4八の地点の受ける形を消す

上図は、先後逆で居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で▲5四歩と歩を取った局面。ソフトの評価値-1808で後手優勢。

駒割りは後手の銀得なので圧倒的にいい局面で、▲5四歩と歩を取ったので先手は次に▲5三歩成△同金▲4一飛成という狙いがあります。

その狙いが実現すると後手は駒得していても結構嫌な形で、やはり飛車を成られるというのは避けたい形です。

対局中は駒得しているので慌てずに指そうと思い△4四歩としましたが、▲5六飛に次の手が少し悩みました。

実戦は▲5四歩以下△4四歩▲5六飛△9九歩成▲5三歩成△同金▲同飛成△5二香▲5四歩で、ソフトの評価値-878で後手優勢。

この手順は▲5六飛に△9九歩成と香車を取ったのですが、▲5三歩成から先手は飛車を成る展開で△5二香に▲5四歩と打ってきました。

香車を取ってからの△5二香が狙い筋だったのですが、▲5四歩が気がつかない手でこれでだいぶ形勢が接近したようです。

以下△5三香▲同歩成で、ソフトの評価値-977で後手優勢ですが、これは見た目ほど後手は楽ではないです。

駒割りは飛車得になりますが先手の5三のと金が働いていて、このと金を攻めの拠点として攻めを繋ぐことができそうです。

評価値で1000くらい落とすのはさすがにまずかったようです。

なお最初の局面図で△4四歩と選択したなら▲5六飛には△5二歩で、ソフトの評価値-1583で後手優勢。

歩を2枚使って受けるのはどうかと思っていたのですが、銀得して後から香車も取れそうな形だったので受けて問題なかったようです。

ただし、最初の局面図で△4四歩はソフトの候補手に上がっていませんでした。

△4四歩では△9九歩成がありました。

△9九歩成▲5三歩成△同金▲4一飛成△4七歩で、ソフトの評価値-1712で後手優勢。

この手順の△9九歩成と香車を取る手は受けに自信がないと指せない手ですが、先手は喜んで▲5三歩成~▲4一飛成とします。

そこで△4七歩と斬り返すのですが、この手は全く見えていませんでした。

対局中は△4七歩で△4二飛を考えており、以下▲8一龍と駒損を回復されると面倒だと思っていました。

それがあるので△9九歩成とできなかったのですが、この△4七歩は相当強くないと指せないという感じです。

歩が切れていると攻めにも受けにも使えますが、このタイミングで攻めの拠点を作るという発想が難しいです。

△4七歩に▲同龍なら△4三香▲4五歩△5四金▲6七馬△6五歩で、ソフトの評価値-2222で後手勝勢。

この手順は▲4七同龍は手堅い手ですが、後手としては一安心で△4三香~△5四金が手厚く、以下△6五歩で馬で自陣を利かす形で後手が圧倒的にいいです。

△4七歩に▲8三歩なら△4二飛▲8一龍△4四香で、ソフトの評価値-2826で後手勝勢。

この手順は▲8三歩に△4二飛は分かりますが、▲8一龍に△4四香が少し見えづらいです。

4七に歩の拠点があるので、先手は▲4八歩と打って受ける形になりません。

△4七歩に▲同銀なら△7四馬▲7一龍△4二飛▲4八歩△4三香▲8一龍△4七香成▲同歩△4六歩▲同歩△4八歩▲同金直△4七歩▲3八金△4八銀で、ソフトの評価値-2562で後手勝勢。

この手順は▲4七同銀の辛抱には△7四馬がうまく、▲7一龍~▲8一龍として先手は桂馬を補充しますが、後手は△4三香と打ちます。

△4三香と打っても先手は4八に歩がいて比較的しっかりした形なのですが、その後の△4六歩~△4八歩~△4七歩が歩を使った攻めで、相手に受けづらい形にして後手がいいです。

△4七歩に▲8七馬なら△3一金▲7一龍△4二飛▲4三歩△同金▲4七銀△△7六銀▲7八馬△6六馬▲6八金△4六歩▲3八銀△4七香で、ソフトの評価値-2458で後手勝勢。

この手順は▲8七馬には△3一金が少し指しづらい手で、▲7一龍に△4二飛とします。

▲4三歩の叩きには△同金として、▲4七銀には△7六銀から手厚く指して後手がいいようです。

4八の地点の受ける形を消すのが参考になった1局でした。