玉頭戦でなく戦う争点を変える

上図は、先後逆で後手角交換振り飛車からの進展で▲3五歩と突いた局面。ソフトの評価値-585で後手有利。

後手が△7五歩と突いた手に▲3五歩と突いてきました。

駒の損得はありませんが玉頭戦になっており、後手にとっても嫌な形です。

後手は将来△2二銀となると壁銀になるのであまりいい形ではありませんが、相手もいることですべて理想通りにはいきません。

実戦は▲3五歩△同歩▲3四歩△2二銀▲6五歩△3六桂▲同銀△同歩▲同金で、ソフトの評価値-310で後手有利。

この展開は△3五同歩としましたが、将来△3六桂の両取りに期待しました。

先手は▲3四歩と攻めの拠点を作ってから▲6五歩と角を働かせる展開で、以下後手も△3六桂と両取りをかけました。

▲3六同金の局面は銀と桂馬の交換で後手が少し駒得していますが、意外にも形勢は接近したようです。

玉頭戦で先手は2六の桂馬と3六の金が厚みがあり2五にも歩が伸びているので、銀と桂馬を交換しても大したことがないのかもしれません。

戦う場所が3筋でなく後手は少し手を広げた方がよかったようです。

△3五同歩では△7六歩がありました。

△7六歩▲6八角△3五歩▲3四歩△2二銀▲3五金△7七歩成▲同角△7一飛で、ソフトの評価値-628で後手有利。

この手順は後手は戦いの場所を7筋にして△7六歩としました。

△7六歩に▲3四歩なら△7七歩成▲3三歩成△同金▲5八飛△6八と▲同飛△7一飛▲7八歩△7九角▲5八飛△5七歩▲同金△同角成▲同飛△7八飛成で、ソフトの評価値-2093で後手勝勢。

この手順は△7六歩に▲3四歩なら△7七歩成と角を取る手が成立するようで、先手も▲3三歩成と後手の守りの銀を取りますが△同金とします。

7七にと金ができると飛車当たりなのが大きく、以下▲5八飛には△6八と~△7一飛が鋭いです。

よって△7六歩に▲6八角としましたが、そこで△3五歩と手を戻します。

以下▲3四歩に△2二銀と壁銀になりましたが、▲3五金に△7七歩成~△7一飛がうまいです。

玉頭戦は厚みが大事ですが、▲3五金という形は浮き駒なので狙われる形になると先手は苦しくなります。

厚みの形は大駒の交換になると自陣に隙ができやすくなり空中分解することがあるので、後手としては大駒を交換する展開に持ち込みたいです。

△7一飛に▲7八歩なら△7九角▲4四金△8八角成▲5四金△7八馬▲5三歩△6二金▲6三銀△7七飛成▲6二銀成△6八龍▲5八金打△6九龍で、ソフトの評価値-3806で後手勝勢。

この手順は▲7八歩には△7九角があり先手も▲4四金以下玉の近くで戦いますが、後手の大駒の攻めが早いようで後手勝勢です。

この手順も簡単そうですが、速度計算をしないといけないので読み切った上で指さないと後手はリスクがあります。

大駒をボロボロ取れますが玉の近くで戦いが起きていると危険度が増しますので、正確に指す必要があり意外と難易度は高いと思っています。

一直線の展開は変化のしようがなくなってきますので要注意です。

△7一飛に▲7八飛なら△5九角で、ソフトの評価値-1357で後手優勢。

この手順の▲7八飛は手筋ですが、△5九角とされると先手は指す手に困ります。

△7一飛に▲6八角なら△7九角▲同角△同飛成▲5八飛△5五歩▲6七銀△3九角▲3八玉△5六桂で、ソフトの評価値-2408で後手勝勢。

この手順は▲6八角には△7九角と下から角を打つのがいい手のようで、飛車が成りこむ展開は先手の3五の金が全く悪く先手玉は薄いので後手勝勢です。

これらは後から調べたらそうだったのかという内容ですが、少しでも実戦で見つけられるようにしたいです。

玉頭戦でなく戦う争点を変えるのが参考になった1局でした。