや細いのですが、これで手が続くかが気になります。

手が続かないと△7七と~△8九飛成が激痛になりますので、結構先手は忙しいです。

▲6三金以下△2五角▲2四角成△6九角成▲同玉△6三金▲同桂成△6八金▲同銀△7八と▲同玉△8八飛打▲6九玉△6八飛成▲同玉△8八飛成▲7八銀△7九銀▲5八玉△7八龍▲4七玉△3六銀▲3八玉△2六桂以下先手玉は詰みです。

この手順は不思議なのですが、△2五角が詰めろを消しながらの先手陣を睨む手で、▲2四角成として詰めろ角成で先手が大丈夫かと思っていました。

しかし△6九角成~△6三銀~△6八金が強烈な手順で、なんと先手玉が以下詰んでしまいます。

この展開はちょっと極端な手の流れで、先手が調子にのって攻めるのはいいのですが、あまり駒を渡しすぎると気がついたら先手玉が詰まされたという典型的なパターンです。

自分の棋力をはるかに超えた手順なので全く気がつかないのですが、玉の近くにと金があって角で金を取られる形になると急に自玉が危なくなります。

▲4一銀では▲2四角成△6一玉▲6三銀で、ソフトの評価値+666で先手有利だったようですが、先手もぎりぎりの手順なので見た目以上に難しそうです。

と金を作らせるとこのような展開もありそうなので、最初の局面図からの▲8六同歩は甘かったかもしれませんが自然な手だったとも言えそうです。

攻めばかりに意識すると危ないのが参考になった1局でした。