馬の利きを止める受け方をする

上図は、先手雁木からの進展で▲4八玉とした局面。ソフトの評価値-1587で後手優勢。

後手が△2七飛と打った手に3七の玉が▲4八玉と逃げた形です。

自分が将棋の検討をして一番興味があるのは、優勢な局面からどのような指し方で勝勢にするかというのがあります。

先行逃げ切りの将棋が好きなため自ずとそうなったのですが、そのような局面からの検討で自分が気がつかないのは、一旦受けに回っているということです。

優勢な局面から攻めを繋げて勝勢にするというより、受けることで逆で形勢が安定しやすいと理解しています。

このような指し回しが自分はなかなかできず、相手玉ばかりを見て自玉を見るというのがちょっと少ない感じです。

本局の駒割りは後手の銀得です。

先手は1一に馬がいて後手玉に近い形で、先手から▲4四歩とか▲4五香のような筋が気になりますが、こで後手の手番なので後手が指せています。

対局中は先手の攻めより早い攻めをすればいいかと思っていました。

実戦は△2八飛成▲5七玉△2九龍で、ソフトの評価値-703で互角。

この手順の△2八飛成は何か合駒すれば△2七香成がありますので▲5七玉としましたが、△2九龍と桂馬を取っていつでも△4五桂があるのでさらによくなったと思っていました。

ただし、この指し方はあまりよくなかったようでだいぶ評価値を落としたようです。

△2九龍には▲4七香と攻防に打って、△4五桂を消す筋と▲4三香成を狙う手があったようです。

▲4七香に△2七龍とすれば龍の利きで受けることができますが、▲4四歩と攻めの拠点を作られると後手玉が急に危なくなったという感じです。

▲4七香と▲4四歩の組み合わせで、攻め駒が2枚になったことで後手が忙しくなります。

△2八飛成では△2二銀がありました。

△2二銀▲同馬△同玉▲3八銀△2八飛成▲3七角△7七とで、ソフトの評価値-2240で後手勝勢。

この手順は△2二銀と受けに回る手で、馬の利きを止めることで▲4四歩のような手を消しています。

△2二銀に▲1二馬なら△8九飛成▲4四歩△同金▲4五歩△2三銀▲1一馬△4五金で、ソフトの評価値-1558で後手優勢。

この手順は△2二馬に▲1二馬と逃げましたが、△2九龍で桂馬を補充します。

以下▲4四歩~▲4五歩の叩きはうるさいのですが、△2三銀と馬の利きを止めるのがいいようで、以下▲1一馬には△4五金とすれば上部が手厚くなって後手がいいようです。

よって△2二銀には▲同馬として以下▲3八銀と打つのがしぶといです。

後手の飛車にアタックする受けで、これがあるので△2二銀と銀を渡す形はは指しにくいところがあるのですが、ここで△2八飛成~△7七とがありました。

△7七とは盤面の左だけでなく右側も見ていないとこの手が見えないです。

△7七と以下▲同金△8九飛成▲5九香△3九角▲4七玉△2七香成で、ソフトの評価値-2161で後手勝勢。

この手順は△7七とでと金を捨ててから△8九飛成と飛車を成りこみます。

後手は飛車が成れれば大きな戦力なのですが、この手が見えるかどうかが大きいです。

後手は2八の飛車が取られても、1一の馬を消して飛車が成りこめればこれで十分のようです。

最後の△2七香成とすれば後手の攻め駒の枚数が多くてはっきりしてきたようです。

先手はどこかで▲2八角と龍と取ることはできますが、△同角成がまた厳しく先手は飛車を打つ展開になりにくいです。

本局は先手の馬の利きを止める受けが見えているかが大事みたいで、それが分かれば形勢を維持できたようです。

馬の利きを止める受け方をするのが参考になった1局でした。