飛車を成らずに含みのある手を指す


上図は、先後逆で居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で▲6四角と打った局面。ソフトの評価値-200で互角。

対振り飛車は基本的に持久戦を選択することが多いのですが、相手の駒組で三間飛車に急戦の形になりました。

先手が角道を止めない振り飛車に対して後手が早い段階で△6四歩と突いたので、その手を活かす意味での急戦策です。

急戦と持久戦では全く違う展開になり、日頃急戦を指さない自分は感覚的に半信半疑で指していることが多いです。

本局もそんな感じで先手が▲6四角と打ってきた手に、後手の飛車をどうするかという局面です。

実戦は▲6四角以下△8八飛成▲7三角成△9九龍▲5五桂で、ソフトの評価値-138で互角。

この手順は▲7三角成に対して△8八飛成~△9九龍でお互いに小駒を取り合う展開で、後手としては龍を作ってこれが自然に思っていたのですが、ソフトはそのように判断してなかったようです。

▲5五桂では▲6五桂があったようです。

先手の振り飛車が左の桂馬を捌くのは理想的な形で、桂馬が5段目まで進めば最低限活用できたという感じです。

これは居飛車でも言えることで、右側の桂馬が5段目まで進めば最低限活用できたと思っています。

どこかで▲5五歩と突き捨てる手や▲5三桂成と強襲する筋があります。

▲5五桂はソフトの推奨手ではありませんでしたがこれも結構嫌な手で、ゆっくりした展開だと▲6四歩のような垂らしの歩があります。

そのような意味で、対局中は▲5五桂と指されたときはうまい手を指されたと思っていました。

▲5五桂には△3三桂があったようで、以下▲6四歩なら△6六香▲同銀△同歩▲同飛△6二歩で、ソフトの評価値-227で互角。

この△3三桂は対抗形の居飛車の急戦ではありそうな手で自玉が薄くなる感じもしますが、後手は4四に角がいるのでどこかで△1五歩と端攻めにする狙いがあります。

そのときに△3三桂としておけば将来△2五桂のような筋が生じます。

そこで▲6四歩には△6六香と打ちこんで清算してから△6二歩と受けます。

さすがに▲6三歩成とされて金駒1枚取られる形は悪いので、受けに回って冴えないようでも△6二歩と受ける必要があるようです。

このあたりは急戦形を指し慣れていないとすぐに指せない感じです。

なお最初の局面図で△8八飛成はソフトの推奨手ではありませんでした。

△8八飛成では△7六飛がありました。ソフトの評価値-125で互角。

この手順の△7六飛ですが、ソフトがなかったらスルーしていたと思います。

飛車が成れるところをあえて成らずに狭いところに飛車を移動する手です。

この手は指しにくい手で具体的には次に△7七角成が狙いですが、△7六飛に▲7八歩が気になります。

△7六飛▲7八歩△6六歩▲6八飛△6三金▲9七角△8六歩で、ソフトの評価値-995で後手優勢。

この手順は△7六飛▲7八歩△6六歩▲6八飛までは自然に浮かびますが、次の△6三金が気がつきませんでした。

△6三金というのも指し慣れていないと浮かびづらい手で指摘を受ければなるほどですが、自分は分かっていませんでした。

△7六飛以下▲7三角成△6六歩▲6九飛△7七飛成▲6八歩△1五歩▲同歩△7八龍▲5九飛△6七歩成▲同歩△1七歩で、ソフトの評価値-819で後手優勢。

この手順はお互いに大駒が成り合った展開ですが、後手は桂馬と歩を持ち駒にすれば△1五歩を端からいくのが急所のようです。

端攻めに4四の角が利いているのも大きく、龍と角と桂馬を歩で手になっているようです。

このような展開になると先手玉だけ終盤のような感じになります。

後手としては、香車を取るより桂馬を取ってそれを端攻めに使うというのが有効なようです。

飛車を成らずに含みのある手を指すのが参考になった1局でした。