上図は、先後逆で居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で▲6六同飛と歩を取った局面。ソフトの評価値+86で互角。
駒割りは銀と桂馬の交換で後手が少し駒得ですが、先手は▲6一飛成や▲9一馬や7七の桂馬の活用で指したい手がありそうです。、
後手からは△5五銀と桂馬を取る筋はありますが、▲5五同歩とされるとこれも簡単ではなさそうです。
▲6六同飛に△8八龍とする手はありそうですが、▲6一飛成△7七龍▲7四馬△5一銀▲4五歩△3五角▲3六香△7九角成▲6四歩で、ソフトの評価値+527で先手有利。
この手順は△8八龍~△7七龍とすれば後手は銀得になるのですが、先手は大駒2枚が成りこんで5五の桂馬が攻めの拠点となっており、後手玉は意外と危険な形です。
普通は銀得すれば駒得で形勢がいいはずなのですが、急戦形の居飛車は玉の守りが薄いので食いつかれるような形になると受け方が難しくなります。
実戦は▲6六同飛以下△1五歩▲6一飛成△1六歩▲1八歩で、ソフトの評価値+209で互角。
この手順の△1五歩ですが、対抗形の急戦ではよく見られる手です。
とりあえず美濃囲いに端歩を突くということであやを求めた手です。
△1五歩に▲同歩とされてもよく分かってなかったのですが、▲6一飛成としたい気持ちも何となく分かります。
以下△1六歩に▲1八歩と下から受ける形ですが、どちらが得をしたかという展開です。
後手は端をつめたのに対して先手は飛車が成りこみました。
この損得は微妙なところはありますが、ソフトはやや先手の振り飛車側が得をしたと見ているようです。
現実的に飛車が成りこむのは大きいということのようです。
たまたま本局の変化手順においてはそのようになりましたが、このようなことを知っていると今後の対抗形で指すときの参考になりそうです。
△1五歩では△6二歩がありました。ソフトの評価値+71で互角。
この手は△6二歩と辛抱する手で、これで▲6一飛成は受けた形ですが後手は歩切れになります。
このような状態が結構迷うことが多く、歩切れというのは相当悪いという印象をもっているのですが、それ以上にダイレクトに飛車を成らせるのはまずいようです。
△6二歩はただ受けただけという感じもしますが、ここからの展開も気になります。
△6二歩に▲9一馬なら△8八龍▲3六香△7七龍▲3四香△3三桂▲6七歩で、ソフトの評価値+244で互角。
この手順は▲9一馬と香車を補充する手で、後手は歩切れなので香車を持ち駒にすると厳しい筋が生じやすいです。
後手は△8八龍として催促しますが▲3六香が狙いの手で、後手は歩切れなので普通の受けができません。
▲3六香に△3五歩と突く手はありますが、▲同香△同角▲3六香の田楽刺しで角が取れらる形です。
よって△7七龍として▲3四香に△3三桂と受けますが、そこで▲6七歩と下から歩を打ってどうかという形です。
▲6七歩に△6五銀打で飛車を取るのが目に見えますが、▲同飛△同銀▲4五歩とされると△同桂は玉が取られますのでできません。
以下△3五角に▲3六香と打たれると後手は崩壊しそうです。
▲6七歩以下△1五歩で、ソフトの評価値+155で互角。
ここから先は難易度が高そうでここで省略しますが、△1五歩は持ち駒に銀桂があるので先手も▲1五同歩と取りづらいです。
桂馬の持ち駒があると香車が浮いた形になったら△1六桂のような王手が生じますので、こういうのも実戦で役に立ちそうです。
相手が取りづらそうなときに端歩を突くというタイミングです。
歩切れになっても飛成りを受けて辛抱するのが参考になった1局でした。