上図は、先後逆で先手角交換振り飛車からの進展で△4九銀と打った局面。ソフトの評価値-1639で後手優勢。
△4九銀で先手玉は詰めろなので先手は受けることになりますが、受ける手は限られています。
対局中は△4九銀に気になっていたのが▲3三歩成~▲3九歩と底歩で受ける手です。
安い駒を使って受けられると、攻める方としてはいい駒を補充するのが難しいので少し焦る気持ちになります。
底歩で受けられると後手はどのように指すかの考えはまとまっていませんでした。
実戦は△4九銀に▲3三歩成でなく別の受け方をされましたが、▲3三歩成~▲3九歩の後の展開を調べてみました。
△4九銀以下▲3三歩成△同銀▲3九歩△5八飛成▲5七歩△8六歩▲同歩△同飛▲8九歩△3六歩▲同金△8七飛成で、ソフトの評価値-2481で後手勝勢。
この手順は後手は焦って攻めるのでなく、△5八飛成と銀取りに飛車を成ります。
先手は▲5七歩と受けましたが、そこで△8六歩と後手は飛車を活用します。
後手は4九の銀と5八の龍だけでは先手玉を攻略するのは難しいので、攻め駒を増やす手です。
普通は△8六歩のような手は終盤では間に合わないのですが、後手玉にあまり厳しい手がないのでゆっくりした手が間に合うようです。
△8六歩に▲同歩△同飛▲8九歩は仕方ありませんが、次の△3六歩が味わい深い手のです。
△3六歩は▲同金とさせることで3六からの玉の逃げ道を塞いでいるのと、先手からの▲3四金のような手を消しています。
このような指し手に余裕があるのは形勢に差が開いてないとできにくいですが、強い人は△3六歩のような手を指すと思います。
以下後手は△8七飛成として攻め駒を増やすことができたので後手勝勢です。
なお実戦は△4九銀以下▲4八金△同飛成▲同角△3八金だったのですが、以下変化手順で▲1七玉△4八金▲3九歩なら、ソフトの評価値-1144で後手優勢。
この手順は▲4八金には飛車を切って△3八金と打ちましたが、この手はソフトの候補手にも上がっていませんでした。
自分はこの手順しかないと思って指していたのですが、この手順はやや危険だったようです。
先手は▲1七玉~▲3九歩と粘る手があったようで、後手は角を取ることができましたが4八の金と4九の銀が重たいのが気になります。
急ぐ必要のない局面で決めにいくと、紛れる可能性があったようです。
△4八同飛成では△5七歩がありました。ソフトの評価値-1326で後手優勢。
この手順の△5七歩は先手の6六角の利きを止めて次に△4八飛成が狙いです。
△5七歩に▲同角は△8八飛成があります。
また△5七歩に▲3九玉は△4八飛成▲同玉△5八歩成▲3九玉△3八金まで詰みです。
△5七歩以下▲5八歩△同歩成▲4九金△同と▲2七玉△2八金▲3六玉△8八飛成▲同角△2七角まで詰みです。
この手順は▲5八歩△同歩成に▲4九金と粘る手ですが、△同と▲2七玉に△2八金が見えづらいです。
これが自分の実戦だったら△2八金は見逃している可能性が高いです。
△2八金に▲1七玉は△3八飛成で受けなしですし、▲3六玉は角を取って△2七角で詰みです。
本当は3六の逃げ道のルートを防ぐためにどこかで△3六歩と打っておきたいところでしたが、持ち駒の歩のからみや手番などの関係でできないことも多いです。
△5七歩以下▲5八歩△同歩成▲4四金△4八と▲4三金△同金右▲2二角成△4一玉▲6三銀△3八と▲1七玉△2七金▲同玉△3七と▲同玉△3八飛成まで詰みです。
この手順は▲4四金とする手は、終盤でこのような手を指されるとはっとします。
敵陣ばかりでなく自陣も見ないといけないようです。
▲4四金には△同銀もありそうですが、△4八とで後手が1手勝ちのようです。
先手は▲2二角成~▲6三銀としますが、△3八と~△2七金~△3七と以下先手玉は詰みです。
これらの手順も決して簡単ではありませんが、終盤の切れはこれくらいないともつれるようです。
終盤で確実に手を繋げるのが参考になった1局でした。