美濃囲いのよくある形の寄せ方


上図は、先後逆で居飛車対振り飛車の対抗形からの進展で▲5九歩と打った局面。ソフトの評価値-7378で後手勝勢。

▲5九歩と受ける手で▲6一飛成とするのは△4九龍があり、▲同銀なら△3九角▲1八玉△1七金▲同桂△2八金まで詰みです。

よって▲5九歩と受けたのですが、どのように先手玉を寄せるかという形です。

後手玉はまだ安全なのでゆっくりした手でもいいのですが、寄せがあるときは厳しく指したいです。

実戦は▲5九歩以下△同龍と進みましたが、以下変化手順で▲同金△3九角▲1八玉で、ソフトの評価値-99993で後手勝勢。

この手順は▲5九歩に△同龍~△3九角とする手で、対局中はこれで先手玉に即詰みがあるかどうかが分かっていませんでした。

うまくいけば詰みそうだけど詰みがなかったら詰めろ級の手をかければなんとかなるかと思っていたのですが、本来は龍を切るような強い手を指す場合は即詰みと分かったうえで指さないといけない感じです。

読むスピードが遅いため、ここらへんの終盤力がやや安定していません。

後手玉が安全なので△5九龍のような手ができますが、後手玉がかなり危険な場合に△5九龍とできるかは怪しいです。

本局が詰ましにくいのは、先手の4六に銀がいるので後手から3五に金駒を打っても▲同銀の後を考える必要があります。

また持ち駒の金を使うと残りの駒で詰ますのが少し複雑になるので、このあたりも難易度が高くなります。

▲1八玉には大きく2通りの即詰みがありました。

1つは▲1八玉に△2六桂です。

▲1八玉に△2六桂▲同歩△2八金▲1七玉△3八金▲2七玉△2八角成▲3六玉△2七銀▲2五玉△3三桂▲3四玉△4三金右まで詰みです。

この手順の△2六桂はこの形ではよくある筋で、▲2六同歩とさせることで▲2六玉のような形になりません。

△2六桂~△3八金として銀を確保してから△2七銀が少し打ちにくい手で、▲2五玉に△3三桂以下詰みです。

もう1つは▲1八玉に△2八金です。

△2八金▲1七玉△3八金▲2六玉△3五銀▲同銀△同角▲2五玉△2四歩▲3四玉△3三金▲3五玉△4三桂▲4六玉△4五銀まで詰みです。

この手順は△2八金~△3八金として銀を取る手で、▲2六玉の形で持ち駒に銀と桂馬があって詰むかどうかという形です。

△3五銀に▲同銀△同角で角は頭が丸い駒なので詰ましにくいのですが、△2四歩~△3三金が見えれば△4三桂以下詰みです。

これらの2つの手順を見るとどちらも即詰みですが、初手に△2六桂と打つ方が短手数で変化が少ないのでこちらの方で指したいです。

なお最初の局面図で△5九龍はソフトの推奨手だったのですが、別の手として△4六角もあったようです。ソフトの評価値-5995で後手勝勢。

この手順の△4六角ですが、ぱっと見で直接後手玉に迫るような感じに見えないので△5九龍と比べるとややぼんやりしています。

しかし△4六角は次に△3六桂以下の詰めろです。

△4六角に▲4八金なら△3六桂▲1八玉△1七銀▲同玉△3九角▲2六玉△3五金まで詰みです。

この手順は△1七銀と捨てるのがよくある手で、▲同玉に△3九角以下詰みです。

△4六角に▲同歩なら△3九銀打以下詰みなのですが、手数は長いです。

△3九銀打に▲1八玉は△2八金▲1七玉△3五角▲2六歩△2五桂まで詰みです。

この手順は△2八金は打ちにくい手なのですが、▲1七玉に△3五角~△2五桂はたまに出る筋でうっかりしやすい手です。

△3九銀打に▲同金なら△同銀不成で、逃げるのは比較的やさしいので▲3九同玉とします。

▲3九同玉以下△5九龍▲4九銀打△4八金▲2八玉△3九角▲1八玉△2六桂▲同歩△2八金▲1七玉△3八金左▲2七玉△2八角成▲3六玉△3五銀▲2五玉△2四銀▲3四玉△4三金右まで詰みです。

この手順も△2六桂~△2八金で銀を補充してから△3五銀以下詰みです。

美濃囲いのよくある形の寄せ方が参考になった1局でした。